7月に発表された2種の最新コンソール機、任天堂のNintendo Switch(有機ELモデル)とValveのSteam Deckは、いずれもゲーム業界の大きな話題となりました。eコマースアグリゲーターのiPriceが、日本を含むアジア10ヵ国でこの2種への期待度を調査し比較したところ、意外にも日本を含めた各国で、Steam Deckへの期待が新型Switchを圧倒しているそうです。ただし、この調査結果を完全に鵜呑みにするわけにはいかない印象です。
「新型Switch」vs「Steam Deck」
「どのゲーム機が一番売れているか/なぜ売れているか」というシンプルな論点は、「家庭用ゲームハード戦争」などの名称でゲーマーの間では盛り上がりやすいトピックです。しかし昨今では PlayStation Now や GeForce Now といったクラウドゲーミングサービスや、コンソール機の垣根を越えるクロスプレイ/クロスプログレッション技術の発展、さらに『CoD:モバイル』などモバイルゲームの普及によって業界の構図も大きく変わっており、一方では「ゲームハード戦争」のキーワードでこれまでの歴史の総括が進められていること自体が、ゲームハードという製品にとっての1つの節目を示唆しているとする向きもあります。
それでも「ゲーム機」は現在も新型の開発が続いており、2021年の夏には、任天堂の発表した新型Nintendo Switch(有機ELモデル)と、PCゲーミングプラットフォームSteamを運営するValveの発表したSteam Deckが大きな話題となりました。
この最新型2機から令和のゲームハード戦争の狼煙を見て取ったのか、eコマースアグリゲーターのiPrice Groupは、日本を含むアジアの10ヵ国で、2021年7月はどちらのコンソールがより多くの関心を集めていたかを調査。同サイトで公開されているその結果は、日本人にとって意外なものとなっています。
「日本人は新型SwitchよりSteam Deckに期待」....?
期待度は新型Switchが黄色、Steam Deckが緑色で塗り分けられているのですが、7月時点では対象10ヵ国すべてでSteam Deckが圧倒していることが分かります。中でも、任天堂のお膝元とも言える日本が圧倒的に、新型SwitchよりもSteam Deckに注目しているという報告には驚きです。
しかしながら、新型Switchは最新モデルとはいえ現行Switchのアップグレード版であり、完全新規のコンソールであるSteam Deckと比較したとき、物珍しさの点で後者の方が目を引くのは無理もないと言えるでしょう。またiPriceの説明によると、Google検索に基づく調査には「Nintendo OLED」のキーワードを使ったと説明されています。
任天堂の日本公式サイトでは「OLED」の文字は使っておらず、「Nintendo Switch(有機ELモデル)」と表記されているため(北米サイトではOLED表記)、日本人がどのような言葉で新型Switchについて検索するかを想像すると、iPriceが「(日本の)Steam Deckの検索ボリュームはNintendo Switch OLEDの検索ボリュームの約8倍だった」としている点には大きな疑問が残ります。
日本以外の国々に目を向けると、香港と台湾は60%がSteam Deck、40%がNintendo Switchに関心を持っており、最も拮抗しているエリアのようです。一方で東南アジア諸国はすべて、新型SwitchよりもSteamDeckに期待しているようで、中でもインドネシアでは、Steam Deckが84%、新型Switchは16%と大きな開きがあります。
鍵は「クロスプレイ対応タイトルの数」か「ユニークさ」か
比較方法はぶっちゃけて言えば間違った方法と言っても過言ではないでしょう。ただし面白い点として、上記のグラフからはアジアにおけるSteam Deckそれ自体の注目度は意外に高いという印象を受けます。Steamの人気タイトルをモバイル環境でプレイできるという魅力的なコンセプトもさることながら、注目の高さの理由として、iPriceはクロスプレイ対応タイトルの数に着目しています。
コンソールの垣根を越えてフレンドと一緒にゲームができるクロスプレイについては、昨今ではRespawnの『エーペックスレジェンズ』やmiHoYoの『原神』などの成功が知られていますが、各プラットフォームごとに取り扱っているクロスプレイ対応タイトルを比較すると、Steamが172本で、すべてのプラットフォームで最も多くのクロスプレイ対応タイトルを有しているそうです。
Steamはダウンロード可能なタイトル数自体が膨大で(好評・不評ゲームの玉石混交ぶりも激しいため)、こうした単純比較の有効性については大きな疑問が残りますが、今のところSteam DeckがSwitchよりも111本も多くのクロスプレイタイトルを扱っているという情報自体は、新たなゲーマーを引きつける要因になり得るでしょう。
しかしその一方で、Switchには『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編や『スプラトゥーン 3』などの話題作が控えていることや、任天堂がこれまでも提供してきたユニークなゲーム体験に対するプレイヤーの期待を踏まえると、クロスプレイ対応タイトル数や、本体スペックの比較を超えた人気を見せる可能性は高いと推測できます。
結局どれも魅力的
SIEが手がけるPlayStation 5とMicrosoftのXbox Series S | Xも、リリースされてまだ日が浅いコンソールです。現在はクロスプレイ対応タイトル数がそれぞれ28本、33本と少ないものの、今後対応する注目タイトルが次々にサポートされていくことが予想されます。
iPriceは今回の調査について「全体で見ると両方のコンソールに期待する価値がある」としめくくっており、まずは2021年12月よりValveが送り出すSteam Deckが(アジアは初期発売地域に含まれていないとはいえ)今後のゲーム業界に与える影響に注目したいところです。
今回のiPriceの調査結果「日本を含めたアジア各国では、新型SwitchよりもSteam Deckの方が注目されている」。「Steam Deckの優位性はクロスプレイ対応タイトルの多さにある」には「少なくとも日本では断定しないほうがよい」と伝えたいところですが、話題のきっかけになる調査だとは思います。皆さんはどのような感想を抱かれたでしょうか。
Source: iPrice
コメント
コメント一覧 (4件)
可能性が見えます。スチームデッキは、多くのPCゲームをポータブルゲームで利用できるようにすることを提案しています。私はいつもMiddleEarth:Shadow of Warをレジャーゲームのようにプレイしたいと思っていました。そのアクションは素早いエンゲージメントには楽しいが、デスクトップでの長時間のセッションにはそれほど楽しいものではないからです。
何が優れてるとか話題性だとか言ってるのを見るたびに、全部買えばいいのにとは思う
4ハードぐらい買ってもハイエンドPC+周辺機器よりは安いし
買うからはよ日本で発売しろ
最近ゲハくさい記事多いね
CSが憎いならもう記事書かなきゃいい。
日本人はこの形状の携帯機だとすぐにスティックが故障する想像がつく