BFV:最新にして原点、BF1942からBF3までの「Wake Island」をMr.Battlefieldと共に振り返る

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大型アップデート5.2もいよいよ間近に迫ってきた『Battlefield V(バトルフィールド 5)』ですが、その目玉である新マップ「Wake Island」に関するインタビューがEAの公式ブログで発表されました。

今回インタビューされたのは、『BF1942』より歴代BFの開発に関わり続けているMr.Battlefieldこと、クリエイティブディレクターのLars Gustavsson氏。当時を知る者ならではの思い出話の数々が語られました。

『BFV』では新コンテンツと言えど、『BF1942』以来様々な『BF』でリメイクされ続けたWake Islandは間違いなくバトルフィールドシリーズの歴史を代表するマップ。本記事ではLars氏のインタビューを軽く要約しつつ、そんな長老マップの歴代での姿を、改めて最初から巡って行きます。

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Lars氏へのWake Island公式インタビュー要約

『BF1942』の誕生以前から前身作である『Codename Eagle』を含め、歴代BFを見守っていたLars氏。今回も公式ブログで製作者ならではの思い出話を語ってくれました。

▲『BF1942』のWake Islandスケッチ画。兵舎や対空砲、潜水艦などコアな要素が描かれている。

  • 2002年の『BF1942』発売時は、まさか17年後も同じマップを作る事になるとは思わなかった。
  • ただ、Wake Islandだけでなく二次大戦の64人ゲームである『BF1942』が大成功することは確信していた。
  • パブリッシャーの説得が難しく、EA Redwood Shores(現Visceral Games)に見てもらうまでは一年間もパブリッシャーが居なかった。
  • E3 2002のデモでは最初は見向きもされなかったが、噂が広まると待機列が伸び始めた。

▲カモフラージュされたコンクリートバンカーのコンセプトアート

  • パトリック・ソダーランド氏が1人でスタジオに残りWake Islandを舞台としたデモの数字を確認していた。
  • Wake Islandで戦闘の混沌さだけを強調せず、ドラマ性も含んだ映画的なシーンをトレイラーに用いる手法は、以降の『BF』シリーズトレイラーの伝統となった。

▲多くの自信家なパイロットを打ち砕いてきた橋も健在。

  • Wake Islandは戦争ゲームによくある鬱屈とした雰囲気とは逆に、南国の楽園であるのが一番のインパクト。
  • コミュニティで十数年続いている「Wake Island」はバナナ型か蹄鉄型かの論争はスタジオ内でも。Lars氏は蹄鉄派。

▲『BF1942』初期スケッチ。南西に駆逐艦を置く案は、結局シングルプレイヤーにしか導入されなかった。

  • 戦線が狭くなるので、激しい戦闘が起きやすく、他のマップと比べても地形上様々な戦況が発生しやすい。
  • 当時は攻撃側と防衛側のバランスはチケット数の差や兵器分布の差で取っていた。分隊湧きという機能もなかったので、死んだらHQからやり直しというのもバランスの一環だった。
  • 技術上は、64人にフルビークルという時点でWake Islandは限界に近かった。
  • そのせいでグラフィックを犠牲にしたが、南国の孤島という雰囲気は逆に強調できた。
  • 開発規模も小さかったので、『BFV』は世界中にスタッフを派遣してゼロ戦のエンジン音すら録音できたが、『BF1942』ではサウンドデザイナーが1人しか居なかった。コーヒー漬けになってもらいながら『BF1942』全マップの全兵器音や環境音を作ってもらった。

▲過去に増して美しい自然が強調されている。

  • せっかく作った音声ファイルを誰かが全部別ファイルで上書き保存してしまうアクシデントもあった。
  • Wake Islandの特徴的な雰囲気は大事に元のままにしている。
  • 『BFV』が当時より大きく変わった点は、より明るくなったビジュアルと、マップサイズの巨大化。草木の遮蔽や地形の段差も増えた。
  • 『BF1942』では戦闘の痕跡は残らず、とても静的な世界だった。『BF1943』は破壊表現で戦場の模様が様変わりし、『BFV』では建築システムもあれば、モードも増えた。

▲みんな大好きイースターエッグは、果たして潜んでいるのだろうか。

  • アップデート日はコンクエスト・アサルトかブレイクスルーを楽しむつもり。開発中もプレイテストはしたが、自宅からでもゆったり楽しみたい。
  • 野良分隊を率いて分隊長として頑張るプレイングが好み。
  • 素性も知らぬプレイヤー達と遊んでいるのに、共通の目標に向けてチームワークが成り立つ瞬間は特別な気分になる。人間性の一側面だと思う。
  • EAゲームチェンジャーを招いてブレイクスルーのプレイテストをした時も最高だった。攻撃側が時間切れ直前にラストセクターを攻略したときは、17年前の社内テストでの自分たちを思い出した。

歴代BFのWake Island

最近の出来事を17年前の開発の日々に重ね、楽しそうに語るLars氏。当時のアクシデントも「Interesting times!」と良き思い出の一つとして振り返る姿には、『BF1942』から遊び続けてきた古株のプレイヤーも同感を覚えるのではないでしょうか。

「ビークルと歩兵のシームレスな戦闘」、「狭い戦線に大人数を押し込む」、「戦線を複数用意し、裏取りや奇襲などの自由度を確保」など、今のバトルフィールドの礎となった様々な要素が凝縮されているWake Island、その最初期からの姿を巡っていきましょう。

リアル・ウェーク島の戦い

しかし惑星BFのWake Islandの歴史に移る前に、DICE一環の歴史尊重の意志に則り、まずはマップの舞台となった史実上の「ウェーク島の戦い」のおさらいから。

英Wikipediaより引用、ウェーク島の写真

ウェーク島の戦いは、かの真珠湾攻撃の翌日に日本海軍によって発動された攻勢作戦で、もう片方の有名な戦役である硫黄島の戦いとは立場が逆の形になります。日本軍は九六式陸上攻撃機による爆撃を3日間繰り返し、米軍の戦闘機や砲台に被害を与えた後に、海軍陸戦隊の上陸作戦が始まりました。

ただし上陸作戦は激しい抵抗に迎えられます。第一次作戦での日本海軍は爆撃を生き延びた米軍戦闘機4機が艦艇の搭載爆雷を狙撃、更に沿岸砲台による反撃などで駆逐艦2隻を損失。米軍の奮戦に悪天候も合わさり、上陸叶わず撤退することになります。

第二次作戦では、一次作戦が事実上戦闘機4機によって食い止められた戦訓を基に日本海軍は航空戦力を強化。空母二隻、重巡二隻と駆逐艦二隻を加え、改めて上陸作戦を敢行。21時の暗く荒れていた海模様で大発動艇を降ろすのに手間取った哨戒艇が強引に上陸地点に突入、座礁したまま陸戦隊を上陸させ、壮絶な攻略戦が始まりました。

▲岸に擱座し陸戦隊を上陸させた哨戒艇第32号、第33号。

上陸地点では激しい戦闘が行われ、中には砲台や機銃陣地の正面に展開してしまい、麾下小隊が全滅してしまった中隊も。膠着状態が続き、戦闘状況も入り組んでいたため、艦砲射撃による援護も期待できないまま戦闘は二日目にもつれ込み、最終的に日本軍の決死隊が米軍奥深くに潜入し指揮官二名を捕虜。投降を呼びかけ、日本側の勝利に終わりました。

▲「ウェーク島の戦い」戦略地図。哨戒艇二隻は南端に近い位置に上陸した。

『BF1942』

▲『BF1942』のウェーク島。コンクエスト・アサルトの始まりでもあった。

日本軍は北西に配置されている空母「翔鶴」と駆逐艦「秋月」から輸送艇を使って上陸を目指し、米軍は島の各所に配置されている拠点でそれを迎え撃つという形でした。攻撃側は防衛側よりチケットが多めにスタートする代わりに初期拠点が無く、防衛側は拠点を全部占拠された場合チケットが爆速で削られ続けるという、今に続く「コンクエスト・アサルト」の仕様はこの時からのものです。

とは言えど大人しく上陸挺でまったりと砲火に晒されながら陸を目指すプレイヤーは少なく、ローディングが終わったら我先に翔鶴に泊まっている航空機に乗り込み、乗り遅れたプレイヤーはというと空母や駆逐艦を陸に近づけて、搭載されている対空砲や火砲で米軍の滑走路を容赦なく砲撃したり。

▲試合開始の第一手が敵の戦車湧きに向かい爆撃、『BF』のセオリーは17年前から変わっていない。

対する米軍側は何よりも各所に配置されているビークルに乗り込むのが大事でした。『BF1942』のビークルは全体マップに放置されている状態から始まるので、もたもたしていると航空機から飛び降りた日本軍のパイロットに鹵獲されてしまいます。それ以外にも対空砲に乗り込まないと、日本の空軍にこっぴどくやられて同時多数占拠からストレート負けということもありえました。

守りを固められる米軍が有利に思えますが、日本軍がビークルをフル活用した場合は主導権を握りやすく、どこからでも攻撃ができた上に、上陸してしまえば米軍のビークルを鹵獲もできたので、海軍という有利要素を持っている日本軍側が有利と言えます。逆に米軍側は翔鶴と秋月を爆撃で沈めさえすれば、日本側は米軍と同じくHQがなくなってしまう事になるため、単純に島の占拠を巡るデスマッチに持ち込む事ができました。

HQがなくなったり、HQそのものを動かして移動砲台にしたり、逆に対空砲や修理兵が1人もいないとそのまま負けるという、今の価値観からするとクソ要素とも呼ばれるようなフリーダムさとシビアさは、初期の『BF』ならではです。

『BF Vietnam』

『BF Vietnam』はベトナム戦争をテーマにした2作目の『BF』。太平洋とは縁もゆかりもない戦線ですが、DICEによる公式の「第2次世界大戦MOD」が公開、後からIwo Jima・Wake IslandとInvasion of the Philippinesの3マップが追加されました。

▲『BF Vietnam』では草むらに隠れての攻撃が可能に。

『BF1942』のマップからはあまり変更されませんでしたが、進化した(当時比)グラフィック表現により植生が豊かになり、ジャングル戦の危険性がより際立つように。『BF Vietnam』由来のガジェットでは、火炎放射器が全ての拠点に追加で配備されるようになりました。

『BF2』

▲今回は防衛している中国軍をUSS Essex麾下米軍が攻める形に。

時代が飛んで現代戦になったWake Islandではヘリコプターやジェット機が新たに登場。駆逐艦こそ居なくなりましたが、攻撃側はファランクスCIWSを装備している空母エセックス級がHQに。

『BF1942』のようにビークルとして空母そのものを乗り回すことは残念ながらできなくなりましたが(そして今後のWake Islandにおいて海軍要素の復活は熱望され続けられることになりますが)、『BF2』で実装された新要素としては最大6名の分隊システムと、指揮官システムが挙げられます。

▲ヘリボーンで拠点に直接降下出来るようになったのも『BF2』から。

分隊長からスポーンできるようになったり、攻撃ヘリなど機動力と攻撃力を併せ持った強力なビークルの登場で、戦場のサイズ自体は広くなったはずなのですが戦闘は激化&高速化。1人でも敵分隊長を逃したらいつの間にかフル分隊で沸かれたり、ヘリから降下した敵にあれよあれよと旗を取られてしまう。そんなBFあるあるな情景が始まったのも今作からでした。

『BF2142』

▲『BF2142』のWake Islandは雪が積もっている極寒の地。

更に時代は未来へ飛び、200年後の『BF2142』はEUの秘密工場に。もう片方の勢力であるPAC(日本とロシアの連合)の領海内に楔のように打ち込まれた工作拠点です。

地形上は『BF2』のそれと完全に一致していますが、象徴的な滑走路は無くなり、代わりに世界観を反映するようにEU側のタイタン用ドックに大改装。北西には未だに村落が残っていますが、南西のは軍事拠点に取って代わられています。

▲広々とした滑走路が物々しい工業建築に。

Wake Islandは伝統的に陸海空様々なビークルが入り交じるのですが、『BF2142』でも非常にユニークなビークルマップとなっています。EUの拠点の一つとして機能するタイタンは他マップだと破壊可能な空中要塞として登場するのですが、Wake IslandにおいてのみPAC側により占拠される旗の一つとなっています。

他のWake Islandでも滑走路拠点の早期占拠は攻撃側が取れる戦略の一つですが、『BF2142』は尚更その傾向が強く、開幕から中央に一直線で飛び、ドックとタイタンの占拠を試みるのはEU有利なこのマップにおいて数少ないPACの勝ち筋でした。占拠の鍵となるリアクターコンソールを巡る、近未来的な機動要塞の中での急襲/防衛戦は『BF2142』ならではです。

『BF1943』

▲『BF1943』のWakeはグラフィックが一気に進化、南国のパラダイスな雰囲気が強い。

Xbox 360とPlayStation 3用ゲームソフトの『BF1943』はFrostbite 1.5エンジンの高度なグラフィックと破壊表現を改めて太平洋戦線に持ち込んだ意欲作。『BF1942』のように空母を操作することはついぞできませんでしたが、家屋や施設の倒壊という今となっては当たり前となった要素を初めて導入した、記念すべきWakeです。

▲戦車に突っ込まれると壁は壊れる!そんな「当たり前」が、何より嬉しかった。

マップ配置も今までと比べて独創的で、初めて日米両軍がそれぞれの空母よりスタートし、中立な各拠点を奪い合うという通常のコンクエストルールに。人数こそシステム上の制約を受け各チーム12名しかおらず寂しい感じでしたが、狭い陸地ではそれでも非常に激しい戦闘が発生しました。

『BF3』

▲公式トレーラーで大々的に表示されたWake Island。

最後にWake Islandを迎え入れたのは、グラフィックとゲームプレイの両方において一つの極地に至った『BF3』の『Back to Karkand DLC』。従来のコンクエスト・アサルトから、通常のコンクエスト、今尚愛好家が多いラッシュ、その他様々な『BF3』特有の膨大なゲームルール全てに対応していました。

オープンエリアは従来より増え、マップ自体も従来よりずっと暗い雰囲気に包まれていますが、コアなゲームプレイは変わらないままでした。滑走路という戦略の要衝を中央に迎え、両側に伸びる細い蹄鉄状の陸地とそれを囲む海面は数え切れない可能性と奥深さを孕み、全てのビークルが隣同士に戦闘する「凝縮したカオス」を常に演出する。

海という自由自在な空間に囲まれた狭い陸地を64人が奪い合うため、プレイヤーの周りでは常に何らかのアクションが多層的に巻き起こされます。横を突っ走っていった輸送艇が丘上で待っていた戦車に撃たれたかと思ったら、敵のヘリがその戦車を狙い撃ち、目を奪われているスキにどこからともなく接近した敵に撃たれ…

▲あらゆる面で進化した『BF3』のWake。

『BF3』はBFの戦場を大きくカジュアル化した作品でした。チームワークの必要性を下げ、歩兵単独の能力を引き上げ、より「今風」のFPSに近づけた、謂わば『BF』シリーズの転換点。より派手に、高速になった環境は、Wake Islandという全てのBF要素を狭い陸地に押し込んだマップと、高い親和性を発揮しました。

常にアクションが巻き起こるマップというとOperation MetroやOperation Lockerなど、いわゆる「挽き肉製造機」が思い出されます。それにビークルを全種類放り込み、しかも壁で囲むのではなく、海というプラットフォームを通し好きな拠点への迅速な移動ができる。一見全くのカオスですが、島を守る側と攻める側という明確な両端にも別れている。文字通り「BFの全て」が詰まったマップ。

そんなWake Islandは『BF3』で一つの完成形に至ったと言えます。ですが未だに空母や駆逐艦による沿岸砲撃など、初代『BF1942』ならではのフリーダムなプレイングを懐かしむ声は多く、更に『BFV』での実装はまさしく初代への回帰。

以前『BFV』の「太平洋戦線」に海軍要素は来るのかとインタビューした際は、「BFVの太平洋戦線では上陸戦という側面に注力した」とオブラートな回答を頂きました。しかし海軍ビークルが望めないとしても、進化したグラフィックやガンプレイ、ビークルシステムに建築要素など、『BFV』ならではのシステムは沢山あります。

最新の技術とノウハウを持って原点回帰するWake Islandは一体どんな姿になるのか。12月に予定されている実装が楽しみですね。

『Battlefield V(バトルフィールド 5)』の発売日は11月20日で、対象機種はPlayStation 4Xbox OnePC

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Source: EA

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