10月11日の発売が目前に迫る超AAA FPSゲーム「バトルフィールド」シリーズ最新作『Battlefield 6(バトルフィールド6)』。スペシャリスト制の廃止や兵科(クラス)制の復活など、ファン待望の"原点回帰"が大きな注目を集める中、前作で好評を博したサンドボックスモード「Battlefield Portal(バトルフィールド・ポータル)」が、『BF6』の核の一つとして大幅に進化することが明らかになった。
「Battlefield Portal」とは、プレイヤー自身がゲームルールやマップ、兵士、兵器、勝利条件などを自由に組み合わせて、オリジナルの対戦モードを作成・共有できる「カスタム戦場クリエイター」だ(公式サイト)。そして、それが大幅に進化している。読めば読むほど楽しみになることは間違いないので、ぜひじっくりご覧いただきたい。
BF Portalは"傑作FPSモッド"を生み出すツールへ
今回、開発者の口から語られたのは、単なるカスタムゲームに留まらない「次の傑作FPSモッドを作れるツール」を目指すという、極めて野心的な目標だ。“環境破壊”が大きなキーワードともなっている「バトルフィールド」シリーズだが、FPSゲーム界隈自体に(良い意味の)“破壊”をもたらしてくれるのかもしれない。
『Battlefield Portal』開発を担うキーパーソンたち
- Aaron Steelman: デザインディレクター。『Destiny』『Far Cry』など13年以上の業界経験を持つ。
- Middy Liao: リードプロダクションディレクター。戦略的な長期計画やリスク管理を担う。
- Greg Black: プリンシパルゲームデザイナー。『Command & Conquer』『Starcraft』に携わった24年以上のベテラン。
- Gabriel Lacayo: ソフトウェアエンジニア。Portalモード用のツール開発に従事。
- Olivier Thivierge: シニアゲームデザイナー。バトルパスなどライブサービス機能の設計を担う。
"傑作FPSモッド"を生み出すツールへ - Portalの野心的なビジョン

Ripple Effectの制作ディレクター Middy Liao氏は、『Battlefield 2042』のBattlefield Portalがコミュニティによって多くの素晴らしい作品を生み出したと振り返る。その成功を踏まえ、『Battlefield 6』のBattlefield Portalでは、クリエイターが以前のゲームでは想像もできなかった新しい体験を構築する力を提供するため、ツールセットのアップグレードを決意したという。

そのビジョンを象徴するのが、Battlefield Portalチームのデザインリードを務めるプリンシパルゲームデザイナー Greg Black氏の言葉だ。 「『Battlefield 6』のクリエイターが次の傑作FPSモッドを作れるツールを提供する」 これは、PCゲームシーンにおけるMODカルチャーのように、プレイヤーの創造性を最大限に引き出す本格的な制作環境を目指していることを示唆している。
『BF2042』から進化した「Portal Builderツール」


その野心的なビジョンを実現するため、『Battlefield 6』のPortalには強力なツールが2つ用意される。
1. Webブラウザで簡単作成「Portal Builder」

『BF2042』から進化した「Portal Builderツール」は、PC、スマートフォン、タブレットのWebブラウザーから誰でも簡単にアクセスできる。Ripple Effectの制作ディレクターMiddy Liao氏によれば、プレイヤー数、ダメージ調整、体力回復、武器・車両の制限など、100を超えるオプションが用意されており、数多くのトグル、ミューテーター、スライダーを数回クリックするだけで、理想のBattlefield体験を瞬時に作成可能だ。
- 例:ワンショットキルを有効にしてマンハッタンブリッジで限定武器戦
- 例:カイロ包囲戦でスレッジハンマーだけを使った近接戦闘
数回クリックするだけでこういった夢のBattlefield体験が実現する機能だが、これらはほんの一例にすぎない。もちろん、これらは「BF Portal」の出発点にすぎないという恐ろしい状況だ。
2. 既存マップを直接改造「空間エディター」

さらに今回の目玉として、多くの要望があった新機能「空間エディター」が導入される。 Ripple Effectの主任ゲームデザイナーGreg Black氏によると、クリエイターはGodotオープンソースツールを使い、既存のBattlefieldマップに直接変更を加えられるようになるという。
- マップ上のオブジェクトの移動、回転、拡大縮小
- 戦闘エリア、セクター、HQ(出撃拠点)の再描画
この機能は後ほど説明する他の機能と組み合わせることで、武器や戦術を駆使して他のチームの進撃を遅らせながら、プレイヤーがマップ上で最大のオブジェクトの頂点に到達するために競い合う「Top of the World(詳細は下記)」体験など、Battlefieldでこれまでにない新しい種類の体験を生み出すことができる。Top of the Worldは、Battlefield Portalで作成できるさまざまな作品のうちの1つであり、他のいくつかの作品とともに発売時にプレイできるようになるとのこと。
UIからAIまで完全制御!広がる創造の可能性

Ripple Effectのソフトウェアエンジニア Gabriel Lacayo氏は、Battlefield Portalの可能性がマップ編集だけに留まらないことを明かした。
- UIのカスタマイズ: ゲーム内のUIウィジェットを無効化し、自作のボタン、アイコン、テキスト、さらには列の値を変更できるカスタムスコアボードに置き換えることが可能。プレイ時の見た目や感覚を正確に制御。
- AIスクリプト: AIの挙動を細かく制御できる。特定の場所にパラシュートで降下させたり、設定したターゲットを特定の武器で攻撃させたり、目的地までのウェイポイントを個別に設定したりできる。
作成可能な体験の具体例
これらの強力なツールによって、従来のFPSの枠を遥かに超えたユニークなゲームモードの作成が可能になる。開発チームが例として挙げたのは、以下のようなものだ。
- Top of the World: マップ上の最も高いオブジェクトの頂点を目指して競い合うモード。
- トップダウンの2Dシューティングゲーム
- 古典的なアーケードスタイルのパズルゲーム
- ホードモードにインスパイアされたエクスペリエンス
Gabriel Lacayo氏は、「私たちのツールは非常に強力に設計されており、作成したものに対してこれまでにない制御が可能」と自信を見せる。

ただし、これだけ強力な「改造MOD」なだけあって、ミューテーターとスライダーは簡単に設定できるものの、Battlefield Portalの機能をフルに活用するにはある程度の練習が必要となっている。クリエイターに制限を設けず、できるだけ強力なツールを提供することを選択したためだ。
学習が必要な点もサポート体制が用意されている。公式のチュートリアル動画はもちろん、実際にプレイしながら仕組みを学べるサンプルやテンプレートも用意。さらにSDK(ソフトウェア開発キット)には、チュートリアルだけでなく実際にプレイできるエクスペリエンスの例とテンプレートが含まれる。分析し、リバースエンジニアリングして、実践しながら学ぶことができる。
これは想像だが『ロブロックス』のように、公開したゲームが人気となれば、収益を得られる仕組みも考えられているような気がする。
見つけ、共有し、遊び続けるための仕組み
DICEのシニアゲームデザイナー Olivier Thivierge氏は、コミュニティがせっかく作った素晴らしい体験が埋もれることなく、多くのプレイヤーに届くための仕組みも強化されていると語る。
サーバーブラウザとエクスペリエンスライブラリ
新しいエクスペリエンスライブラリでは、プレイヤーがキーワードやタグを使って遊びたいゲームを検索できる。さらに、人気のある体験はメインメニューの「コミュニティ体験のおすすめリスト」に掲載され、誰でもすぐに参加可能だ。 もちろん、従来のサーバーブラウザも健在で、フィルター機能によって好みのサーバーを簡単に見つけられる。
永続サーバーと統一された進行状況

『Battlefield 6』では、全ての購入者にアカウントに紐付いた永続サーバーが1つ提供される。これにより、自分がプレイしていない時でもサーバーを稼働させ続け、フレンドといつでもお気に入りのカスタムモードを遊ぶことができる。
また、進行状況システムも改善された。コンクエストのような公式モードでも、Battlefield Portalで作られたカスタムモードでも、どこでプレイしてもEXPを獲得できるように統一される。 Hardcore Conquestや24/7 Rushのような公式ルールに近い「検証済みエクスペリエンス」では公式モードと同等のEXPが、Top of the Worldのようなユニークな「カスタムエクスペリエンス」ではプレイ時間に応じたEXPが付与される仕組みだ。
この変更は、以前の『BF Portal』から学んだことの1つだとされ、プレイヤーがよりやりがいのある、合理化された進行体験を望んでいたことを反映したもの。何をプレイしたかにかかわらず、費やした時間がしっかりとEXPとして得られることになる。
すべてのBattlefield Portalエクスペリエンスでは、メインメニューの説明で該当するカテゴリが通知されるため、プレイヤーはプレイ中にどのような進行状況が得られるかが瞬時に理解できる。
ローンチ後の進化とコミュニティへのサポート

さらに、Battlefield Portalの進化はローンチ後も続く。Olivier Thivierge氏は、コミュニティからのフィードバックを取り入れ、将来的には以下のような機能の追加を検討していると語った。
- Portal Builderツール自体の改善
- 風景の変形
- 異なる時代のアセットの混合とマッチング
- 照明の調整
とりあえず現時点(ブリーフィング時)では、彼らは『BF Portal』のリリース時に最高のものにし、今回発表したすべての点を改善し、準備することに注力していると締めくくった。
『Battlefield Portal』まとめ

『Battlefield 4』以来となるキャンペーンモードの復活、そしてファンが望んだ兵科制への回帰。シリーズの”らしさ”を取り戻す一方で、『Battlefield 6』はBattlefield Portalという革新的なツールで、プレイヤー自身が戦場の未来を創造するという、新たな可能性を提示している。もしかすると、BFポータルが「一生遊べるバトルフィールド」となるのかもしれない。
この野心的な試みがどのような"戦場"を生み出すのか、10月11日の出撃の日を心待ちにしたい。

FPS POWER TUNE


Source: BRIEFING
コメント
コメント一覧 (3件)
ランクマやCoDの迷彩アンロックみたいにやりこみ要素ないし
BFは人口定着率がかなり悪いゲームだからそこをなんとかしたいんだろうけど・・・
プレイヤーの7割はポータルのサバブラの情報とかどうでもいいから
本編のサバブラについての情報出せよと思ってるよ
PCのMODって言われたらCSGOが真っ先に思い浮かぶ
しかし天下(オワコン)のBFがフォートナイト如きと比較されるのか・・・
逆にフォートナイト側はBF如きと比較しないでほしいと思ってるだろうよ
いまだにアクティブ数でトップ5クラスのゲームなのに