ASUSは2025年10月8日、国内メディアやインフルエンサーを対象とした新製品内覧会「ゲーミングの再定義」を開催。イベントではeスポーツ向けの新たな製品群「ROG Esports Collection」から新シリーズ「ACE」を立ち上げ、その第一弾となる610Hzモニター「ROG Strix XG248QSG ACE」をはじめ、多彩なゲーミングモニターが披露された。
さらに、大きな話題を呼んでいる「ROG × 初音ミク」コラボレーションモデルの全貌や、新型ミニPC「ROG NUC」など、ゲーマーの心をくすぐる新製品が多数登場。本記事では、ASUSが示す新たなゲーミングの世界を、会場の熱気とともにお届けする。
テーマは「ゲーミングの再定義」、eスポーツ向け新シリーズ「ACE」が始動

イベントのテーマは「ゲーミングの再定義」。これは、多様化するプレイヤーのニーズに応えるため、TN、IPS、OLEDといった異なるパネル技術のモニターを揃え、それぞれの最適な用途を提案するというもの。単一の最強デバイスではなく、それぞれのプレイヤーに合った選択肢を提示することでゲーミング環境を再定義する、というASUSの強い意志が感じられた。
3つのセグメントでプレイヤーを導く新戦略
今回の多様なラインナップを支えるのが、ASUSが新たに定義したゲーミングモニターのセグメンテーションだ。製品はピラミッド構造で大きく3つのシリーズに分類され、プレイヤーが自身のスタイルに最適なモデルを見つけやすいように設計されている。

- ROG Swift: ピラミッドの最上位。ガジェット好きやハードコア、オールラウンドゲーマー向けのフラッグシップモデル。
- ROG Strix: 競技プレイヤーやストリーマー、コアゲーマー向けの中核をなすパフォーマンスモデル。
- TUF Gaming: カジュアルゲーマーやストリーマー向けの、コストパフォーマンスに優れたエントリーモデル。
そして、この戦略の象徴となるのが、eスポーツに特化した新たな製品群「ROG Esports Collection」の始動だ。プロのeスポーツ選手やFPSゲーマーのためにパフォーマンスを極限まで追求したこのコレクションから、第一弾として新シリーズ「ACE」が登場する。

豪華ゲスト3名が各モニターのインプレッションを語る
内覧会では、各モニターのプレゼンテーションに3名の豪華ゲストが登壇。モニター検証Youtuberのモニ研氏、プロゲーミングチーム「VARREL」Overwatch部門チームリーダーのNico選手、そして『Dead by Daylight』公認配信者「フォグ・ウィスパラー」でもあるストリーマーの柏木べるくら氏が、それぞれの専門的な視点やプレイヤー目線から、新製品のリアルなインプレッションを語った。

常識を覆すスーパーTN搭載「ROG Strix XG248QSG ACE」
「ACE」シリーズ初のモニターとなる「ROG Strix XG248QSG ACE」は、ROG史上最速の610Hzを出力可能で、まさに勝利を求めるFPSゲーマーに向けた決戦兵器と言えるだろう。
- スーパーTNパネル: 応答速度0.1msと610Hzのリフレッシュレートを実現。もはやOLEDに匹敵する性能。
- 競技仕様のデザイン: プロの使用環境を考慮し、スタンドの奥行きを大幅に削減。キーボードを斜めに置くプレイスタイルにも対応する。
- 注意点: 610Hzの性能を最大限に引き出すには、Windows 11の最新バージョンが必須。OSが対応していない場合、リフレッシュレートが500Hzに制限される点には注意が必要だ。
「ROG Strix XG248QSG ACE」ギャラリー




モニ研氏のインプレッション

- 色再現性: 「IPSパネルと見間違えるほど色が良い。DCI-P3を90%カバーしており、もはやTNは画質が悪いという常識は通用しない」
- 応答速度: 「応答速度0.1msを液晶(TNパネル)で実現しているのは非常にすごいこと」
Nico選手のインプレッション

セッションには『Overwatch2(オーバーウォッチ2)』をプレイするプロゲーマー、Nico選手が登壇。実際に競技シーンに向けた練習で使用した感想を以下のように語った。
- 610Hzの恩恵: 「360Hzや480Hzからの変化は明らか。一度610Hzに設定してから低いレートに戻すと、体感で違いが分かる」と、その圧倒的な滑らかさを絶賛。PCスペックが追いつかない場面でも、モニターの上限が高いことでPCのポテンシャルを最大限引き出せる点をメリットとして挙げた。
- 24インチの重要性: 「競技シーンでは、視線移動を最小化し、画面全体の情報を一目で把握できる24インチが最適解」と、プロ目線でのサイズ感の重要性を強調した。
- 競技仕様のデザイン: 「キーボードを斜めに置くため、スタンドの奥行きが短いのは非常にありがたい」と、プロのプレイスタイルに寄り添った設計を高く評価した。
1台ですべてを遊び尽くす、デュアルモード搭載OLEDモニター2種
次に紹介されたのは、32インチのOLEDモニター2機種。デュアルモードを搭載し、高精細な映像美と競技性の高いフレームレートを両立する。発売は2025年10月下旬を予定している。
これらのモデルは、QD-OLEDパネルと新たな「True Black Glossy」コーティングにより、光沢パネルでありながら反射を大幅に抑制し、圧倒的な黒の表現力を実現している。
「ROG Strix OLED XG32UCWG」ギャラリー("M"付きも同デザイン)




モニ研氏のインプレッション

- OLED Care機能: 「ピクセル焼き付き防止の警告通知をオフにしたり、表示位置を変えたりできるのは、ゲームプレイを中断されたくないユーザーにとって非常にありがたい」
- 焼き付き保証: 「焼き付き込みで3年保証が付いているのは、高価なOLEDモニターを選ぶ上で大きな安心材料になる」
柏木べるくら氏のインプレッション

セッションには『Dead by Daylight(デッドバイデイライト)』をプレイするストリーマー、柏木べるくら氏は、OLEDモニターを実際に使用した際の没入感について、以下のように語った。
- 圧倒的な黒の表現力: 「黒の表現が本当にすごく、今まで見えなかった暗所のディテールがはっきり見える。別のゲームかと思うほど綺麗」と、QD-OLEDパネルの映像美に感嘆。
- 高まる没入感: 「これで昔遊んだホラーゲームを全部やり直したくなった」とその高い没入感を絶賛。光沢パネルながら反射が気にならない点も評価した。
- 32インチというサイズ: 当初は大きいと感じたものの、実際にプレイすると「この没入感なら、これくらいのサイズが欲しくなる」と、ホラーゲームとの相性の良さを述べた。
プロクリエイター向け「ProArt Display OLED PA32UCDM」

ゲーミングモニターとは別に、プロのクリエイター向けには「ProArt」シリーズが展開されており、今回のイベントでも新製品が披露された。「PA32UCDM」は、そのコンセプトを踏襲しつつ、ゲーミングにも通用するスペックを誇る。
- パネル: 31.5インチ 4K HDR QD-OLED
- リフレッシュレート: 240Hz
- 色精度: DCI-P3 99%、ΔE < 1
- 接続性: デイジーチェーン対応のデュアルThunderbolt 4ポート(96W PD)搭載
洗練されたデザインで取り回しも良く、出荷時点で完璧な色調整が施されている。Macとの親和性も高く、画面上に定規やグリッドを表示する独自機能も搭載されており、まさにプロの仕事道具と言えるだろう。

「ProArt Display OLED PA32UCDM」ギャラリー




可愛いは正義!「ROG × 初音ミク」コラボモデル全貌公開



TUF Gamingでのコラボを経て、ついにROGブランドに「初音ミク」が降臨。PCケースからマザーボード、グラボ、モニター、各種デバイス、さらにはアパレルまで、デスク周りをミクの世界観でコンプリートできる圧巻のラインナップとなっている。
特に注目は、グラフィックスカードに付属するVGAホルダー。なんとモチーフは「ネギ」。これは開発チームに熱狂的なミクファンがいたことで実現したという裏話も披露された。ちなみに司会進行役の方がこの「ネギと初音ミクの関係」を知らなかったため、会場から「若いですね」とのツッコミが入り、会場が大きな笑いに包まれる一幕もあった。

アパレル以外の製品については、2025年10月17日(金)に国内発売日と価格が正式に発表される。公式紹介ページはコチラ。
ミニPCのパワーを再定義、新型「ROG NUC 2025」

イベントで大きな注目を集めたのが、次世代の小型ゲーミングPC「ROG NUC 2025」だ。ASUSが「ミニPCのパワーを再定義する」と謳う通り、一見すると省スペースな筐体ながら、その中身はデスクトップ級のモンスターマシンとなっている。
- CPU/GPU: 最大でIntel Core Ultra 9プロセッサーとNVIDIA GeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載可能。コンパクトな筐体からは想像もつかない処理能力を誇る。
- 冷却性能: 3連ファンとデュアルベイパーチャンバーを備えた高度な冷却システムを実装。静音性を保ちつつ、高負荷時でも安定したパフォーマンスを維持する。
- デザインと拡張性: 容量3L以下のコンパクトなデザインながら、ツールレスで簡単にパーツ交換が可能。ゲーマー、ストリーマー、クリエイターといった幅広い層の要求に応える設計となっている。
これまでミニPCといえば性能面での妥協がつきものだったが、「ROG NUC 2025」はそうした常識を覆す一台となるだろう。なお、プレゼンテーションで紹介されたスペックはあくまで最大構成のもので、実際の製品ラインナップや仕様は異なる可能性がある点には留意したい。
「ROG NUC 2025」ギャラリー




サプライズ展示:未発売キーボードや新型ルーターも


会場では、プレゼンテーションの演目にはなかったサプライズ展示も行われていた。特に注目を集めたのは、海外で発表されていた分割式ラピッドトリガーキーボード「ROG Falcata」だ。さらに、国内では初披露となる新型のROGゲーミングルーター「ROG Strix GS-BE7200X」も急遽展示されていた。
柏木べるくら氏はデモ中、この「ROG Falcata」をごく自然に片側(WASD側)だけを使いこなし、「キーボードの半分、いらなかったんだ…」と新たな発見をしていた。
まとめ:多様化するゲーマーに応えるASUSの「ゲーミングの再定義」

競技の頂点を目指すための「ACE」、あらゆる楽しみ方に応える「OLED」、そしてカルチャーと融合した「初音ミクコラボ」。今回のASUS内覧会は、まさに「ゲーミングの再定義」というテーマにふさわしい、多様で本気度の高いラインナップだった。「スペックの頂点」だけでなく「プレイヤーの目的」を追求するASUSの姿勢は、ゲーミングデバイス市場が新たな成熟期に入ったことを感じさせた。
FPS POWER TUNE


Source : ROG Ace Collection | Best Gaming Gear for Esports - ASUS
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