Activisionは、人気FPSシリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops 7』のPC版において、PCのセキュリティ機能「Secure Boot(セキュアブート)」とTrusted Platform Module (TPM) 2.0を有効化することをプレイの必須要件とすることを発表した。先日、EAの『Battlefield 6』も必須化を発表したばかり。
これはCall of Dutyシリーズのアンチチート「RICOCHET」のアップデートに伴うもので、まずは『CoD:BO6』シーズン05から段階的に展開され、『Call of Duty: Black Ops 7(コールオブデューティー ブラックオプス 7)』のリリース後に開始される。現時点では『Warzone』では適用されない見込みながら、「引き続き検討する」としている。
BO7でも「セキュアブート」が必須化

FPSゲームにおけるチート行為は長らく深刻な問題となっており、多くの開発元が対策に苦慮している。特にPC版は、コンソール版と比較してチートツールが蔓延しやすい環境にある。今回の措置は悪質なチーターを排除し、より公正なプレイ環境を構築するための、開発陣による決断と言える。
セキュアブートは、PCの起動プロセス中に、悪意のあるソフトウェアが読み込まれるのを防ぐためのセキュリティ機能である。PCが起動する際に、ハードウェアやOSの各コンポーネントが信頼できるデジタル署名を持っているかを確認し、不正なプログラムの実行をブロックする。
これは、Windows 11の最小システム要件のひとつでもあり、ほとんどのモダンなPCではデフォルトで有効になっていることが多い。しかし、古い環境やユーザーが特定の理由でセキュアブートを無効化している場合もある。
Trusted Platform Module(TPM)2.0は、起動プロセスが不正に操作されていないことを確認するもので、こちら業界標準のチップで、ほとんどの最新PCにデフォルトで搭載されている。
チートツールの中には、OSの起動プロセスに割り込んで動作するものや、システムの深い階層に潜り込んでアンチチートプログラムを回避しようとするものが存在する。セキュアブートを必須とすることで、こうしたタイプのチートツールを物理的に実行させないことが可能となる。
Activisionは次のように述べている。「私たちはコミュニティの皆様に楽しく、公平で、安全な環境を提供することに尽力しています。これによりPCプレイヤーへの影響は最大限に抑えられ、混乱も最小限に抑えられます。」

Secure Bootが必須となることのメリットとデメリット

この厳格なチート対策には、多くのプレイヤーが歓迎する一方で、いくつかの懸念点も存在している。
メリット
- チート行為の減少: 特定の種類のチートツールが機能しなくなり、よりクリーンなゲームプレイが期待できる。
- 公正な競争環境の構築: チーターが減ることで、純粋なスキルを競うことができる公平な環境が提供される。これはカジュアルプレイヤーからeスポーツを目指す競技者まで、すべてのプレイヤーにとってプラスに作用する。
デメリット
- 一部のPCでプレイ不可になる可能性: 古いマザーボードや特定のPC環境ではセキュアブートに対応していない、または有効化が難しい場合がある。これにより、一部のプレイヤーはゲームをプレイできなくなる可能性がある。
- 他のソフトウェアとの競合: 一部のユーザーは、仮想化ソフトウェアや古いOS、あるいは特定のデバイスドライバーを使用するためにセキュアブートを無効化している場合がある。これらのユーザーは、設定変更を強いられるか、ゲームをプレイすることを諦めるかの選択を迫られることになる。
- 設定変更の手間: セキュアブートを無効にしているPCユーザーは、BIOS/UEFIの設定を変更する必要がある。PCに詳しくないユーザーにとっては、ハードルが高い作業となる可能性も否定できない。
今後のFPSゲームの動向に与える影響
『Call of Duty』シリーズは、FPSゲーム市場において非常に大きな影響力を持つタイトルであり、今回のセキュアブート義務化は業界全体に波紋を広げる可能性がある。すでに他のタイトルでも同様の対策が実施・検討されており、今後、新作FPSゲームのPC版では「セキュアブート」が新たな必須要件となる流れは止まらないと予想される。
AIの進化によりセキュリティは強化されるが、ハッカー側もAIの“活用”によりより巧妙な自動化されたフィッシング作成や、脆弱性探索の高速化も懸念される。上記のとおり、「特殊な環境」であれば致し方ないが、単に「古い環境」の場合は思い切ってPC環境をアップグレードする時期ではないだろうか。
ActivisionもElectronic Artsも、少しでも公正なゲーム環境を維持するため、より積極的かつ根本的なチート対策に踏み切ったと言えるだろう。今回の措置が、チーターのいない理想的なFPS環境を実現するきっかけとなるか、今後の動向が注目される。
セキュアブートが有効かの確認と設定方法はこちらを確認してほしい。
Gaming Device Power Tune for FPS

Source: Dexerto, Microsoft Support
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コメント
コメント一覧 (2件)
Windows11が出たての頃はセキュアブートとTPM2.0がインストール要件になってたから、UEFIから設定したなぁ
本体が起動できるかチェックソフトは欲しいところ