Respawn Entertainment(リスポーンエンターテインメント)の『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』は複数のプラットフォームで人気を博しているが、PC・Steam版に限っては、その人気度を具体的なプレイヤー数で推測できる。
エーペックス系ニュースアカウントのApex Legends Newsが、年の瀬に気がかりな数字を報告。『エーペックスレジェンズ』のSteam版プレイヤー人口が、ここ数ヵ月で急減しているという。
海外勢からは現状を憂慮する声が聞こえるが、果たしてこれは本当に深刻な事態なのだろうか? 他のタイトルと比較しつつ、2024年の展開を占っていこう。
気になる『APEX』の人口動態2023
(以下で取り扱う数字は、すべてSteamに限ったものである点に注意。全プラットフォーム合算のトラッキングデータは利用不可能)
Steamの人口動態をトラッキングしているSteam Chartsで確認すると、確かに2023年8月末時点は18.8万人いたプレイヤーが、14.3万人に減っている。記事執筆時点での「Last 30 Days」とは12月29日までの数字だが、それでも11月と比較して14%も減少。残り2日でこのマイナス14%が一気に戻るとも考えにくい。
Steam Chartsで見られる、2020年11月末から約3年分の人口動態をグラフ化すると上図のようになる。青い点線は3ヵ月の平均。これまでのSteam版における最高記録は2023年2月の257,416.7で、ちょうど4周年イベントの時期と重なっている。
しかし現在の142,639.3は、ちょうど1年前の2022年12月末につけた170,882.7さえ下回っている。これは4周年イベントの盛り上がりで増えた分のプレイヤーが、すっかり抜け出てしまったことを示唆している。厳密には7月の時点で既にその点が明らかになっており、そこからさらに人口を減らしている形だ。ここだけを見ると、コミュニティの人々があれこれ言いたくなるのも仕方がない。
リプ欄では人口減の原因を「エーペックス内」と「エーペックス外」、どちらにも結びつける声や、単に様子見する声もある。
- 「コンテンツがないし、他のでかいゲームと競い合っている。だから、エーペックスだけのせいじゃない」
- 「ぜんぶRespawnとエーペックスのせいだ。この3年ずっと同じじゃないか」
- 「みんな『The Finals(ザ・ファイナルズ)』をやってるんでしょ」
- 「なんでシーズン4や5の頃に戻すんじゃなくて、ゲームを悪くしていけばみんなまたプレイしてくれると思うんだ」
- 「家に帰ったらログインするよ。それで1時間くらいは数字が増えるだろ」
他の人気タイトルと比較
とはいえ結論を下すのはまだ早い。どんなゲームでも、時期によってプレイヤー人口が増えたり減ったりするものだからだ。
実際には、ここから最高記録を更新していくケースや更新しないケース、どちらもあり得る。他のゲームタイトルの人口動態を参考にしてみよう。
記録を更新し続けた例:『CS2』
記録を更新していくケースについては、Steamの看板FPSである『Counter-Strike 2(カウンターストライク2、CS2)』が分かりやすい一例だ。
現在Steam Chartsのトップに君臨する『CS2』だが、記録開始から10年以上の道のりは、山あり谷ありだった。
まだ『CS:GO』だった2018年4月末には、前月比マイナス18.40%という大きな下げを記録。2021年6月末にも、前月比でマイナス16.75%に減るという出来事が起きた。その時点なら、「CSもいよいよ終わりの始まりか」と言っても多少は説得力があっただろう。
しかし、結果的にはその後も最高記録を更新し続けた。2023年には『CS2』へのメジャーアップデートに合わせ、ついにプレイヤー100万人の大台を突破している。PCゲーマーやSteam全体の人口増も寄与しているはずだが、今や2021年ごろにできた谷も遠い昔の出来事に見える。
なお、直近数ヵ月では再び下降傾向にある。よく見ると、ピークをつけたのは『CS2』にアップデートした9月以降ではなく、そのテスト期間中である5月だった点が気がかりだ。これは、アップデートへの期待から『CS:GO』が改めて多くの人々にプレイされたものの、『CS2』リリース後の評価が事前の期待についてきていないことを思わせる。
いずれにせよ、2023年5月末の1,117,517.4人が、今度こそ本当の最高記録になるのか、それともまだまだ上があるのかは誰にも分からない。
記録を更新していない例:『PUBG』
対照的に、最高記録を(少なくとも現時点までに)更新できていない例が、同じく人気タイトルの『PUBG: BATTLEGROUNDS』だ。こちらは6年半ほどのデータ。
タイトルがまだ『PlayerUnknown's Battlegrounds (プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンド)』だった2018年1月末に、PUBGは月間平均人口1,584,886.8人という凄まじい記録を打ち立てた。バトロワジャンル自体はこれより前に『ARMA 2』のModとしての『DayZ』などがあったが、PUBGの成功は象徴的なものだった。
ところが結局、その2018年1月時点がSteam版PUBGのピークとなっている。それでも20万人程度のプレイヤーをキープしている怪物タイトルであることは間違いないが、こういうパターンもあることは覚えておきたい。果たして『エーペックスレジェンズ』はどちらのコースをたどるのだろうか。
「他のゲームに行っているだけ」かチェック
以下は補足だが、人口減の原因については「他のゲームに行っているだけ」という意見もあった。これもSteam Chartsで確認してみよう。
上のグラフは、Steam版『エーペックスレジェンズ』(赤)のトラッキング開始地点である2020年11月から、記事執筆時点でSteam Charts上位10に入っている人気タイトルを比較したもの。
ただし1位は『CS2』だが、他のタイトルとの人口差が激しく、見づらくなるためカットしている(グラフ全体が2位の『DOTA2』(緑)よりも上に乗っかっている)。
8月から12月まで人口を減らしてきたエーペックスに対して、同時期に人口が増えたタイトルの線をやや太くした。『PUBG』(紫)、『グランド・セフト・オートV』(黄)、『コール オブ デューティ』シリーズ(水色)、『Lethal Company』(灰色)の4タイトルが、同じ時期に増加している。『The Finals』はまだ1ヵ月分のデータしかない(四角い赤のところ)が、「ゼロから増えた」とみなす。
『バルダーズ・ゲート3』(薄い青)は急上昇からの急降下。2023年のGOTY作品だが、よくある「正式リリースしたところがピーク」のパターンにならないことを祈る。『DOTA2』(緑)、『Team Fortress 2』(黄緑)、『RUST』(黒)は横ばい判定とした。
確かにタイトルごとにそれぞれ増えたり減ったりしており、「他のゲームに行っているだけ」という解釈はできそうだ。とはいえ3ヵ月前からの減少率は約24%と、やや急激に思える点をどう評価すべきだろうか。たとえば『Team Fortress 2』のように、7月に76.94%上げてから、8月に22.87%落とし、9月にさらに16.69%落としたものの、12月は58.09%上げるなど、人口が激しく動いて安定しないパターンに入っている可能性もある。また「新作ゲームが旧作からプレイヤーを奪っている」という構図ではなく、旧作の『PUBG』が、エーペックスと分かりやすく入れ替わっている点もおさえておきたい。
いずれにせよ、「他のゲームに行っている」が「アップデートが来たら帰ってくる」という意味であれば、この後またエーペックスが他のタイトルの人口を吸い上げる形になるはずだ。もちろんこのまま別のタイトルに留まる可能性もある。
APEX 5周年記念に向けてイベント盛りだくさん
まとめると、まずSteam版『エーペックスレジェンズ』については、集計期間がまだわずか3年という点は改めて確認しておきたい。
そして長い目で見たとき、ここから上がる、下がる、どちらに行くパターンもあり、確定は不可能だ。確かなのは、「エーペックスをこの先もプレイし続けたい」というプレイヤー数が、「もう他のゲームに行く」というプレイヤー数を上回っているなら、人口減少もどこかで止まるということくらいだろう。
そんなエーペックスは、2024年2月にめでたくリリース5周年を迎える。まだコンテンツこそ発表されていないが、2月スタートが予想される「シーズン20」でも大々的なアニバーサリー・イベントが期待される。
現実でも、5周年記念に関連したさまざまなイベントが予定されている。
- 総額100万円の賞金つき大会「PLAY ALIVE Apex Legends Vol.8」(1月6日より)
- 5周年を記念した企画展「Apex Legends Museum + POP UP STORE」(2月9日より)
- ローンチ5周年記念フェス「Apex Legends Asia Festival 2024 Winter」(2月24、25日)
これらに加え、ゲーム内では1月10日から『FINAL FANTASY VII REBIRTH』とのコラボも始まる。ここから数ヵ月は見どころ満載。今はちょっとした休憩期間とみなすこともできる。まずは5周年イベントの勢いを見てから、もう一度全体の調子を判断しても遅くはないだろう。
最後に改めて、数字はすべてSteam版だけのものだ。他のプラットフォームでは異なるグラフ形状になっていると予想される。またこの手のグラフは、他のタイトルとの比較や、期間を動かすことでいくらでも印象が変わってしまう点も覚えておこう。
日本のエーペックスプレイヤーの方々なら、現在の人口動態をどのように解釈するだろうか。「これはエーペックス側の責任で、今後も減っていくだろう」、「しばらく他のタイトルに行っているだけで、年明けからまた戻って来るだろう」など、思うところがあればぜひコメント欄に寄せて欲しい。
Source: Steam Charts
コメント
コメント一覧 (16件)
まぁPC勢がパッドに完全敗北を意味するプロのパッド移行だからなぁ
あれだけ文句言ってたのにプロまでもがパッドに移るレベルでゲームとして色々難ありなんでしょ
単純にパッドが増えてPC版の意味を果たしてないから別ゲーに移っただけです。
ツール流行りすぎてモチベ失せたな、使ったもん勝ちやし使って勝った所で楽しくないからやる意味もない。
単純にバトロワに飽きてるってのも大きいと思うけどな
最近Warzoneが戻ってきて数日Apexの同接抜いてちょっと話題になってたけど
すぐさま人口一気に減ったし世界的に食傷気味なんじゃない
あとバトロワはエイム"アシスト"の領域超えてエイムボットの領域に足突っ込んでるから
K&M勢からも敬遠されつつあるのも大きい
更にはK&Mみたいなムーブをパッドでやるためだったりその逆にK&Mでアシストつけるために
reWASDが裏で大流行して手がつけられなくなってたりと破茶滅茶だもん
単純にマスターとプレデター行ってもチヤホヤされないから別ゲー行っただけじゃね
みんなマスター目指してプレイしてたけどS17ヌルゲー化してモチベなくなったから徐々に減ってったんじゃないかな。
タップストレイフを削除せず上級者優遇してから運営の意向に疑問は尽きなかったなあ。
シーズン13のランクマでリーグのような仕様に改悪したのが決定打だった。
一般人にはとてもじゃないが楽しめなくなったな、あれ以降のapexは。
別ゲーになるがcodbo3にはストレイフみたいなノリで加速ジャンプっていうテクニックがあったんだけど、あれに対しcod運営はプレイヤーの技術格差を産んでしまうっていう理由で即刻修正されて、すげえ有能だなってその時に感動を覚えたよ。
今の時代、SNSでプロやストリーマーが騒いで自分たちが有利な玄人向けゲームに修正させるのが罷り通っちまう。ゲームなんて1人寂しくこそこそプレイしているオッサンの意見以外は取り入れるな。ゲームのキーマンは孤独なおっさんだ。プロやストリーマー、パーティプレイヤーにゲームを面白くさせる才なんてあったもんじゃなかった。運営する奴らは惑わされるな。歴史から学べ。
騒いだもん勝ちの嫌な時代になったもんだ…まったく…
ソロ見捨てたし
クロスプログレッションのゴタゴタで一気に離れた印象だわ
そしてちょうどフォトナが大盛り上がりで人口流れて、続け様にfinalsも出てさらに流れてとapexに戻る選択肢がないんよな
EAAの記事は内容が濃いから良いね