日本の札幌「大和ハウス プレミストドーム(旧札幌ドーム)」を舞台とした『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』世界大会ALGS YEAR 4 チャンピオンシップ。最終日である2月2日には、出場40チームのうち残り20チームが激突する「マッチポイント・ファイナル」が実施された。
9ラウンドにもわたる熱戦をくぐり抜け、年間チャンピオンに戴冠したのは、EMEAリージョン(ヨーロッパ・中東・アフリカ)のギリシャチームGoNext Esports。彼らは多くの予想を覆した見事な勝利で、賞金60万ドル(約9,300万円)を獲得した。
『APEX』ALGS YEAR 4 チャンピオンシップ完結、優勝はGoNext
- ALGS YEAR 4 チャンピオンシップ最終結果
- 優勝:GoNext Esports
- 2位:Alliance
- 3位:Team Falcons
- 4位:Shopify Rebellion
- 5位:Virtus.pro
- 6位:Complexity
- 7位:Luminosity Gaming
- 8位:FURIA Esports
- 9位:VK Gaming
- 10位:Fnatic
- 11位:Aurora Gaming
- 12位:Guild Esports
- 13位:TSM
- 14位:ENVY
- 15位:ENTER FORCE.36
- 16位:EXO Clan
- 17位:Team Liquid
- 18位:Noctem Esports
- 19位:Team Burger
- 20位:Gaimin Gladiators
- GHS Professionalは22位、Crazy Raccoonは27位、REIGNITEは37位、Meteorは40位
2月2日に行われた「マッチポイント・ファイナル」は、ALGSならではの特殊ルール。20チームが各ラウンドでの戦いを通じてポイントを獲得していくのはこれまでと同様だが、50ポイントに達したチームは「マッチポイント」を獲得する。そして、マッチポイント50以上の状態で以降のラウンドのチャンピオンになることで、世界王者として認められるしくみだ。
つまり、たとえ最初にマッチポイントを獲ったチームでも、他のチームが優勝を阻み続ければ試合は続き、どのチームにも逆転優勝のチャンスが残る。札幌で行われたチャンピオンシップ最終日でも、9ラウンドにおよぶ大激闘が繰り広げられた。
ラウンド5の時点で、まずAllianceとFalconsがマッチポイントを獲得。続くラウンド6で勝てば世界チャンピオンだったが、当然のようにここから混戦模様が深まっていてく。ラウンド6ではShopifyRebellionが追い上げ。第7ラウンドではGoNextが1位になり、この時点で日本チームFNATICを含めた6チームがマッチポイントを獲得した。
いよいよ決着かと思われたラウンド8では、韓国選手たちからなるENTER FORCE.36が競り勝ち、チャンピオン決定は持ち越し。計9チームがマッチポイントを獲得した状態となり会場を大いにわかせた。
ラウンド9。中盤までにFalconsとFuriaが脱落するなどして、残りは10チームに。Allianceは最後に残っていたHakis選手が倒れ、気が付くと残り5チームとなった。この時点で、VK GAMING、GoNext、Luminosity Gaming(LG)に、このラウンドでの優勝可能性が残された。その後Auroraに対して勝負に出たVKが敗れ、試合はLG、Virtus、GoNextの三つどもえに。
Virtusが勝てばラウンド10へと持ち越されていたが、札幌での熱い戦いもここで終わりを迎えた。ジブラルタル+ニューキャッスルのピックが中心の大会環境だったが、このラウンドでGoNextは3人目にカタリストを採用。フェロバリケードを使った土壇場でのエリアコントロールがうまく機能した。
最後のキルは、GoNextのzhidan選手が執念でもぎとった。この瞬間、EMEAリージョンに初の世界チャンピオンが誕生した。
年度の世界チャンピオンはこれまでDarkZeroとTSMの北米チームが独占していたが、2024年度はヨーロッパチームが初タイトルを獲得。2位のAllianceも含めると、ヨーロッパ勢がワンツー・フィニッシュを遂げたことになる。日本で開催された初のチャンピオンシップだったことはもちろん、今後イヤー5に向けて、世界でのエーペックスがさらに激しさを増すことを感じさせる、記念すべき大会だったと言えるだろう。
欧米との時差にも関わらず、世界中から54万人が視聴
オンラインでの配信視聴者数も良好だった。Esports Chartsによると、最大同接数は540,364人。平均で175,742人もの視聴者が試合に見入っていたという。
なお、2023年のチャンピオンシップと比べると20%低い数字とのこと。しかし、この点についてApex Legends Newsのリプ欄には、あくまで時差が原因との指摘が非常に多く寄せられている。
日本とアジア圏のファンにとっては、かつてなく見やすい時間帯でのチャンピオンシップだった。しかしeスポーツの盛んな欧米圏の人々は、今回その逆の立場に。「見たかったけど夜通しになるのは...」と残念がっている。
ALGSは「イヤー5」へ突入、レジェンドBANルール導入
札幌でのチャンピオンシップは完結したが、『エーペックスレジェンズ』eスポーツ界のドラマは終わらない。大会の引けでは、2025年度の競技シーン「イヤー5」について先行情報が発表された。
まず、2月22日からは早くもプレシーズン予選が開幕。既にALGS公式サイトにてエントリーが始まっている。
さらに、オフライン大会「ALGS OPEN」が開催決定。160チームが、100万ドル(約1.5億円)の賞金総額をめぐり、ダブルエリミネーション形式で対戦する。
その他にも、「リージョンの再編成(※APACは影響なし)」、「賞金配分の見直し」、「POIドラフトルールを予選などにも導入」、「ブロークンムーンの採用」など、多くの変更が見られる。
とりわけ興味深いのが「レジェンドBAN」の導入。これは、特定のレジェンドをピック禁止にするという新ルールだ。
- プロリーグ、プロリーグ予選、LCQ(最終予選)、すべてのオフライン大会でこのルールが採用される
- 各シリーズの初戦は、全レジェンドがピック可能
- 各試合の後、「最も多くのチームにピックされていたレジェンド」をBAN。シリーズの残りの試合でピック不可能に
- シリーズ中、1つのクラスのレジェンド全員がBANされてしまった場合は、BAN期間が最も長いレジェンドが再選択可能になる
個性豊かなレジェンドたちが多彩なアビリティで激突するエーペックスだが、「最後まで勝ち残る」ルールにおける最適な作戦を考えていくと、世界のどんなチームも似たような結論に行き着くのか、ピックが偏りがちだ。
今回の札幌チャンピオンシップでも、ジブラルタルとニューキャッスルが90%以上のピック率を記録した(Apex Legends Statusより)。しかしイヤー5のレジェンドBANにより、今大会のようにそこら中"かまくら"だらけという光景は少なくなるだろう(そもそも新シーズンでまったく違う環境になる可能性もある)。
編成の第一候補が使えなくなった後にどうするか、各チームの研究力が問われることになり、視聴者にとっても面白い変化が見られるだろう。発表されたシーズン24「テイクオーバー」の詳細も含め、2025年も引き続き『エーペックスレジェンズ』に注目していこう。
Source: YouTube, ALGS Official
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