株式会社日本HPは2026年4月9日、ゲーミングブランド「HyperX」の新製品群を発表した。最上位ゲーミングデスクトップ「HyperX OMEN MAX 45L Gaming Desktop」をはじめ、ゲーミングノートPC、QD-OLEDモニター2機種、キーボード、イヤホン、アーケードコントローラーと幅広いラインアップが揃う。あわせて、AIによるゲームパフォーマンス最適化機能「OMEN AI」の対応タイトル拡大と、ソフトウェアプラットフォーム「OMEN Gaming Hub」への新機能追加も発表された。
同日開催されたゲーミング事業説明会には株式会社Fennel創業者の堀田マキシム氏と、FENNELのLeague of Legends部門所属選手のraki選手・Bruces選手も登壇。プロeスポーツチームFENNELとのスポンサー契約締結が正式に発表され、次世代育成プロジェクト「For Future Project」の概要も明らかとなった。
- 3行まとめ
- HyperX OMEN MAX 45L Gaming Desktopは独自冷却技術「OMEN Cryo Chamber」により同スペック比でCPU温度を10°C低減、RTX 5090搭載可能な最上位ゲーミングデスクトップ(価格未定・6月下旬発売)
- OMEN AIがMinecraft・Roblox・Marvel Rivalsに新対応し、OMEN Gaming HubにはAI動画生成ツール「HeyGen」のProプラン3ヶ月無料など配信者向け機能を追加
- HyperXがFENNELとスポンサー契約を締結し、次世代育成プロジェクト「For Future Project」を共同展開
発表会で明かされたHyperXの日本戦略

日本HP執行役員でパーソナルシステムズ事業本部長を務める松浦 徹氏が、冒頭でHyperXが日本市場に注力する理由を語った。
日本では約5,400万人が日常的にゲームを楽しんでおり、うちPCゲーマーは1,452万人にのぼるという。松浦氏は「5,400万人すべての情熱に応えていく。それが私たちの新しい使命」と述べ、HyperXをマスターブランドとする戦略の意義を強調した。
2026年1月にOMENブランドをHyperXへ統合したことで、PC本体・周辺機器・ソフトウェアを一本化した体験の提供を目指す方針が改めて示された。「WE'RE ALL GAMERS」というブランド文化を核に、PCだけでなくコンソールやモバイルでも信頼されるHyperXの強みを活かし、プラットフォームの垣根をなくしていくことが今回の発表の根底にある考え方となっている。
HyperX OMEN MAX 45L Gaming Desktopの概要

HP史上最も高性能なインテルプロセッサー搭載ゲーミングデスクトップとして位置づけられている(HPの社内テストベンチマークに基づく)。
| CPU | インテル Core Ultra 7 プロセッサー 270K Plus(前世代比で最大約10%のゲーミング性能向上) |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5090(最上位構成) |
| メモリ | 最大128GB DDR5 |
| 電源 | フルモジュラー設計の1200W電源ユニット |
| 冷却 | HP独自の特許技術「OMEN Cryo Chamber」(最大360mm水冷クーラー対応) |
| 設計 | ツールレス構造、改良されたケーブル配線でアップグレードが容易 |
発表会ではカテゴリーマネージャーの森谷 智行氏がCryo Chamberの仕組みをこう解説した。
「水冷クーラーのラジエーターは通常ケースの中に入っているのが普通なんですね。ゲーミングデスクトップをお持ちの方はわかると思うんですけれども、ケース内というのはプロセッサーの熱だったり、GPUの熱だったりで非常に温かい空気になっています。その温かい空気でラジエーターに風を当てても効果が限定的なので、Cryo Chamberはラジエーターを外に出して、外のフレッシュな空気をラジエーターに当てることで冷却効果を高めるという、特許取得済みの技術でございます。車やバイクのエンジンと全く同じ構造のものなんです」
— 森谷 智行(日本HP パーソナルシステムズ事業本部 コンシューマービジネス本部 カテゴリーマネージャー)
Cryo Chamberを搭載しない同スペック構成の「HyperX OMEN 35L」と負荷テストで比較した結果、CPUの温度が10°C低下したという。前世代モデルのOMEN MAX 45Lとの比較でもGPU温度が2°C改善しており、外観はほぼ同じながらサーマルバンプ(底部の排熱スペース)が高くなり、背面の吸気口も拡大されている。
ファン清掃機能「Fan Cleaner(ファンクリーナー)」も搭載。ファンを定期的に逆回転させることでホコリが堆積しにくくなる仕組みで、森谷氏は「皆さん、最後にファンを掃除したのはいつか覚えていますでしょうか。もう私は全く覚えていないくらい掃除していないんですけれども」と語りながら紹介した。カスタマイズ性も高く、天面のボタンを押すだけでドライバーなしに左・右・フロントの3パネルが取り外せる設計となっている。
実機を見て最初に感じたのは、PC筐体に「HyperX」のロゴが入っていることへの驚きだった。ゲーミングデバイスのイメージが強かったHyperXがゲーミングPCにまで展開したことを視覚で実感させてくれる。OMENとHyperXの統合が名称変更にとどまらないブランドの拡張であることを、このロゴひとつが物語っている。
HyperX OMEN MAX 45L Gaming Desktopの価格・発売日
- 価格:未定
- 発売日:2026年6月下旬
HyperX OMEN 16 Gaming Laptopの概要とスペック

ゲーミングノートPCのラインアップに16インチ型「HyperX OMEN 16 Gaming Laptop」が加わった。前世代モデルと比べてシステム全体の電力供給量(TPP)が170Wから200Wへと30W増加しており、同じサイズ・重量の筐体で処理能力を引き上げている。ディスプレイにはOLEDパネルを全モデルで採用しており、これも前世代からの大きな変更点となっている。
| CPU | インテル Core i7-14650HX(最大5.2GHz、30MBキャッシュ) |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5060 / 5070 Laptop(ビデオメモリ:8GB GDDR7) |
| メモリ | 24GB DDR5-5600MT/s(スロット×2・空き1) |
| ストレージ | 1TB PCIe Gen4 NVMe M.2 SSD |
| 無線LAN | Wi-Fi 7(MediaTek MT7925)、Bluetooth 5.4 |
| キーボード | 日本語配列フルサイズRGBバックライト(テンキー付き)、8,000Hzポーリングレート、26キーロールオーバー・アンチゴースト対応 |
| CPU | Ryzen 7 8745HX(最大5.1GHz、8コア/16スレッド)/ Ryzen 9 9955HX(最大5.4GHz、16コア/32スレッド) |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5060 / 5070 Laptop |
| メモリ | 24GB DDR5-5600MT/s(スロット×2・空き1) |
| ストレージ | 1TB PCIe Gen4 NVMe M.2 SSD |
| 無線LAN | Wi-Fi 7(MediaTek Torres MT7925)、Bluetooth 6.0 |
| キーボード | 日本語配列フルサイズRGBバックライト、8,000Hzポーリングレート |
| バッテリー駆動時間 | 約6時間(RTX 5060構成)/ 約5時間15分(RTX 5070構成) |
| ディスプレイ | 16.0インチ・2.5K(2560×1600)OLEDパネル、最大165Hzリフレッシュレート、応答速度0.2ms、SDR 500nit、HDR最大1100nit、DCI-P3 100%対応、テュフ ラインランド Eyesafe認定 |
| バッテリー | 83Whr(6セル)、ファストチャージ対応 |
| 重量 | 約2.48kg |
| ACアダプター | 280W |
| 耐久性 | MIL-STD-810H規格に基づく耐久試験10項目クリア |
| 冷却 | OMEN Tempest Coolingテクノロジー、Fan Cleaner機構搭載、IRサーモセンサー搭載 |
OLEDパネルの黒の締まりと発色の鮮やかさはIPS液晶とは別次元の表示品質を提供する。インテル版にはテンキーが付属する一方、AMD版にはテンキーがない点も購入時に確認しておきたいポイント。8,000Hzポーリングレート対応のキーボードは入力信号の送信頻度が標準品の8倍で、ゲーム中のキー入力から画面反映までの総遅延を短縮する。
HyperX OMEN 16 Gaming Laptopの価格・発売日
- HyperX OMEN 16 Gaming Laptop(インテル):488,800円〜 / 2026年5月初旬発売
- HyperX OMEN 16 Gaming Laptop(AMD):448,800円〜 / 2026年5月下旬発売
HyperX OMEN OLEDモニター2機種の概要


HyperXブランドのゲーミングモニターに、QD-OLEDパネルを採用した27インチと34インチの2機種が加わる。QD-OLEDとは量子ドット技術と有機ELを組み合わせたパネル方式で、従来のOLEDより色域と輝度を高めた規格のことだ。
| パネル | QD-OLED |
| 解像度 | QHD(2560×1440) |
| リフレッシュレート | 240Hz |
| 応答速度 | 0.03ms(GtG) |
| HDR | VESA DisplayHDR True Black 500対応 |
| 色域 | DCI-P3 99%(工場出荷時カラーキャリブレーション済み) |
| VRR | NVIDIA G-SYNC Compatible、AMD FreeSync対応 |
| パネル保護 | HyperX OLED Core Protect搭載 |
| パネル | QD-OLED Penta Tandem OLEDパネル(高輝度化・発光効率向上の新型) |
| 解像度 | WQHD(3440×1440) |
| リフレッシュレート | 360Hz |
| 応答速度 | 0.03ms(GtG) |
| HDR | VESA DisplayHDR True Black 500対応 |
| 色域 | DCI-P3 99%(工場出荷時カラーキャリブレーション済み) |
| モーションブラー指標 | ClearMR 18000対応 |
| その他機能 | KVMスイッチ搭載、テキストフリンジを大幅に低減 |
| パネル保護 | HyperX OLED Core Protect搭載 |
34インチモデルに採用される「Penta Tandem OLED」は、発光層を5枚重ねた構造を持つ新世代パネル。ウルトラワイドの広い面積で十分な輝度を確保するために採用された技術で、360Hzというリフレッシュレートは現時点でウルトラワイドOLEDモニターとしてトップクラスの数値となっている。カラーキャリブレーションはデルタEが1未満になるよう工場出荷前に調整済みで、色再現性にこだわりたいクリエイターにも適した仕上がりとなっている。


OLEDにありがちなテキストフリンジ(文字の輪郭に緑色のにじみが出る現象)については、Vストライプ配列のQD-OLEDパネルにより大幅に低減。会場の実機展示でも文字のにじみはほぼ確認できないレベルで、メニュー画面のアニメーションも含めてOSDまわりの完成度は実機で触れて初めて伝わる部分があった。
27インチモデルはQHD×240HzというスタンダードなOLEDゲーミングモニターの構成として競技とコンテンツ鑑賞を両立しやすい。34インチは表示の広さと360Hzの組み合わせが魅力だが、188,000円という価格は一般ゲーマーには手の届きにくい水準であることも正直に触れておきたい。
HyperX OMEN OLEDモニターの価格・発売日
- HyperX OMEN OLED 27q Gaming Display:81,500円 / 2026年6月下旬発売
- HyperX OMEN OLED 34 Gaming Display:188,000円 / 2026年6月下旬発売
OMEN AIの対応タイトル拡大とOMEN Gaming Hubの新機能
ソフトウェア面の強化も今回の発表で注目したいポイントとなっている。OMEN AIはOS設定・ハードウェア・ゲーム内設定を一括で自動調整し、ワンクリックでFPSを向上させる機能。今回、新たに『Minecraft』、『Roblox』、『Marvel Rivals』などの人気タイトルがサポートに加わった。
数千にのぼるゲームプレイセッションのデータを機械学習モデルが継続的に学習し、最適なパラメータを導き出す仕組みで、使い続けるほど設定が洗練されていく点が特徴となっている。テストでは『Minecraft』で最大50%のFPS向上を確認している(結果はゲーム・デバイス・ハードウェア構成・設定により異なる)。
OMEN Gaming Hubにはクリエイター向けの新機能として、HeyGenとVoicemodとの連携が追加された。


- HeyGen:テキストスクリプトをもとにAIアバターが出演する動画コンテンツを生成。AI翻訳による多言語対応や、ゲームプレイ映像をハイライト動画に変換する機能も備える。OMEN Gaming HubからアクセスするとHeyGenのProプランが3ヶ月間無料で利用できるサービスも予定されている
- Voicemod:リアルタイムで声を変換できるボイスチェンジャー機能。200種類以上のエフェクトと大規模なコミュニティ音声ライブラリを利用でき、Discord・Teams・OBSなど幅広いアプリに対応している
「ゲーミングPCは、これまでの単なるゲームを楽しむ、コンテンツを消費するというだけのものから、コンテンツを作り上げる、創作するというようなフェーズに入ってきておりますので、まさに次世代のゲーム体験を提供できる製品だと思っております」
— 森谷 智行(日本HP パーソナルシステムズ事業本部 カテゴリーマネージャー)
OMEN AIとOMEN Gaming HubはHyperX PCおよび一部のHP製コンシューマーPCにプリインストールされているほか、Microsoft Storeからダウンロードして利用することも可能。
HyperX新ゲーミングアクセサリの概要

発表会に併設された展示スペースでは、今回発表された新製品をすべて実際に手に取って試せる展示が行われた。カプコンの『STREET FIGHTER 6』と『PRAGMATA』の試遊台も用意されており、HyperXのデバイスと組み合わせて体験できる内容となっていた。以下では各製品の概要と、実機に触れた感想をあわせてお伝えする。
HyperX Origins 2 Pro 65 ゲーミングキーボード(日本語配列)

コンパクトな65%レイアウトを採用したゲーミングキーボード。発表会でカテゴリーマネージャーの宇野 洋平氏は「HyperXとして初めてのラピッドトリガー搭載キーボードです。後発にはなりますが、その期待を裏切らない競技にも最適な新製品となっています」と紹介した。
HyperX独自の磁気ホールエフェクトスイッチ(磁石の力で入力を検知するため接点の摩耗がなく耐久性が高い)を搭載し、アクチュエーションポイントは0.1mmから4.0mmの範囲で設定できる。8,000Hzポーリングレートに対応し、標準的なキーボード(通常1,000Hz)の8倍の速さで入力信号を送信する。HyperX NGENUITYソフトウェアでRGBライティングやキーマップ・ラピッドトリガーの調整に対応し、トップハウジングの3Dデータを公式公開しているため3Dプリンターでオリジナルパーツを自作することも可能。
会場ではOrigins 2(無印)とProモデルがそれぞれ展示されており、両方打ち比べてみたところキータッチの差は一打ちで分かるほど明確だった。Proモデルは底打ち時の音と衝撃がカチャカチャからポトポトへと大きく変わり、同じOリングマウント設計(シリコン製リングとポリカーボネート製プレートの組み合わせで打鍵時の衝撃・振動と残響を低減する構造)でもスイッチの違いだけでここまで打鍵感が変わることに驚かされる。
個人的には1800レイアウトのProモデルの展開も切実に待ちたくなるほど、基本的な打鍵品質は高い仕上がりだった。
HyperX Cloud Earbuds IIIシリーズ 有線ゲーミングイヤホン

外出先でのゲームプレイを想定した有線ゲーミングイヤホン。今回のモデルからType-C接続に対応しており、対応機種の幅が大きく広がった。宇野氏はプレゼンテーションで「有線イヤホンが過去のものというイメージもあるかもしれませんが、あえてここで有線ゲーミングイヤホンによるプレイ体験をアップデートしたいと思っています」と述べ、ペアリングの煩わしさやバッテリー切れを気にせず安定したパフォーマンスを発揮できる有線接続の価値を再定義した。
特許取得済みの「Intra-Concha(イントラコンカ)」設計と4サイズのイヤーチップにより、耳への圧迫感を抑えたフィット感を実現。専用チューニングを施した14mmドライバーを搭載し、L字型コネクタやインラインコントローラーも備える。上位モデルの「Cloud Earbuds III S」は内蔵DSP(デジタルシグナルプロセッサー)によるバーチャルサラウンドに対応しており、足音や爆発音の方向をより正確に把握しやすくなっている。スマートフォンやNintendo Switch 2にも対応している。
Type-C対応になったことで対応機種の幅が広がったのはもちろん、ゲーミングイヤホンのマイク品質にも好影響ではないかと個人的に期待が高まっている。III SはDSP搭載によりFPSでも強力な武器になりそうで、前世代から引き継がれたイヤーチップのこだわりとハードシェルケースの付属も個人的には嬉しいポイント。ヘッドセットが使いにくい環境や外出先でのゲームプレイに向いた選択肢となりそうだ。
HyperX Clutch Tachi ゲーミングレバーレスアーケードコントローラー

格闘ゲーム向けのレバーレスアーケードコントローラー。1月の発表時には実機展示がなく、今回の発表会が国内初の手に取れる展示となった。アーケードコントローラーとしては初となる(2026年1月時点のHP社内分析に基づく)TMR(トンネル磁気抵抗)センサーを搭載し、0.1msの高速レスポンスとラピッドトリガーに対応している。Xbox公式ライセンスを取得済みで、着脱式クリアトッププレートによる外観カスタマイズや、公式公開の3Dデータを使用した3Dプリント製カスタムパーツへの換装にも対応する。
会場での試打では、ゲームセンターの筐体ボタンと比べてもボタンの押し心地が滑らかでコトコトとした柔らかい打鍵感が印象的だった。格闘ゲームにおけるレバーレスコントローラーの普及が進む中で、TMRセンサーという他にない技術的アプローチを盛り込んできた点は純粋に興味深い。
HyperX新アクセサリの価格・発売日
| 製品名 | 価格(税込・送料別) | 発売日 |
|---|---|---|
| HyperX Origins 2 Pro ゲーミングキーボード(日本語配列) | 22,800円 | 2026年5月下旬 |
| HyperX Cloud Earbuds III 有線ゲーミングイヤホン(レッド) | 5,480円 | 2026年5月下旬 |
| HyperX Cloud Earbuds III 有線ゲーミングイヤホン(ブラック) | 5,480円 | 2026年5月下旬 |
| HyperX Cloud Earbuds III S 有線ゲーミングイヤホン(レッド) | 6,480円 | 2026年5月下旬 |
| HyperX Cloud Earbuds III S 有線ゲーミングイヤホン(ブラック) | 6,480円 | 2026年5月下旬 |
| HyperX Clutch Tachi ゲーミングレバーレスアーケードコントローラー | 30,800円 | 2026年5月下旬 |



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