『DOOM(ドゥーム)』と言えば、id Softwareが1993年にリリースしたFPS史における重要タイトルの1つ。一方で海外のゲーマーコミュニティでは、「ネタ移植」の定番タイトルになっている。これまでも各種の家電製品はもちろん、妊娠検査薬や、X(旧ツイッター)など、「画面がついているもの」になら何でも移植されてきた。
そんな『DOOM』が、この度ついにPDFファイルへと移植された。ブラウザ上で実際にプレイできる。
"ネタ移植"の新境地 『DOOM』をPDFに移植
高校生のプログラマーading2210がGitHubにて公開したPDF版『DOOM』は、その名の通り『DOOM』をPDFファイル形式にしたものだ。実際にこちらからプレイできる。ただしChromiumベースのブラウザが必要で、試してみたところOperaでは動作した。
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BGMは欠落しているが、この『DOOM』も移動や射撃、ドアへのインタラクトといった通常の操作が可能。見た目はPDFファイルでもしっかり『DOOM』になっている。1フレームあたり80ms(多くは60ms)のゲームだが、それほど操作に不自然さは感じない。
しくみとしては、PDFリーダーがJavaScriptをサポートしている仕様を活用。ブラウザ上でこれを読み込ませ、キャラクターと背景グラフィックを合成出力している。仕様上は、3Dレンダリングなどさらに緻密なこともできるそうだが、セキュリティ的な都合で試していないという。
ading2210が言うには、最近『テトリス』がPDFに移植されたことに触発されて、『DOOM』のPDF移植を試みたのだとか。
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創造性をかきたてる『DOOM』移植、次はどこへ向かうのか
『DOOM』移植ガチ勢の熱意はとどまるところを知らない。2024年には、バクテリア細胞をモニターに見立て、そこで『DOOM』をシミュレートする実験まで登場していたほどだ。こちらは理論上は可能と判明したが、完成に600年かかるとのこと。
どこに移植されてもゲームとしてはあくまで『DOOM』であり、PDF版についても、新しい何かが導入されているわけではない。しかし『DOOM』をあらゆるものに埋め込もうとする願望に取り付かれた人々の執念が、また1つこの世に結実した点で興味深い。
テトリスPDFを公開したThomas Rinsma氏も、この『DOOM』PDFに逆にインスパイアされて自作版を公開。ading2210に対し「きみの作品の方が多くの点でしっかり作られてるけどね」とリスペクトを送っている。この『DOOM』PDFがさらに多くのプログラマーに影響を与え、今後も意外な場所で『DOOM』移植が見られることに期待したい。
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Gaming Device Power Tune for FPS
Source: GitHub
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