コラム:遺灰を弾丸にする驚きの追悼サービス、「死んだ後も最高にエコで便利な存在になれる」

コラム:遺灰を弾丸にする驚きの追悼サービス、「死んだ後も最高にエコで便利な存在になれる」

何のために生まれたかはわからなくても、どうやって死ぬのかは選ぶことが出来る。

人はどこから生まれてどこへ死んでゆくのか。古来から生を受けた多くの人が考察を重ね続けてなお、いまだ結論が出ない命題の一つだ。日本で一番有名だと思われるヒーロー作品のテーマをお借りして「何のために生まれて何をして生きるのか」と言い換えてもいい。今回ご紹介するアメリカはアラバマの企業”Holy Smoke LLC“はそんなことを考えるきっかけになりうるサービスを提供している。それは「遺灰を弾丸に詰める」という一見過激にも見えるものだ。

設立の経緯は「七面鳥が最後に見る光景」

HOLYSMOKE
このサービスの原点は職場での何気ない会話だったという。話題は親族の死から始まり、死後土葬されたいか火葬されたいかで盛り上がったという。友人や家族と取り留めもなく話した経験がある方も多いだろう。この手の話題は万国共通らしい。

ただ、「コストはかかるし場所も占有してしまうから、自分は火葬して川か森に散骨して欲しい」と言う創業者に対し、友人の1人が笑いながら返した答えがなかなかにユニークなものだった。いわく「火葬された後の遺灰をショットシェルに詰めて、七面鳥の狩り方を知っている人間に使って欲しい。七面鳥が最後に見るのが秒速274メートルで飛んでくる自分だと思えば、きっと安らかに眠れるだろう」と。

発想自体もなかなかぶっ飛んでいるが、それを実現した創業者はそれよりぶっ飛んでいる。弾丸に少しずつ遺灰を込めて貰えれば、死んだ後でも環境に優しく便利な存在で居られると考えた元警官の2人は会社を設立した。それがHoly Smoke LLCだ。

遺灰を弾丸に

Holy Smokeのサービスは遺灰を受け取るところから始まる。利用者から相談を受けて、どのタイプの弾薬で故人を弔うか決定する。その後、厳密に計量された遺灰が弾丸に詰まって送り返されてくる。希望者は名前が刻まれたネームプレートをつけることも可能だ。

一例として挙げられているが、450グラムの遺灰から250発のショットシェルになるという。人1人を火葬した時に出る遺灰が1キログラムから3キログラム程度だというので、最大750発程度のショットシェルが作られることになるのだろう。その他、利用者の希望に沿ってライフルの弾やピストルの弾も提供されるとのことだ。

値段はその時の市場の弾の価格に加えて設定される仕組み、いわゆる時価だ。アラバマに住んでいるわけではないので実際の値段はわからないが、ネットで調べたところ、250発のショットシェルなら50ドルから100ドル程度が弾薬の相場だという。そこに遺灰を詰めるのがHoly Smokeのサービスで、弾の製造や火葬については他の業者の領分だ。

なお、この記事を書くにあたり詳しい現状が知りたいと思いHoly Smoke社にコンタクトを試みたが、2月11日時点で返信は得られていない。代わりと言ってはなんだが、よくわからないスパムメールが届くようになった。活動の実態は謎に包まれている。

逝く人来る人

「“死”というのは無駄に消えるんじゃない。また何かの形でいかされるんだと思う。その変化だけを受け入れればいい」

とは詩人・加島祥造の言葉だ。氏の言葉が本当に意図していたところは本人以外にはあずかり知らぬところだけれども、一つの解釈として「構成していた物質が自然に還ったところで、その人が成したことや遺された人の記憶まで消えはしない」という意味にも捉えられるのではなかろうか。

クレイ射撃に使われるのか狩りに使われるのかはユーザー次第であろうが、いずれにしろ弾丸というはっきりした形で残り、しかもそれが日々の糧になるという追悼。日本で生きる我々にはなかなか理解しがたい側面もあるが、故人が弾丸に形を変えるというのはそこまで荒唐無稽なことでは無い気がしてくる。いずれにせよ、生き方が多様化しているのに伴って死後も多様化しているのは間違いない。

ちなみに、遺灰を扱うサービスは他にも色々ある。ダイヤモンドにしたり、クリスタルガラスに封入したり、宇宙に飛ばしたり、レコードにしたりとその形は様々だ。中には日本で受けられるものもあるので、興味のある方は検索してみるといいだろう。死を他人事に出来る人など1人も居ないのだから。

Source: Holy Smoke official