先日、Blizzard Entertainmentが開催した『Overwatch 2(オーバーウォッチ 2)』シーズン18の先行インタビューにて、44人目となる新ヒーロー「ウーヤン(Wuyang)」の全貌が明らかになった。
「水を操る若き武術家」というコンセプトを持つ彼は、これまでのサポートヒーローの常識を覆す、極めてユニークでテクニカルなアビリティキットを備えている。本記事では、インタビューで明かされたウーヤンの性能、開発秘話、そして彼がメタに与えるであろう影響を徹底的に深掘りしていく。
OW2新サポートヒーロー:ウーヤンのコンセプトは「伝統と現代の融合」
ウーヤンは、中国文化を色濃く反映したサポートヒーローだ。コンセプトアーティストのダリル・タン氏によると、そのデザインは「伝統的な武術家」と「現代的なアスレジャー(普段着+スポーツウェア)スタイル」の融合をテーマにしている。彼の身のこなしやアビリティは武術の流麗さを感じさせつつも、その出で立ちは現代の若者らしさを放っている。

彼の武器である杖の先端には、中国神話に登場する霊獣「玄武(蛇と亀の合成獣)」がモチーフとしてあしらわれており、キャラクターの背景にある文化的な深みを示唆している。
背景ストーリー:親の期待とプレッシャーに悩む普通の若者

ウーヤンは負けず嫌いな性格で、水を操り、サポートの常識を覆す新ヒーローだ。五行大学・水学部で眠っていた才能が開花した彼は、鋭いエイム、素早い判断力、そして流れるような動きに特化したキットで、従来のヒーラーのルールを覆す。

そのストーリーは「親の期待に応えようとする若者の葛藤」という、普遍的かつ現代的なテーマが根底にある。
ヒーローデザイナーのJoshi Zhang氏は、「このテーマは特に東アジア文化圏のプレイヤーにとって共感できるものだと考えています。親の夢を叶えられなかったとしても、それは君がヒーローではないということにはならない、というメッセージを若いプレイヤーに伝えたいのです」と語った。
単なる戦闘キャラクターではなく、一人の人間としての彼の成長物語も、今後のオーバーウォッチの物語で描かれていくことになりそうだ。このあたりは先日公開されたコミックでも確認できる。

ウーヤンの全アビリティ解説:スキルキャップは未知数

ウーヤンの真価は、その唯一無二のアビリティキットにある。サポートヒーローを開発するにあたって、初期段階で「回復のイメージがある“水”をコントロールする」というアイデアが生まれたという。
アビリティ1:玄武之杖(げんぶしじょう)- 水のオーブを自在に操る
ウーヤンの最大の特徴「玄武之杖(げんぶしじょう)」。杖から誘導可能でダメージを与える水球を射出する。任意のタイミングで爆破することで、瞬間的なダメージを与え重要な場面をかき乱す。
- タップ撃ち: ゆっくりと飛ぶ小ダメージの弾を発射。
- 長押し(チャージ): 射出したオーブを三人称視点で自由にコントロールできる。チャージすることで範囲爆発ダメージも発生する。
特筆すべきは長押し時の性能だ。プレイヤーは偏差射撃の概念を超え、壁や障害物を回り込ませるように弾道を能動的にコントロールできる。これにより、盾裏の敵を攻撃したり、高低差を無視して敵を狙ったりと、戦術の幅が飛躍的に広がる。

ヒーローデザイナーのkenny Hadson氏は「極めてスキルキャップの高いアビリティです。トッププレイヤーたちがどのような使い方を見出すのか、我々も楽しみにしています」と語っており、プレイヤーの練度が直接パフォーマンスに反映されるヒーローとなりそうだ。
アビリティ2:養神泉(ようしんせん) - 特殊な継続ヒール

「養神泉(ようしんせん / Restorative Stream)は、サポートとしてのメイン回復手段だ。戦況に応じて回復量を変化させ、バトルの流れに適応させよう。
- ゼニヤッタの「調和のオーブ」のように、味方一人に追従する継続回復効果を付与する。
- ただし、効果を持続させるには対象との射線が通っている必要があるため、常に味方の位置を意識した立ち回りが求められる。
- リソースを消費して長押しすると、イラリーやマーシーのようにヒール量をブーストできる。
いくつかのサポートヒーローのアビリティを混ぜて割ったような性能となっている。攻撃的なプライマリと、堅実なセカンダリの使い分けが生存と勝利の鍵を握る。
アビリティ3:守衛波浪(しゅえいはろう)- 攻防一体の便利技

「守衛波浪(しゅえいはろう / Guardian Wave)」は杖を地面に叩きつけ、前方に水の波を発生させる攻防一体のアビリティ。敵を押し返しつつ味方の回復力を強化できる。
- 味方: 波に触れた味方の回復力を高める。
- 敵: 波に触れた敵をノックバックさせる。
味方を敵のダイブから守る性能と、敵の前線を押し下げる「スペースメイク」性能を兼ね備えており、集団戦における影響力は計り知れない。
アビリティ4:飛流歩(ひりゅうほ)- 高速移動&ハイジャンプ

「飛流歩(ひりゅうほ / Rushing Torrent)」は足元に水の流れを生み出し、自身の移動速度とジャンプ力を大幅に向上させる。これにより、高所の確保、緊急離脱、素早い戦線復帰といったサポートに不可欠な機動力を獲得している。
アルティメット:驚濤破(きょうとうは)- 回復+ダメージ+ノックダウン

アルティメットの「驚濤破(きょうとうは / Tidal Blast)」は自身または味方一人を対象に、水のシールドを展開しオーバーヘルスを与える。その後、ダメージと強力なノックバック波を放ち、勝負の流れを一変させる力を持つ。
- 対象にオーバーヘルスを付与する。
- 効果時間が終了するとシールドが爆発し、周囲の敵にダメージを与えつつ、強制的にノックダウン(転倒)させる。
発動対象の選択が非常に重要となる戦略的なアルティメットだ。敵陣に突っ込むタンクに付与して戦闘を開始したり、敵の強力なアルティメットに対するカウンターとして味方を守ったりと、その用途は多岐にわたる。ノックダウンという強力なCC(クラウドコントロール)効果は、一瞬で戦況を覆す力を持つだろう。
ウーヤンのパーク(スタジアム専用)

「氾濫」や「均衡」といった安定した回復系のパークと、「引潮」や「降雨」といったインパクト重視のパークを活用することで、ウーヤンはサポート・ロールに大胆で柔軟なスタイルをもたらす。
- マイナー (レベル2)
- 氾濫 :「飛流歩(ひりゅうほ)」発動時、弾薬数が10増え、33%の回復リソースを得る
- 均衡 :水波でダメージを与えると、2秒間「養神泉(ようしんせん)」の自動回復量が40%増える
- メジャー (レベル3)
- 引潮:「守衛波浪(しゅえいはろう)」が開始地点へと引き返す。引き波で与えるダメージは通常の50%減少する
- 降雨:与えるダメージが60%低く、強化時の爆発範囲が25%小さい水球を3つ同時に操作できる
"ウーヤン"の運用考察とメタへの影響
開発チームは、ウーヤンが特に機動力の高いヒーローと強いシナジー(相乗効果)を生むと考えている。インタビューではドゥームフィスト、リーパー、トレーサーといった名前が挙がった。

ウーヤンの回復と援護能力は、神出鬼没に立ち回るフランカーやダイブヒーローを強力にサポートする。特に、彼のアルティメット「タイダル・ブラスト」を付与されたダイブタンクは、まさに無敵の突撃兵と化すだろう。これまでのダイブ構成に新たな核として加わる可能性を秘めている。
まとめ:プレイヤーの挑戦意欲を掻き立てる新ヒーロー
ウーヤンは、簡単なヒーローではない。しかし、そのユニークなアビリティを使いこなした先には、誰も見たことのないようなスーパープレイが待っているはずだ。彼の登場は、『オーバーウォッチ 2』の戦術に新たな次元をもたらし、プレイヤーの挑戦意欲を強く刺激することだろう。シーズン18の開幕と共に、この若き武術家が戦場にどのような波乱を巻き起こすのか、目が離せない。
- タイトル:Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )
- 発売日:2022年10月5日
- 対象機種:PC / Xbox Series X|S, Xbox One / PS5, PS4 / Nintendo Switch

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