待望のコラボレーション、『Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )』と「ストリートファイター6」。このビッグプロジェクトの背景には、開発者たちの熱い想いと緻密な計画があったことが明かされた。そんなインタビューの内容を、質問と回答の形式でご紹介していこう。
過去のコラボでコスプレをした人数を振り返ってみると、ワンパンマンコラボでは4名、僕のヒーローアカデミアコラボでは5名、カウボーイビバップコラボでは4名だった。そして今回のストリートファイターコラボでは、総勢8名とほぼ倍増している。これはただ同じ「ゲーム」だからだけではない。その理由と開発者の熱意が伝わる内容となっているのでぜひご覧いただきたい。
OW2 × スト6 コラボインタビュー

ちなみに、ストリートファイター6コラボでは以下のようなコスプレが確認できている。
- ジュノ × 春麗
- ハンゾー × リュウ
- ソルジャー76 × ガイル
- ウィドウメイカー × キャミィ
- キリコ × ジュリ
- ウィンストン × ブランカ
- シグマ × ベガ
- ゼニヤッタ × ダルシム
Q1: 今回のストリートファイターとのコラボレーションが実現したきっかけや、決まった時期について教えてください
A1: 全てのコラボレーションは、開発チームが「やりたい」「好きだ」と感じる作品から選んでいます。 開発チームの多くが『ストリートファイター』をプレイし、観戦もするため、コラボ候補の中には常に『ストリートファイター』がありました。 オーバーウォッチの美術スタイルも、『ストリートファイター』のキャラクターのように、現実よりも大きく、性格的にも体格的にも大きなキャラクターが画面中を飛び回るという点で影響を受けています。 このコラボは1年以上前から動いており、ようやく皆さんにお披露目できることを嬉しく思います。

Q2: 今回のストリートファイターコラボは日本からの注目も高いと思われます。スキン数も過去最多ということで、Blizzardさん側としても力を入れていると感じます。オーバーウォッチの開発者として、今回のコラボにかける思いをお聞かせください
A2: これ以上ないほどワクワクしています。 コンセプトアートができてから、実際にスキンが実装されたキャラクターがゲーム内で動くのを見るのは、とてつもなく素晴らしい体験でした。 最近のプレイテストでは、シグマ使いのほとんどがベガのスキンを、私自身もウィンストンを使う際はブランカのスキンを着用しています。

プレイヤーの皆さんにこのスキンを見て、遊んでいただけることが本当に楽しみです。 さらに、今回のコラボで素晴らしいのは、スキンが採用されたキャラクターの多くが「スタジアム」モードで利用可能な点です。 来シーズンにはゼニヤッタも「スタジアム」に追加されるので、三人称視点でダルシムのスキンを着たゼニヤッタが動く姿は、本当に『ストリートファイター』らしくなると楽しみにしています。

Q3: 今回のコラボでは、特殊なエフェクトやボイスはどのようなものが用意されていますか?こだわっている点など教えてください
A3: 今回のコラボは、今までのコラボ以上に開発チームが頑張ったと感じています。 エモートとして『ストリートファイター』を象徴するような技が出てきます。例えば、春麗はスピニングバードキックを、ハンゾーは波動拳を出すといった形です。

『ストリートファイター』らしいビジュアルとセリフが楽しめます。 また、近接攻撃の際に『ストリートファイター』らしい効果音が鳴るようになっています。 キャラクターセレクト画面では、スキンを付けていると自分の名前ではなく、『ストリートファイター』のキャラクター名を言うようになります。
さらに、『ストリートファイター』といえば車を殴るボーナスステージがありますが、ハンゾーが竜巻旋風脚や昇龍拳で車をボコボコにするような演出も見られるかもしれません。

両作品のファンが楽しめる内容になっており、特に両方を知っているファンはさらに楽しめると思います。
Q4: 対戦格闘ゲームのキャラクターをFPSゲームのオーバーウォッチに登場させるにあたり、デザイン面ではどんな工夫が必要でしたか?ストリートファイターの筋肉質な体型や派手な衣装を再現しつつ、オーバーウォッチの世界観に馴染ませ、ヒーローのシルエットや判別のしやすさ、ヒットボックスに影響を与えないようにする技術面での調整は具体的にどのように行われたのでしょうか?苦労した点も含めて教えてください
A4: 全体的なバランスが重要です。 他のIPとコラボする際は常に、「オーバーウォッチのヒーローがコスプレをしている」という説明をしています。 例えば、ハンゾーはリュウほど筋肉質ではありませんし、D.Vaも春麗のような体つきにはなっていません。ここにコスプレらしさが出ていると思います。

他のキャラクターについては、いつもより頑張った感を出しました。シグマの場合は、本当にベガのシルエットに近づけたかったので新しいショルダーパッドを作りましたし、ゼニヤッタもダルシムらしさを出すために足がいつもより伸びるような工夫をしています。

今回のコラボは、できるだけ『ストリートファイター』に歩み寄るデザインになるよう努力しました。 個人的には、ソルジャー76の髪型がすごくガイルっぽいので、そこにも注目してほしいです。
Q5: ストリートファイターの顔とも言えるリュウをハンゾーが担当することに驚きました。ハンゾーがリュウに選ばれた理由は、やはりアルティメットでドラゴンを使えるからでしょうか?それ以外の理由もあれば教えてください
A5: このコラボを進めるにあたり、リュウと春麗は必須だと考えていました。 誰がリュウ役になるか考えた時、ハンゾーが非常によく合致しました。
オーバーウォッチのヒーローの中で誰が波動拳を撃てるかと考えれば、やはりハンゾーでしょう。 彼は躍動感のあるキャラクターで、他の技も出せると信じさせてくれますし、日本人というルーツもリュウのコスプレをするヒーローとして自然な選択でした。 シルエット的にもどこか似ている部分があり、コスプレとしてのリアリティも高い仕上がりになったと思います。
Q6: 普段から対戦格闘ゲームはプレイされますか?また、お好きなキャラクターも教えてください
A6: 個人的に格闘ゲームは大好きで、先日のEVO Japanにもプレイヤーとして参戦しました。『 ストリートファイターIV』時代から長年ブランカを愛用しています。 Blizzard社内にも格闘ゲーム部のようなものがあり、定期的に集まって遊んでいます。 『ストリートファイター6』は本当に皆が夢中になれるゲームだと感じています。 EVO Japanへのプレイヤーとしての参戦は今回が初めてではなく、過去にも何度か参加しています。
Q7: 今回のコラボでカプコンさんとはどのようなやり取りがありましたか?印象的なフィードバックや、コラボ期間中に盛り上がった話題などがあれば教えてください
A: カプコンさんはコラボ先として非常に素晴らしい会社です。 彼らが非常に興奮していたのが伝わってきましたし、美術資料、アニメーション、音声など、本当に多くの資料を提供していただき、サポートが手厚かったです。 このコラボをできるだけ『ストリートファイター』らしくしてほしいという熱意を強く感じました。 今回、Blizzardの枠を超えて他のゲームスタジオのIPとコラボするのは初めてでしたが、ゲーム会社同士ということで制作のタイムラインなどへの理解が深く、開発は非常にスムーズに進みました。

Q8: オーバーウォッチ内で最もストリートファイターらしいドゥームフィストがスキン候補にいたのでしょうか?また、その場合どんなスキンが予定されていましたか?
A8: ドゥームフィストは候補に挙がっており、もちろんキャラクターはバイソン(海外名:M. Bison)でした。 しかし、シルエット的に巨大なボクシンググローブと小さなボクシンググローブという組み合わせがあまりしっくりこなかったため、今回は見送ることになりました。 ただ、今回のコラボを通じてカプコンさんと一緒にお仕事できたのは本当に素晴らしかったので、またコラボしたいと考えており次回実現するかもしれません。

Q9: オーバーウォッチ全体、特に「2」になってからワンパンマンやカウボーイビバップ、僕のヒーローアカデミアなど、日本のIPとのコラボが多く見られますが、何か理由があるのでしょうか?
A9: 日本はメディア的にもコンテンツ的にも、かっこいいものをたくさん作っている国です。 コラボするIPは、開発チームが非常に熱意を持っている、つまり開発チーム自身がファンである作品が多いです。 今回の『ストリートファイター』に関しても、開発チームが熱意を持って大好きだと言えるIPです。 社内のSlackチャンネルには、「次のコラボは何がいいか」というスレッドがあり、そこには常に「ストリートファイターはまだか」という意見が多数寄せられていました。

私だけでなく、開発チームにも『ストリートファイター』のファンは非常に多く、ストリートファイター6が出た時には皆で対戦しようと盛り上がり、「この人もストリートファイターをやっていたのか」という新たな発見がたくさんありました。社内でも非常に人気です。

Q10: 対戦格闘ゲームとFPSという今回の組み合わせは、どのような効果を生むとお考えですか?
A10: オーバーウォッチを遊んだことのない『ストリートファイター』のファンの方々が、オーバーウォッチを試してくれると嬉しいです。 格闘ゲームとFPSはジャンルは違えど、特定のキャラクターやヒーローを深く掘り下げ、数ヶ月前にはできなかった技が出せた時の達成感など、似ている点が多いと感じています。 キャラクターを深く理解していくという点は両方のゲームに共通しており、同じようにオーバーウォッチのプレイヤーも「ストリートファイターとは何だろう?」とストリートファイター6を手に取ってくれるといいなと思っています。

スキルの上限や自分への挑戦といった要素は、格闘ゲームでもFPSでも変わらないものなので、両方のファンがお互いのゲームを楽しんでくれたら嬉しいです。
Q11: 個人的な話で恐縮ですが、私はキリコを使うのが苦手で、ストリートファイター6ではジュリを使っています。今回のコラボで「キリコを使わなければ」という気持ちになりました。このように、キャラクターのピックプールを増やしてほしいという意図はあったのでしょうか?また、先ほどストリートファイター6のプレイヤーに遊んでほしいとおっしゃっていましたが、どういった層にリーチしたいのか教えてください
A11: (1問目について)色々なヒーローを学ぶことは良いことだと思います。 『オーバーウォッチ』というゲームは、複数のヒーローを選択できることで楽しみが増えるゲームです。 使えるキャラクターのプールが大きければ大きいほど自分に有利になるため、このようなコラボを通じて新しいキャラクターを使ってみようと思ってもらえるのは、プレイヤーにとって非常に良いことだと考えています。

(2問目について)今回のコラボで特定の層を狙い撃ちするというわけではなく、『ストリートファイター』のファンの皆さんに楽しんでいただきたいという想いが強いです。 オーバーウォッチの世界の中で『ストリートファイター』の素晴らしさを称え、祝いたいと考えていたので、一目見て「これは私がずっと好きだったストリートファイターのキャラクターたちだ」と思わせるようなルックスを目指し、それをオーバーウォッチのヒーローにうまく落とし込めたのではないかと考えています。

Q12: 今回公開されたトレーラーはコミック調のアニメスタイルが印象的でした。このようなアートスタイルでトレーラーを制作することにした経緯を教えてください
A12: EVO Japanで公開したトレーラーは、本当にストリートファイターというものを前面に押し出したかったので、新しい挑戦者の登場、波動拳が壁を破壊するシーン、スピニングバードキックを出す春麗など、できる限りのストリートファイターの象徴的なスタイルを詰め込みました。 実はもう1本トレーラーを用意しており、そちらはゲームプレイを中心とし、スキンが実際にどのようにゲームに落とし込まれているかをお見せする内容で、近日公開予定です。
今回のストリートファイターコラボに関しては、チームが120%の力で取り組み、トレーラーを2本作ることにしました。1本はアート調で『ストリートファイター』を前面に出し、2本目はもう少し『オーバーウォッチ』らしいトレーラーになっています。
Q13: 今回のコラボレーションを通じて、開発チームとして日本のコミュニティに最も伝えたいメッセージは何ですか?また、長年オーバーウォッチシリーズをプレイしているファンや、新しく参加してくれるストリートファイターファンへの歓迎の言葉や特別な思いがあれば合わせてお聞かせください
A14: 日本のコミュニティの皆さんには、我々が日本のコミュニティのポテンシャルの高さを非常に理解し、評価していることを伝えたいです。 コンテンツクリエイターの皆さんの活動や、コミュニティ発祥のイベントの勢いも感じており、このコミュニティがさらに発展するポテンシャルは非常に高いと感じています。

皆さんの現在の草の根的なコミュニティ活動が今後さらに発展することを期待しており、会社としてもサポートを続けていきたいと考えています。 数年先を見据えると、『オーバーウォッチ』のコミュニティの中で最もポテンシャルの高いコミュニティの一つだと考えています。 同時に、皆さんの参加やサポートに本当に感謝しており、お互いに支え合えるような存在になれるよう、こちらからもサポートを続けていきたいです。
まとめ:愛情と敬意が生んだコラボ

今回のインタビューからは、開発チームの『ストリートファイター』に対する深い愛情とリスペクト、そしてファンに最高の体験を届けたいという強い想いが伝わってきた。細部にまでこだわり抜かれたスキンや演出、そして両作品のファンに向けたメッセージは、このコラボレーションが単なる話題作りではなく、ゲーム史に残る特別なイベントになることを予感させてくれる。
- タイトル:Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )
- 発売日:2022年10月5日
- 対象機種:PC / Xbox Series X|S, Xbox One / PS5, PS4 / Nintendo Switch

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