2025年3月4日、Blizzard Entertainmentは、『Overwatch(オーバーウォッチ)』の新たな公式短編小説「鎖」を公開した。本作では、不運続きの幼少期を過ごしハシモト組に引き取られた「ミズキ(カワノ・ミズキ)」が、ヨーカイへの潜入任務のためカネザカへ向かう前夜の様子が描かれている
短編小説「鎖」
短編小説「鎖」の時系列は、ハシモト組幹部たちの命で「ミズキ」がヨーカイへの潜入を行う前夜。少年時代のミズキを薫陶し、壮絶な生い立ちを抱えながらも情を失わない人物へと育てたキリコの父・山神敏郎から、迷いを断ち切るための助言を受け、別れを交わすシーンが描かれている。
内容としては、先週公開された「優雅なる虚像」と同様に、新ヒーローの背景掘り下げが主軸。過去に囚われるミズキへ向けた敏郎の助言、かつて実の娘にも贈ったという「自分の道を見つけなさい」という言葉、そして渾身の作品「霊伐鎌」をミズキへ託すシーンが描かれる。
また、これまで“刀の名匠”という側面以外はあまり語られてこなかった山神敏郎の現在の姿も挿絵で確認できる。キリコの緑髪やドーナツ好きが父親譲りであることも示唆され、ファンにとっては興味深い描写となっている。
ハシモト組の「クロウラ」と「アイツ」
本作は過去の出来事を描いたエピソードであり、物語全体の大きな進展こそないものの、いくつか注目すべきポイントも存在する。
まずはミズキのセリフ「向こうの組員に任せてたらいずれバレるとオジキたちは思ってるらしくて、俺が行くことはクロウラにすら伝わってないけどな」に登場する“クロウラ”という名前だ。
深い説明もないまま登場したこの人物は、2023年12月にWeb版『週刊コロコロコミック』で公開された読み切り漫画「OVERWATCH2―鉄坂の守り人―」に登場した、橋本組二次団体組長「黒浦 計語(クロウラ・ケイゴ)」を指している可能性が高い。
同作では、組員を使って後の「ヨーカイ」メンバーと思われる3人を誘拐。最終的には敗れたものの、キリコを相手に刀一本で立ち回るなど、腕力と胆力を兼ね備えた昔気質の極道として描かれていた。仮にケイゴ本人ではなかったとしても、橋本組で同じ姓を名乗る人物であれば、組内で一定の血縁あるいは系譜的な関係を持つ存在である可能性は十分に考えられる。
「鉄坂の守り人」は公開当時、コロコロ読者層向けの読み切りでありながら正史に準拠した作り込みに驚かされた作品だったが、まさか2年以上の時を経て再び正史に関わってくると予想した読者は少ないだろう。

次に注目すべきは「もしオジキたちから……アイツから逃げられたとしても、この呪いからは無理に決まってる。抜けようが抜けまいが、俺はもう終わってるんだよ」など、ミズキが作中で2度言及する“アイツ”という存在だ。
セリフの構造を見ると、「オジキたち(複数)」とは別に「アイツ(単数)」が存在し、さらにそれとも異なる概念として「呪い」が語られている。つまり“アイツ”は呪いそのものではなく、ハシモト組内部の特定の人物を指している可能性が高い。敏郎もその存在を認識している描写があることから、ハシモト組の重鎮、あるいは本家会長クラスの人物であることが推測される。
さらに注目すべきは、英語版においてこの“アイツ”が「She」と表現されている点だ。性別をぼかす表現として「they」が広く用いられる中、「she」と明示されているのは、その人物が女性であることを示唆している可能性が高い。

オーバーウォッチの世界観において女性が組織の頂点に立つ例は少なくない。現タロン、デッドロック・ギャング、ジャンカータウン、ルーチェン・インターステラーなど、挙げれば複数存在する。しかしストーリー初期から登場しているハシモト組の中枢人物が女性であった場合、そのインパクトは小さくないだろう。
今後徐々に語られていくことになると思われるが、島田一族や山神家をはじめとする日本出身キャラクターとの関係性も含め、ハシモト組の内部構造がどのように明かされていくのか注目したい。
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Source: Overwatch



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