Electronic Artsの『バトルフィールド』シリーズ最新作は、2026年3月末までのリリースを見越している。EA系列の4スタジオが「BATTLEFIELD STUDIOS」を結成して開発にあたり、アルファ段階からマルチのコミュニティテストが開催されるなど、シリーズ史上最高のクオリティが期待された作品だ。
この新作『バトルフィールド』には、シングルプレイヤー用キャンペーンモードも登場する。マルチの情報は少しずつ出ている一方、キャンペーンはどのようなゲームになるのだろうか。担当するMotive(モーティブ)のスタッフがそのヒントを共有している。
新作『バトルフィールド』キャンペーンに影響を与えた作品
これまでも数々の映像作品がゲーム開発の現場に影響を与えてきたが、新作『バトルフィールド』も例外ではない。MotiveのスタッフらがINVERSEとのインタビューの中で、「インスパイアを受けた作品」について語っている。テストは進行中ながらも未だに正体不明のリアルミリタリーFPS最新作について、その輪郭がつかめる内容だ。
『特殊作戦部隊:ライオネス』:任務と家族関係を両立?
クリエイティブ・ディレクターのRoman Campos-Oriola氏は、U-NEXTで配信中のドラマ『特殊作戦部隊:ライオネス』(U-NEXT)の大ファンだという。
(あらすじ)対テロ戦争の尖兵としてCIAに組織された特殊作戦部隊「ライオネス」。隊長のジョーは、前任務の失敗で部下を亡くしたトラウマと、崩壊寸前の家庭と任務の両立に頭を抱えていた。そんななか、監督のケイトリンとウェストフィールドより、次なるテロリズム権力者のもとへの潜入捜査を任されたジョーは、並外れた戦闘能力をもつ海兵隊員・クルスを採用し、標的となるテロリストの娘・アーリヤへの接近を指示するが…。
『特殊作戦部隊:ライオネス』は、対テロ戦争に取り組むCIAにフォーカスしたスパイ・特殊部隊モノのドラマ。大きな特徴は、主人公ジョーをはじめ女性隊員たちにフォーカスしている点だ。
実在のプログラムを参考にしていることもあり、工作活動の現場の描写は説得力が高い。一方では緊迫の任務と、家族との関係を両立させる難しさに苦悩する隊員たちの姿も見られ、女性中心の人間ドラマとしての深みを加えている。
これまでの『バトルフィールド』シリーズのキャンペーンを踏まえると、かなり意外なチョイス。さすがに「全員女性の特殊部隊モノ」がそのまま描かれるとは思えないが、具体的にどのような点が影響を与えているのか、非常に気になるところだ。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』:内戦の狂気と恐怖?
シニア・プロデューサーのPhilippe Ducharme氏が「本当に楽しんだ」作品として挙げたのは、2023年のアメリカ映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(Prime Video)だ。
(あらすじ)連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていく
こちらはアメリカでのシビル・ウォー(内戦)という刺激的な題材に挑んだ、アレックス・ガーランド監督作品。最前線での戦いを、俯瞰ではなくジャーナリストの視点から描いた点が大きな特徴だ。目の前で進行している事態に関する説明は極めて少なく、観客たちは断片的な情報から状況をつかんでいくしかない。まるで本当にアメリカで内戦が起きたかのような、混沌とした臨場感を体験できる意欲作だ。
ただし本国での評価はななかなかながら(Amazon.com, Rotten Tomatoes)、日本での評価は高くない(Amazon.co.jp)。背景や空気感などを含め、日本人には理解しづらいのだろうか。
Ducharme氏によると「(新作BFで)我々が推し進めていることのいくつかは、実はこの映画がいい参考になっているんです」とのこと。未試聴のBFファンは予習必須だ。プライム会員は無料なのでぜひ視聴しておこう。
平凡な人々の非日常的なドラマ?
Campos-Oriola氏は、製作中の新作『バトルフィールド』について、さらにこう語っている。その方向性に関する重要なヒントと思われる。
「私たちが本当に興味を持っているのは、才能はあるが平凡な人々が異様な状況に置かれるというコンセプトです。こうした状況は、他の人々との関係において非常に興味深いダイナミズムを生み出します。このような要素をシングルプレイヤーで描き出したいと考えています」
リメイク版『デッドスペース』からの学びも

Motiveスタジオといえば、名作SFホラーシューター『Dead Space(デッドスペース)』のリメイク版を2023年にリリースして高く評価された。2020年の『STAR WARS:スコードロン』から知っている方もいるだろう。どちらもジャンルは異なるが、これらの作品に携わった経験もMotiveのスタッフらに影響を与えているという。Campos-Oriola氏は過去の仕事からの学びについてこう語る。
「『デッドスペース』によって、私たちスタッフはお互いのクセや強みを知り、チームとしてどのように補い合うかをつかむことができました。」
「『デッドスペース』では、緊張感のカーブについてたくさん話し合いました。プレイヤーに夢中になってもらうために、どのように間をつなぎ、緊張が高まる瞬間と落ち着けるタイミングを作るか。ほかにも、プレイヤーの予測を少しもてあそぶようなこともしました。『バトルフィールド』はもちろん『デッドスペース』とは異なるゲームですが、そのときのメンタリティは引き継いでいます」

新作BFのマルチプレイヤーは日本でもテスト開催
『特殊作戦部隊:ライオネス』、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』、「才能はあるが平凡な人々が異様な状況に置かれるドラマ」、そしてリメイク版『デッドスペース』。
これらを合体させたとき、新作『バトルフィールド』のキャンペーンがどのようなストーリーなのか、想像ができただろうか。答え合わせの日が待ち遠しい。厳密に言うとまだ正式発表はされておらず、タイトルも不明の『バトルフィールド』シリーズ最新作の、さらなる続報にこれからも注目していきたい。
なお、マルチプレイヤーの方ではコミュニティテストが継続中。招待制テスト「Battlefield Labs」には、いよいよ日本からも参加可能になる。興味のある方は「Battlefield Labs」に登録し、以下の記事も参考に準備を始めておこう。

Gaming Device Power Tune for FPS

Source: INVERSE
EAA FPS(イーエーエー)をもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
コメント
コメント一覧 (1件)
デトスペの「緊張が高まる瞬間と落ち着けるタイミング」ってのはボクテのスポーンのことかな
あのゲームのスポーンは特定の法則によって行われてて下手すると突然真後ろにスポーンしたりするし