Activision(アクティビジョン)はCoDシリーズ最新作『Call of Duty: Modern Warfare Ⅲ(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア 3/ MWⅢ)』に関する最新ブログを公開。旧作から長らくコミュニティの議論となっている「マッチメイキングの仕組み」について、以前約束した通り、その詳細な解説をプレイヤー側に共有した。
『CoD:MW3』のマッチメイキング解説
- 全体の要約:
- マッチメイキングの目標は、接続の安定した対戦を、より短い時間で成立させること
- スキルマッチとは、その目標に必要な手段の1つ。削除すると対戦環境は悪化
以下は『CoD:MW3』の通常マルチのロビー作成に限った話。『ウォーゾーン』や「ランクプレイ」モードは含まれない。
マッチメイキングについては、これまでもコミュニティからさまざまな意見が飛び交ってきた。よく目にする批判は、いわゆる「スキルマッチ(プレイヤーのスキルをベースにしたマッチングシステム)」があることで、「いつもスキルが近いプレイヤーばかりで集まり、対戦が大接戦になって疲れる」といったものだ。
もしスキルマッチがなくなれば、図らずも初心者狩りをしてしまう恐れがある一方、自分よりもはるかに強いプレイヤーとも対戦できるかもしれない。対戦が多様になり、ゲームがより楽しくなるのではないか。
しかし開発者に言わせれば、そもそも「スキル」とは、あくまでマッチメイキングのプロセスにおける要素の1つでしかない。「スキルは主要な変数ではなく、複数の要素を考慮・優先してロビーを作成している」とのこと。
要素の1つでしかないのなら、スキルマッチはやはり削除しても構わないのだろうか。以下でさらに詳しく見ていこう。
マッチメイキングの構成要素
まずマッチメイキングにおいては、以下の要素が考慮されているという。
- 最重要項目
- 接続:「Ping is King(Pingがキング)」。マッチメイキングのプロセスにおいては接続が最も重要、かつ大きな比重を占める
- マッチングが成立するまでの時間:2番目に重要な要素。マッチが始まるのを待つよりも、プレイすることに時間を使って欲しい
- 重要項目
- プレイリストの多様性:プレイヤーが選択できるプレイリストの数
- 直近に対戦したマップやモード:直近でプレイしたマップや、クイックプレイ設定で編集できるゲームモードの好み
- スキル(パフォーマンス):すべての対戦で、自分が影響を与えるチャンスを得られるようにする
- 入力デバイス:コントローラーか、マウスとキーボードか
- プラットフォーム:PC版かコンソール版か
- ボイスチャット:有効化しているか無効か
マッチメイキングを開始すると、以上の要素を通じて他のプレイヤーを検索。安定して競技性のあるロビーを速やかに作成する。
「接続の安定」が最優先
- 要約
- マッチメイキングで最も重要視しているのは(スキルではなく)「接続」。つまりサーバーとのデータ送受信速度
- サーバーとプレイヤー間で情報を共有するのにかかる時間は、マッチ全体のプレイ感に影響を与える
- そこで、プレイヤー間のレイテンシ(遅延)による影響が少なくなるようにマッチメイクをしている
上述の内容に続いて、「フレンドと楽しむためにプレイするにせよ、リーダーボードを駆け上がるにせよ、接続こそが『コール オブ デューティ』の体験で最も重要」と明言されている。ここで言う接続とは、サーバーとのデータ送受信速度のこと。
『コール オブ デューティ』では、「自分にとってベストなデータセンター(=最も近くのデータセンター)」と、「他のプレイヤーとの間で決まった、ロビーのあるデータセンター」との、データ往復時間の差が重視される(デルタPingと呼ばれる)。これが短いほど全体的なレイテンシ(遅延)も短くなり、マッチングが快適になる。
レイテンシを完全になくすことはできないものの、『コール オブ デューティ』のマッチメイキングは、レイテンシを全体的に少なくすることを目指している。
スキルマッチは何のため?
- 要約
- マッチメイキングでプレイヤーのスキルを考慮しているのは事実
- これは、スキルの近い敵や味方をロビーに集め、勝利や敗北をバランスよく体験させるため
- これにより、たとえスキルの低いプレイヤーでも「勝ったり負けたり」ができる
- スキルマッチがないと、負け続けてしまったスキルの低い層はゲームを止めてしまい、プレイヤー数の減少につながる
- プレイヤーが減るとマッチメイキングに時間がかかり、遅延も増える。それが原因でさらにプレイヤーが減る。最終的には高スキル帯のプレイヤーしか残らないという悪循環に陥る
- スキルを考慮したマッチメイキングをすることで、健全なプレイヤー数と、健全な接続環境を保てる
ここまでの説明から、マルチにおけるマッチメイキングの正体とは、あくまで「接続」を最適化するシステムだと分かる。しかしこうなると、「スキルマッチを消してくれ」というコミュニティの主張と噛み合っていない。接続の安定した対戦を成立させることと、スキルマッチの間に何の関係があるのだろうか。
上述の通り、スキルもまたマッチメイキング要素の1つだ。2007年の『Call of Duty 4: Modern Warfare(コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア)』以降、CoDシリーズには歴史的にスキルマッチが導入されている。
プレイヤーのスキルは、「キル」、「デス」、「勝利」、「敗北」などの全体的なパフォーマンスに、ゲームモードの選択や直近の対戦を含めて決まる。スキルは流動的なもので、常に更新され、自分のゲームプレイに反応する。また、スキルとは適切な敵を見つけるだけでなく、適切なチームメイトを見つけるための要素でもある。
スキルを考慮する理由は、スキルが最も高いプレイヤーと、最も低いプレイヤーの差がそれほど大きくならないようにするため。差がありすぎると、勝つにせよ負けるにせよ、その対戦を時間の無駄だと感じさせてしまう。
スキルを考慮したマッチングを作ることで、あらゆるスキル帯のプレイヤーが自分のスキルに関係なく、勝利や敗北をよりバランスよく体験できる。これは、とりわけ低スキル帯プレイヤーにとって重要だ。
スキルマッチが無くなると?
データによると、スキルの低いプレイヤー層が敗北をし続けると、そのプレイヤーたちはすっかりプレイを止めてしまいがちだという。ここで問題になるのは、プレイヤー数が減ることによる影響だ。プレイヤーが減ると、それだけマッチング時間が長くなり、接続も安定しなくなる可能性がある。これが繰り返されると、最後には高スキル帯のプレイヤーだけが残り、ゲーム全体の環境が悪化してしまう。
つまり「スキルマッチを削除すべき」というコミュニティの主張に対して開発側は、対戦におけるプレイヤー間のスキル差をいくらか制限する仕組み(=スキルマッチ)があることで、環境はより健全なものになると解説する。
一方で高スキル帯のプレイヤーたちからは、反論として、ロビーに高スキル帯だけが集まる「キツい対戦」ばかりになるという不満も。開発側はこの点についてのフィードバックははっきりと受け取っており、緩和するためのテストを継続していくとのこと。
待ち時間を短くしたいなら...
- 要約
- マッチメイキングのキャンセルと再キューを繰り返すと、逆に待ち時間が長くなる
- プレイしたくないマップが選ばれたとき、ロビーから抜けたり途中退室すると、逆にマッチングが悪化する
以下は「待ち時間」についての補足的な解説。開発側は接続を重視し、楽しくプレイするために「いかにマッチメイキングの時間を短くするか」も目標としている。
しかしプレイヤーが逆に、自分で待ち時間を長くしてしまう例があるという。
たとえばロビーの成立に時間がかかっているとき、一度キャンセルして再びキューをかけても、実際にはマッチメイクが早まることはなく、むしろ悪化してしまうという。
また、マップ投票で「マップの選り好み」をしても、マッチング体験が悪化する恐れがある。たとえば『CoD:MW3』には「ラストメント」という、「ラスト」と「シップメント」のみのプレイリストがある。ここでは、「シップメント」をプレイしようとして「ラスト」が選ばれたとき、不満なプレイヤーたちがロビーを抜けたりマッチから早々に抜けたりする光景がしばしば見られる。
しかしマッチメイキングはその仕組み上、チームメイトの欠員を優先して埋めようとする。つまり「抜けて再びキューをかける」と、逆に同じように人が抜けていった「ラスト」のロビーばかりマッチングすることになる。
今後の予定
今回は、『コール オブ デューティ』におけるマッチメイキングの目標が「接続の安定した対戦をより短い時間で成立させること」にあり、スキルマッチはあくまでその手段の1つであることが分かった。
開発側は、プレイヤーにより快適なゲームプレイをしてもらうことを重要視している。その完成度を責めることは可能かもしれないが、少なくともスキルマッチとは、プレイヤーにストレスをかけたり、ゲームに依存させるために作られたシステムではないこともはっきりした。コミュニティにとって重要かつ非常に興味深い、今回の情報共有だったと言える。
開発チームはPingとマッチメイキングについて、今後さらに深く掘り下げた解説をするとのこと。これにより、マッチメイキングへの理解がさらに深まるだろう。
付録:よくある質問への回答
- 質問:「『コール オブ デューティ』では、プレイヤーのエンゲージメント(プレイ時間)をマッチメイキングの要素にしていますか?」
- 回答:「プレイの頻度やプレイ時間は、マッチメイキングに考慮されません」
- 質問:「マッチメイキングのプロセスは、ヒットレジスターやプレイヤーの視認性、エイムアシスト、ダメージなど、ゲーム内要素に影響を与えますか?」
- 回答:「いいえ。マッチメイキングのプロセスはゲームプレイの要素に影響しません」
- 質問:「コンテンツ(バンドルやバトルパス、ブラックセル)にお金を使うとマッチメイキングの仕方は変わりますか?」
- 回答:「支払ったお金は、どんな形であれ、マッチメイキングの要素にはなりません」
- 質問:「マルチのマッチメイキングにBOTは使われていますか?」
- 回答:「『コール オブ デューティ』のマッチメイキングにBOTは使われていません。もし今後変更されることがあればコミュニティにお知らせします」
- 質問:「パートナーやコンテンツクリエーターは、通常のマッチメイキングで『特別な配慮』がされていますか?」
- 回答:「いいえ。『誰のアカウントか』でマッチングのプロセスが変わることはありません。特殊な例、たとえば『CoD: NEXT』のようなイベントではロビーの作成方法にカスタマイズが必要ですが、これはプライベートマッチであるため、通常のマッチングには影響しません」
- 質問:「マッチメイキングのアルゴリズムを、オン・オフに切り替えるシステムについて考えたことはありますか?」
- 回答:「データによると、切り替えシステムでプレイヤーベースを分割すると、全体のプレイヤープールにマイナスの結果がもたらされます。恐らくですが、オンかオフかで待機時間が長くなり、接続も悪くなるのでしょう」
- 質問:「スキルを考慮しないマッチメイキングのテストをしたことはありますか?」
- 回答:「何年にも渡って、スキルを考慮しないマッチメイキングが成り立つかどうか、見定めるテストを行ってきました(中略)。上述した通り、負け続けたプレイヤーは対戦を抜け、プレイを止めてしまいます。これは、ロビー内や全プレイヤー人口の体験に悪く作用します」
- 質問:「特定のゲームモードでスキルマッチを削除することについて検討したことはありますか?」
- 回答:「過去に検討していますが、実験的プレイリストや特定のモードでこのアイデアが成り立つかどうか、検証を続ける予定です。とはいえ現時点では告知するものはありません」
- タイトル:Call of Duty: Modern Warfare Ⅲ(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア Ⅲ)
- 発売日:2023年11月10日
- 対象機種:PS5/PS4, Xbox X|S/Xbox One, PC(Battle.net / Steam)
Source: CoD Official
コメント
コメント一覧 (24件)
なんかランクマでもスキルマッチ機能してない?
ブロンズからやたらつええ部屋に放り込まれるんだけど・・・
ランクあるんだからランクでちゃんと分けてくれよ、なんのための階級だよ。
sbmmなしは嫌だなあ サイコロ降って勝敗決めてるようなものでしょ
そりゃsbmmでもひどい試合はあるけど丁半博打とは比べ物にならないよ
連勝したら大敗するっていうけど具体的な数字が出てこないから何とも
そもそも連勝してるときに”sbmmがおかしいせいで連勝してるんじゃないか?”って言う人が全然いない時点でその体感が怪しい
sbmmがしっかりしてるゲームほど3,4連勝もすれば試合の難易度がガラッと変わるんだからそのタイミングで下振れしただけじゃないのかな
Bo3からデビューのペーペーから言うと
最近ので新規に優しくしているのはウソ、何にも変えてない
BO4ぐらいまでキルレ0.8どころか0.5割ってボコられたし
リメイクモダンからまともになって楽しくなったけど
これは自分が慣れただけであって自分が始めた頃から今までスコア差が酷いのは変わってない
めっちゃ長文で切れてるやついるやん。