『オーバーウォッチ』や『エーペックスレジェンズ』など、昨今ではゲームの世界にもLGBTのキャラクターが数多く登場しています。一方ウクライナへの侵略を進めるロシアは、昨今のLGBTの社会認知の流れをアメリカ政府によるプロパガンダと見ており、同国内法による規制をさらに強めようとしています。
ロシアでのLGBT規制がさらに強化
性的マイノリティな人々の総称であるLGBTは社会的な認知が広まったこともあり、ゲームの世界でもキャラクターの人物設定に採用される機会が増えました。直近ではEAの人気バトロワタイトル『エーペックスレジェンズ』の最新シーズン・アップデート「エクリプス」において、新レジェンド(キャラクター)のカタリストがトランス女性の人物として描かれています。
一方ウクライナへの侵攻を続けるロシア政府では、こうした表現を「西側諸国によるLGBTプロパガンダ」と見ており、自国兵士のキリスト教的価値観を守るという名目のもと、「反LGBT法」と呼べる法改正が行われつつあります。
元々ロシアでは、2013年に成立した「ロシアにおける同性愛宣伝禁止法」により、未成年者に対して、同性愛などを指す「非伝統的な性関係」に関する情報の流布が禁じられていました。現在はこの法律による保護対象を成人に拡大し、さらに大幅な制限を課す法改正案が提出されています。
この法案は10月に、ロシア連邦議会の下院である国家院にて審議され、第一読会(法案の骨子、合憲性、緊急性・発効した場合の効果等が審議される)を全会一致で通過したところです。
エーペックスやオーバーウォッチも規制か
ロシアの法律では現在、LGBTを「非伝統的な生活様式」や「家族の価値の否定」としており、こうした情報は、ポルノや暴力の助長、もしくは人種・民族・宗教的な緊張を煽るものと同等に扱われています。
この改正案が成立した場合、インターネット上でLGBTについて議論する情報はブロックされ、たとえばゲイであることを肯定的に描写しているとみなされる映画は禁止されることになります。
その影響はフィクションやノンフィクションの枠組みを問わず波及し、広告物や書籍、さらにテレビゲームにも影響が及ぶ可能性があります。
禁止対象のビデオゲームリスト
今回の法案を提出した議員グループを率いる、ロシア下院教育委員会の第一副議長ヤナ・ラントラトヴァ氏は、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、バイセクシャルをフィーチャーした数十のビデオゲームをリストアップしています。こうした「LGBTプロパガンダ」なゲームについて彼女は、「非伝統的な性的関係を魅力的なものに見せている」として、罰金を課すよう提起しています。
提出されたリストには、以下のタイトルが含まれているそうです。
- 『アサシン クリード』
- 『アサシン クリード ブラザーフッド』
- 『アサシン クリード ローグ』
- 『アサシン クリード シンジケート』
- 『アサシン クリード オデッセイ』
- 『ボーダーランズ』
- 『Divinity: Original Sin 2』
- 『Dragon Age: Origins』
- 『ドラゴンエイジ:インクイジション』
- 『ライフイズストレンジ』
- 『The Last of Us』
- 『The Last of Us Part II』
- 『Fallout』
- 『エーペックスレジェンズ』
- 『RimWorld』
- 『オーバーウォッチ』
『オーバーウォッチ』のLGBTキャラクターとしては、トレーサー(レズビアン)とソルジャー76(ゲイ)が知られています。
『エーペックス レジェンズ』では多様性をフィーチャーしたキャラクターたちがさらに多く登場しており、ブラッドハウンド(ノンバイナリー)、ジブラルタル(ゲイ)、ミラージュ(クエスチョニング)、ローバ(バイセクシャル)、ヒューズ(パンセクシャル)、ヴァルキリー(レズビアン)、シア(パンセクシャル)、カタリスト(トランス女性)と多岐に渡ります。
ロシアではこうしたゲームを一括りに「LGBTプロパガンダ」と認定されることになりそうです。
違反者には最大500万ルーブルの罰金や国外追放
ラントラトヴァ氏は、上記のゲームの他にも『ザ・シムズ3』を例に挙げ、以下のように説明しています。
「『ザ・シムズ3 』も多くの女の子に愛されているゲームです。このゲームでは、プレイヤーは家族を作ることになり、パートナーの選択肢もかなり広くなっています。また、主人公は同性の友人とキスをしたり、デートに誘ったり、恋愛をしたり、さらには家庭を築いて子供を作ったりすることも可能です。主人公自身が同性に声をかけられることもあります。つまり、プレイする子どもは、この行動を規範として見せられ、別の家族関係のシナリオを試す機会を与えられるのです」(※Gazeta.ruより機械翻訳を元に作成)。
一方で、ティーンエイジャーが異性のキャラクターとなってプレイをすることは禁止していません。「私たちは、非伝統的な関係が規範や魅力的なものとして提示されたときのプロパガンダについて話しているのです」。
ロシア連邦議会は、ビデオゲームにおけるLGBTプロパガンダの行政責任について、法案の第二読会に向けた修正案で確定させる予定です。
メディアやインターネット上で「LGBTプロパガンダ」的ゲームの宣伝を行った場合、個人や法人のカテゴリー別に、20万ルーブルから最大500万ルーブル(日本円で約45万円~約1,100万円)の罰金が科され、違反者が外国人であった場合は国外退去処分となります。
法案が可決した場合、エーペックスを手がけるEAや、オーバーウォッチを手がけるBlizzardは、リストにその名があることもあり罰金や規制の対象となる可能性があります。ロシアでもこれらのタイトルのプロ選手やチームが存在しますが、今後は国の代表として大会に出場することも難しくなると予想されます。
EAなど米国の企業が「同国政府のプロパガンダに荷担している」というロシア側のプロパガンダには頷けないものがありますが、昨今のビデオゲームが持つ影響力の高さがうかがえるとも言えるでしょう。ウクライナ侵略でも、多くの人には理解不能の独自理論を展開しているロシア。今後ロシアでは、『エーペックス』や『オーバーウォッチ』がプレイできなくなってしまうのでしょうか。
コメント
コメント一覧 (15件)
こわいねぇ
まぁAPEXのLGBT表現は好きじゃないけど
アレは完全にLGBTを食い物にしてるし
これで少しチーター減るからうれしい
サイバーパンクは無視してアサクリにアンチポリコレ振りかざしててプロパガンダはどっちだよ
ただやっぱ、ポリコレに屈したゲーム会社のいらない全面LGBT設定は本当に気持ち悪いからな。裏設定程度でいいだろそもそも、「マイノリティ」じゃねえじゃん