Ubisoftが先日リリースした『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』のアップデートY8S2.3では、防衛オペレーターThorn(ソーン)が強化。人気アタッチメントの「1.5倍サイト」を獲得した結果、彼女のピック率は1週間足らずで3.3倍に急上昇したことが報告されています。
しかし海外コミュニティでは、「武器サイトを使ってオペレーターの強化をすること」は長く続いている議論です。一躍人気者になったThornですが、結局はまた1.5倍サイトを没収されてしまうのでしょうか。
Thornの人気が(予想通り)急上昇
日本時間7月11日にリリースされたY8S2.3アップデートでの、Thornの変更点は以下のとおりです。
- Thorn:UZK50GIに1.5倍サイトを追加
変更の理由について、デザイナーノートでは「防衛の中で、現在ピック率が最も低い罠オペレーターの一人」であるためと解説。人気のあるアタッチメントを追加し、分かりやすくテコ入れをした形です。
UZK50GIはThorn専用の強力なSMGであるため、1.5倍サイトの獲得は他のオペレーターへの変更とともに注目を集めていました。
実際のところ、「1.5倍サイト獲得」の効果はてきめんだったようです。開発側の思惑通りにThornのピック率が上昇していることを、非公式アプリのR6 Analystが報告しています。
同アプリの収集したトラッキングデータによると、「Y8S2.3アップデート以降、PC版ランクマッチにおけるThornのピック率は1週間で3.3倍以上」になりました。
全体評価も急上昇し、Iana(イアナ)に次ぐ第2位に。まだアップデート1週目であるため「試しに使ってみただけのプレイヤー」も多いはずですが、データ上のキルレは1.40と全オペレーターの中で最高。KOST(*)も69.5%と、1位のKapkan(カプカン)に次ぐ強さを誇っています。
(*KOST=「キルを取る」、「ディフューザーの設置または解除」、「ラウンドで生存する」、「キルトレードをする」という、ラウンド取得における重要な項目でそのプレイヤーのチームへの貢献度を測るもの。高いほど優れたプレイヤー、またはキャラクターであることを示す)
『R6S』における1.5倍サイトの価値とは
シージでは、武器に装着できるサイトの種類がオペレーターによって異なります。
これによりオペレーターのバランス調整では、武器やガジェットの性能を調整する以外の選択肢が生じます。たとえば1.5倍サイトのような人気アタッチメントを与えて「強化」、または没収して「弱体化」とする光景が過去にもしばしば見られてきました。
1.5倍サイトは、イヤー5シーズン3で追加された新アタッチメントの1つです(当時のシージ公式ブログ)。サイトの枠部分が小さくて見やすいため、スタッフも開発段階から「1.5倍サイトがベスト」と認識していたほどの強アタッチメント(関連記事)。「長距離と近距離の中間」用サイトと説明されていますが、現実には全距離対応型のサイトとして便利に運用できます。
3月のアップデートでは、Oryx(オリックス)とKapkanからこの1.5倍サイトが削除されて話題になりました(関連記事)。Oryxについては「メインウェポンの変更以来、彼のプレゼンスは25%以上増加しており、キルデス比は現時点で最も高いものの一つ(だった)」とコメント。このように、1.5倍サイトを追加することで不人気オペレーターを手軽に強化できることが分かります。
「1.5倍サイトで調整するのはどうなの?」
しかし「オペレーターの人気を高めるために、人気のあるアタッチメントを利用する」という手法には、素直に賛同できないというプレイヤーも少なくありません。
eスポーツキャスターのInterroことParker Mackay(パーカー・マケイ)氏も、今回のThornの強化に絡めてTwitterで意見を募っていました。
「1人の防衛オペレーターに1.5倍サイトを与えると、決まってピック率は一気に上昇する。だが結局は削除されて、別の防衛オペレーターに与えられ、新しいサイクルが始まる。ではこうした点をどう修正するのか? 1.5倍サイトをもっと多くの防衛オペレーターに与えるのか? 防衛側全員の銃から1.5倍を削除するのか? 意見を聞かせてほしい」
インフルエンサーのコメント
Interro氏のリプ欄では、以下のようなコメントが寄せられています。
- 「ガジェットや連射速度、ダメージ、サブガジェットをベースにバランス調整をしろ。他のでもいいかもしれない。1.5倍サイトでも時にはうまくいくだろうけど、『デフォルト』を変更してるだけだ。上手くいくまで追加して、削除しての繰り返しなんてね」(Oxygen EsportsのFoxA選手より)
- 「1.5倍サイトを増やしても、既に防衛有利なゲームがもっと防衛有利になるだけだ。ガジェットを強化しても、銃の方が明らかに好まれてるんだからどのみち意味がない。問題の根本にあるのは明らかに『ヘッドショット1発キル』のシステムなんだが、これにはちょっと触れたくない。対症療法的な修正をするしかないね」(コンテンツクリエーターMacie Jayより)
- 「全員にACOG(2.5倍)サイトやれよ」(コンテンツクリエーターCoconut Brahより)
Redditでも激論
Redditのシージサブレでもこの件は取り上げられ、プレイヤーからさまざまな意見やアイデアが寄せられていました。
1.5倍サイトを『R6S』から消す? 全員に配る?
- 「オペレーターに1.5倍サイトあげて『強化』ってするのは止めないか。1.5倍サイトをあげるんじゃなくて、代わりにそのオペレーターがなぜ『弱い』のかよく考えてみようよ。全部まったく同じことになってるじゃないか。ピック率が上がって、1.5倍サイトが没収されて、またピック率がガタ落ちするなんて」
- 「じゃあ防衛オペレーターの倍率サイトはぜんぶ削除してみるか?ましな選択だろうけど、個人的にはむしろつまらない解決策だと思うな」
- 「1.5倍ってシューター系のデフォルトだと思ってるよ。スナイパーライフルはともかく、みんな使えるならACOGをつけて走ってるし。だから1.5倍サイトを全員に配ってみたらどうだろう」
- 「このゲームって既に防衛側が超有利だし、防衛全員に倍率サイトを与えたら誰も攻撃側でやりたくなくなるよ。スピード1の防衛オペレーターにだけ倍率サイトを配ってみたらどうだろう。『スピードを選ぶか、高倍率サイトを選ぶか』で興味深い選択になるよ」
1.5倍サイトを持っていても…
- 「その通り!スピード1のオペレーターにだけ与えても、ピック率は急上昇するだろう」
- 「Tachanka(タチャンカ)は1.5倍も2倍も持ってるけど、ピック率は高くないぞ」
- 「Tachankaのピック率は、ガジェットを改善すればまともになると思うぞ。現時点では(ガジェットを)使うときが遅くてぎこちない。リロード速度さえ上げてくれれば、2倍サイトつきの9x19VSNでバケモノになるよ」
キルしないと勝てないので
- 「オペレーターたちの強化や弱体化は、もっと武器よりもガジェットをベースにする必要がある」
- 「今の『コール オブ デューティ』(のように戦うのが流行っている)時代に何を期待してるんだ? 銃がすべてなんだよ」
- 「やっぱり武器がメインだよね。キルを取るための主な手段って武器だし、多くの人が武器に注目するのは理解できるよ。(強い武器を持てば)大した努力をせずに勝てるチャンスが手に入るんだ。全オペレーターが同じ武器を持っていればそういうことは無くなるだろうけど、そんな日は絶対来ないね」
倍率サイトを弱体化してみる?
- 「倍率サイトはADS速度を下げればいい。倍率が高いものほどADS速度も遅くするんだ」
- 「それが正解!気に入ったよ。現実世界や多くのハードコア・シューターみたいに、倍率サイトのADS速度はちょっと遅めにするべきだ。シージのプレイヤーっていつも『ヘッドショット1発キルはリアルだ』って言ってるけど、もっとリアルにしたらどうだろう」
他のサイトを見えやすくする?
- 「防衛側の全オペレーターに1.5倍サイトを配るか、もしくは等倍サイトを1.5倍サイトみたいに見やすくしよう。ほとんどの等倍サイトは視界を塞いでる範囲が広いし、1.5倍サイトの方が良いんだよ」
- 「多くのサイトを使おうとしても、見えなくなる範囲が広くて腹立つんだよな。画面の一部を確認できなくなる」
- 「1.5倍サイトのハコとレティクルだけ使った等倍サイトを作ればいいじゃないか(笑)。どうしてそうならないのか、ずっと不思議に思ってる」
- 「1.25倍サイトを作ったら?」
武器を変えるか、ガジェットを変えるか
「罠オペレーターであるThornの人気を上げるために、ガジェットではなく武器の方を強くするのは奇妙」というのは、コンテンツクリエーターのPenguをはじめ多くのプレイヤーから指摘されていたことです。
一方でRedditユーザーも指摘しているように、シージは多くの場合キルを取って勝つことが求められるゲームです。R6 Analystが紹介していた通り、「武器を強くすれば人気も上がる」という理屈もまた正しいことが分かります。
開発スタッフの目的は思惑通りに果たせそうですが、それでも「アタッチメントをオペレーター間でぐるぐる回すこと」そのものにうんざりしているプレイヤーもいるため難しいところです。日本のシージプレイヤーの皆さんは、Thornへの変更にどのような感想を抱かれたでしょうか。
レイザーブルームシェルも使おう
ちなみに、「1.5倍サイトを持ってるから」という理由で使われ始めているThornですが、固有ガジェットである「レイザーブルームシェル」も再評価される可能性があります。コンテンツクリエーターのBikiniBodhiは、現在のThornのポテンシャルに満足しているようです。
「みんな、Thornのトラップはまじで良いぞ。有刺鉄線、Fenrir(フェンリル)のガジェット2つ、Melusi(メルシ)やEla(エラ)のガジェット1つ、アメリカの軍事費のうち3分の1あれば、いつでもレーザーブルームシェルでキルが取れる」
他のガジェットと組み合わせることで、低コストで簡単にキルが取れることを主張したいようです。
シージは5v5のリスポーン不可ルールであるため、低コスト・低リスクでキルが取れるアイデアはいくらあっても困りません。確定キルが可能なThornの固有ガジェットも、1.5倍サイトをきっかけに改めて研究を進めておくことをおすすめします。
- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
Source: Twitter, Reddit
コメント
コメント一覧 (13件)
ブルームシェル、少なくともサイト中に置いとけば腐ることがほぼないし、キルできなくとも相手を後退させることが出来る時点で結構強いと思うんだけどな
バフ前でもこいつはアリバイと並んで使ってるくらいにはソロランのお供
この記事内で連射速度についての言及あった?
どういう意図のコメントなんだこれ
罠オペは撃ち合いが強い、みたいな個性と思えばこれで良い気もする
罠は必須のガジェットじゃないからこその調整とも思う
単体性能が微妙なだけで組み合わせで化けるタイプの固有ガジェットで不人気だっただけ
元々強い武器に1.5付けばそりゃな
そもそも各オペレーターで特徴がある以上全員が満遍なく使われること自体ありえないし誰もが納得する調整も存在しないから今のサイトでバランス取るのはむしろいい方策だと思ってる、確かに1.5倍は最強のサイトだけど著しくゲームを崩壊させるインパクトはない
ガジェットの極端なアッパー調整でBAN必須レベルのOPを生み出すよりはよっぽどマシ
今のシージが抱えるあらゆる問題の元凶は「マップが多すぎる」ってとこに終着すると思う
選ばれるマップ候補があまりに多すぎて、状況に合わせたガジェットの強い使い方を編み出して勝つっていうシージ特有の楽しさと成功体験が攻防共に中々得られない
特に防衛側からしたら攻撃のリピックが実装されたことも逆風
そんな環境だから、今のプレイヤー達が一番頼りにするのはとにかく強い銃(とアタッチメント)
だって強い銃はどんな状況でも強いもん
別に良くねって今は思ってる
工夫がないだけでこれでメタゲーム回ってくれるなら安いもんだよね
ゲームのデザイン的に倍率で調整するのは仕方ない 実際に大体のプレイヤーにとって撃ち合い力の強化になるのだから
thornは実際にガジェットが弱く強みが足りない中で撃ち合い力という強みを一つ得た
倍率の有る無しでプレイヤー評価が明確に変わってくるんだから調整の対象になるのはどうしようもない
特に防衛側は倍率の有無はかなり重要
流石にCoDは別ゲー過ぎて向うのものをこっちに持ってくるのは得策じゃない気がするなぁ
あとはプレイヤー的には没収される場合と与えられる場合を比較したら
印象として与えられる方が嬉しい訳だから
やるんなら全員に同じサイトつけられるようにするのが無難じゃないかな
あとは防衛/攻撃のバランスはマップを弄るのが一番汎用性に長けてる気がする
単発系はともかく連射速度の変更なんてやるくらいなら武器から変更するやろ普通