Electronic Arts の EA Originals Label と、BAFTA や Game of the Year の受賞歴を持つ経験豊富な開発者たちの独立した開発チーム「Ascendant Studios」による、スタジオデビュー作『アヴェウムの騎士団(原題:Immortals of Avuem)』の最新トレーラーが公開され、ゲーム概要や発売日などが明らかになりました。
EAA!!では開発元であるAscendant StudiosよりエグゼクティブディレクターのKevin氏にインタビューさせていただき、『アヴェウムの騎士団』のストーリーや制作する上で苦労した話など、さまざまなお話を聞かせていただきました。
シングルプレイ専用FPS『アヴェウムの騎士団』ゲーム概要
『アヴェウムの騎士団』の舞台は終わりなき戦争のファンタジー世界
『アヴェウムの騎士団』の舞台は、「アヴェウム」と呼ばれる魔法が発展したオリジナルのファンタジー世界。この世界では、大地に流れる魔法の力源となる「レイライン」をめぐって、国同士の紛争「エバーウォー」が1000年以上にわたり続いています。
本作の主人公ジャックは、魔力の素質がない人間でしたが、あるトラウマ体験を経て魔力が覚醒。アヴェウムの世界において最強と言われる騎士団「イモータルズ」のリーダーであるカーケン将軍は、ジャックの才能を見抜き、師として5年の歳月をかけて魔力を熟知した者「マグナス」に育て上げ、イモータルズのメンバーとして勧誘します。
ジャックたちは魔法で武装したバトルメイジとして、「エバーウォー」を終結させるために奮闘するのが『アヴェウムの騎士団』の根底となるストーリーです。
3色の魔法による戦闘
『アヴェウムの騎士団』の戦闘は、ジャックが右腕に装着する武器「セュジュール」を通して、青、赤、緑の3色の魔法を使い分けて戦います。魔法の攻撃方法は、ガンシューティングで言うと以下のように分類されます。
- 青:ライフル系(直進して高い命中率を持つ魔法弾で、遠距離戦闘向け)
- 赤:ショットガン系(短距離で大ダメージを与える魔法弾で、近接戦闘向け)
- 緑:マシンガン系(連射可能で敵を追尾する魔法弾で、機動性を活かした戦闘向け)
敵によっては、相性の良い魔法が存在するため、戦いながらこの弱点を突く戦術的な要素があります。さらにマナクリスタルを消費することで強力な魔法を発動することも可能です。
ジャックは、補助アビリティとして左手でシールド魔法を展開することができ、敵からの攻撃を防ぎながら、セュジュールで攻撃を続けることができます。ストーリーが進むと、さまざまな補助アビリティを覚えることができ、ブリンク魔法でテレポートして敵の攻撃を避けたり、コントロール魔法で敵を引き寄せたり、時間を遅くする魔法が使えるようになります。
他にも魔法の指輪、ブレーサー、トーテムなどを装着して自身を強化することができます。そして『アヴェウムの騎士団』では、様々な魔法を組み合わせて攻撃コンボを見つけ出すことが楽しみの一つとなるでしょう。
※以下のインタビューはまだティザートレーラーしか公開されていない時期で、画像なども後日追加したものとなります。
Kevin Boyle氏 開発者インタビュー
今回は『アヴェウムの騎士団』を制作したAscendant Studios のエグゼクティブディレクターであるKevin Boyle氏との開発者インタビューをお届けします。
『アヴェウムの騎士団』開発スタッフ
- Kevin Boyle(ケビン・ボイル)氏
- エグゼクティブディレクター
- 代表作
- The Walking Dead
- Tales from the Borderlands
- Minecraft: Story Mode
EAA Jony: 本日はよろしくお願いいたします。まずは簡単な自己紹介をお願いします。
Kevin: 私はKevin Boyle(ケビン・ボイル)と申します。Ascendant Studiosのエグゼクティブプロデューサーを務めています。
イメージの具現化とバランス
EAA Jony: スタジオ名のAscendantは魅力的な名称ですね。スタジオには『CoD』を初め、輝かしい作品郡を作り上げたメンバーがそろっていますが、Ascendant Studiosとしては初のタイトルとなります。開発中に起こった楽しいトピックや困難な問題はありましたか?
Kevin: そうですね、やはり新しいことにチャレンジする際には、いろいろな苦労や難しい課題もありました。例えば、心に響くようなFPSを作る、そしてこれまでにあまりない魔法を使ったFPSというのはそれ独特の難しさもあったと思います。ポテンシャルは非常に大きいと思いますが、実際に思い描いたことを具現化し、実装するには困難な部分もありました。
特に魔法のシステムを実装する際には、バランスを取るのが難しかったです。プレイヤーが様々なプレイスタイルを好むことを考慮して、どうプレイに柔軟性を持たせるか方法を見つけるのも難しい部分でした。
根本となるストーリーと主人公の覚醒
EAA Jony: 『アヴェウムの騎士団』は、ファンタジーの世界を舞台にしたシングルプレイヤーのトリプルA級FPSゲームで、映画的でテンポが早く、『Call of Duty』が誇るハイテンションなアクションシーンにインスピレーションを受けたこと以外、まだほとんど情報が明かされていません。まずは、根本となるストーリーをお聞かせ願えますか?
Kevin: ネタバレしない範囲でお話しますと、このゲームの物語は、既にスタート時点で紛争が行われている世界を舞台にしています。各国が魔法の支配権を得るために、魔法のリソースである「レイライン」を争っています。主人公のジャックはゲームが始まった時点ではほとんど魔力を持っていない存在ですが、あるトラウマ体験を経て覚醒し、特殊な力を得ることになります。
その特殊な力を手に入れたことで、彼自身も争いに巻き込まれていくことになります。また、ゲームが進行するにつれてジャック自身が持つ魔力についても学び、紛争の背後にある事情を知ることになります。
EAA Jony: なるほど、面白そうですね!
『アヴェウムの騎士団』の元はCoDのキャンペーン
EAA Jony: 『アヴェウムの騎士団』の世界観や設定に、小説や映画、アニメなどからのインスピレーションはありますか?
Kevin: 特定の何かというよりも、さまざまな要素が一つの大きなものに組み合わさり、そこからインスピレーションを得たという方が正しいと思います。そのため、インスピレーションは複数あると思います。この世界観を構築する際には、スタジオのCEOであり、かつてSledgehammer Gamesに在籍していたBretさんや、リードライターであり、かつてTelltale Gamesに在籍していたMichaelさんなどの開発チームが、さまざまな要素からインスピレーションを得たと思います。
私自身は2021年に入社したので、正確な話をすることはできませんが、Bretさんが『Call of Duty』に取り組んでいた頃にマジックシューターのインスピレーションを得て、ビジョンが生まれ、それを深掘りしていくうちに最終的に魔法を使ったFPSの作品になることが決まったと言えるでしょう。
類似ゲームはなし!「グサッとくる刺激と独自のストーリー」
EAA Jony: Bretさんは、「アヴェウムの騎士団はファンタジー版 Call of Dutyではない」と明言しています。それでは、どのようなイメージが適切でしょうか?『Dead Space』?『BioShock』? 『アンチャーテッド』? 『ハリー・ポッター』? 『ゴッド・オブ・ウォー』?『Call of Duty』のキャンペーン? もしくは、そのどれでもない?
Kevin: 今挙げられたものについては、どれでもないと思います。当然どこかヒントやインスピレーションを得たということは、あったかもしれませんが、チームとして『アヴェウムの騎士団』というのは特別で具体的な、そしてユニークなものであってほしいという考えがあったと思います。
そのゲームが持つ世界観や魔法、そしてストーリーについては、Ascendant Studiosの関係者全員がかなりの時間をかけて尽力してきました。本当にユニークなものになっていると思います。
また、ゲームプレイ自体についてもユーザーの感覚を刺激するような、本当に腹にグサッとくるような刺激も加えたかったと思いますし、FPSとしての良い体験ができるようにも重視しました。この世界以外では体験できない本当にユニークなストーリーだと考えています。
複数の独自要素:資源争いと成長物語
EAA Jony: 例えば『Dead Space』は、「ホラー」をメインテーマに添え、非常に優れたデザインでゲーム史に残る名作となりました。『アヴェウムの騎士団』のメインテーマやこだわりのポイントはなんでしょうか?
Kevin: ゲームのメインテーマとしては実は複数あると考えています。まず、ゲームが始まった時に既に紛争が起きているということを話しましたが、それは権力を巡る魔法の支配権を争う戦いですね。これは資源の争いという意味でも一つの大きなテーマです。
もう一つは、主人公のジャックが最初は生意気で傲慢な態度を持っていたのが、特殊な力を手に入れて大きな責任を意識し、成長していく姿勢です。これも一つの大きなテーマだと思います。さらに、大きな力を持つことで状況をより良い方向に導く、そういった努力や取り組みも一つのテーマだと思います。
他のFPSとの違い:魔法FPSの制作は困難だが楽しい
EAA Jony: 『アヴェウムの騎士団』のようなファンタジーの世界を舞台にしたFPSゲームは、他のジャンルのFPSゲームと比べて、どのようなメリットやデメリットを感じましたか?
Kevin: そうですね。真っ白なキャンバスから作り上げるため難しい部分もありましたが、同時に「100% 新しいもの」なので自由度がありました。既存のIPなどを気にする必要がなかったので、その点がメリットでした。
また、我々がフォーカスしたのは「魔法を使うシューターゲーム」である点です。これを作るにあたって、我々が考える「魔法とは何か」、「それをどう実装するか」、「どういう体験を提供したいのか」、「どういう効果を持たせたいのか」など、核となる部分について相当な自由度があったので、そこを作り上げるのは非常に楽しかったですね。
EAA Jony: 楽しそうですね。製作に参加したかったです(笑)
キャラクターと分岐:魔法特殊部隊と魔力のない人間
EAA Jony: 主人公ジャック以外のキャラクターは、どのような役割や関係性を持っているのでしょうか?
Kevin: 『アヴェウムの騎士団』では複数のキャラクターが登場し、ジャックとの様々な関係性が生まれます。物語は主人公のジャックが、後に紛争に巻き込まれることになる前の世界から描かれます。
カーケン将軍がジャックの持つ才能を見抜いて、「私の軍で戦え」とリクルートして物語は進展します。この世界には魔力を持たない人がいて弱い立場の存在ですが、その中で非常に強い魔力を持つ人々を「マグナス」と呼びます。
また、さらに「マグナス」よりも上位に位置するのが、味方側の国ルーシアムにいるアヴェウムの騎士団「イモータルズ」と呼ばれる特殊部隊のような存在です。ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、非常にダイナミックな展開があります。
ジャックはカーケン将軍と出会い、自分の力だけでなく、イモータルズ騎士団の一員として上を目指していくという物語も展開されます。ちなみにカーケン将軍の声は女優ジーナ・トーレスが演じています。
EAA Jony: なるほど、イメージが浮かびました。ストーリーには分岐や選択肢はあるのでしょうか? それとも決められた道を進むのでしょうか?
Kevin: 当然コンテンツの中にはちょっとした分岐的なものあるかもしれませんが、ただストーリーテリングにおいてこのメインストーリーは『The Walking Dead』というよりは『The Last of Us』的な、一つの軸のあるストーリーを持って展開します。
EAA Jony: 素晴らしい!個人的にはその方が好みです。
戦闘:魔法意外の攻撃方法もあり?
EAA Jony: 武器として魔法はもちろんですが、弓矢やクロスボウは登場しますか?銃や爆弾などは登場しませんか?
Kevin: 一言で言いますと、イエスです。ただ、そういった武器というのはどちらかと言えば主に敵側が持つことになると思います。ジャックはマグナスとして腕に装着するセュジュールという武器で3色の魔法を使いこなすことができますし、これに加えてコントロール系の魔法やフューリーという破壊力のある強力な魔法も使います。
強力な魔法には「マナ」というアイテムを使って戦います。簡単に言えば、弓矢やクロスボウなどの武器は、そもそも魔力を持たない、魔法にアクセスできない人々が使うものと考えていただければ良いでしょう。
ジャックが使うのは、セュジュールやトーテムなど、様々な装備のバリエーションがあります。それを使いこなして、装着するギアとの相性を考えながら、良いアビリティを得て戦っていくのが物語の中でのジャックの戦い方です。魔法ベースの戦闘スタイルと言えますね。
EAA Jony: 登場する敵モンスターはどんな種類の敵がいますか? ドラゴンやゴブリン、魔法を使う人間との戦闘もあるのでしょうか?
Kevin: 魔法を使いこなす人間と戦うことは当然あります。敵国ラシャーンにもそういった人々が多数存在しています。ただし、このゲームの中では意図的に様々なバリエーションを持たせています。対人間だけでなく、このような魔法が存在する世界ならではの異なる種類の敵も登場します。
※まだ20以上の質問を用意していたのに、ここであえなく時間切れに...。
ファンへのメッセージ:日本語フルボイス確定
EAA Jony: 最後に、日本のFPSゲームファンに向けて、メッセージをお願いします。
Kevin: 『アヴェウムの騎士団』はFPSのメカニクス的にも、非常に興味深いものだと思います。ただそれ以上に、ストーリーとしてもしっかりとしたものができていますし、登場するキャラクターの関係性や、プレイヤーがプレイする主人公のゲーム内での役割や成長など、どれをとっても全てが楽しめる要素になっています。
そして日本のファンの方々に、『アヴェウムの騎士団』を日本語吹き替え版のフルボイスで届けることができることは本当にうれしく思っています。この壮大なストーリーをぜひ楽しんでいただきたいと思います。私自身も楽しんだように!
『アヴェウムの騎士団』は7月20日発売
濃厚な世界観と魔法世界が特色のシングルプレイ専用FPS『アヴェウムの騎士団』は、PlayStation 5、Xbox Series X|S、PCで2023年7月20日(木)に発売予定です。また、開発元であるAscendant Studiosの原点について解説する長編動画は日本時間4月15日(土)に公開予定。
『アヴェウムの騎士団』が日本語音声対応でリリースされるのはうれしい情報。開発スタジオの熱意が込められたストーリーとファンタジー世界に浸るのが今から楽しみですね。
- タイトル:アヴェウムの騎士団(Immortals of Avuem)
- 発売日:2023年7月20日発売予定
- 対応機種:PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PC(EA App, Steam, Epic Games Store)
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