『Den of Wolves(デン・オブ・ウルブズ)』は10 Chambersが開発中の新作FPS。『PAYDAY』や『GTFO』といった独特の作品を世に送り出してきたスウェーデンのクリエーターたちが、改めて「強盗FPS」に挑戦する。大企業がダークな抗争を繰り広げるサイバーパンクな近未来を舞台に、プレイヤーは裏社会の黒幕となるべく暗躍するという作品だ。
発売日程は未定の『デン・オブ・ウルブズ』だが、先行体験イベントが都内で開催。EAA!!は来日した10 Chambersの方々から、このゲームのコンセプトやシステムなどについて貴重な話を聞かせてもらった。
『デン・オブ・ウルブズ』10 Chambersインタビュー
『デン・オブ・ウルブズ』は、スウェーデンのゲームスタジオ10 Chambersが開発中の最新作。『PAYDAY 1 & 2』や『GTFO』のクリエーターとして高い評価を得たゲームデザイナー、ウルフ・アンダーソン氏がチームを率いている。
2015年に設立された10 Chambersは、わずか10人でスタートした極めて小さなインディーズスタジオだった。デビュー作である『GTFO』のリリース前は、「ハードコアな協力型FPS」という特殊なジャンルでプレイヤーを惹きつけられるか、スタジオの人々も心配していたという。
しかしその挑戦的な姿勢や、独特のアートデザイン、細部へのこだわりが高く評価され『GTFO』は大ヒット。早期アクセスのリリース日にはSteamのセールスランキングで1位を記録し、リリースから9日目であっさり開発費を回収してそのポテンシャルの高さを証明した(2019年当時のツイート)。
2020年以降は、テンセントからの出資を受けてさらにスタジオの規模を拡大。現在は100人ほどのスタッフが、10 Chambersならではのユニークなゲーム開発に携わっている。

先行プレイイベントの会場では、10 Chambersの共同創設者であり、音楽&オーディオディレクターのサイモン・ヴィクルンド氏、さらにコミュニケーション・ディレクターのロビン・ビョールケル氏にお会いする機会があった。インタビューは主にヴィクルンド氏からの回答だ。
サイモン・ヴィクルンド氏はスウェーデンのゲーム開発者・作曲家で、過去 20 年にわたり『ストリートファイター』、『バイオニックコマンドーリアームズ』、『ゴーストリコン』など、さまざまなゲームの音楽を手がけてきた。
『PAYDAY』シリーズのコンポーザー、サウンドデザイナーとして知られ、『デン・オブ・ウルブズ』ではシナリオ・ディレクターを務めている。
様々なチャレンジと難易度

Q. 『デン・オブ・ウルブズ』のゲームの難易度は、どのような方針でデザインしていますか。先行体験の範囲では少し優しく簡単になった『GTFO』という印象でした。
A. 『デン・オブ・ウルブズ』は"簡単なゲーム"ではなく、"簡単な『GTFO』"とも違うものです。FPS未体験のプレイヤーではなく、既にFPS作品をいくつかプレイしたことがある人に向けたゲームです。
ですが、『GTFO』のようにプレイスキルをテストするようなゲームとも異なり、ロールプレイングのように、難易度を自分で調整できるようになっています。きついチャレンジに挑めば、敵の警備要員やドローンといった防衛網も強力になりますが、それだけ報酬も大きくなります。
ミッションによって幅広い難易度があります。簡単なもの、難しいもの、さらに難しいものなど様々です。これが地下の犯罪世界における「強盗 vs 警察」というコンセプトにおける、最適な側面だと考えています。
特徴的な要素「ダイブ」とは?

Q. 今回先行プレイできた「ダイブ」は、パルクールによってクリアしていくものでした。他にどんな種類のダイブがあるのでしょうか。
A. 多種多様な「ダイブ」があります。ゲームとして面白く、チームでの協力が求められる限り、どんなダイブもあり得ます。「ダイブ」は全員でのクリアが必要になっており、チームのうち一人だけでクリアできるようには考えられていません。
ダイブは『デン・オブ・ウルブズ』のゲーム体験に新鮮さを与え、テンポを変化させるものです。パルクールの他にも、たとえば迷路を探索したり、怪物に追いかけられたり、悪夢のようなシナリオもあります。場所も、たとえば日本だったり、スウェーデンの城、南米のジャングル、ノルウェーの森と、どんなロケーションもあり得ます。
『デン・オブ・ウルブズ』の基本はステルスとガンプレイですが、「ダイブ」ではアクションチャレンジになります。現実世界とは異なる場所へ移り変わり、ゲームのテンポや雰囲気も変化します。ダイブはミニゲームのようなもので、ゲームのジャンルも変わると言えるでしょう。
ミッションで失敗すると最初からですが、ダイブのシーンでは何度か再チャレンジできます。そのダイブがどういうルールで、どうすればクリアできるのかを探す必要もあるからです。
『デン・オブ・ウルブズ』はSF作品です。現実のルールを破壊できるSFは、現代ゲームの創造性に自由をもたらしてくれ、ダイブというコンセプトもそこから生み出されました。武器やガジェット、敵ロボットなどについても、自分たちでその世界のルールを作れるのはSF作品の利点の一つですね。
SF要素をいかに理解しやすくするか?

Q. 近未来が舞台ということで、蜘蛛型の金庫破りロボットなど、奇妙なSFガジェットが登場します。現代を生きるプレイヤーでもそれが何なのか理解できるよう、どのように工夫しましたか?
A. 創造的かつ革新的なデザインでありながらも、現代の人々がそれを理解し、人に説明できるようなテイストを持たせようという点には、非常に力を入れています。
たとえば『デン・オブ・ウルブズ』の武器が放つ銃声やメカニズムは、今ある銃器に寄せています。その形を見たり、音を聞いたりしただけで、それがどんな武器なのか、どのくらい強力なのか、危険なのかが理解できるようにしているんです。銃声の環境への反響の仕方も、今あるものに寄せています。
レーザー銃やプラズマ武器のような架空の兵器も登場しますが、どうやってこれらを危険なものだと感じてもらうかは、より難しいことです。近未来の武器を考案するとき、それで面白くなるならゲームプレイに取り入れます。ゲームプレイに寄与するかどうかが最も重要なポイントです。
「スパイダードリル」については、過去の私たちのゲームにはないタイプのロボットです。知性を有し、自分の姿を隠してプレイヤーとともに行動します。こうしたSF要素もあるので、ゲームとしては『PAYDAY 2』よりも考えるべきことが多くなっていると思います。
建築物についても、現代の建築に寄せるか、ぶっ飛んだデザインにするかはさまざまです。「ブレードランナー」のような景観を作りたいと思っていますが、そこはバランス次第で、その時々のクリエーターとしての心情によりますね。
キャラクターストーリーと背景

Q.『PAYDAY』のように、自分の操作するキャラクターには背景設定がついていますか?
A. 『デン・オブ・ウルブズ』には(自分自身の背景設定は)ありません。操作するキャラクターはどこかの誰かではなく、自分のことについて多くを語らないアバター(分身)として見てほしいからです。
プレイヤーに「工作」を依頼する各企業の経営者や創設者、代理人たちにはそれぞれ背景設定があります。海外ドラマ『メディア王 〜華麗なる一族〜 / キング・オブ・メディア(原題:Succession)』(Amazon)に出てくるような、都市で暮らす人々を利用する、邪悪で強欲な富裕層のようなキャラクターたちが登場します。
プレイヤーの背景ストーリーはないのですが、自分が誰なのかを表現するコスメティックとしては、『デン・オブ・ウルブズ』でも主にマスクが重要になります。
武器のカスタマイズ要素

Q. (先行プレイでは武器のアタッチメントが固定されていたため)『デン・オブ・ウルブズ』には武器のカスタマイズ・システムはありますか?
A. 早期アクセス版で実装されるかは分かりませんが、武器カスタマイズ機能は実装予定です。好きなスコープをつけたり、大型のマガジンを装着したり、サプレッサーをつけたりと、強盗ミッションの種類に応じたカスタマイズができるようにします。
ステルスが求められるミッションでは、武器には自動的にサプレッサーが装着されるようにします。サプレッサーを付け忘れたこと自体で、プレイヤーがペナルティを受けたり、ロードアウトを変えるためにミッションをやり直したりして欲しくないからです。ゲームとしてそういうのはストレスになりますからね。
『GTFO』では、武器の選択を間違えただけでプレイが台無しになるケースもあったのですが、『デン・オブ・ウルブズ』ではそうした凡ミスの許容範囲を広げて、ゲームプレイがスムーズになるようにしています。
日本の『GTFO』プレイヤーに一言

「『GTFO』をプレイしていただき、ありがとうございます。他の国々だけでなく、日本でも多くの方に『GTFO』をプレイしてもらえて、私たちも驚いています。
難易度については『GTFO』とは異なるやり方で取り組むようにしていますが、『デン・オブ・ウルブズ』も楽しんでいただければ幸いです。ぜひ今後の情報にも注目しておいてください。きっとうれしい発表がありますよ!」
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Source: In-game, Interview
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