Activision(アクティビジョン)は本日2024年7月31日、ゲーム業界にとって非常に画期的な発表を行った。これは、『Call of Duty(コールオブデューティ)』シリーズのバトルロイヤル版『Warzone』のマップCaldera(カルデラ)を、学術向けにオープンソースとして無料公開したものだ。
このデータセットはOpenUSD(Universal Scene Description)フォーマットで提供され、自由にアクセスできるようになる。実績のある3Dマップの開放は、AIトレーニングとオーサリング ツールの進化が極めて重要な時代において極めて貴重なデータとなるだろう。なお、これは一般公開されているOpenUSDデータセットの中でも最大級のサイズとなる。
Call of Duty: Warzoneマップを丸ごと公開
OpenUSDは、3Dグラフィックスやアニメーションの分野で広く使用されているオープンソースのファイルフォーマット。このフォーマットを採用することで、研究者たちはゲーム環境の複雑な構造や要素を詳細に分析することが可能になる。
Beenox、High Moon Studios、Raven SoftwareなどのCoD開発チームの血と汗と涙の結晶で、なおかつAAAタイトルである『Warzone』の公開されたデータセットの内容は以下の通り。
- カルデラマップの詳細な3Dモデルとテクスチャ
- プレイヤーの動きを示す匿名化された時間サンプル
- 500万以上のメッシュ
- 2800万のプリミティブ
- 10億以上のポイントインスタンス(照明処理に使用されるボリュームなどのシーンメタデータを表現)
なお「カルデラ」が選ばれた理由は、「現在のデザイン哲学のスケールと複雑さを最もよく表すマップ」であったことだとしている。
公開データはどう活用される?
これらの貴重なデータセットは、AIと機械学習やゲーム開発など、様々な分野での研究や教育に活用されることが期待できそうだ。以下のようなことが実現するかもしれない。
- AIと機械学習:複雑な環境下でのAIエージェントの行動学習
- ゲーム開発:大規模オープンワールドゲームの最適化手法の探求
- コンピューターグラフィックスの研究:高品質な3Dモデルを用いたレンダリング技術の開発
- バーチャルリアリティ(VR)技術:没入感の高い仮想環境の構築手法の研究
マップ「カルデラ」は、2023年9月21日に『Warzone』から削除された(詳細記事)が、このデータセットのオープンソース化により、ファンやゲーム開発者がマップを詳細に研究することが可能になった。
使わくなったとは言え貴重な情報だらけのマップデータを、自社のためではなくゲーム業界のために最大限活用してくれた形。ライバルのEA(エレクトロニック・アーツ)も、業界全体の発展のために『Apex Legends』のピンシステムを特許取得&無償開放してくれたが、その時のような感動だ(詳細記事)。
ありがとうアクティビジョン
この決定は、ゲーム開発の未来を形作り、新たな技術革新と創造的なゲーム体験をもたらす触媒となる可能性を秘めている。なお、アクティビジョンによる今回の発表の締めの言葉は「一緒に、ゲームとその先の未来を形作りましょう!」となっている。
なおアクティビジョンは、マルチプレイヤー「マップの作り方」を解説したこともある。これも開発者にはありがたいのではないだろうか。
膨大な生きたゲータを学術コミュニティと共有することで、業界全体の発展へ大きな貢献をしたことは間違いなく、次世代のゲームクリエイターや研究者の育成に大いに役立つことだろう。さらなる詳細は公式発表ページや、データセットがアップロードされたGitHubを確認してほしい。
- タイトル:Call of Duty: Modern Warfare Ⅲ(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア Ⅲ)
- 発売日:2023年11月10日
- 対象機種:PS5/PS4, Xbox X|S/Xbox One, PC(Battle.net / Steam)
Source: Call of Duty
コメント
コメント一覧 (1件)
フォーチュンみたいに現代リメイクでまた復活して欲しい