あのイケアがゲーミング家具に参入する―そんな話を過去に耳にしていた読者も多くいるのではないでしょうか。
イケアについて軽くおさらいすると、1943年スウェーデン発祥の家具量販店。手に取りやすい価格とモダンなデザインを両立した品々がウリの同社は、2001年に日本へ再上陸して以降、家具ドミネーションで日本の各家庭ポイントを着実に占領しつつあります。
耳の早いゲーマーなら「いつになったらイケアのゲーミング製品は買えるんだ…?」と不思議に感じた方も多いかもしれませんが、実はもう日本で普通に買えるんです。
ゲーマーの集団であるEAA!!なので、ちょっと聞きにくい内容もゲーマー目線でバンバン質問してきました。みんな大好きイケアのアイドル「サメ」についても、最後にしっかり聞いてきたのでお楽しみに。
家具大手のイケアがゲーミング市場に参入する理由
EAA: FPSサイトEAA!!と申します。本日はよろしくお願いいたします。
イケア: イケアジャパンの志村と申します。商品を担当する部署でコアエリアマネージャーという役職をしております。本日はよろしくお願いいたします。
EAA: ありがとうございます。志村さんはゲームは遊ばれますか?
イケア: 私自身はゲーマーではないのですけれども、子供が大変大好きでして、色々と遊んでいるのを見守る日々を過ごしております(笑)
EAA: 素敵なご家庭ですね(笑)では早速ですが、今回、世界的に展開されているイケアがゲーミング家具をリリースした理由や目的を教えてください。
イケア: 私どもの会社は「より快適な毎日を、より多くの方々に」というビジョンのもと、家具の販売を長年しておりますが、ユーザー様の生活を学びながら商品の開発を行っております。その中で「ゲーム人口の拡大」という場面を見た際に「ゲームをプレイされる方々の生活をどのようにサポートできるか」という疑問が生じまして、その流れでゲーミング家具の開発に着手し、リリースを行いました。
イケアがROGとタッグを組んだワケ
EAA: 今回のリリースは世界的大手の家具量販メーカーのイケア、同じく世界的大手ゲーミングブランドのRepublic of Gamers(以下ROG)とのタッグが注目されました。タッグを組んだ理由はなぜですか?
イケア: わたくしどもは家具のプロフェッショナルでございます。その中で、プロとプロが手を組んで商品の共同開発を行えば、より良いモノが作れるのではないかというアイデアが社内で生まれ、ゲーミング環境のプロフェッショナルでいらっしゃる、ROGさんにお声がけをさせていただいた次第です。
EAA: (ROGさんに話を聞いていたらイケアさんもぜひ!と勧められました)今回のタッグだからこそ実現できた点はありますか?
イケア: 我々は家具のプロフェッショナルではありますが、ゲーミング業界の知識は持ち合わせておりませんでした。ROGさんのお力を借りることで、ゲーマーの方々に「より使いやすく、より快適な」製品を開発できたと感じております。
EAA: タッグでの開発にあたり苦労した点などはありますか?
イケア: 苦労という点からは外れてしまいますが、現役のプロゲーマーを招待し、ワークショップなどを行いながら商品の研究、開発をしたと聞いております。
EAA: ROGとコラボしていないイケア独自のゲーミング家具についても同様ですか?
イケア: 同様です。
東京ゲームショウ初出展の目的
EAA: 東京ゲームショウ(以下TGS)は初出展とのことですが、出展された経緯や手ごたえは?
イケア: ご存知の通り、2021年4月からイケアジャパンではゲーミング家具の取り扱いを開始しておりますが、日本のゲーム人口の皆様により多く認知いただく機会として、今回、TGSを選択しました。TGSは国内、海外問わず、多くのゲーマーの方々が関心を寄せているとお聞きしておりますので、初出展の運びになりました。
手ごたえとしては、初日の開幕から、多くのメディア媒体さんやインフルエンサーさんにお越しいただいておりまして、わたくしどもが新参者というところもあるかと思いますが、大変ありがたい反響を頂きまして、非常に嬉しく思っております。
ゲーマーから受け取ったもの、ゲーマーに授けるもの
EAA: 全世界で中国が最初の市場となり、他国に先駆けて2番目となった日本の市場からの評判や手ごたえはいかがですか?
イケア: 驚くほど好調な販売をさせていただいておりますので、「手ごたえはある」と回答させていただければと。快適性の高いチェアが市場から求められるタイミングで発売できて良かったと改めて感じています。
EAA: イケアが市場に溢れるゲーミング製品との差別化を図るポイントはどこですか?
イケア: デスクチェアやゲーミングアクセサリーといった様々な商品を展開しておりますが、元から販売している家具やインテリアと組み合わせることで「ゲーミングルーム」をトータルでコーディネートしていただけることが最大の強みだと考えております。
また今回、チェアを始めとする家具においてブラック、グレー、ホワイトを基調としたカラーバリエーションを展開しています。プロフェッショナルなゲーミングルームを作れる一方、既存のインテリアにも合わせやすい商品展開だと思っておりますので、様々なゲーミングシーンをニーズに合わせて作っていただける魅力をご提案したいです。低価格も大きな強みではないかと考えております。
ゲーマーのための商品と低価格の実現
EAA: 日本のユーザーにはどのような点をアピールしていきたいと考えていますか?
イケア: まず1つとしてイケアならではの低価格という点です。特にゲーミングチェアは既に3種類を販売しておりまして、また後日1種類を投入予定です。最安値のモデルで4,999円からご用意しておりますので、幅広い世代の方に親しんでいただきたいと思っております。また、先ほどの話と重なってしまいますが、様々な既存のインテリアにも「馴染む」ことを知っていただきたいです。
EAA: 我々ユーザーからすると「ゲーミングXXXは高い」という認識を壊してくれたというイメージもあります。価格破壊といっても過言ではないと思います。
イケア: 家具の販売を長く続けてきた弊社の強みだと思っておりますし、何より「より快適な毎日を、より多くの方々に」というビジョンの下には「どういった方々も快適な生活を送る権利がある」と考えておりますので、高額な金額を払える方だけではなく、様々な方に親しんでいただきたい。それをゲーミング家具でも実現できたという事実は嬉しく思います。
EAA: 今回のTGSでは今後発売予定の新商品が設置されていますが、こちらには出ていない製品の今後の展開予定はありますか?
イケア: ございます(即答)
EAA: まだ商品は明かせない?
イケア: はい(笑)
イケアでゲーミングをコーディネートする
EAA: イチオシ製品や、イケアで元から発売されている従来製品とのオススメの組み合わせがあればお聞かせください。
イケア: お客様から一番反響を頂いているのが「MATCHSPEL/マッチスペル」というチェアでして、メッシュバックかつアームの高さ調整、それからリクライニングといった機能を備えて15,990円という価格で、お客様よりお喜びの声を頂いております。特にオススメさせていただきたい商品ですね。
また今回、展示させていただいているブースは一部のインテリアを除き、すべて弊社の製品となっております。LEDテープも弊社の製品です。
ゲーミング環境を作りたい!と思われた際にイケアにお越しいただければ、チェア、デスク、照明、収納、アクセサリーも含め、すべてご提案させていただくことが可能です。イケアならではのコーディネイトを楽しんでいただければと思っております。
EAA: 耐久性はどうでしょうか。ヘビーゲーマーは長時間の着席を行いますし、それらが毎日続くと通常想定よりも負荷が掛かることが予想できます。机の上に物を色々と載せるゲーマーとしては、新発売となる電動デスクの耐荷重についても気になっています。
イケア: 電動昇降式デスク「UPPSPEL/ウップスペル」に関しては耐荷重は70kgとなっています。耐久性につきましては、弊社は厳しい品質テストを行い製品を開発しております。(詳細なデータは企業秘密ということもありその場では教えてもらえなかったが、実際に開発現場でイケア製品の過酷なテストが行われている様子を見た経験があるというスタッフの方がいたり、「どの程度の使用年数を想定しているのか?」という質問に対しては「保証年数を参考にしていただければ」という回答を貰ったことは読者にお伝えしたい)
EAA: ROGとのコラボとのことでゲーミングシャークのリリースを期待したいです
イケア: ふふ(笑)ありがとうございます!(本日一番の笑み)本当にサメの評判が高くてですね…嬉しいです(笑)
EAA: 光るランプのサメで、タッチで色が変わるとかどうですか?
イケア: そういったご意見をTGS中に集められればと(笑)
EAA: MATCHSPEL/マッチスペルと同じくらい売れてくれたら嬉しいです!
イケア: 検討します!ありがとうございます(笑)
EAA: 本日は貴重なお時間をありがとうございました。最後にEAA!!の読者に向けて一言お願いします。
イケア: イケアの店舗にお越し頂く機会はあまりないかもしれませんが、私どもが今回、発売しているゲーミング製品に関しては「快適性」「機能性」「低価格」「デザイン性」そういった物を兼ね備えておりますので、この機会に足を運んでいただいて、お試しいただいた上で、ご検討いただけたら大変嬉しいです。ぜひ遊びに来てください!
イケアが本気かどうなのかテストする
言うだけ言われても、実際に試してみなければ分からないもの。我々もガチです。なので製品を色々と試させてもらいました。更にここでも色々と聞いてきましたよ!
まず、今回のイケアの展示はビジョンを2つに分け、THEゲーマーといったダークなルームと、落ち着くホワイトを基調としたライトなルームで構成されていました。
これらは先述のインタビューにもあった通り、「トータルコーディネート」も「既にあるインテリアに馴染ませる」こともカバーする、様々な要素を兼ね備えた超大手の家具量販メーカーであるイケアらしい展示であると感じます。
フォトに写っているフィギュアやマウス、モニターといった類を除き、チェア、デスク、収納、有孔ボード、マグホルダー、それに収まるマグ、ネックピロー、ホルダー付きリングライト、手の形をしたアクセサリースタンド、ケーブル、フロアマットなどなど、すべてイケア製品で統一されているのは圧巻。「イケアでゲーミングルームを作る」は間違いなく実現可能でしょう。
現在はダーク系統の製品を中心にリリースしているそうですが、今後の反応次第では、ホワイト系製品展開の可能性もあるとのこと。楽しみに待ちましょう。
新商品を先行体験
今回、TGS2021の出展に当たり新しくリリースされる製品も同時に発表され、電動昇降式デスクである「UPPSPEL/ウップスペル」(10月発売)と新型ゲーミングチェア「GRUPPSPEL/グルッスペル」(2022年1月発売予定)を先行で体験することができました。
電動昇降式デスク「UPPSPEL/ウップスペル」は2種類のサイズ展開となり、両方とも最低72cmから最高120cmまで稼働が可能。縦幅は共通で80cm、それぞれ横幅が140cm、180cmというサイズで販売されます。購入後、天板のみ交換してサイズ変更することも可能なようで、それぞれのセット品、フレームのみ、天板2種のラインナップがされるとのこと。耐荷重は70kgとのことで、十分に確保されています。テーブルトップ裏側にはケーブル収納用トレイ、コントローラーにはUSBポートが配置されるゲーマーに嬉しい仕様です。
また、深夜にゲームをすることも多いゲーマーにとって気になるのは動作音。会場内が騒がしいこともあり、正確には聞き取れませんでしたが、耳を近づけてもかなり静かでした。
無段階調整、4種類のプリセットによる昇降機能を備えており、昼間は立ってデスクワーク、夜はデスクを下げて臨戦態勢を取るなんてことも。もちろん電動なので、机の上のモニターなどのケーブルを外し、全て片付けて、手動で高さを変え、またものを戻す…といった手間は一切かかりません。昇降スピードは主観ながら割と速いと感じました(以下の映像をご覧ください)。
気になるお値段は、140cmサイズが79,990円、180cmサイズが84,990円(それぞれセット品)です。「イケアのデスク」としてはお高めに見えますが、他メーカーの近しいと思われる製品が約180,000円~220,000円なので、ゲーミング電動昇降デスクでこの広さとクオリティなら、結構な低価格といえるのではないでしょうか。シンプルに「欲しい」と思ったのは我々だけではないはずです。
そして2022年発売予定の「GRUPPSPEL/グルッスペル」は落ち着いたオシャレ感がナイス。市場にありがちな「THE・レーシングシート」のような厳つさはなく、落ち着いた色も相まってパッと見ただけでは「人間工学を意識しているデザイナーの椅子」といった風合い。
機能も非常に斬新で、座面の昇降は基本としつつ、驚くことに、背もたれとヘッドレストの高さを調節できるとのこと。これにより「より個人にあったポジションを取ることが可能」だと担当者の方が教えてくれました。
まだ価格は発表されていませんが、ゲーミング家具の価格破壊チャンピオン兼キルリーダーイケアならではの、かなり攻めた価格での発売(3~5万円程度)となるらしい。
「より快適な毎日を、より多くの方々に」というイケアのビジョンを忠実に再現し、性別や年齢、ガチゲーマー・ライトゲーマー問わずに活躍してくれそうです。
多く展開されているゲーミングチェアについて
特に種類が展開されているゲーミングチェアについても質問を行いました。個人的に気になったのは、市場のゲーミングチェアにはよく付属しているランバーサポートクッション(腰用クッション)がついていないことでしたが、「設計の段階でランバーサポートを行う形になっている製品が多数を占める」とのことでした。もちろん、クッションが必要であれば、ゲーミング専用ではないものの、既にランバーサポートクッションが販売されているようです。
体験談として、「知人女性がホワイトのマッチスペルを購入し、生活に溶け込むデザインと快適性で非常に気に入っている」との担当者の方の声も聞けたり、クッション兼毛布兼ロングカーディガン「LÅNESPELARE/ローネスペラレ」など、組み合わせて使えそうな意欲的な製品もあったりと、「イケアは家具」という先入観がかなり払拭されました。
「展示会用に綺麗な個体を選んでいるのか」とかなり意地の悪い質問をしてみると、「すべて市販在庫の物をそのまま組み立て、展示している」との回答を頂いたことも記しておきます。
イケアはゲーマーに対して本気だ
総括すると、イケアは間違いなくゲーミング家具に対して本気でした。決して、市場に氾濫する「“ゲーミング”付けとけば売れるでしょ系」ではありませんでした。
インタビューの最後にもありましたが、店頭で試して検討する価値は、イケアならではの「自身での組み立て」という関門さえクリアできれば十分にあるのではないでしょうか。
今後のゲーミングシーンに寄り添う存在であることは疑いようもなく、満を持してイケアが送り出したゲーミング家具、ならびにホットドックとソフトクリームとサメの普遍性が変わることは当分ないでしょう。
コメント
コメント一覧 (4件)
正直言って椅子はゲーム用もオフィス用も対して変わらんからどうでもいいんだけど、IKEAのゲーミングデスクは高さ調整できるやつが大半で値段も安いから結構良さげ。気にする人少ないだろうけど、机の高さでエイムのしやすさって結構変わるし
ゲーミング風のただの安い椅子じゃん
5kのゲーミングチェアとかガチで価格破壊されてるやん
IKEAのソフトクリームはマジで美味い
コストコのやつも美味さがヤバいがどっち食いたい