普段自分で動いているときには考えもしないが、人間の動きというのは想像以上に複雑だ。歩くという行為一つとっても、足を前に出し、転ぶ前に素早く重心を制御し、次の足を踏み出すという難解極まりない動作を繰り返している。これが飛んだり跳ねたり転がったりする場合はなおさらだ。
この動きを精密に画面に取り込むための技術がモーションキャプチャーだ。ゲームファンにはお馴染みのものだろう。モーションアクターにセンサーをつけ、その動きをそのままゲームに取り込むことにより、よりリアルな動きを実現する。最近の作品だと『SWBF2』に登場しているキャラクターたちもこのモーションキャプチャーを利用してある。
動きの自然さという点では他の追随を許さないモーションキャプチャーだが、問題はその価格だ。安いものでも20万円、より性能の高いものだと100万円を超えていく。資金源が確保できていて、繰り返し使ってペイできる企業ならともかく、一個人や小さなグループではなかなか手の出ない領域だ。
しかし今回、海外企業「Notch Interfaces」が発売した「Notch」はその壁を一つ破壊するのに貢献するかもしれない。387ドル(12月11日現在で44000円程度)という圧倒的な安価さ、スマートフォンでソフトウェア開発キットにアクセスできる手軽さ、そして必要に応じてセンサー数を変えていけるスケーラビリティが大きな特徴だ
Notch
Notch: Your Movements Reconstructed on The Smartphone in 3D
NOTCH PIONEER KIT
セット内容
- モーションキャプチャーセンサー×6
- 充電およびUSB転送用のドック×1
- 調節可能な小ストラップ×2
- 調節可能な中ストラップ×2
- 調節可能な大ストラップ×2
- 調節可能なチェストストラップ×1
- クリップ台×1
- デモアプリ
- ソフトウェア開発キットへのアクセス
- サードパーティ製のアプリ
製品の特徴
- モジュール形式のセンサー:1個から18個まで変更可能なセンサー
- 完全ワイヤレス:ブルートゥースで接続可能
- 6時間保つバッテリー:1時間以内で充電可能
- 広範囲センサー:MEMSを利用したセンサー
- オンボードメモリ:スマートフォン無しで記録可能
- 防水:汗と水しぶきを防ぐ
- 超軽量小型デバイス:30×35×8mmのスモールサイズ、8g以下の軽量性
新たなゲームの芽吹きに期待
ある技術の敷居が下がった事により、より多くのデベロッパーの手に届くようになり、それが結果として新しい製品を生み出すことはどの業界でもよくあることだ。「Notch」も何か今すぐユーザーの目に見えるような成果になることはないだろうが、いずれ新しいゲームに繋がるかもしれない。既に1万台を販売したという「Notch」のこれからに期待がかかる。
Source: Notch公式
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