メタルギア サヴァイヴ：3徹プレイ正直レビュー「欠点ありの面白スルメゲー」

『メタルギア サヴァイヴ』のいまいちな部分

目新しさは皆無

冒頭にも書いたとおりゲームエンジンはFOX ENGINEを流用していて、操作系統やUIは丸々『MGSV』と一緒で、正直言って「新作ゲーム」と言われると疑問を持たざるを得ません。常に既視感の連続で目新しさは皆無。それにウリであるはずのサバイバル要素に至っては、既に『MGS3』で実装されていたサバイバルビュアーでも同じようなシステムがあり、その他ゲームにも同じようなシステムはたくさんあります。

『METAL GEAR SOLID 3』のサバイバルビュアー

本作の異常状態を治す画面。既視感

加えてマップや建物などのアセットも『MGSV』そのまま。一応『メタルギア サヴァイヴ』の設定に沿って汚し加工されていたりはするものの、既視感の連続なのはいただけません。その一方で、『MGSV』ファンにとっては「あ、コードトーカーでたとこだ！あーイーライがいた所ね」と懐かしさを感じることができて、ある意味ファンサービスにはなっているのかもしれません。また、マザーベースのペイントが「DIAMOND DOGS」から「DEAD DOGS」に変更されていたり、微妙な変化をイースターエッグ要素として比較しながら探索するのも人によっては楽しいでしょう。

DEAD DOGS（死んだ犬たち）になっているペイント。どんな意図があって変更したかは謎に包まれている。

注：ネタバレ要素が含まれます

頼りないプロットと魅力薄いキャラクター

シングルモードだと『メタルギア サヴァイヴ』の世界観に基づいたストーリーが楽しめる...が圧倒的ボリューム不足によって、感情移入も何も無しに終わってしまいます。ボス換算で言えば実質2体のみで、マップも2つしか無くあっけなくエンディングまでたどりつけてしまいます。さらに唐突に始まるキャラクターの説教は小島監督リスペクトなのかもしれませんが、唐突な綺麗事に少々冷めてしまいました。

ストーリーをかいつまんで説明すると、主人公は秘密研究組織「ウォーデンクリフ・セクション」の一員グッドラックさんに、ワームホールの先に飛ばされます。後に、ワームホールの先「ディーテ世界」は異次元ではなく未来の地球で、ワームホールは時間を旅する扉だったことが判明。パラレルワールドものではタイムリープものだったことが分かり、あの荒廃した世界は未来の地球の姿だったのです！となります。

道中プレイヤーはクリスという少年（MGSVの少年兵と多分全く同じモデリング）を助け、なんやかんやあって先にクリスだけを元いた世界（時間軸）に帰還させます。クリスが辿り着いたのは、クリスが元いた時間よりも過去の地球で、実はクリスが主人公をディーテ世界に送り込んだグッドラック張本人だったことが判明。

物語終盤で助けたクリスがグッドラックということは、今まで起きたこと全て知ってるんだから、先に主人公に何が起こるか教えれば良かったんじゃ…？ 教えたとしても世界線が違うから意味が無い…？…あれ？？

－「それをやってはいけない！未来が変わってしまった！タイムパラドックスだ！」

[Japanese] Ocelot Time Paradox - Metal Gear Solid 3

と不毛な議論を生むので、今回の練られていないタイムリープものには良い印象を得られませんでした。『MGSV』のような「実は◯◯でした」エンディングを無理にやろうとした結果なのでしょうか。

またキャラクターの魅力もあまり感じられません。『MGS』シリーズのスネークやビッグ・ボスなど、良いコンテンツには良いキャラクターが付き物ですが、『メタルギア サヴァイヴ』の主人公は無口設定ゆえに感情を揺さぶることはなく、プロットに無口設定が活きる場面もありません。ユニークキャラとしてXOF部隊のリーヴなどもいますが、登場人物同士の人間関係も希薄で、彼らがいてもいなくてもプロット上問題無いように思えてしまったのが残念なところ。

物語の鍵となるグッドラック＝クリス

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