10月10日の世界同時リリースからまだ1週間と経っていない『Battlefield 6(バトルフィールド6)』だが、事前に予想されていた通りそのセールスは絶好調と見られる。市場調査会社Alinea Analyticsが、現時点での収益規模について分析した。
同社のレポートには他にも、プラットフォームごとの人口比率や、プレイヤーが過去にプレイしていたタイトル、さらに国籍別の人口分布など、興味深いデータが収録されている。『BF6』の初動にはどのような要素が絡んでおり、特にどの部分が重要なのか、一つずつチェックしていこう。
『バトルフィールド6』早くも650万本突破と市場分析
ノルウェーのゲーム市場調査会社Alinea Analyticsが、発売されたばかりの『バトルフィールド6』について、セールスや人口に関する興味深いレポートを掲載した。

リリースからまだ1週間も経っていないBFシリーズ最新作だが、Alineaはレポートが掲載された10月15日時点で、既に全プラットフォーム合算で650万本以上のセールスをたたき出したと分析している。
金額にすると、総収益3.5億ドル(約531億円)以上をわずか数日で稼ぎ出したことになるので驚異的だ。
補足すると、「総収益/Revenue」から開発費や広告宣伝費などをマイナスしたものが「純収益/Profit」になる。うっかり費用がかかりすぎていると、総収益が大きい割にあまり儲かっていない、などというオチがつく可能性もある点は留意しておきたい。
EAは買収によって株式非公開となり、決算報告をする義務がなくなるものの、少なくとも買収完了する2027年度第1四半期までは決算報告が行われる。より核心的な部分は決算を待つのが無難だろう。
主導はPC Steam版
『BF6』を主導しているのはPC Steam版のプレイヤーだ。プラットフォーム別では、以下の人口比率になっている。
- Steam版:人口比率56.7%、売上350万本以上(約333億円相当)
- PS5版:人口比率23.7%、売上150万本以上
- Xbox版:人口比率19.6%、売上120万本以上
Steamのデイリーアクティブユーザー数は、230万人から250万人で推移している。PS版は100万人ほどだ。さらにTwitchでも『BF6』の視聴者は同接で86.5万人を記録しており、強烈なスタートダッシュを見せていると言える。
Alineaによると、(基本無料ではない)有料のシュータータイトルとしては、『BF6』は例外的に安定したユーザー推移を示しているという。つまり、広告やネットの話題で興味を持ち、ちょっとプレイしてすぐに止めてしまうのではなく、非常に多くのプレイヤーが週末にかけて『BF6』をプレイし続けている。そして、月曜になっても人口減はほぼ見られていない。これは珍しい現象とのこと。
『BF6』プレイヤーたちの出身ゲームは?
興味深いことに、Steam版『BF6』のプレイヤーのうち、約45%は前作『バトルフィールド2042』Steam版に触れてすらいないことが分析されている。
情報を活用して『BF2042』をうまくスルーしたベテランもいると思われるが、それを差し引いても多くの新規層がBFシリーズに訪れていることを示唆している。なおPS5版の場合は、37%のプレイヤーが『BF2042』PS5版を未体験だ。
もっとも、彼らは純粋な「シューター初心者」ではなく、他のシューターからやってきたプレイヤーが中心のようだ。具体的にどんなタイトルから『BF6』に人が集まっているのかについても、補足的に分析されている。

- 『BF6』プレイヤーがプレイしたことのあるシューターゲーム(Steam)
人気タイトルのプレイヤーたちが集合しているということは、開発側のリスクは明白だ。もしプレイヤーを失望させれば、彼らはCoDやヘルダイバー、あるいは『BF2042』など、以前プレイしていたゲームにあっさり帰ってしまう可能性がある。
また、今後の新作にプレイヤーを奪われる可能性も当然ある。ウィッシュリスト登録数から、その兆候が見てとれる。
『BF6』のプレイヤーのうち、9%がEmbarkの新作『Arc Raiders(アークレイダーズ)』にも登録している。こちらは10月17日より登録不要の最終テスト「サーバースラム」を開催することもあり、ここで高い評判を得て話題があっさり切り替わる可能性もゼロではないだろう。
他にも、7%がValveの新作『Deadlock(デッドロック)』に登録している。また、4%が、Steam版がやってくる『Escape from Tarkov(エスケープフロムタルコフ)』に登録済み。
もちろん、11月14日発売のCoDシリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops 7(コールオブデューティ: ブラックオプス7)』にも3%が登録している。ジャンルをシューターに限らなければ、注目タイトルはさらに増えるだろう。
Alineaは特に、『Deadlock』には要注目としている。『BF6』プレイヤーのうち、28%が既に『Deadlock』をプレイ済みだからだ。ちなみに『Deadlock』はMOBA要素を盛り込んだTPS作品で、そもそも正式リリースされていない(Steamストアページ)。参加資格を持っているフレンドを介することでしかテストプレイできない作品だが、海外では既にeスポーツ大会まで開催されており、前評判は高い。
日本人プレイヤーの割合は?
プレイヤー(のアカウント)の国籍データも掲載されている。Steam版での中心はやはりアメリカで、人口のうち3分の1という巨大勢力だ。次点が中国人で、15%を占めている。ドイツやイギリスなど、西ヨーロッパ地域の人口は各国3~6%ほど。
気になる日本人は3%だという。米中と比較するとやはり少ないが、PC Steam版の数字である点を踏まえると、昨今の日本のPCゲーマー人口の伸びにAlineaは注目している。
PS版では、アメリカ人が38%でやはり最大人口だ。イギリスとフランスの人々はそれぞれ6~9%ほどで、ドイツが6.7%だという。
興味深いことに、PS版ではサウジアラビア国籍のアカウントが3%を占めている。サウジはここ数年、ゲーム・eスポーツ産業に国を挙げて投資していることで注目度を高めている。9月末には、サウジアラビアの政府系ファンドなどが合同し、EAを約8.2兆円で買収したことも大きな話題になった。国内のゲーマー人口にもその影響が見え始めているようだ。

10月28日から早くも「シーズン1」開幕、成功のカギは?
このように好調さが見て取れる『BF6』では、10月28日から早くも「シーズン1」が開幕する。シーズン1は約3ヵ月にわたって展開し、毎月新マップや新武器、限定モードなどの新コンテンツが次々にリリースされる予定だ。

果たして『BF6』は、初動の勢いをどれだけ継続できるだろうか。そもそも、このような数字に至った成功要因は何なのだろうか。
RedditやXでは、『バトルフィールド3』や『バトルフィールド4』など過去の成功作にならい、コミュニティのベテランたちの意見に耳を傾けたことが重要だったとする意見がよく見られる。実際に開発スタッフも、ラボテストを開催してコミュニティの声を重視した。また、過去作のリアル・ミリタリーの雰囲気を重視していることがインタビューでも伝わっている。
しかし興味深いことに、Alineaは『BF6』が過去作と比べてカジュアルゲーマー向けに寄せた作品であることも指摘している。
初心者でも練習しやすいBOTロビー。(『コールオブデューティ』のような)小型マップを使ったガンファイト重視のゲームモード。そして何でもアリな自由度を誇る「BFポータル」。これらが幅広いスキル帯のプレイヤーに遊びやすい環境を提供しているという。さらに、昨今のカジュアルゲーマーたちを魅了してきたバトロワモードも準備中だ。
ベテラン向けなのかカジュアル向けなのか、どちらが正解かを見抜くのは難しいが、もしも「ベテランとカジュアル、どちらも楽しめるゲーム」として完成しているのであれば矛盾はない。ゲーム全体の批評も含めて、この辺りの分析にはもう少し時間を要すると思われる。
いずれにせよ、現在の勢いを保てれば、シリーズ過去作では果たせなかったような大きな記録が期待できる。
オンラインシューターは人口争奪がとりわけ激しいジャンルであることは、シューターファンならご存じの通りだ。たとえ有名スタジオの新作でも、単に「面白い」だけでは生き残れない。そんなシューター界への全面戦争を開始した『バトルフィールド6』は、今後どのようなドラマを描くのだろうか。引き続き注目していこう。

FPS POWER TUNE


Source: Alinea Analytics
コメント
コメント一覧 (3件)
BFにバトロワは求めてないから割くリソースを間違えないでほしかった
まあ出すならやってみるけど
今作は紛れもなく俺たちのBFが帰ってきた
アジアのサーバーはチャット欄が中国とハングル文字ばっかで日本人からしたらリアル敵国ばっかだもんな