Respawn Entertainmentの『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』は、シーズン24「テイクオーバー」にあわせて6周年を迎えたところだ。
新シーズンのコンテンツは既にメディアの先行情報という形で共有された一方で、Respawn公式は「チート対策とマッチメイキングのアップデート」に焦点を当てた動画と解説文を掲載している。コミュニティの不満に応え、プレイヤー人口を維持するために何を優先すべきか。Respawnの現在の姿勢がうかがえる新シーズンの導入だ。
『APEX』不正行為への対策とマッチメイキング改善のアップデート
現地時間2月11日からスタートするシーズン24「テイクオーバー」だが、今回の導入は変則的。新コンテンツの宣伝よりも、ゲームプレイの改善を重要視している印象を受ける。マッチメイキングのバランスの悪さや不正行為など、コンテンツ以外の要素が原因でプレイから遠ざかっている層には、開発側の手腕を測る注目のシーズンになるだろう。
なおアサルトの強化や、全武器の強化。6周年イベント、ランクへの変更など、シーズン24については以下の記事で先行情報を紹介している。シーズン・パッチノートは後日公開予定。
チート&不正行為にさらなる対策アップデート
チーミング防止
(チーミング:全チームが敵同士であるはずの『エーペックス』で、何らかの手段・目的で複数のチームが結託すること。「談合」とも言う。わざとではなく結果的に「チーミングっぽい行動」になってしまうケースもあるものの、不正行為と見なされる可能性があるので要注意)
- 取り組み
- 新たな自動チーミング検出アルゴリズムを導入
- より迅速で厳しい処分を実施
- 不正に獲得したランクポイントをはく奪 など
- 成果
- 全プラットフォーム、約1,200のアカウントに対して、約1,740万ランクポイントを削除
- チーミングは減少している
ボット使用の排除
(ボット:主にチート業者が自動制御しているアカウント。レベルを上げてユーザーに販売するのが目的。ゲームプレイでは当然のように邪魔であり、対戦が歪められる恐れがある)
- 現状
- 既存のセキュリティ対策をすり抜けるボットが増加した
- 取り組み
- 新しい機械学習モデルを作成し、新世代のボットを検出。将来のボットの進化にも対抗
- 成果
- 新しいモデルは非常に正確で、プレイヤーとボットの誤判定も少ない。このモデルは実装済み
通報機能の向上
- 現状
- 不審なアカウントに対しては、引き続きプレイヤーが通報するのが効果的
- 取り組み
- 新しい機能の初期段階に取り組み中
プレイヤーのアカウントハック事件、その後
- 出来事
- 1月末に、知名度の高いプロやクリエイターのアカウントが数件ハッキングされた(参考X)
- 取り組み
- 問題は解決済み。原因となった2つの不具合の悪用を発見した
- 現在は安全であると確信している
マッチメイキングのアップデート
スキル分布の表示機能(ランク以外)
- ランクの「ランク分布」に相当する「スキル分布」が、カジュアルなど他のモードでも実装
- シーズン24開始時には、バトロワ・トリオでリリース
- スキル分布機能に表示されるもの
- ロビー全体に対するスキルの幅の広さ
- ロビースキルの最高のスクワッドと、最低のスクワッド
- 自分のスクワッドのスキル
- 例1:画像右端の小さな灰色の部分が、このロビーのスキル分布。全員が高スキルであり、非常にタイトな戦いになることが予想される。自分たち(赤い線)もまた、最高スキルのスクワッドと判定されている
- 例2:灰色の部分が長く、スキル中位帯~下位帯が集まったロビーだと分かる。自分たち(赤い線)のスキルは下の方と判定されている。自分よりスキルの高いスクワッドの方が多いのかもしれない
この分布図の注意点は、各スキル帯に何スクワッドいるのかは描かれていないこと。
たとえば「例2」だと、自分たちは下位スキルだと分かるので、対戦前からモチベが低下するかもしれない。しかし実際には、上位の方には1~2スクワッドしかおらず、ほとんどが自分たちのまわりにぎっしり固まっている、という可能性もある。
新モードや限定モードのスキル評価方法を調整
- 目的:期間限定モードなど新モードをプレイするときに、マッチングが混沌としないようにする
- 手法:他のモードのスキル評価を、新モードのマッチングに影響させるようにする
- 見込み:新モードでも、最初のマッチから同じスキルのプレイヤーとマッチングするようになる
ランクリセットの影響の緩和(テスト中)
- 目的:シーズン開始時のランクが混沌としないようにする
- 手法:ランクのリセット値とリセット順位を調整する
ボットプレイヤーの導入(初心者向け)
- 目的:BOTロイヤルで練習した初心者たちが、いきなり全員人間の公開ロビーに入るのは、落差が大きすぎる
- 手法:少量の「Apexボット」を低ティアの公開ロビーに導入中。ただし、プレイヤーとボットが1つのスクワッド内で混ざることはない
- 見込み:あくまでテスト中の段階。「スキルの幅を狭くする」、「キュー時間を全体的に短縮する」、「プレイヤーのゲームセンスや戦闘効果の向上に役立つ」といった効果があるかをチェックしている
ソロとプリメイドのロビー分割(テスト予定)
(プリメイド=フレンド同士で組んでいる、いわゆる「フルパ」のチーム。一般的に野良3人チームより有利とされる)
- 目的:野良パーティーとプリメイドを、完全に分けたロビーを作れるかどうか模索する
- 問題点:キューを別々にすると、マッチメイキングに時間がかかり、マッチングするスキル幅のバランスにも問題が生じる恐れがある
- 取り組み:多くのテストを実施予定
キュー時間の調整
- 現状:シーズン23で、マッチング時のプレイヤー検索時間を調整した
- 成果:キューの時間は長くなったが、スキルのバランスが調整され、プレイヤー1人当たりのダメージ量やキル数も増加した
- 今後:さまざまなスキル帯で最大キュー時間の最適化を試行していく
議論中のトピック
ランクマッチのプリメイド制限?
- 論点:シルバーとマスターが同じロビーにいるケースがある。プリメイドが原因だとすると、1つのロビーにランクが多すぎる。プリメイドに制限をかけるべきなのか
- 問題点:「フレンドと協力して戦う」というチームゲームの側面を損なってしまう
- 今後:他の解決策とともに検討中
ランク認定戦の復活?
- 現状:廃止された認定戦システムだが、理解しやすいので復活させたい
スキルの差をどうスコアに反映する?
- 論点:1つのロビーにはさまざまなスキルのプレイヤーが混ざっている。公平性を保つために、たとえば低スキルのプレイヤーが高スキルのプレイヤーを倒せば、獲得RPや経験値に大きなボーナスを付与するべきか
- 問題点:スキルの低いプレイヤーの視点では、たとえボーナスがあっても、スキルの高いプレイヤーにわざわざ挑む理由に欠ける。全員が同じくらいのスキルのロビーにしてくれた方が公平
- 今後:より公平にするためのオプションを模索中
今回の発表内容からは、新コンテンツ以外にもさまざまな検討事項があることがうかがえる。いずれもリリース当時から続いている争点であり、「最大60人で同時に戦う」というゲームの性質上、完全な公平性を獲得するにはまだ時間がかかるだろう。とはいえ改善の取り組みを継続しているのも事実で、いつかは実現する可能性はある。
シーズン24になったら早速新たな対戦に乗り込み、体験の向上が得られるかどうか確認してみよう。
Source: Apex Legends Official
コメント
コメント一覧 (1件)
また改善しました(やってません)、BOT排除しました(ユーザ数が本バレされるとまずいから対応無し)になるだけだろ