Ubisoftの『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』eスポーツ競技シーンでは、12月1日のイベント「FPS Day 2024」における注目のプログラムとして、国際大会「APAC Cup」を開催。アジアの4チームが東京・新宿を舞台にオフライン環境で激突した。決勝では、日本チームCAG Osakaが東南アジアのORGLESSとの戦いをマップスコア2-0で制し、大観衆の前で見事に優勝をおさめた。
この記事では、「FPS Day 2024」における「APAC Cup」の模様をお届け。
『R6S』APAC CUP完結!優勝はCAG Osaka
「FPS Day 2024」で行われた、アジア4チームによる「APAC Cup」の結果は以下のとおり。
- 準決勝1:Gaimin Gladiators vs ORGLESS(0-2)
- 準決勝2:CAG Osaka vs BNK FearX(2-0)
- 決勝:ORGLESS vs CAG Osaka(0-2)
BO3による3試合の激闘を経て、日本チームCAG Osakaが優勝。東京・新宿に集まった大観衆の前で「APAC Cup」の優勝トロフィーを掲げ上げることに成功した。
日本では、昨年8月の「X-MOMENT Rainbow Six Japan Invitational 2023 FINAL」のように、海外チームを招いての国際トーナメントが過去にも行われてきた。今回はホームである日本チームがタイトルを獲得。年末年始にわたって開催されるインビテーショナル予選(後述)に向け、期待の高まる内容・結果だったと言えるだろう。
個人賞であるMVPには、南北アジアそれぞれ1名ずつ選出された。北からはCAGのAnitun選手が、南からはORGLESSのLeadr選手がそれぞれ大会での傑出したパフォーマンスを讃えられた。
なお、この「APAC Cup」は、UbisoftによるFPSの祭典「FPS Day 2024」内に組み込まれたトーナメント。「FPS Day 2024」については、こちらの記事を参照。
1年ぶりの国内オフラインが開幕
2023年8月以来となった日本でのオフライントーナメント。国内予選を勝ち上がって出場を果たしたCAGは、まず準決勝で、韓国チームFearXと対戦することになった。
第1マップ「山荘」では、ますます磨きのかかった少人数戦の強さを活かしてリードするCAG。しかしFearXもNova選手ら韓国の経験豊富なプレイヤーらに押され、前半を2-4とリードされる。
防衛にまわってからは逆転開始。Shironeko選手が単独で守り切る活躍などを挟みも5-4とスコアをひっくり返す。素早くタイムアウトを選んだFearXだったが、第12ラウンドではChibisu選手がエントリー勝負で決定的な差を作り、7-5でCAGが「山荘」を制した。
第2マップ「アジト」は、競技シーンでは新しめの戦場ということもあり、研究力勝負な側面もある。CAGはここでも準備の良さを見せ、防衛でスタートして快調にスコアを3-1とし、FearXに前半からタイムアウトを獲らせる。その後もShuReap選手が果敢に仕掛けるなどしてテンポを握り続け、4-2での攻防交代を迎える。
攻撃にまわった第9ラウンドでは、敢えてディフューザー設置を強行する妙手が刺さって6-3と、CAGが先にマッチポイント。最後はBlackRay選手が連続キルできっちりと締めくくり、ラウンドスコア7-3。最終マップスコア2-0で鮮やかに初戦勝利をもぎとった。
話題では優勝?ORGLESSに注目集まる
大会の成績とは別のポイントで注目されたのは、アジアリーグから出場したORGLESSの選手たち。彼らは元々、「Bleed」というチームの旗下で今大会に出場する予定だった。
しかしeスポーツ団体としてのBleedは、今夏から秋にかけ、選手に対する契約内容に不履行があったことが表沙汰になり、結果として選手たちは団体から離脱して活動を続けるこことなった。ORGLESS(無所属)とは、何らかの事情で所属先団体のないチームに慣例としてつけられる仮称だ(LFO=Looking for Orgとも言われる)。
プロ団体との契約が無くなった点を、彼らは都合良く活用したのかもしれない。チームのリーダーであり、アジアシージ界における大ベテランでもあるMentalistC選手は、なぜか猫耳メイドとなってステージに登壇。観客たちの視線をまんまと独占することに成功していた。
別件でも、ORGLESSは何かと話題になった。大会前、チームの代表的なキル獲り役であるReeps選手がビザの都合で来日不可となり、元M80所属のNudl選手が急きょチームに合流することに。これは残念な展開かと思われたが、即席チームでありながら、Nudl選手をはじめORGLESSはアジア最強レベルの実力を見せつけて会場をわかせた。
ORGLESSは準決勝第1試合で、オセアニア地域を代表するオーストラリアチームGaimin Gladiators(GG)と対戦。試合は第1マップ「クラブハウス」から、8-7のフルラウンドに突入する大混戦となった。助っ人であるはずのNudl選手も、手元の技量はもちろんタイミング読みの巧みさでも優れたパフォーマンスを発揮。GGを揺さぶった。
第2マップ「カフェ」では一転、攻撃から入ったGG側が、スピードと精度の高さでORGLESSを苦しめ2-4で攻防交代する展開に。後半から逆襲を始めたORGLESSだったが、第10ラウンドではGGのTuhan選手が1階手荷物検査の支配を譲らず、4-6と先にマッチポイントを獲得する。
しかし、ORGLESSはどうにか追いついて2マップ連続のオーバータイムに持ち込むと、試合はそのまま再度フルラウンドに。最後はORGLESSが1階防衛を守り切り、ラウンドスコア8-7、マップスコア2-0で決勝への進出を決めた。
決勝は2-0でCAGが勝利
CAG vs ORGLESSによる決勝戦は、「ナイトヘイヴンラボ」からスタートした。攻撃からスタートしたCAGは、積極的に自分たちから仕掛けようとするORGLESSの思惑にのまれ、3-1とリードを許す。タイムアウトを取って再スタートを切ろうとするも、その後のラウンドではパーフェクトラウンドを許し、結局4-2での前半終了となった。
しかし、後半の防衛ではShironeko選手の強気なピークが奏功し、たちまち4-5と逆転に成功。ORGLESSのタイムアウトにもしっかりと対応して防衛を連取し続け、最終スコア4-7でラボでの戦いを制した。
第2マップの「カフェ」では、CAGは防衛からスタートした。最初のラウンドから、Anitun選手がMozzie(モジー)ドローンとの連携ピークで数的優位を作るなど見せ場を作る。しかしORGLESSも、箱型構造のカフェ制圧にはとりわけ便利なYing(イン)を投入し、作戦継続。前半を3-3と拮抗して折り返す。
上下射線をフルに活かしつつ、スコアを4-5としたCAG。その後は1階への攻撃を阻まれるなどして、6-5とORGLESSに先にマッチポイントを取られてしまう。しかし、続く3階への攻撃ではAnitun選手のMontagne(モンターニュ)を軸に、ライン設定の駆け引きで優位を得、6-6とオーバータイムにもつれこませる。
ここでは先にORGLESSが7-6でマッチポイントを獲得したが、第14ラウンドでは再びAnitun選手が立ちはだかる。MentalistC選手のBlitz(ブリッツ)による強行突破を力技で解決し、7-7。最後はNudl選手がThorn(ソーン)を使った怪しげな策を披露したORGLESSだったが、CAGは揺さぶられず、冷静にディフューザー設置を通しきった。こうして最終スコア7-8、マップスコア0-2でORGLESSとの戦いをしめくくった。
戦いはインビテーショナル予選へ
CAG Osakaの戴冠に終わった「APAC Cup」。国内チームの優勝の瞬間、会場は多くの歓声で満ちあふれた。海外チームを招いての国内独自大会ではこれまで、ゲストがタイトルを勝ち取って帰国していく姿が続いていたこともあり、国内チームのファンには感慨深い光景だ。
大会会場となった新宿パークタワー パークタワーホールは、過去のオフラインイベントと比較して、選手たちのいるステージと観客席がとりわけ近い環境だった。ファンからの声援は、選手のもとにもよく届いたことだろう。
2024年度の競技シーンは、まだ終わってはいない。2025年2月には、年度をしめくくる世界大会「シックスインビテーショナル2025」が米国ボストンで開催。これから年末年始にかけて、インビテーショナルに出場する20チームのうち、未決定の4枠を決める予選大会が世界各地でスタートする。
日本を含むAPAC地域にも、1チーム分の出場枠がある。他の地域よりも広いAPACは過去にPingが問題視された経緯もあってか、1月4日と5日に開催される予選ファイナルはオフラインで実施されることになった。
日本チームについては、SCARZのインビテーショナル出場が既に決まっている。CAGをはじめとする他のチームは、これから予選を通じて最後のチャンスを狙うという形だ。CAGが「APAC Cup」優勝の勢いを継続できるか、それとも日本を含めた他のアジアチームがそれを阻むのか。年末年始もシージ界の動向に注目していこう。
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コメント
コメント一覧 (1件)
どれも接戦で現地で見れて熱かった!