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レビュー:『マーベル・ライバルズ』がRazerの振動チェアシート+振動ヘッドセットに対応! そのプレイ感は?購入する価値は?

レビュー:『マーベル・ライバルズ』がRazerの振動ヘッドセット+振動チェアーに対応! そのプレイ感は?
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人気ヒーローシューター『Marvel Rivals(マーベル・ライバルズ)』は、最新アップデートであるシーズン2「Hellfire Gala(地獄の晩餐会)」において、Razer社の先進的な触覚技術「Razer Sensa HD ハプティクス」に対応した(公式特設サイト)。これはPSコントローラーのように、ゲーム内の出来事をリアルな触感・振動としてプレイヤーに伝え、没入感を高めてくれる技術だ。

今回『マーベル・ライバルズ』を通じて、Razer Sensa HD技術を搭載した主要な3つのデバイス、ゲーミングクッション「Razer Freyja」ワイヤレスヘッドセット「Razer Kraken V4 Pro」、そしてゲーミングコントローラー「Razer Wolverine V3 Pro」の“触感3兄弟”を試遊することができた。

これらのデバイスを使用することで『マーベル・ライバルズ』などのRazer Sensa HD技術対応ゲームでは、予想以上の臨場感と没入感をもたらしてくれた。ただし、いくつかの気になる点も散見された。本記事では、各デバイスの性能や使用感を詳しくレビューし、その価値を探っていく。

CONTENTS

Razer Sensa HD ハプティクス技術とは?

そもそも「Razer Sensa HD ハプティクス」とは、単なる振動機能に留まらず、より高度で繊細な触覚フィードバックを提供するために設計された“体感”特化のマルチデバイス統合技術だ。

身近な例で言えば、PlayStation 5のDualSenseコントローラーが実現したニュアンスに富んだリアルな触覚表現を、ヘッドセットやチェアクッションへと拡張し、更にはライティングも可能、といったイメージだ。その主な特徴は以下の通り。

  • 高精細ハプティックフィードバック:対応ゲームでは、攻撃の反動、キャラクターの特殊能力、移動、環境音といったゲーム内イベントやプレイヤーの操作に連動し、リアルタイムで精密な振動を生成・伝達する。約600種類とされる膨大な振動パターンにより、ゲーム世界への没入を深めてくれる。
  • オーディオ信号からのリアルタイム触覚変換: ネイティブ対応していないゲームタイトルや、音楽、映画といった一般的なオーディオコンテンツに対しても、その音声信号を解析し、触覚フィードバック(振動)へとリアルタイムで変換。ネイティブ対応比では振動の精度や表現の多様性は限定的となる。
  • Chroma RGBとの連携:Razer Chroma対応デバイスでは、ゲーム内の状況や特定のアクションに応じてRGBライティングが変化する。これにより触覚だけでなく視覚を通じたフィードバックも提供され、総合的な没入体験を強化する。
  • 統合管理システム (Razer Synapse / Chroma):Sensa HD対応デバイスは、Razerの統合ソフトウェア「Razer Synapse 4」と「Razer Chroma」を通じて一元的に管理される。これにより、個々のデバイス設定のカスタマイズや、複数のデバイス間での同期したハプティック・ライティング効果の実現が可能となる。

『マーベル・ライバルズ』に没入するための準備

『マーベル・ライバルズ』でRazer Sensa HDおよびChroma連携機能を有効化するには、以下の手順を実行しよう。

『マーベル・ライバルズ』起動前のオプション
「Razer Chroma / Sensa を有効にする」をONにしよう!
  1. PCに「Razer Synapse 4」と「Razer Chroma」アプリをインストール or 両ソフトウェアが最新バージョンであることを確認。
  2. 『マーベル・ライバルズ』のゲームランチャー(起動前の設定画面)で、設定メニュー内の「Razer Chroma / Sensa を有効にする」をオンにする(デフォルトではオフ)。
  3. Razer Chromaアプリを起動し、ハプティクスのソースとして「Sensa HD Games」を選択。この設定をしていないと、せっかくの高品質なネイティブのハプティクスが機能してくれない。

筆者は「なぜか振動しない沼」にハマったが、その場合はアプリ→ゲーム→PCを順番に再起動してみよう。そして『マーベル・ライバルズ』ランチャーとRazer Chromaの設定を終わらせたあとに『マーベル・ライバルズ』を起動すると、無事に振動ブラザースが動き出した。

Razer Sensa HD対応デバイス 3製品詳細レビュー

今回『マーベル・ライバルズ』をはじめ、映像・音楽でも試用した触感3兄弟について、それぞれの仕様、機能、使用感、そしてSensa HDハプティクス体験を個別にレビューしていこう。

1. 振動ゲーミングクッション「Razer Freyja」─“まるで椅子型4Dシアター”

様々なチェアにも設置できるRazer Freyja

製品概要:背中から太ももまで、広範囲をカバーする振動

Razer Freyjaは、既存のゲーミングチェアやオフィスチェアに取り付けて使用するクッション型デバイスだ。内部に6基の高精度触覚モーター(アクチュエーター)を内蔵し、背中から大腿部にかけて多方向からの多彩なタイプの振動(ハプティックフィードバック)を提供する、世界初のHDハプティクス対応ゲーミングクッション。「Wolverine V3 Pro」のような振動コントローラーに多くのゲーマーが慣れ親しんでいることを除けば、「Freyja」は今回試遊した3製品の中で最も「触覚」を感じられるデバイスだ。

設置と使用感:手軽さと注意点

調節可能なストラップにより、多くのチェアに容易に取り付けが可能だ。設置自体は、電源ケーブルをコンセントに刺して、本体の電源を入れるだけで完了。クッション性は良好で、標準的なチェアの座り心地を損なうことは少ないが、クッションの厚みにより座面高が若干上がる点と、長時間の使用では蒸れを感じるかもしれない。耐荷重は約136kg。

振動体験:ゲーム・映像・音楽に新たな没入感

実際に使用してみると、「Freyja」は試用した3製品の中で最も広範囲かつパワフルな振動を提供してくれた。高精細な触覚フィードバックがゲームはもちろん、映画や音楽鑑賞においても没入感を高め、これまでにない新しい価値を与えてくれることは間違いないだろう(詳細後述)。振動の強度は、ソフトウェア(Razer Synapse)上で一括、またはモーターごとに個別で調整可能となっている。

一括か、個別でも振動強度を変更可能

気になる点:ソフトウェアの安定性と配線の課題

一方で、まだ新しい技術ということもありいくつかの課題も見られた。

  • 動作の不安定さ:Sensa HDネイティブモードが意図通りに機能しない、Windowsの音量をミュートにしても振動が続く(バックグラウンドでゲームが起動している場合など)、試合が終わったのに激しい振動が続くなど、まだ不安定な挙動が散見された。まあこれはアップデートで解消されていくはずだ。
  • 常時電源接続と配線:動作には常時AC電源からの給電が必要となる。付属の電源ケーブル長は標準的だが、設置環境によっては短く感じられる可能性があり、延長コードが必要になる場合もあるだろう。床にケーブルが増えることに対する煩わしいが、ケーブルを足に引っかけて容易に抜ける仕様なのは評価できる(実際何度も引っ掛けてしまったが、安全に抜けた)。

まとめ:価格と安定性がネックだが、体験は魅力的

Freyjaは、身体全体で感じるハプティクスという新しい体験を手軽に体感できる意欲的な製品だ。特に対応ゲームにおける没入感向上効果は大きい。

しかし、現状ではソフトウェア・ハードウェア双方の安定性、新たなコンセント、そして約5.1万円(税込)という価格が導入を検討する上での懸念点となる。新技術に関心が高く、特定の用途での利用を想定しているユーザーにとっては検討の価値があるだろう。

Razer Freyja
メリット
  • 背と太ももへの振動で、手軽に没入感UP!(映画や音楽でも使用可)
  • コントローラー以外にも振動を広げるチャレンジ精神!
  • どんなチェアにも簡単に取り付け可能
デメリット
  • 導入ハードルが高い(価格・コンセント・電気代)
  • 有線なのにコードが短い
  • 挙動がまだ不安定
  • 長時間は蒸れる

2. 触感フィードバック付きヘッドセット「Razer Kraken V4 Pro」“全部入りで少し惜しいフラッグシップ”

Razer Kraken V4 Pro

Kraken V4 Proは、Razerの主力ヘッドセットシリーズ「Kraken」の第4世代における最上位モデル。左右のイヤーカップ内部にSensa HD対応のハプティックドライバーを搭載し、オーディオ信号と同期した振動も提供する。Kraken V4(非Pro)との主な違いは、Sensa HD対応、有線3.5mm接続の追加、2.4GHzワイヤレスとBluetoothの同時接続・音声ミックス機能などとなっている。

イヤーカップにはプロテインレザーレット素材とメモリーフォームが採用され、密閉型ながら装着感は良好。しっかりホールドしてくれるため、実重量(397g)よりは少し軽く感じられた。

装着感とデザイン:快適性と多機能性

9ゾーンのChroma RGBライティング、超低遅延のRazer HyperSpeed 2.4GHzワイヤレス、Bluetooth 5.2、USB Type-C(充電兼有線接続)、3.5mmアナログ接続と、極めて多彩な接続オプションを持つ。

特筆すべきは付属の「OLEDコントロールハブ」で、これによりPC/コンソールとの接続管理、音源ミックス、EQ設定、Sensa強度調整などをソフトウェアを介さずに手元で行える。ハブのディスプレイにはGIFアニメーションやシステム情報(CPU温度など)、バッテリー残量等を表示可能だ。

付属のOLEDコントロールハブ

高級感があってデザインも最高! これさえあれば、ソフトウエアの操作なしで手元で操作したりシステム情報などを確認できるほか、見ているYoutube動画のタイトルも表示されてちょっと楽しい。ただ必要ポートが増えるので、どうせならASTRO A50 Xのように充電かつ置き場所にできるステーションにするなどの工夫があれば更に良かった。

うれしいのは本体のボタンのみでもハプティクスの強度調整やイコライザーが選択でき、音声だけではなくモニターへのテキスト表示もしてくれること。ボーっとしていても目と耳で理解できるのでとてもわかりやすい。

音声 + モニター右下に変更状態を通知してくれる(ただし表示が消えないバグあり)

Kraken V4 Proのバッテリー持続時間は、ハプティクスおよびライティングをオフにした状態で最大50時間、両方をオンにした場合は最大13時間と公表されている。ライティングは装着時には見えないため、オフにしたほうが実用的だろう。

オーディオ体験:良好なサウンドと定位感、迫力の振動

Razer Kraken V4 Pro
Razer Kraken V4 Pro

ドライバーには40mmのTriForceバイオセルロース振動板を採用し、THX Spatial Audioによる7.1chバーチャルサラウンドにも対応。これにより、ゲーム内での音の方向や距離感(定位感)は、通常のステレオ再生と比較して明瞭に感じられた。Sensa HDによるハプティクス機能は、特に爆発音や重低音が強調される戦争映画や音楽コンテンツで迫力を増し、没入感を高めてくれた。

今回のレビュー内容とはあまり関係ないが、自分が好きな芸能山城組のAKIRAリミクッスを「Razer Freyja」+「Razer Kraken V4 Pro」で味わうと、とんでもなくぶち上がった。

最大の懸念点:価格に見合わないマイク品質

マ格納式のRazer HyperClear超広帯域マイクの品質については、約6.8万円という価格帯を考慮すると、期待を大きく下回る水準だった。同社のeスポーツモデル「BlackShark V2 Pro(BlackShark V2 Proレビュー記事)」等と比較しても、明瞭さに欠け、ノイズも乗りやすい印象を受けた。同様にマイクモニタリング(サイドトーン)機能使用時の音質も良好とは言えなかった。ここは非常に残念なポイントだ。

まとめ:多機能だが弱点も明確。用途を選ぶデバイス

Razer Kraken V4 Proは、高精細なハプティクス、豊富な接続性、便利なコントロールハブなど、多くの先進機能を詰め込んだ意欲的なヘッドセットだ。特に対応ゲームや音楽、映画など、聴覚と触覚を組み合わせた没入感の高い体験を提供してくれる。先にレビューした「Razer Freyja」と組み合わせれば、さらに強烈な「ぶち上がる」体験が可能となっている。

しかし、フラッグシップモデルとしてはマイク品質が明らかに力不足であり、ソフトウェアの安定性にも不安が残ってしまう。高価格帯であることも考慮すると、マイク性能を重視するユーザーや、ボイスチャットを多用するゲーマーには推奨しにくい。

一方で、そこまでマイク品質にはこだわらず、純粋に音と振動による没入感を最大限に楽しみたいユーザーにとっては、検討に値するユニークな選択肢となるだろう。お気に入りのゲーム・映画・音楽で、そのポテンシャルを体験してみる価値は充分にある

Razer Kraken V4 Pro
メリット
  • Razer Sensa HD ハプティクスで没入感UP
  • PC・スマホ・コンソール対応
  • OLED コントロールハブ付属(最大3つの入力ソース対応)
  • OLED コントロールハブのアニメーション
  • 最大50時間のバッテリー
  • 手元でハプティクス強度も変更可!
デメリット
  • マイク音質
  • 値段
  • 「振動音」が競技系シューターには合わないかも
  • ハプティクス+ライティングは最大13時間のバッテリー
  • 製品名:Razer Kraken V4 Pro(レイザー クラーケン ブイフォー プロ)
  • 対応プラットフォーム:PC, Mac, PlayStation, Nintendo Switch, Steam Deck, Android, iOS
  • Amazon価格67,300円(税

3. 触感ゲーミングコントローラー「Razer Wolverine V3 Pro」“パッド勢の終着駅”

Razer  Wolverine V3 Pro
Razer Wolverine V3 Pro

Razerが「eスポーツコントローラーの決定版」と謳うだけあって、スティック摩耗防止付きの「ホールエフェクト高精度親指スティック」やラピットトリガー「Razer Pro HyperTrigger」、6つの割り当て可能なマルチファンクションボタンなど、主要な最新機能は網羅。今回の焦点であるRazer Sensa HDに対応しているコントローラーはこのWolverine V3 Pro」のみとなる。こちらも購入タイミングによってはファームウェアの更新(v2.00)が必要かもしれないので、公式サイトから導入しよう。


本体表面はグリップ力を高めるため、ザラザラとしたテクスチャ加工が施されている。コントローラー全体の重量、ボタンやスティックの配置、背面に配置された4つの追加パドルボタンの操作性は、多くのユーザーにとって良好と感じられるであろうレベルに仕上がっている。

一度持てばわかるしっくり感がすごい

筆者は6種以上のコントローラーを所持しているが、持ちやすさ、押しやすさ、重量バランスなど、Wolverine V3 Pro」が現状最も好みだ。サイズ感も日本人の手にマッチしているように感じる。

忖度抜きで今は一番好き

Razer Synapse を通じて、ラピッドトリガー、ボタンマッピング、振動強度、自動電源オフなどを詳細にカスタマイズ可能だ。価格は3.5万円と安くはないが、PC/Xboxで高品質なコントローラー体験を求めるユーザーにとっては有力な選択肢となるだろう。

Razer Wolverine V3 Pro
メリット
  • サイズ感・重量・重量バランス
  • 押しやすい背面ボタン
  • Wolverine V2 Proから大きく進化
デメリット
  • PlayStationには非対応
  • 製品名:Razer Wolverine V3 Pro(ウルヴァリン ブイスリー プロ)
  • 対象プラットフォーム:PC (Windows), Xbox Series X|S, Xbox One
  • Amazon価格34,980円(税込)

『マーベル・ライバルズ』でSensa HD体験!没入感と実用性の狭間

『マーベル・ライバルズ』が「Razer Sensa HD ハプティクス」技術に対応

実際にゲーミングクッション「Razer Freyja」、ワイヤレスヘッドセット「Razer Kraken V4 Pro」、ゲーミングコントローラー「Razer Wolverine V3 Pro」の3つの触感デバイスブラザーズを組み合わせて『マーベル・ライバルズ』を「体感」してみた。

『マーベル・ライバルズ』はRazer Sensa HDにネイティブ対応を果たし、なんとすべてのキャラクターにエフェクトが割り当てられている。以下は一例で、固有のアクションに応じた多彩なハプティックフィードバックを提供してくれる。

  • ハルク: 変身時に身体の左側から右側へとパワーが移動・増幅するような振動。
  • アイアンマン:リパルサーレイのチャージ(微細な振動)、発射(全身への強い衝撃)、飛行時の推進力など。
  • ブラックパンサー:特殊能力発動時のダッシュ感や、爪による攻撃の鋭さ。
左腕なら左側だけが震え、全体に力がみなぎり強く振動

結論から言うと、『マーベル・ライバルズ』での攻撃や移動、スキルなどなどが物理的な振動として身体に直接伝わる感覚は予想以上に多彩な振動で、「没入感」「一体感」がとんでもなく向上する。単なるパワーの強弱だけでなく、運動エネルギーの方向やエネルギーの質感さえ感じさせるような、情報量の多い触覚表現を味わえる。体験前は「5万円はさすがに高い!」と感じていたが、「アリ!」に意見が変化してしまった。

分かりやすい例を、筆者愛用のパニッシャーを使って紹介しよう。

  • 通常攻撃:
    • 近接:全体に鈍い振動がブルブル
    • 審判者(オートライフル):背中と足に鈍い振動
    • ターミネーター(ショットガン):足、背中の順に素早く振動
  • スキル:
    • 最終判決(アルティメットのガトリング+ミサイル):ムダに強い振動ではなく、まさに全身でぶっ放しているような感覚
    • ハンター・チェイス(ワイヤーロープ):これが気持ちいい!「ブッ!ブーーウウン!」と駆け上る感覚は何度も味わいたくなる
    • ハンター機関銃タレット(搭乗型高火力タレット):設置時にまさにタレットを展開しているように太ももに振動が伝わり、設置完了後は全身で射撃を体感
    • スカージ・グレネード(煙幕):一瞬で、足と背中に鈍い爆発が連続し耳にも手にも伝わる

基本的に強力な攻撃を繰り出すと、最初は「Freyja」だけに感じられた振動が「Razer Kraken V4 Pro」と「Razer Wolverine V3 Pro」など全身に広がるイメージ。ゲーム世界との繋がりを確かに感じさせ、プレイの「楽しさ」を増幅しくれた。特に足と背中への直接的な衝撃は、これまでのゲーム体験にはなかった感覚をもたらしてくれる。

ヘッドセットの「Razer Kraken V4 Pro」は「上半身」の代わりのようなイメージで、「Razer Wolverine V3 Pro」はもちろん「手」。3つのSensa HD対応デバイスを連携させることで、より包括的な触覚体験を味わえる。臨場感を始め、キャラクターとの一体感、迫力、緊張感、楽しさは間違いなくアップする。他では得難いクールな体験だ。

トップの「カスタマイズ」画面でハプティクスの振動強度を変更できる

また、シングルプレイヤー中心のアクションゲーム、雰囲気重視のホラーゲーム、あるいはレースやフライトシミュレーターといったジャンルでは、Sensa HDの恩恵をより純粋に享受できそうだ。

Razer Sensa HD ハプティクス製品群の長所と短所

これまでのレビューと海外での評価を総合し、Razer Sensa HD技術および対応製品群の全体的な長所と短所を以下にまとめる。

  • メリット
    • 没入感の質的向上:ゲーム内の出来事を「体感」することで得られる臨場感は、従来の視覚・聴覚情報だけでは得難いレベルに達する可能性がある。
    • 高精細・多方向のフィードバック:対応コンテンツにおいては、単なる強弱だけでなく、方向や質感を感じさせるような、情報量の多い触覚表現が可能。
    • 汎用性の高さ (オーディオ連動): ネイティブ対応していないゲームや、映画・音楽など、幅広いコンテンツでハプティクス効果を利用できる点は大きな利点。
    • エコシステムによる拡張性: 複数のSensa HD対応デバイスを連携させることで、より包括的な触覚体験を構築できる。
    • 製品自体の品質 (一部除く):デバイスの物理的な作り込みやデザイン、快適性(例: Freyjaのクッション性、Wolverine V3 Proの操作性)は、Razer製品らしい水準を保っている部分が多い。
  • デメリット
    • 高価格帯:対応デバイスはいずれも市場の同カテゴリ製品と比較して高価で、導入コストが高い。
    • ソフトウェアが未成熟:Razer Synapse/Chromaソフトウェアの操作性、設定の煩雑さ、時折見られる不安定な動作やバグなどはまだまだ改善の余地あり。未だにファームウェア更新がアプリ内から行えない点なども、改善が望まれる。
    • 物理的・運用上の制約:Freyjaの電源ケーブルや長さ、Kraken V4 Proのハプティクスバッテリー持続時間など、設置や運用面には少し制約がある。
    • チューニングの難しさ:最適な設定を見つけるのが難しい場合があり、会話シーンなどで意図せず過剰に反応することも。強すぎる振動は、疲労やランクなどでの集中阻害の原因にもなる場合も。
    • プラットフォームの限定:FreyjaがPC/Androidのみ対応であるなど、製品によっては対応プラットフォームが限られており、全てのゲーマーが利用できるわけではない。

総評:Razer Sensa HD搭載デバイスは「買い」か?

スーパー触覚ブラザース

Razer Sensa HD技術とそれを搭載したデバイス群は、ゲーミングにおける没入感を新たなレベルへ引き上げてくれる、意欲的な製品であることは間違いない。さすがに風や水まで出てくる「4DX®デジタルシアター」並とはいかないが、自宅でこれだけの没入感を得られるなら充分だろう。

Razer Sensa HDは既存の特定のデバイス形態(コントローラー、ベストなど)に限定せず、ヘッドセット、チェアクッション、コントローラーといった複数のゲーミング周辺機器に、統一されたハプティクス技術を展開し、PCゲーミングを中心とした「触覚エコシステム」を構築しようとしている点が最大の特徴だ。ネイティブ対応とオーディオ連動の両方をサポートすることで、汎用性も確保しようとしている。

市場全体としては、ハプティクスはまだニッチな領域であるが、Razerは2018年のHyperSense構想発表、2022年のInterhaptics社買収などを通じて、この分野への投資を強化しており、市場を開拓・リードしようとする意図が明確である。ある意味、今年2025年は“触覚3.0”元年とも言えそうだ。

  • 触覚1.0:2000年代初頭の単純バイブレーション(PS2/初代Xbox)
  • 触覚2.0:2020年のSony DualSense&スマホLRA。振動に“方向”と“粒度”が宿る。
  • 触覚3.0:2023年RazerがInterhapticsを買収 、2024年Sensa HD SDK公開、2025年3月『マーヴェル・ライバルズ』ネイティブ対応。

没入感を求めるなら、今回試遊した『マーベル・ライバルズ』以外にも、シングルプレイヤーキャンペーンやレースゲーム、ホラーゲームだとさらにマッチしそうだ。対応リスト(公式サイト)を見ると、有名タイトルへの対応を進めているようだが、やはりレースゲームも目立っている。

『ホグワーツ・レガシー』や『FINAL FANTASY XVI』で魔法を使う感触は楽しそうで、『SILENT HILL 2』は心臓が止まるほどの恐怖を味わえそうだ。

  • 購入を検討すべきゲーマー
    • 最新技術にいち早く触れたいアーリーアダプター。
    • 特定のジャンル(対応ゲーム、映像、音楽)での没入感を最優先し、予算に十分な余裕があるユーザー。
    • PC/Xbox環境で高性能なコントローラーを求めているユーザー(Wolverine V3 Pro)。
  • 検討に値するゲーマー
    • 対応ゲームを主にプレイするユーザー。
    • 価格や現状の課題(ソフトウェア、マイク等)を理解し、許容できるユーザー。
  • 導入を見送る、または待機すべきゲーマー
    • 競技性の高いゲームでのパフォーマンス向上を目的とするユーザー。
    • コストパフォーマンスを重視するユーザー。
    • マイク品質を求めるユーザー(Razer Kraken V4 Pro)。
    • ソフトウェアの安定性向上や、ネイティブ対応タイトルの充実を待ちたいユーザー。

総じて、Razer Sensa HD対応の触感3兄弟は「革新的で楽しい体験はできたが、一部はまだ発展途上」という段階にある。その体験はユニークで魅力的である一方、万人に推奨できる完成度や価格設定には至っていない。

とはいえ、Razerのゲーミングキーボードやマウスパッドなどとライティングも連動すれば、さらに没入度が高まるだろう。将来的なソフトウェアアップデート、対応コンテンツの増加、Razerエコシステムの進化や次世代モデルにも期待したい製品群となっている。

IDC調査によれば、ゲーミングハプティクス周辺機器の2024年世界売上は前年比+138 %。2028年には30億USD市場に成長すると予測されている。今後は、マルチデバイス統合がキーワードとなるだろう。

なお東京・秋葉原のTsukumo eXにて、Sensa HD ハプティス体験ブースが設置されているとのこと。百聞は一見にしかずなので、興味のある方はぜひ体験してほしい。

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