『Tom Clancy's エリートスクワッド』のイントロムービーにUbisoftが謝意、「ファシズムを煽動」との指摘に対し

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UbisoftのiOS / Androidアプリ『Tom Clancy's エリートスクワッド』は先日配信が始まったばかりの同社新作モバイルタイトルですが、そのイントロムービーの内容に対して議論が巻き起こり、Ubisoftが謝意を表明するに至りました。

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「突き上げられた拳」問題

iOS / Androidアプリ『Tom Clancy's エリートスクワッド』は、Ubisoftの人気タイトルである『レインボーシックス シージ』や『スプリンターセル』シリーズ、『ゴーストリコン』シリーズなどのキャラクターたちが共演し、5人組のチームを組んで戦う見下ろし型RPGです。

しかしこのゲームに関して日本時間8月30日未明、Ubisoft側が謝罪文をツイートしました。

「『Tom Clancy's エリートスクワッド』のオープニングムービーに現れる『突き上げられた拳』の画像は、その含意および描かれ方の両面で刺激的かつ有害なものでした。この点についてご指摘をくださったプレイヤーの皆さまおよび広範なコミュニティの皆さまに対し、弊社は感謝の意を述べると共に謝罪を申し上げます。『突き上げられた拳』の画像は9月1日火曜日のAndroid版タイトル・アップデートで削除し、iOS版でも可及的速やかに削除致します」

ファシズムを煽動するゲーム?

『Tom Clancy's エリートスクワッド』のストーリーは、「戦争や飢餓により世界情勢が不安定化する中、この混乱を利用して『UBMLA』という正体不明の組織が台頭。テロや犯罪を影でコントロールし始める。こうした危機に対して世界のリーダーたちが結集。UMBLAに対抗すべく、世界中からエリート兵士を集めた「エリートスクワッド」を創設する」というものです。

よくある設定に思えますが、最も問題となったのはゲーム開始時に流れるイントロムービー内、「エリートスクワッド」が立ち向かうテロ支援組織「UMBLA」の描き方の部分です。

『Tom Clancy's エリートスクワッド』のイントロムービーより

突き上げられた拳(Raised fist)は、古くは社会革命のシンボルとして、革命、団結、権力への抵抗などさまざまな意味がこめられていますが、現在ではアフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為への抗議に端を発した運動「ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)」でも使われているシンボルです。

「ブラック・ライヴズ・マター」運動にも、突き上げられた拳のイメージが採用されている

また「Umbla」とは「本影(光源の遮られている領域。影の部分)」を意味し、「影=黒=黒人」を連想するということで、ユーザーからは「『Tom Clancy's エリートスクワッド』は黒人による反差別闘争をテロに結びつけ、世界の『エリート』たちで力を合わせてこれを撲滅しようという、ファシズム煽動メッセージが読み取れる」といった指摘が相次ぎました。

これを受けてUbisoft側は、拳を突き上げた画像が不適切であると認め謝罪。現地時間9月1日に行われる次回のアップデートでこれを削除すると発表しました。

この敵組織の描き方の他にも、このイントロムービーに対しては、「『水面下で行われるテロ行為(Behind the scenes terror attacks)』という表現は、いかにも極右とファシストがスクールシューティングを偽旗作戦とみなすときと同じようなレトリックである」。「犯罪行為を摘発するために権力側が違法な暴力を行使することを肯定したゲームである」などの指摘が寄せられています。

サービスが始まったばかりの『Tom Clancy's エリートスクワッド』にとっては難儀なリリースとなりそうです。

モバイルゲーム『TOM CLANCY’S ELITE SQUAD™』CGIトレーラー

Source: Ubisoft Official Twitter

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