株式会社日本HPは、2025年5月16日、ゲーミングソリューションに関する戦略的な記者説明会を都内で開催し、同社のゲーミングブランドOMENの新型ゲーミングノートPC「OMEN MAX 16」や、OMEN Gaming Hubに搭載されたAI技術「OMEN AI」の最新情報、そしてHyperXブランドの新たな製品ラインナップおよび戦略を発表した。
本説明会では、現代のゲーマーが直面する課題解決と、より没入感のある快適なゲーミング体験の実現に向けた同社の強いコミットメントが示されたのである。特に、対応デバイスにおける「USBドングル不要での2.4GHz無線接続」という利便性の飛躍的向上は注目したいポイントだ。
ゲーミングノートPC「OMEN MAX 16」と「OMEN AI」とは?

HPが実施した最新の市場調査によれば、PCゲーマーの嗜好と行動は明確な傾向を示している。実に75%ものゲーマーが、より高いフレームレートや応答速度といった「パフォーマンスの向上」を求め、それが新しいゲーミングPCを購入する最大の動機となっている。
また、65%以上が、自らのPCや周辺機器を独自のスタイルで「パーソナライズ」し、オンラインコミュニティにおいて自身の個性を際立たせる手段を求めていると回答。さらに、71%のユーザーが、PC、コンソール、モバイルといった複数のデバイス間における「シームレスな操作と管理の簡便性」を重視している。
これらの調査結果を踏まえ、日本HP パーソナルシステムズ事業本部 コンシューマー製品部 プロダクトマネージャー 森谷智行氏は、「我々は、これら『パフォーマンス』、『パーソナライゼーション』、そして『ゲームプレイ体験の質の向上』という3つの柱を製品開発における最重要課題と捉え、技術革新を推進している」と力強く語った。その詳細を見てみよう。

OMEN MAX 16:パフォーマンスと利便性を改革する、ゲーミングノートPCの再定義
これらの製品哲学を具現化したフラッグシップモデルとして発表されたのが、新型ゲーミングノートPC「OMEN MAX 16」である。本機は、ゲーミングノートPCの限界に挑戦する数々の革新技術を搭載している。

極限のパフォーマンス追求:
冷却システムには、HPとして初採用となる熱伝導素材「OMEN Cryoコンパウンド」と、広範囲をカバーする「ベイパーチャンバー」を組み合わせた高度な冷却機構を搭載。

これにより、CPUとGPUの性能を最大限に引き出しつつ、長時間の高負荷時における安定動作と、驚異的な静音性を両立させた。

さらに、Intel版モデルには、定期的にファンを逆回転させることでヒートシンクへの埃の蓄積を防ぎ、冷却効率の低下を抑制する「OMENファンクリーナー」機能も備わる。 ずぼらな筆者にはマストな機能だ。
そして特筆すべきは、最大250WのTDP(Total Platform Power)を許容する強化された電力設計と、そのポテンシャルを解放する新動作モード「Unleashedモード」の搭載。これにより、CPUは単体で最大160WのTDP(Thermal Design Power)、GPUは単体で最大175WのTGP(Total Graphic Power)という高いポテンシャルを有している。システム全体としては、CPUを75W、GPUを175Wで駆動させる特定の電力配分時に、合計250WのTPP(Total Platform Power)を達成。これによりデスクトップPCに迫るようなパワーを発揮するようだ。
HPの内部熱試験によれば、Unleashedモードおよび最大ファン回転数設定時、GPUのジャンクション温度を最大82℃に抑えつつ性能を発揮できるよう設計されているという。これは、サーマルスロットリングの発生を最小限に抑えるための重要な指標となる。
深化するパーソナライゼーション:
天板やキーボードのライティングは、統合制御ソフトウェア「OMEN Light Studio(OMEN Gaming Hubに内蔵)」によって、ユーザーの好みに合わせた細やかなカスタマイズが可能。フロントに配置されたRGBライティングバーは、配信時の演出効果も高める。

キーボードには、キーキャップ間の格子をなくした「ラティスレスキーボード」を採用し、HyperXのプディングキーキャップから着想を得たモダンで洗練されたデザインと、より美しいライティングエフェクトを実現している。
革新 – ドングルからの解放:

周辺機器との接続性においては、まさに画期的と言える進化を遂げた。OMEN MAX 16は、対応するHyperX製ゲーミングアクセサリー(ヘッドセット、マウスなど)を、専用のUSBドングルを一切使用することなく、最大3台まで直接2.4GHzワイヤレスで接続できる「インスタントペアリング機能」を搭載したのである。
これにより、貴重なUSBポートを占有せず、ケーブルの煩雑さからも解放され、デスク周りをかつてないほどクリーンかつスマートに保つことが可能となる。きちんと確認できていないが、間違いなく電波干渉も考慮されているだろう。この「USBドングル不要」という特大メリットは、今後のゲーミング環境のスタンダードとなりうる可能性を秘めている。
OMEN AI:複雑な設定はAIに一任、ワンクリックで至高のゲーム体験へ

ソフトウェア面での大きな進化として、「OMEN AI」が紹介された。これは、HPが収集・分析した膨大なテレメトリーデータや個々のゲームセッション情報を機械学習アルゴリズムで解析し、プレイするゲームタイトルやPCのハードウェア構成に応じて、FPS(フレームレート)を最優先した最適なゲーム内グラフィック設定を自動的に適用する革新的な機能だ。
現代のPCゲームにおけるグラフィック設定は極めて多岐にわたり、例えば人気FPS『Counter-Strike 2』では実に691,200通り、『Apex Legends』に至っては約44.6億通りものパラメータの組み合わせが存在すると森谷氏は指摘。これらの無数の選択肢の中から、自らの環境における最適解を見つけ出すことは、多くのゲーマーにとって時間と知識を要する困難な作業であった。
インターネット上には情報が溢れているものの、その信憑性は玉石混淆であり、最適な設定を見つけるのは「ゲーミングPC設定のカルマ」とも言える状況だ。
OMEN AIは、こうした悩みを根本から解決する。ユーザーは複雑な設定項目に頭を悩ませることなく、文字通りワンクリックで、その瞬間に最高のパフォーマンスを引き出すことが可能となる。
既に『Counter-Strike 2』『Apex Legends』『VALORANT』といった主要eスポーツタイトルに対応しており、今後『League of Legends』「Call of Duty: Modern Warfare III」「Fortnite」「Red Dead Redemption II」など、対応タイトルは順次拡大していく予定である。
本機能はOMEN Gaming Hubを通じてアクセス可能で、Windows 10以降のどんなPCでも利用可能となっている。
HPとHyperXが連携しプレイヤーに最適な環境を提供
今回の発表会は、OMENとHyperXの両ブランドを通じて、ハードウェアとソフトウェア、そしてサービスを連携させ、初心者からプロフェッショナルまで、あらゆるレベルのゲーマーに対して、これまでにない最高のゲーミング体験を提供していくという姿勢を明確にした形となった。
同時に発表された、HyperXブランドの詳細は下記をご覧いただきたい。

Gaming Device Power Tune for FPS

Source: Pressrelease
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