Respawn Entertainmentは、『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』のシーズン17「アーセナル」でランクマッチの仕組みを変更。ランクを上げるためには順位が重視されるようになりました。
シーズン17が始まってまだ2週目ではあるものの、Apex Legends Statusが各ランク帯の人口分布を公開しています。新しいランクマのシステムは、果たしてプレイヤースキルを正しく査定するものになっているのか、データでチェックしてみましょう。
シーズン17(2週目)時点のランクマ人口分布
非公式のデータトラッキングサイトであるApex Legends Statusにて、シーズン17のランクマッチ人口分布をリアルタイムで確認することができます。
シーズン17のランクマッチは全員がルーキーからスタート。最初の10試合は「振り分け戦」として扱われ、非公開スキルレートであるMMRが高いプレイヤーほど、現在のランクとのギャップや対戦成績に応じて獲得LPにボーナスがかかる仕組みになっています。
キルよりも順位そのものが重視され、多くのスキル帯のプレイヤーが参加しやすくなった一方、本当に実力があるプレイヤーなら50戦ハイドし続けてもプレデターになれるという、ややクセのある仕様になっています。
(非公式ながら)公開されているデータによると、集計対象プレイヤー数は約253万人。このうちマスター帯とプレデター帯の人口は、合わせて約1.32%いるようです。まだシーズンスタート2週目ながらそれなりの割合のプレマス帯プレイヤーがおり、ランクのシステム自体は説明通りに機能していることが察せられます。なおマスター帯が多く見えますが、ダイヤ帯(1~4)合算ではダイヤより少なくなっています。
上の画像はシーズン15スプリット2のものですが、グラフの形だけ見れば、シーズン17の方がむしろティア間の安定した分布になっている印象です。
本当に「実力を査定するモード」になっている?
しかし、一方で気になるのは、ランクマッチが本当にプレイヤーの実力を査定するモードとして機能しているのかという、過去のシーズンから続く疑問です。
結論から言うと、今回のグラフでは、新ランクマッチのシステムの良し悪しを評価するのは難しいでしょう。なぜなら、グラフが参加者全員の実力の分布を示しているのか、単にランクマのプレイ時間の分布なのかが判然としないためです。
ランクマッチが参加者全員の実力を振り分けているのであれば、FPSに限らずどんなタイトルでも、「平均的なスキル」のプレイヤー層が最大になり、「平均以上」のプレイヤーや、「平均以下」のプレイヤーほど徐々に少なくなり、そして「最も上手いプレイヤー」の割合は最も少ないという図になるはずです(対数正規分布)。
ランク(コンペ)に「ソフトリセット+振り分け戦」の方式を採用している『VALORANT』は、まさに教科書的な人口分布図になっています。参加者全員のそれぞれのランクが、自分の(相対的な)実力であることを表すシステムであると言えます。
こうして比較するとエーペックスの方は、ルーキー+ブロンズ帯が最も大きくなっています。これは恐らく、少しランクマをプレイしただけのプレイヤーもカウントされているのが原因と思われます。つまり低ランク帯ほど、実力では無く単に「ランクマのプレイ時間(の短さ)」を表しているだけの可能性があり、プレマスからルーキーまで、参加者全員の実力を正しく反映した分布図にはなっていないようです。
システムが似ている『シージ』との比較
「全員が一番下のランクからスタートする」という形式を採用している他のFPSとして、『レインボーシックス シージ』のランクマッチが比較対象になりそうです。
こちらは2022年の秋頃までは、「認定戦」を10試合行ったうえでランクのスタート地点を決めるシステムでしたが、現在は大きく変わっています。エーペックスと同様に全員が最下層(コッパー)からスタートし、内部レートが高いプレイヤーほど、好成績を続ければより早く最上位ランク(チャンピオン)に行ける仕組みです。
こちらも非公式データではあるものの、エーペックス同様に「ランクの低いプレイヤー層の人口が最も多い」という状況になっています。
このように「ランク=実力」のプレイヤーと、「ランク=プレイ時間」のプレイヤーが混ざっている人口分布図では、実力査定システムとしてのランクマッチの良し悪しを(プレイヤー視点で)評価することもできません。
新ランクマッチは評価方法不明
ここで言う「ランクマッチの良し悪し」とは、ランクの上がりやすさ・下がりやすさのバランスのこととします。適度にランクが上がりやすい・下がりやすいことがプレイのしやすさにつながり、それは分布図が描く山の鋭さに着目することで検討できます。
グラフの山が鋭くなっているランクマッチは、ランクの昇格・降格が起きにくい硬直的なシステムであることを示唆します。逆に山が平坦すぎると、プレイヤーがランク間を激しく昇降している混沌としたシステムであると考えられます。
『VALORANT』では、アセンダントを追加したことで山の鋭さ(=ランクの上げ下げのしにくさ)を解消できていることが上掲の図から分かります。しかし、仮にこれ以上ランク帯を増やした場合、山が潰れて台地となり、混沌としたランクマッチになる恐れがあるでしょう。究極的には、これらの間のバランスを取ることがランクマッチへの取り組みやすさにつながります。
エーペックスも、現実的にはプレイヤーのスキル分布は対数正規分布になっており、中間層のスキルのプレイヤー(シルバーからゴールドあたり)の人口が最も多くなるはずです。どうやって集計すれば『VALORANT』のような図が導き出され、それぞれの山の高さからランクマッチそのものの評価が可能になるのかを検討していく必要がありそうです。
ランクマッチを一定時間以上こなしたプレイヤーのみの人口分布を作れば良さそうですが、その「一定時間」をどこに設定するかが次の争点になるでしょう。
今回のデータはいずれも公式ソースではないとはいえ、興味深いものです。現在のランクマッチが結局のところ良化したのかどうかはグラフからは読み取れませんでしたが、現在のエーペックスのランクマッチのシステムを評価する上手い方法が、いずれ考案されることに期待したいところです。
- タイトル:Apex Legends(エーペックスレジェンズ)
- 配信日:2019年2月5日
- 対象機種:PS4, PS5 / PC (Origin, Steam) / X1, Xbox X | S / Switch
Source: Apex Legends Status, Esports Tales, Tracker Network
コメント
コメント一覧 (11件)
調整は良いんだけど、キルしたことで右上のプラスがリアルタイムで増えてくのが楽しかったからそこだけ戻してほしい