Respawn Entertainmentは『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』のランクマッチに関して、シーズン17の成果を振り返るブログを公開。システム変更後のデータを分析するとともに、シーズン18での変更・改善予定をまとめています。
エーペックス「シーズン17ランクマッチ」を振り返る
次回アップデート「シーズン18」に関する情報が待たれる中、エーペックス公式サイトではシーズン17「アーセナル」のランクマッチを総括するブログが公開されました。
ここでは公式ソースの貴重なデータが共有されているだけでなく、シーズン18に向けた変更予定もまとめられています。
今シーズンにおけるランクマッチの結論としては、主に獲得できるLPの量が多すぎたことが問題とされています。後述するランクの偏りや、マッチメイキングの不公平さもこの不当なLP量から影響を受けていました。
要約:シーズン17ランクマッチの課題とシーズン18の目標
- シーズン18に向けた目標:
- 平均的なプレイヤーがマスターになるペースを遅くする
- ランク最上位帯におけるマッチメイキングをより公平なものにする
- 現在の問題1:ラダーポイント(LP)が多く付与されすぎていた
- 改善策:
- マッチごとのLP獲得量を全体的に減少させる
- ダイヤ帯以上のプレイヤーは、敗北による影響やLPの損失が大きくなり、レートボーナスと敗北軽減が少なくなる
- プレイヤーのMMRに基づく排除ボーナスの最低増加率を追加し、排除ボーナス全般を増やす
- 現在の問題2:いわゆるラッティング(ハイド)が増加した
- 改善策:
- リングのタイミングを調整して、対戦中の交戦を増やす
- リングダメージを調整して、リング内でのプレイを促す
- いくつかのラッティング箇所を修正。その他の修正も後日実施予定
- 現在の問題3:ランク最上位帯におけるマッチングが不公平
- 改善策:LP獲得量の修正とともに改善予定
- 補足:シーズン17でマスターを獲得したプレイヤーが、その成果を取り消されることはない
シーズン17のランク分布と改善策
シーズン17ではこれまでのRP(ランクポイント)がLP(ラダーポイント)に代わり、いかに高い順位で対戦を終えるかが重視される仕組みになりました。
新システム導入後、シーズン17のランク分布(%)は画像のようになりました。これは、ランクマッチを5時間以上プレイしたプレイヤーのみのデータです。
青い点線で囲われた範囲に各ランクのプレイヤーがおさまる(=対数正規分布)のが目標ですが、見ての通りシーズン17ではマスター帯(紫色)のプレイヤー比率が突出しています。何がこうした結果を引き起こしたのでしょうか。
獲得LPが多すぎた
シーズン17ランクマッチでは、対戦後に獲得するLPの計算式も以前とは異なるものとなりました。しかしこれが不具合と合わさった結果、LPの獲得量が非常に多くなっていたとのことです。
マスター帯プレイヤーが激増した原因もここにあります。シーズン18では、不具合の修正とともに獲得LPの量が減らされることになります。
ボーナスが少なく、挑戦がしにくくなっていた
獲得LPが多く、ランクが上がりやすくなってしまったことは、「ボーナス」のシステムにも悪影響を与えていました。
自分の内部レート(MMR)に対してランクが早く上がっていく仕組みは、ランクとMMRの差が開きやすくなることを意味します。本来であれば自分よりMMRの高いプレイヤーを倒せば相応のボーナスが得られるはずですが、既にLPが十分高いためにボーナスも獲得しにくくなっていました。
シーズン18では、獲得LPを減少させつつ、自分のMMRを上げるための努力がより報われるようになります。具体的には、「MMRに基づいた、ボーナス制限に影響されない、最低限の排除ボーナスを追加。排除ボーナスそのものも少し引き上げられます」とのことです。
これにより、たとえ自分のLPが既に高くても、MMRが高い相手を倒したときのキルの価値が上がると思われます。また、キル自体の価値も少し上がるようです。しかし獲得LPの減少と合わせると、全体としては平均的なプレイヤーがマスターになるペースは遅くなります。
「クオリティの高い対戦」とは?
以下ではランクマッチにおける対戦のクオリティ、つまり「いかに公平かつ激しいランクマッチが楽しめたか」を評価するためのデータがいくつか紹介されています。
プレイの激しさを検出する指標として、まず「終盤まで生存しているプレイヤー数」というものが紹介されています。これは、「終盤まで残っているプレイヤーが多いほど白熱のクライマックスが見られる」という理屈に基づいたものです。
上のグラフは対戦開始後15分時点で生存しているプレイヤー数の推移で、確かにシーズン17開始後からは生存時間が総じて長くなったことが分かります。
これまではチームデスマッチ感覚でキルムーブを狙うことが、効率良くRPを稼ぐ手段でした。しかしシーズン17では「生き残りを優先して、なるべく高い順位で終える」ことも可能になりました。
このように生存プレイヤーが増えたことで、「エキサイティングなゲームの終盤を見ることができている」としています。シーズン17アップデートで評価できる点と言えるでしょう。
「ハイド」の分析と改善予定
しかしながら、キルよりも順位が重視されるようになったことで奇妙な光景も。わずか50試合、それもゼロキル・ゼロダメージでプレデターに辿り着くことが可能であると証明されてしまいました。
対戦中ひたすら交戦を避け、終盤まで隠れているような立ち回りは海外コミュニティで「ラッティング」と呼ばれています。日本のコミュニティでいう「ハイド」と意味するところは同じです。
終盤まで生存しているプレイヤーが増えた一方、上のグラフでは何もしていない時間も増えていることが確認されています。「交戦を避けて順位を上げる作戦」のうち誰でも再現可能なものがハイドしかないため、これは自然な結果とも言えます。
開発側としては、「エキサイティングなゲーム終盤が起きている中、いわゆるラッティングが増えている面においては改善の余地があります」とのことです。ランクのみならず競技シーンALGSでもハイドが増えていることから、今後はハイドをしづらくする方向で修正されます。
- シーズン18の焦点:
- リングのタイミングを調整して、対戦中の交戦を増やす
- リングダメージを調整して、リング内でのプレイを促す
- いくつかのラッティング箇所(ハイドポジ)を修正
- その他の修正も後日実施予定
「合計ダメージ数」から分かる対戦のクオリティ
対戦のクオリティを示す指標の1つとして、「1マッチ毎の合計ダメージ」というものも紹介されています。
スキルが同等なプレイヤー同士で集まったロビーなら、少数のチームだけがキルを稼がずに、互いに回復を挟みつつ撃ち合っているはず。つまり「対戦に参加した全プレイヤーの合計ダメージ量を見ることで対戦の公平性が分かる」というのはもっともな話です。
シーズン17開始時は、この「1マッチ毎の合計ダメージ」が上昇。つまり対戦のクオリティが上がっていました。しかし5月18日ごろからこれが減少。公平なマッチが少なくなりました。
これは前述した通り、獲得LPが多すぎて上のランク帯が渋滞してしまったことに原因があります。
これまでは「マッチメイキングはプレイヤーのMMRをベースに行っている」と説明されていましたが、今回は新たな事実が明かされました。厳密には、「プレイヤーのランクがそれに対応するMMRを上回っていた場合、MMRではなくLPをベースにマッチメイキングされる」仕組みになっているそうです。
この結果、たとえばマスター帯のロビーに「LPはマスターだがMMRはそれ以下」のプレイヤーが集まれるようになっていました。こうなるとやはり「LPもMMRもマスター」のプレイヤーが有利なはずで、彼らが暴れ回ることで対戦のクオリティは落ちることになります。
待ち時間が短ければ良いわけではない
対戦の良し悪しを決める要素として、キュー時間(待ち時間)も紹介されていました。
対戦が始まるまでの待ち時間は、短いほど良いと誰しも思うはず。しかし実際には、キュー時間が長いほど、自分とスキルが近いプレイヤーを時間をかけて集めていることを意味します。サーバーが盛況な時間帯はともかく、それ以外の時間ではちょっと長いマッチングの方がむしろ安心できると言えるでしょう。
現時点ではこのキュー時間が短く、「MMR外の相手とマッチする確率が高くなっている」と判断されています。キューの制限時間内にプレイヤーが見つからなければ、自分よりもはるかにMMRが高いプレイヤーたちが入ってきてしまうことになります。
最上位帯以外は公平なマッチングに
短いキュー時間でプレイヤーを集めきってしまうと、ロビーにいるプレイヤー間でのMMRの幅も広くなるはずです。
上のグラフは、プレイヤーのMMRとLPをベースに、1つの対戦に参加している「プレイヤーのMMRの幅広さ」を示しています(縦軸)。低いほどプレイヤー間のMMRの差が無く、公平な対戦になっていることを意味します。
ランク最上位帯では、集まったプレイヤーのMMRの差が大きく不公平な対戦になっていることが分かります。シーズン18ではマッチメイキングの改善も行われる予定です。しかし、最上位帯以外のランクは非常に安定しており、近いMMR同士でマッチできていることが分かります。マスター帯まで行ってしまったプレイヤー以外は、相応にやり甲斐のある対戦が楽しめたのではないでしょうか。
シーズン17の対戦クオリティまとめ
- 15分時点での生存プレイヤーが増え、終盤戦が白熱している
- ただしハイドが多く、改善が必要
- 対戦内の合計ダメージ数は上昇傾向にあったが、LP獲得量の問題もあり改善が必要
- キューの長さとMMRで見たときの公平さのバランスは、最上位帯では保たれていない
- 最上位帯以外ではバランスが保たれている
こうして振り返ると、対戦クオリティを保つ仕組みは改善されていることが分かります。しかし、やはり獲得LPの設定を誤ったことがすべてを台無しにしてしまったと言えそうです。
獲得LPが今後減少することは既に明言されているので、シーズン18のランクマッチでは一旦この部分による影響をチェックしていくことになるでしょう。
シーズン17で議論になったハイド作戦についても、獲得LPの減少がどう影響を与えるのか気になるところです。不要なリスクを避けるのはバトロワで勝つための必須テクニックではあるものの、ガンスキルを磨くべく戦いに行ったプレイヤーも同じように評価される環境になることが期待されます。
RedditでQ&Aイベント開催
『エーペックスレジェンズ』開発スタッフの皆さんがRedditの公式エーペックスサブレに登場。日本時間7月22日午前1時30分から3時30分まで、プレイヤーからの質問に答えてくれます。
会場は既に用意されており、英語のみですが誰でも質問の投稿が可能です。話題はランクマッチと今回掲載された開発ブログの内容に限定されているものの、既に500件以上のコメントが寄せられています。
「ランク参加費は変える?」、「ハイドを通報する機能はつける?」、「ランクマ報酬を変える計画はある?」など、ぜひ答えを聞きたい質問も多く見られます。
エーペックスサブレにおける久しぶりのAMA(「何でも聞いてね」という意味)イベントなので、今回も大盛況が予想されます。ランクマッチについて開発陣からどんな話が聞けるのか、今から注目しておきましょう。
なお2022年9月に開催されたAMAは、こちらの記事でご確認ください(レジェンド編、武器編)。
Source: Apex Legends Official
コメント
コメント一覧 (3件)
バランス調整や新要素はともかくランクに関しては良かった点が見当たらない
マジで1つもない
まぁ考え方よね
このゲームのランクマスターまでいったら他ゲーやる時間が今シーズンたくさん取れてフレと色々できたのは良かった
5キル10キルしてもボーナス入らないとかそりゃ辞める人も増えるしハイドも増えて当然だよ。
銃声鳴らして戦闘するリスクに対して旨みが全然ないんだもん。