ロジクールGが2026年2月に発売した「PRO X2 SUPERSTRIKE(Amazon)」で初めて採用された「HITS(Haptic Inductive Trigger System、ハプティック誘導トリガーシステム)」は、マウスのクリックに関する常識を書き換えた技術だ。従来のマイクロスイッチを電磁誘導センサーとハプティクスに置き換えることで、アクチュエーションポイントの自由な調整と最大30msのクリック遅延削減を実現した。
その発表からわずか数か月のうちに、類似の発想を持つ技術が今度はロシアから登場し、世界のデバイスコミュニティで話題になっている。
ロシアのゲーミングブランド「Lunacy」が発表した「Snaptiq(スナップティック)」は、マグネティックセンサーでマイクロスイッチを置き換えるという点でHITSと共鳴する技術だ。ちょうどその前後、キーボードで知られるKeychronも全く異なる角度から光学と磁気の特性を一つに統合した「MagOptic Switch(マグオプティックスイッチ)」をティーザー映像で予告した。マイクロスイッチを排する潮流がいよいよ世界規模で動き出している。
- 3行まとめ
- ロシアのゲーミングブランド「Lunacy」が、HITSに類似した磁気センサー方式スイッチ「Snaptiq」を発表。2026年末をめどに搭載マウスを投入予定
- Keychronが光学と磁気の両特性を持つ「MagOptic Switch」をティーザーで予告。製品名・発売時期は未発表
- マイクロスイッチを非接触技術で置き換える流れが加速しており、ロジクールGが切り開いたマウス革新は世界規模に広がりつつある
ロジクールGが切り開いたクリック革命「HITS」とは?
マウスのメインボタンに使われてきたマイクロスイッチは、長年ほぼ変わらない構造を持つ。物理的な接触でクリックを検出する仕組み上、経年劣化やチャタリングのリスクはつきまとい、アクチュエーションポイントも基本的には固定だ。ロジクールGはこの前提をまるごと取り払った。
HITSの仕組みと『PRO X2 SUPERSTRIKE』の概要

HITSは、金属コイルと磁石による電磁誘導センサーがボタンの沈み込み量をミクロン単位で読み取り、任意のポイントでクリックを登録する。物理的な接点がないため従来のマイクロスイッチ比で最大30msのクリック遅延削減を謳い、アクチュエーション深度は10段階、リセットポイントも5段階で調整可能だ。
クリック感は実際には存在しないが、その代わりにリニアアクチュエーターが疑似フィードバックを生成する。MacBookのForce Touchトラックパッドに近い発想をゲーミングマウスで実現したと言えば伝わりやすいかもしれない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | ロジクールG PRO X2 SUPERSTRIKE ワイヤレス ゲーミングマウス |
| 発売日 | 2026年2月19日(水) |
| Amazon価格 | 26,500円(税込) |
| センサー | HERO 2(最大44,000DPI) |
| ポーリングレート | 最大8,000Hz |
| 重量 | 約61g |

ロシア発のゲーミングブランドが類似技術「Snaptiq」を発表

HITSが注目を集めた直後、海外のデバイスコミュニティではロシアから気になるアナウンスが飛び込んできた。ゲーミングブランド「Lunacy(ルーナシー)」が自社Telegramチャンネルで、「Snaptiq(スナップティック)」と名付けた新技術を発表したのだ。
Snaptiqの特徴、Lunacyが語る4つのポイント
Telegramの投稿によると、Snaptiqはマイクロスイッチをマグネティックセンサーへ置き換えることでクリックを非接触で検出する技術だ。公表されている特徴は以下の4点となっている。HITSとの技術的な差異として、HITSが電磁誘導コイルを用いるのに対し、Snaptiqは「磁気センサー」という表現にとどまっており、内部実装の詳細は現時点で開示されていない。
ただし「アクチュエーションポイントの調整」「ハプティクスによる疑似クリック感」「Rapid Trigger的な動作」という三点が重なる構成は、HITSと発想上の共通点が大きい。あくまでコンセプト段階の発表であり、実装の詳細や性能については続報を待つ必要がある。
- アクチュエーションポイントのカスタマイズ
- リニアバイブレーションモーターを通じた触覚フィードバック
- Rapid Trigger相当の機能(ボタンが戻りきらなくても次のクリックを即座に受け付ける)
- 100%サイレントクリック
価格は未発表だが、「同クラスの競合製品のほぼ半額」という目標を公言している。なお、ロシア国内での比較対象として名指しされた『PRO X2 SUPERSTRIKE』の流通価格は₽20,000〜27,000(約3万〜4万円)とされており、Snaptiq搭載マウスはその半額水準、つまり1万5,000〜2万円台を目標にしていると考えられる。
Lunacyとはどんなブランド? ストリーマー発のゲーミングデバイス

Lunacyはロシアの人気ストリーマー、ヴャチェスラフ・レオンチェフ(Vyacheslav Leontiev)氏が立ち上げたゲーミングデバイスブランドだ。配信者名「Buster(ブスター)」として知られ、CS:GOおよびCS2を主軸にFPSゲーマーに支持されるロシア語圏最大級のTwitchチャンネルを持つ人物だ。Twitch登録者数は約370万人、Telegramチャンネルの登録者は約112万人を抱える。
ロシアならではの事情、入手困難な環境が生んだ技術か
Snaptiqが生まれた背景には、ロシア特有の市場状況があった可能性がある。ロジクールは2022年にロシア市場から撤退しており、現地では並行輸入による入手は可能なものの、正規サポートは受けられず価格も割高になりやすい。あくまで推測だが、こうした環境が「自前で同等の技術を持ったデバイスを作る」動機につながった可能性は十分ある。
Buster氏自身も「ロシアのゲーマーに向けた、価格と信頼性を両立した選択肢を作る」という趣旨のコメントを残しており、国内市場起点のブランドとして開発された背景がうかがえる。
日本でのSnaptiq搭載マウス入手は現実的か
Snaptiqはロシア国内向けの製品として展開される予定で、現時点で国際展開の計画は発表されていない。日本での正規購入は難しいとみてよく、並行輸入に頼るとしても言語・決済・サポートの壁は高い。現段階では「こういう技術が生まれた」という事実として注目しておく段階だ。



コメント
コメント一覧 (1件)
こういうのはアリエクかなんかで出てくるんじゃね?
実店舗的にはこういう怪しいのは秋葉にありそうだけど、近年もう変わっちゃったらしいからなぁ