「フレームレートは高ければ高いほど有利」——。そんなFPSプレイヤーの常識を極限までこじらせ、FPS(フレームレート)をFPS(体力)に変換してしまった狂気のローグライクFPS『FPS Quest(エフピーエス クエスト)』』が発表された。
個人開発者のFarlight Games Industryが手掛ける本作は、ダメージを受けるたびにFPSが低下し、最終的にパフォーマンスが壊れることで敗北となる、PCゲーマーのトラウマを具現化したようなローグライクFPSだ。
命を繋ぐ「リアルタイム・グラフィック設定」
『FPS Quest』の最大の特徴は、FPSがプレイヤーのコンディションに直結している点だ。ダメージを受けたり判断を誤ったりするたびにパフォーマンスが低下し、最終的にはゲーム画面そのものが壊れていく。
プレイヤーはこの絶望的な状況を打破するために、その場で「設定の調整」を行わなければならない。
- グラフィック品質のダウングレード: 壁、敵、武器の質を下げて処理を軽くする。
- オブジェクトの削除: 柱、扉、天井、さらには床までも削除してFPSを捻出する。
ただし、過度な最適化にはリスクが伴う。描画を削りすぎた世界はカオスと化し、不条理な難易度へと変貌を遂げる。まさに「最適化という名のギャンブル」が本作の醍醐味となっているようだ(実は書きながらもよくわかっていない)。
『FPS Quest』実際にゲームのFPSを下げるわけでなく、低FPSの世界をシミュレートし、それ自体をゲームプレイに変えてる。現実ではまったく楽しくないしストレスな要素を遊べる仕組みに変えるという、ある意味発明だ。
マウスホイールで「PCの温度」を操る?





単に削るだけではない。ゲームを進めることで、FPSを戦略的に利用できる「スクリプト(能力)」を入手できる。
例えば、マウスホイールを回して意図的にFPSを操作することで、PCの温度を犠牲にしながらゲーム時間を加速・減速させる「動的なバレットタイム」のようなアクションが可能になる。
まさに「誰が一番うまくズル(最適化・グリッチ)をできるか」という、ゲームのルールそのものをハックする戦いが繰り広げられる。
物語を彩る「メタな勢力」と奇妙なAI

『FPS Quest』には、プレイヤーの行動によって変化する複数のメタ的勢力が登場し、このグリッチだらけの世界に干渉しようとする奇妙な勢力も存在する。
- Patch Engine Developers(パッチエンジン開発者): MODを収益化しようと目論む開発陣。
- OutofBounds(壁抜けバグ): 収益化に反対し、秘密のショートカットを教える一派。
- Custodians(守護者): グリッチを拒み、開発者の「本来のビジョン」を守ろうとする保守派。
- The Null Process(無効なプロセス): 進行を止めてほしいと願う、壊れたAI。
プレイヤーが「どの勢力に加担するか」は、選択肢ではなく「ゲームをどう壊したか」という行動によって決定されるようだ。
『FPS Quest』は、現在Steamでウィッシュリストに登録できる。最大の敵はモンスターではなく、自分自身の「フレームレート」。生きるためにグラフィックを下げ、進むためにゲームを壊す。この不条理な戦いに、あなたのPCと精神は耐えられるだろうか?
Source: Reddit







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