Bungieは人気FPS『Destiny 2(デスティニー2)』の次期大型拡張コンテンツ『Destiny 2: Renegades(Destiny 2: 反逆)』を、日本時間2025年12月3日にリリースする。
伝説的SFシリーズ『Star Wars(スター・ウォーズ)』とのコラボレーションが実現した『反逆』は、無法の辺境を舞台にした新たな物語や、これまでの定石を破る革新的なメカニクスが導入される野心作だ。
EAA!!はシアトルのBungieスタジオにて、本作の開発を率いるキーマン2名への独占インタビューを実施した。コミュニティが抱く「物語への懸念」から、新武器「ブラスター」や近接「プラクシックの刃」の具体的な手触り、そして賛否両論を呼んだ「孤独感」の解消策に至るまで、ガーディアン(プレイヤー)が真に知りたい全15問を直撃した。
『Destiny 2: 反逆』開発者インタビュー

今回インタビューに応じてくれたのは、Bungieの歴史と戦闘の核心を担う以下の2名だ。
- タイソン・グリーン(Tyson Green)氏
- ゲームディレクター。『Halo』シリーズのPvPや『Myth II』からBungieに在籍し、『Destiny』のエキゾチック武器制作にも携わったスタジオの重鎮。現在は『Destiny 2』全体のビジョンを統括する。
- ベン・ウォーマック(Ben Wommack)氏
- コアゲームクリエイティブディレクター。過去に戦闘エリアリードとして「トーメンター」などの敵やサブクラス設計に関わり、『Destiny』特有の「最高の手触り」を作り続けてきたキーマン。親日家で、日本語も流暢。
Q1. 『反逆』の核となる「ゲーム哲学」とは、どのようなものですか?
タイソン氏:『反逆』の核となるデザイン哲学は、「善き人々が、善き理由のために悪事を働く」ということです。『Destiny』の世界における「グレーゾーン」へ踏み込み、正しいことを成し遂げるために必ずしも正しくない手段を取る物語を描きます。
ゲーム体験としての哲学は、プレイヤーに「ルールを破る」ための新しいツールを提供することです。例えばエアストライク(空爆)要請や、カバル・ウォーカーのような重兵器の呼び出しが可能になります。我々はこれを「反逆者スキル(Renegade abilities)」と呼んでおり、プレイヤーに多くのアクセス権を与えています。シンジケートのような「悪党たち」の側につき、彼らに気に入られながらプレイするという点も、これまでの『Destiny』の定石を破る要素の1つですね。
ベン氏:また、Lucasfilm Gamesおよび『Star Wars』フランチャイズとのコラボレーションも実現しました。ビジュアル、アート、オーディオを通じて『Star Wars』にインスパイアされつつも、真に『Destiny』らしい体験を作り上げることで、両世界の素晴らしい融合を目指しています。
Q2. 新武器「プラクシックの刃」は、ビルド構築にどのような選択肢をもたらしますか?

ベン氏:多くの異なるビルドに対応できるオプションを用意しました。「型(Forms)」を選択することで、近接攻撃に特化するか、刃を投げるか、あるいは防御(Deflect)するかといった攻撃スタイルを選べます。選んだ型によってアクションに必要な弾薬の種類も変わり、より多くのアクションや長い稼働時間(uptime)を得ることも可能です。
また異なる「コア」を選ぶことで、スーパー(スキル)に応じたサブクラスの「動作(Verbs)」を付与できます。例えばボイドのスーパーを使っているなら、刃を投げるたびにターゲットを「弱体化」させるコアを選択可能です。これはボスのDPS戦略などで非常に有効でしょう。
Q3. 新武器「ブラスター」の「加熱」メカニクスは、既存の武器とどう異なりますか?

ベン氏:「加熱(Heat)」メカニクスを単なる「リロード」の代わりにはしたくありませんでした。全く異なる手触りと新しい選択肢を提供するものにしたかったのです。これは単にリロードの必要性を満たすだけでなく、異なるタイミングを生み出します。
例えば、完璧な排熱(Perfect vent)を行うことで素早く射撃に戻れる要素や、熱量が高ければ高いほどダメージが増加したりターゲットを爆発させたりといったパークも用意されています。『Destiny』の武器サンドボックスを外側へ拡張するような、独自の手触りを実現できたと自負しています。
タイソン氏:武器によって熱メカニクスの最適化方法も異なります。例えば一部の「ダイナミック・ブラスター」なら、連射速度を調整することでリロードサイクルを挟まず撃ち続けることが可能です。これは非常に強力に感じられるはずです。
また、銃の熱を上げてから別の銃に切り替え、バックパックの中で冷却されている間に戦うといったプレイも想定しています。リロードのように扱うのではなく、熱メカニクスをうまく利用することで武器の稼働時間を極限まで高められるのです。
Q4. 『Star Wars』の要素を、『Destiny』の世界観にどう融合させましたか?
タイソン氏:『Destiny』の戦闘フィールは懐が深く、他のゲームのメカニクスを取り入れることは難しくありません。『Star Wars』のブラスターやボウキャスターをサンドボックスに組み込むこと自体は簡単でした。
重要だったのは、それらが「気持ちよく(felt good)」、かつ『Destiny』品質の武器だと感じられることです。サンドボックスチームには「コントローラーを透明にしたい(存在を意識させたくない)」という言葉があります。不格好だったり、場違いに感じたりするものは避けたかったのです。
例えば、ブラスターは「命中」します!(笑)。冗談はさておき、映画『Star Wars』のストームトルーパーといえば射撃が下手(弾が当たらない)なことで有名ですが、本作ではその心配は無用です。これらは『Destiny』で気持ちよく使える武器であることを最優先に設計されています。その確かな手触りの上に、ブラスターというテーマや風味を加えているのです。
ベン氏:両立させることは非常に重要です。『Star Wars』の感覚を失ってしまっても、『Destiny』らしくはあっても成功とは言えません。逆に『Star Wars』らしくはあっても、『Destiny』のサンドボックスで強力でなければ、それも機能しませんから。
Q5. 新規・復帰プレイヤーは、物語の背景を知らなくても楽しめますか?

タイソン氏:プレイヤーが「知らないこと」でデメリットがないようにすることは、特にナラティブチームにとって非常に重要です。新キャラクターが登場した際、「ウー・マハル(Oor Mahal)って誰?」「エイド(Ido/Eido)って誰?」となるかもしれませんが、物語を楽しむ上で必須ではありません。
この物語はそれ単体で成立しています。悪役は明確に悪役で、英雄たちは興味深い旅をしています。『Star Wars: 新たなる希望』を誰でも見て楽しめるように、誰でも入ってきて楽しめる物語になっています。
ベン氏:『反逆』から始めたプレイヤーが、三つ目の復讐の女神(エリス・モーン)やドリフターのことを知らなくても大丈夫です。プレイを通じて彼らを知り、好きになっていけるはずです。
Q6. 新エキゾチック・アーマーは、どのようなデザイン哲学で作られましたか?

タイソン氏:エキゾチックのデザイン哲学は常に「いつこのエキゾチックを使いたいと思うか?」という問いに答えることです。例えばタイタンの新エキゾチックは非常に魅力的なジェットパックのアビリティを付与します。これには多くの人が興奮しています。
一方でウォーロックの新エキゾチックはストランドの「停止(Suspend)」メカニクスをより鋭くフォーカスさせるものです。これにより新しいビルドが可能になります。ハンターのエキゾチックは「アンタッチャブルなガンマン」、まさにハン・ソロのようなファンタジーを実現します。ダメージを受けずにいるとオーバーシールドが蓄積されるため、オーバーシールドビルドにおいて非常に強力です。
ジェットパックほど派手ではないかもしれませんが、「いつ使うか?」という問いに対して明確で強力な答えを持っています。
ベン氏:ウォーロックの「停止」には十分なサポートがないと感じていたため、そこに投資したかったのです。ハンターにとってはボイドの生存手段として「不可視」以外の選択肢を提供します。そしてタイタンは…飛び回るのが好きですからね(笑)。
Q7. 「孤独なプレイ」を解消するために、どのような改善を行いましたか?

タイソン氏:『反逆』では「プレイヤーの状態が異なるために一緒に遊べない場面」を減らします。ミッションを共にこなし、ソーシャルスペースに一緒にいることで、『Edge of Fate(運命の果て)』や『最終形態』での「プレイヤー個人の状態に依存したストーリー進行」では難しかった、プレイヤー同士の接触を増やします。
新アクティビティ「無法の辺境(Lawless Frontier)」も、根本的に優れたマルチプレイヤーアクティビティです。理想的にはフレンドやソーシャルグループと一緒に参加してほしいと考えています。コアゲームや新しいダンジョンなどのコンテンツでも、マルチプレイへの重点を継続していきます。
ベン氏:また「無法の辺境」には「インベージョン(侵入)」機能もあります。これも一種のソーシャル化ですが…(笑)。必ずしも友好的ではありませんが、あなたのゲームに侵入し阻止しようとする他プレイヤーの存在を強く意識することになるでしょう。
Q8. 新モード「無法の辺境」のゲームループは、単なる「作業」とどう異なりますか?
タイソン氏:「無法の辺境」のゲームループは、どのジョブ(仕事)を受けるかを決める「契約(Contracts)」、アクティビティに持ち込む「反逆者スキル」のロードアウト選択、そして「蘇生回数切れ」や「時間切れ」といった失敗条件を回避しながら目的を達成することから成ります。
ここは難易度と緊張感を高め、リスクを負うことができる場所です。成功するためにはリソースの使用と管理を考える必要があります。最終的には「高いリスクを負ったプレイヤーが大きな報酬を得られるが、それには危険が伴う」と感じてもらえることを目指しています。参加して撃っていれば報酬が保証される従来のいくつかのアクティビティとは、少し異なる点ですね。
Q9. 戦局を変える「反逆者スキル」は、具体的にどう機能しますか?

タイソン氏:新しい「反逆者スキル」は、サブクラスのアビリティと一時的なバフの中間のような存在です。「無法の辺境」を開始する際、アンロック済みのスキルから選択し、いくつかのチャージを持った状態でアクティビティに入ります。
ボタン入力で起動し、エアストライクの要請や回復ドローンの展開など特定のアビリティを使用できます。使用回数は限られていますが、アクティビティ中のサイドアクティビティなどでチャージ補充も可能です。これらはスーパー(スキル)に匹敵するほど強力に設計されており、適切なタイミングでエアストライクやカバル・ウォーカーを投入できれば戦闘の展開を大きく変えることができます。
ベン氏:チームメイトとどのスキルを持ち込むか戦略を立ててほしいですね。侵入される可能性があるなら、より防御的なものや脅威に対処できるものを持っていくといった具合です。また反逆者スキルをアップグレードして強化していく長期的な進行要素(プログレッション)もあり、非常にやりがいがあると思います。
Q10. PvP要素「インベージョン(侵入)」の仕組みと、オプトインの仕様とは?

タイソン氏:インベージョンシステムをアンロックすると2つの選択肢が得られます。1つはチームで「ハイリスクな仕事」を行うこと。これは密輸や賞金稼ぎといった仕事をこなすものですが、その間誰かに侵入されるリスクがあることを承諾する必要があります。
もう1つは、侵入したいプレイヤーが「インベージョン」という別のアクティビティにキューを入れることです。これにより、ハイリスクな仕事をしているプレイヤーとマッチングされます。
仕事中に「侵入者が到着した」と警告され、ターゲットの排除だけでなく自分自身が排除されるリスクも発生します。侵入者には独自の小さな目的があり、基本的にはプレイヤーを倒して手柄を立てることです。プレイヤーが侵入者を撃退すれば侵入者は目的失敗となり排除されます。これは『最終形態』での実験的なアクティビティの経験を活かした、非常に実験的な試みです。
Q11. 「プレイヤーがリスクを選択する」アプローチは、今後も採用されますか?

タイソン氏:インベージョンシステムは、今後の『Destiny』体験の核になる可能性はあります。我々はプレイヤーが難易度とリスクを選び、いわば「身銭を切って(put some skin in the game)」報酬を懸けるというアイデアを気に入っています。
ですが、まずはどうなるか見守りたいですね。プレイヤーがこれを本当に気に入ってくれれば今後もっと増えていくでしょうし、あまり好評でなければ『反逆』だけの実験的な要素に留まるかもしれません。
ベン氏:ええ、プレイヤーの声と反応をしっかりと聞いていきます。
Q12. 新システム「オーダー」は、日々のプレイ感覚をどう変えますか?

タイソン氏:オーダーシステムの意図は、ゲームを起動した瞬間に「タワーに行かなきゃ」「アプリでバウンティを取らなきゃ」と考えなくて済むようにすることです。プレイ中に「バウンティが切れたからタワーに戻ろう」と中断するようなこともなくしたいと考えています。
プレイ中にオーダーが完了すれば、即座に新しいオーダーがシームレスに発行されます。プレイを止める必要はありません。「ゲームをプレイするために、ゲームと戦う」ような状況をなくし、ただプレイすることに集中できるようにしたいのです。
Q13. パワーリセット撤廃後、プレイヤーは長期的に何を目標にすればいいですか?

タイソン氏:『Edge of Fate』から学んだのは、単に数字を大きくするだけの目標を与えてもプレイヤーはそれを「仕事」だと感じてしまい、ワクワクしないということです。我々はその脱却の過渡期にあります。
『反逆』ではコスメティックや、ライトセーバーのクリスタルのようなトロフィー、シンジケートからの報酬など、長期的に追いかけられる目標(Long tail chases)を増やしています。ゲーム内で困難なことを成し遂げた証となる、実際の「トロフィー」を提供したいのです。
また武器ドロップに関しては以前のシーズンのような仕組みを採用し、ティア5の武器には異なる起源特性やシェーダーが付くなど、より深い追求要素を用意しています。
Q14. レイドやダンジョンなどのエンドゲーム報酬は、どのように改善されますか?

ベン氏:プレイヤーがレイドやダンジョンを、パワーや意味のある装備の入手源として楽しんでいたことを再認識しています。『反逆』のリリース1週間後には、レイド「Desert Perpetual(デザート・パーペチュアル)」や新しいダンジョンをプレイすることで、現在ゲーム内で最も望まれている強力な戦利品を得られる機会を提供します。
古いレイドやダンジョンを再びプレイしたい、毎週のレイドナイトを取り戻したいというフィードバックは多く届いており、それに応える形です。
Q15. 日本の『Destiny 2』ファンへ、メッセージをお願いします
タイソン氏:私は常に日本の『Destiny 2』ファンの情熱とエネルギーを愛し、尊敬しています。初期の頃から彼らは独自のキャラクターと精神を持っていて、誰よりも『Destiny』の楽しさを理解しているように見えます。本当に感謝しています。
ベン氏:日本のプレイヤーの皆さん、本当にありがとうございます!(日本語で)
『Destiny』をプレイしてくれてありがとう。日本のプレイヤーベースがあのダンスCMに反応してくれた時のことは、とても楽しい思い出です(笑)。無法の辺境でお会いしましょう。

FPS POWER TUNE
Source: Destinythegame.com







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