先月9月26日に3年越しのDLC「仮初めの自由」をリリースしたばかりの『サイバーパンク2077(Cyberpunk 2077)』が、死去した声優の声を遺族の同意の上で、AIで再現して新規収録していたことを明らかにした。
故人の声をAIで再現
『サイバーパンク2077』の開発スタジオであるCD Projekt RedがBloombergの取材に応じ、声優が死去したキャラクターの新規セリフをAI技術を用いて収録したことを明かした。
2020年12月にリリースされた『サイバーパンク2077』に登場する主要キャラクターの一人にヴィクター・ヴェクターがいる。 インプラントを移植するリパードクであり、主人公のVを気にかけてくれる人物だが、実はポーランド語の声優を務めたMilogost "Miłek" Reczek氏が2021年に60歳でこの世を去っている。
「仮初めの自由」でヴィクターには新規セリフが用意されており、当初CD Projekt Redは代役を探してヴィクターのセリフを既存の分も含めて全て新規収録しようとした。
しかし、Reczek氏は彼が「ポーランドを代表する声優」の一人であり、ヴィクターの演技も「突出」したものがあったので別人に収録させる手法は気に入らなかったと、CD Projekt RedのローカライゼーションディレクターのMikołaj Szwed氏が明かした。
そこでReczek氏の遺族に合意を取り、キエフのスタートアップ企業が提供するRespeecherと呼ばれる音声クローン技術を用いて、喋り方のアルゴリズムを作成。 Reczek氏の息子たちは非常に協力的だったとしている。
そして代替の声優にヴィクターを演じてもらい、その上からMiłekのスタイルを適用することで、ポーランド語版のヴィクターに新しい息が吹き込まれた。
RespeecherなどのAIを使った演技や表現は大きな議論を呼んでいる。映画界などでは故人の俳優をCGIで再現する手法が度々取られており、「スター・ウォーズ」を始め、CGジェームズ・ディーンやAI美空ひばりなど枚挙にいとまがない。
喜ぶファンや家族・友人も多い一方、何でも出来てしまうことによるモラルや倫理観の問題、そもそもの違和感、故人の尊厳などが問題となっている。
先月9月には、ビデオゲームの声優たちがゲーム会社との交渉に先立ってストライキを行った。組合リーダーのレイ・ロドリゲスは「人工知能の無秩序な使用は、自身の声、イメージ、パフォーマンスで生計を立てているすべての人に存亡の危機をもたらす」と語っている。
Gaming Device Power Tune for FPS
Source: Bloomberg
コメント
コメント一覧 (4件)
キーウ
マジかよすげえな
全く気づかんかったわ
ニューロマンサー(言わずもがなサイバーパンク作品の代表格)に出てきたフラットラインのメモリーみたいな存在の第一歩になったとも思う。
本編の根幹テーマ(サイバーパンク)に対するCDPRなりのリスペクトも含まれているんじゃないだろうか。
マジか 亡くなってたのか声の人