『Call of Duty: Black Ops 7』開発陣インタビュー:2035年の“狂気”、日本舞台MPマップ6種、シリーズ最大級ゾンビ、新モード“エンドゲーム”の詳細まで徹底解説
2025年9月24日都内某所にて、CoDシリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops 7(コールオブデューティ: ブラックオプス7)』』(以下、BO7)の合同開発者インタビューが実施された。本記事では、その質疑応答の内容をQ&A形式で読みやすくお届けする。
2035年を舞台にした新たなビジョン、マルチプレイヤーにおける6種類もの日本マップ、シリーズ史上最大規模となるラウンドベース・ゾンビ、そしてキャンペーン後の新たな体験となる「エンドゲーム」の具体像まで、開発者自身の言葉でその全貌を読み解いてほしい。
『Call of Duty: Black Ops 7』開発者インタビュー Q&A
今回お話を伺えたのは下記の2名だ。

Miles Leslie(マイルズ・レスリー)氏:アソシエイト・クリエイティブディレクター | Treyarch
マイルズ・レスリー氏は、Treyarchのアソシエイト・クリエイティブディレクターで、現在『Call of Duty: Black Ops 7』の開発をサポートしている。業界で20年の経験を持ち、そのうち17年以上を『Call of Duty』フランチャイズに捧げてきた。特に『Black Ops』シリーズの全作品に携わっており、シリーズの成功に大きく貢献している。彼は「Black Ops」らしさを維持しつつも、常に新しい驚きと革新をプレイヤーに提供する方法を模索するという課題に取り組んでいる。
Marc Antoine-Saindon(マルク=アントワーヌ・サンドン)氏:リードデザイナー | Beenox
マルク=アントワーヌ・サンドン氏は、Beenoxのリードデザイナーで、現在は『Call of Duty: Black Ops 7』の複数のマルチプレイヤーマップを担当。2013年から『Call of Duty』シリーズに携わっており、いくつかの『Black Ops』作品に貢献してきた。以来、彼は一貫してフランチャイズのために自身の技術を捧げ続けている。

『Black Ops 7』の原点となったビジョンとは?
すべては「Black Opsの未来を解き放て」という大きなテーマから始まりました。我々のチームはこの言葉に強く共鳴し、『Black Ops 6』の勢いを本作へと繋げることにとても興奮していました。このテーマに基づき、我々はいくつかの大きなステートメントを掲げています。
1. 狂気を受け入れろ (Embrace the madness) 『Black Ops』シリーズは常にシリーズ特有の予測不能で精神を揺さぶるような体験を内容してきました。「予想外を予想せよ」という言葉通り、本作ではストーリー、マルチ、ゾンビのあらゆる部分でその精神が貫かれています。
2. 最先端の2035年の戦闘 (Cutting Edge 2035 combat) 舞台が2035年(の近未来)になったことで、新しい武器、ガジェットといった「おもちゃ」をプレイヤーに提供できます。これには、「ウォールジャンプ」のような新しい移動方法も含まれており、プレイヤーが自己表現できる新しい経験を提供することを目指しています。
3. 経験が重要 (Experience matters) プレイヤーがゲームに費やした時間に対して、しっかりと報酬が与えられることを重視するコンセプトです。これはゲーム内の経験値だけでなく、プレイヤー自身の経験が増えていくようなゲームプレイを実現することを意味しており、進行に応じた報酬だけでなく、プレイスタイルに合わせた新しい遊び方も提供したいと考えています。
Q. 2035年という設定を選んだ理由は何ですか?
A. 『Black Ops 2』の2025年から10年後という設定にすることで、ラウル・メネンデスが世界に与えた影響を深く掘り下げることができたからです。過去作との物語の繋がりを保ちつつ、新しいテクノロジーやガジェットをゲームプレイに盛り込むのに最適な時間軸でした。もちろん、過去作を知らなくても独立した物語として楽しめるようになっています。

Q. BO7では日本が大きくフィーチャーされていますが、その理由をお聞かせください
A. はい、ローンチ時には完全新規マップ18種類(うち3つはクラシックマップのリマスター)を用意しています。ポートフォリオ全体でビジュアルとゲームプレイの差別化を図ることが重要でした。
その中でも日本は非常に大きな存在感を持ち、マルチプレイヤーマップのうち6種類が日本を舞台としています。キャンペーンにも日本は登場します。したがって本作の主要地域として理にかなっていたのです。
日本に行くという旅路において、我々にとって重要だったのは、本物らしさを感じさせ、文化への敬意を払うことでした。『Black Ops』らしさを保ちつつ、プレイヤーをその場所にいざなう感覚を実現したかったのです。そのために日本チームと密接に連携し、現地で実在の場所をスキャンするなど、多くのリサーチを重ねました。

本日詳しくお話しできるのは「都心」と「Den」の2つです。なお、「都心」はベータ版にも登場予定ですので、ご期待ください。
- 都心: 東京のネオン街を舞台にしたマップです。墜落した列車を巡る激しい戦闘が特徴で、ウォールジャンプを使って列車や看板を飛び回ることができます。猫カフェから列車へ、そしてカラオケへとウォールジャンプで移動できます。駅構内や路地では近接戦闘も楽しめます。
- Den: 伝統的な日本の城と未来的なテクノロジーが融合したマップです。内部は「ギルド」のハイテクな拠点となっており、外観の伝統的な美しさとのコントラストが楽しめます。また、破壊された城の屋根を飛び回るようなゲームプレイも可能です。巨大なドローン室から攻めるチームと、城の正面から攻めるチームが屋根上で激突します。
その他にも、以下のような多様なマップが登場します。
- Forge: 東京湾に設置されたギルドのR&D施設。
- Scar: アラスカの古い町並みが新技術に襲われているマップ。
- Raid(リマスター): ファンに人気のクラシックマップを、東京の丘陵地帯を舞台に完全リメイク。
- Imprint: アラスカの崖にある3Dプリント施設。
- Exposure: オーストラリアのソーラーファーム。
- Retrieval: アラスカの氷河洞窟や雪原が舞台。
- Avalon: 地中海岸が舞台の大規模(Skirmish)マップ。
- Homestead: アラスカにあるDavid Masonの幼少期の家が舞台。
- Cortex: ギルドの実験施設。場所は機密です。
- Flagship: 『BO2』に登場した退役空母USS Obamaの内部で戦います。
- Mission Edge: アバロンの軍事島嶼を舞台にした、もう一つの大規模マップ。
- Hijacked(リマスター): ファン人気の高いマップを東京湾を舞台にリメイク。
- Blackheart: アバロン沖の掘削施設。中央部が回転するギミックがあります。
- Colossus: 『BO2』に登場した浮遊都市が海に沈みかけているマップ。
- Express(リマスター): クラシックマップを日本の駅を舞台にリメイク。
- Paranoia: David Masonの精神世界が舞台のマインドベンディングなマップ。
Q. リリース情報を見て「日本マップが3つもある!」と思いきや、実は6つもあるのですね。この背景は?
A. 素晴らしい質問ですね。『Black Ops』シリーズで日本を舞台にするのは初めてであり、そこには探求すべき多様なロケーションやバイオームが豊富に存在しました。1つや2つでは、その魅力を伝えきることはできません。マルチプレイヤーで6つのマップを用意し、さらにキャンペーンでも体験してもらうことで、初めてビジュアルとゲームプレイの両面でユニークな体験を提供できると考えました。そのため、本作における主要な地域として日本に焦点を当てるのは理にかなっていたのです。

Q. 日本マップを制作する上で、特にこだわった点はありますか?
A. 日本の文化に対し、敬意を払い、信憑性を追求しました。現地のチームと協力し、実際に日本を訪れてロケーションをスキャンするなど、本物らしさを追求しています。ただしそのまま再現するのではなく、『Black Ops』の世界観に合うように独自の解釈を加えています。
Q4. 『Black Ops 2』のクラシックマップが3つリマスターされるとのことですが、なぜそれらを日本に設定したのですか?
A. ローンチ時にはRaid、Hijacked、Expressの3つのクラシックマップが復活します。日本へ行くと決断し、日本のチームと協力する中で、我々は強くインスパイアされました。日本の要素を可能な限り多く取り入れ、表現したいと考えたからです。クラシックマップを日本へ移すことで、非常にユニークなビジュアルが生まれ、元々のマップが持つ美学ともうまく融合し、新鮮な体験として生まれ変わらせることができました。

Q5. 日本でのリサーチで特に印象深かったものはありましたか?ゲーム内に完全に再現された場所は?
A. 日本の多くのものにインスパイアされましたが、ゲーム内に登場するエリアはすべて基本的にフィクションであり、『Black Ops』流の解釈を加えています。ですので、現実と1対1で対応する場所はありません(※残念ながら「聖地」はないようだ)。
チームが現地でフォトグラメトリ(写真から3Dモデルを生成する技術)を使って撮影した素材は、開発スタジオに大きな刺激を与えてくれました。美しい雪原、森、都市など、持ち帰った素材に正義を尽くすには、より多くのマップが必要だと感じたほどです。その結果、マップを増やす決断に至りました。
Q. 「都心」マップの猫カフェやカラオケは、実際に内部も取材されたのですか?
A. その通りです。チームは実際に建物の中にも入り、写真を撮影しました。外観だけでは分からない内部の様子は、ロケーションを作る上で大きな刺激になりました。これらはゲーム内の優れた目印になるだけでなく、日本の象徴的な場所でもあります。カラオケボックスでの戦闘は楽しいですし、猫カフェも同様です。その場所にいる楽しさと、ゲームプレイの瞬間がうまく噛み合っています。

Q. 日本のロケーションをリサーチした際に、特に印象的だったことはありますか?
A. 日本の多種多様な風景に感銘を受けました。雪景色、森、都市など、異なる環境が共存しており、それが私たちの創造力を掻き立て、もっと多くのマップを作らなければいけないと感じました。また、ネコカフェやカラオケバーなど、日本のユニークな文化をゲームプレイに落とし込むのは非常に楽しい作業でした。
Q. ゾンビモードはどのように進化しましたか?
A. 史上最大規模のラウンドベースゾンビマップが登場します。ストーリーもさらにクレイジーになり、新しい乗り物「ワンダービークル」も追加されます。そして何より、ファンにはおなじみのオリジナルクルーが、全く新しい形で復活を遂げます。昔からのファンも新しいファンも楽しめる内容になっています。


Q. 4人Co-opキャンペーンが復活した理由は何ですか?
A. 4人協力プレイのキャンペーンが復活した理由は、プレイヤーのストーリーへの没入感を高めるためです。開発チームは『Black Ops 7』全体で、より「繋がりのある体験」を重視して制作しています。本作のキャンペーンストーリーは、デビッド・メイソン(David Mason)やマイク・ハーパー(Mike Harper)など、4人のスクアッドメンバーを中心に展開されます。そのため、プレイヤーとフレンドがスクアッドの一員であるかのように感じ、物語に没入できるようにしたかったのです。ゲーム内のキャラクターたちの経験をプレイヤー自身にもそのまま体験してもらい、壮大な瞬間を一緒に味わってほしいという思いから、4人協力キャンペーンの復活が決まりました。

Q. 『BO6』で導入された「オムニムーブメント」は、『BO7』でどのように進化しましたか?
A. まず明確にしておきたいのが、『BO6』と『BO7』は同時並行で開発された点です。『BO6』は90年代、『BO7』は2035年と、それぞれに明確なビジョンがありました。「オムニムーブメント」については、当初から『BO7』で進化させると決めており、そこに「ウォールジャンプ」など、マップを横断する新たな移動方法を加えました。
そのため、マップデザインも最初からそれを活かす前提で設計しています。プレイヤーがゲームプレイの中でウォールジャンプを自然に活用でき、マップを支配しているかのような熟達感を得られるようにしたかったのです。「『都心』」では、看板などを利用して猫カフェから脱線車両、そしてカラオケへと渡っていく、パルクールのような機会を随所に用意しています。

Q. 舞台を2035年に設定した理由やメネンデス再登場の意図は?
A. 『Black Ops 2』はシリーズの中でも特別な位置を占めています。あの物語の終わりから、まだ語るべきことが多く残っていると感じていました。メネンデスが2025年の世界に与えた影響など、掘り下げるべき要素が多くあったのです。その物語の糸を再び紡ぐのに、『BO7』は最適なタイミングでした。10年というギャップを設けることで、世界がどう変わったかを描写でき、プレイヤーに提供するテクノロジーにも十分な進化を持たせ、ゲームプレイへ反映させることができました。

Q. マップ名「Den」の名前の由来と、城の頂上に登ったり天守閣に入ったりできますか?
A. 「Den」という名前には、マップの本質を込めています。これはギルドの「巣窟(Den)」――蛇や怪物が棲む巣のような場所――に侵入していく感覚を表しています。この城がギルドのハイテクな拠点となっていることから名付けられました。ギルドが日本の城を乗っ取り、自分たちの本拠地として改造したという設定です。

屋根については、城の頂上や天守閣まで行けるようには設計していません。視線のコントロールを維持し、クラシックな『Black Ops』らしさを守るためです。その代わり、城の高低差や破壊表現を活用し、屋根の一部を歩ける区画として用意しています。内部から屋根のセクションへ移動することも可能です。
Q. 「都心」と「Den」のマップサイズは、『BO6』の「Stakeout」や「Bullet Marsh」と比べてどうですか?
A. 「都心」と「Den」は、どちらもミディアムサイズのマップに分類されます。「Stakeout」や「Bullet Marsh」はフェイスオフ用の小さなマップでしたので、それらよりは大きいです。本作では、新しい移動システムを活かすため、ミディアムサイズのマップがポートフォリオの中心になっています。もちろん、非常に小さいマップも存在します。

Q. 新モード「エンドゲーム」の詳細を教えてください。
A. 「エンドゲーム」は非常にエキサイティングなモードです。キャンペーンをクリアした後、満足のいく結末を迎えた後に開放されます。これは単なる追加モードではなく、物語的な繋がりを持つ本編のエピローグだと考えていただければと思います。
- 概要: 物語で部分的に登場したアヴァロン島が完全にオープンになり、自由に探索できます。
- ゲームプレイ:
- 島には毒素が撒かれた「曝露ゾーン」が存在し、分隊と共にその中へ侵入していきます。
- プレイヤーは4人1組のチームで、有毒なエリアを探索します。
- PvE専用で、他の28人のプレイヤーも同時に島にいますが、PvP要素はありません。
- キャンペーンで使ってきたアビリティを取捨選択して使用できます。
- レベルアップやスキル、武器の抽出を行い、さらに奥へと進んでいきます。
- 「エンドゲーム」はストーリーのエピローグであるとともに、新しい物語も含まれています。
- 成長要素:
- オペレーターをレベル0から60まで成長させられる「戦闘レーティング」システムがあります。
- ゾーンに侵入し、スキルや「エキゾチック武器」などを抽出して脱出する、というループが基本となります。
- 独自性:
- これはDMZでもMWZでもない、全く新しい遊び方です。よりカジュアルに始められますが、奥へ進むほどハードコアな挑戦が待っています。
Q. 日本のコミュニティに届けたいメッセージはありますか?
A. 我々は世界中にファンがいることを認識しており、日本のコミュニティの存在ももちろん知っています。日本を舞台にするからには、本物らしく、敬意を払い、そして楽しいものであることが重要でした。日本のファンの皆様には「ありがとう」と伝えたいです。そして、我々が費した細部へのこだわりに満足していただけたら嬉しいです。日本のどこかに行った思い出を呼び起こすような、ちょっとしたノスタルジアを感じていただければ幸いです。
開発チーム内でのプレイテストでは、誰もが夢中になり、やめられなくなるほどです。開発者自身がそれほど楽しめているという事実は、このモードが確かな手応えを持っている証拠だと考えています。
Q. 最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。
A.日本のファンの皆様が私たちのゲームをプレイしてくれることを、心から嬉しく思います。日本の要素が詰まったマップを気に入ってくださると幸いです。そして、ゲームプレイは紛れもなくクラシックな『Black Ops』のものです。「都心」マップはベータ版で体験できるので、ぜひ楽しんでください!
『Black Ops 7』の全貌:Q&Aで判明した主要情報まとめ

今回のQ&Aセッションで明らかになった『Call of Duty: Black Ops 7』の主要なポイントは以下の通りだ。
- コンセプト: 「Black Opsの未来を解き放て」をテーマに、「狂気を抱きしめろ」というビジョンを掲げる。
- 時代設定: 『Black Ops 2』から10年後の2035年。
- マルチプレイヤー:
- ローンチ時に18マップが登場(うち3つはリマスター)。
- うち6マップが日本を舞台としており、キャンペーンにも日本が登場。
- 日本マップ「『都心』」はベータ版でプレイ可能予定。
- 『BO2』の人気マップRaid、Hijacked、Expressが日本を舞台にリマスターされ復活。
- ゲームプレイ:
- 「オムニムーブメント」が進化し、新たに「ウォールジャンプ」が追加。
- 4人協力プレイのキャンペーンが復活。
- ゾンビモード:
- シリーズ史上最大規模のラウンドベース・ゾンビマップが登場。
- 「ワンダービークル」という新たな移動手段も実装。
- 新モード「エンドゲーム」:
- キャンペーンクリア後に解放される、物語と連動した大規模PvEモード。
- オペレーターの成長やエキゾチック武器の抽出といったループ要素を持つ。
開発陣が並々ならぬ情熱を注ぎ、特に日本という舞台に深い敬意を払って制作していることがうかがえる『Call of Duty: Black Ops 7』。今後の続報から目が離せない。


FPS POWER TUNE


Source: Interview
コメント
コメント一覧 (1件)
BO6の惨状を見ると不安は残るが、ここまで日本推しされると買ってあげたくなるなw