2025年11月14日に待望のローンチを迎えたCoDシリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops 7(コールオブデューティ: ブラックオプス7)』(BO7)だが、発売直後からゲーム内アセットに生成AI(ジェネレーティブAI)が使用されているのではないかという疑惑がソーシャルメディア上で噴出。プレイヤーコミュニティからの反発と議論を招いている。
話題の中心となっているのは、70ドル(日本では9,800円)のプレミアム価格で販売されているにもかかわらず、その品質やスタイルが『Call of Duty』“らしさ”や伝統と著しく乖離していると指摘されるアートワーク群だ。
『CoD:BO7』の"生成AIアート"使用疑惑が再燃、コミュニティが反発
今回、プレイヤーから最も厳しい視線を向けられているのは、ゲーム内の実績や購入によってアンロックされるコーリングカードやプレステージアイコンといった収集アイテム。
- 膨大な量と不統一感:
- BO7には680枚以上のコーリングカードが存在すると報じられている。その中で「Over Here Buddy」や「Peekaboo」、「Reeled In」といった特定のチャレンジ報酬カードが、生成AIによって作成された疑いがあると指摘されている。
- 「ジブリ風」アート:
- 疑惑のアートワークの一部は、AIアートプログラムで容易に生成可能ないわゆる「スタジオジブリ風」のアニメ調スタイルで描かれている。
- 品質への懸念:
- これらのスタイルは、『Call of Duty』シリーズが伝統的に持つダークでハードなミリタリーリアリズムとは相容れないと、多くのファンが違和感を表明。さらに、入手難易度の高いプレステージアイコンやキャンペーン報酬のアートワークでさえ、線が過剰であったり、ディテールが不明瞭であったりと、デザイン上の矛盾が散見されるとの批判も。



これらのコーリングカードやプレステージアイコンは確かに統一感の欠如や、生成AI味も感じられる。なお筆者も適当に作ってみたが簡単に再現はできなかった。生成AIだとしてもプロンプトを頑張っているのかもしれない。

上記はGrok、下部はChatGTP。頑張ればもっと似せたものが出せるのか...?

海外のリアクション
- CODはプレイしたことないけど、どんなゲームかは知ってたつもりだった。この画像を見てOPは全く違うゲームを投稿したんじゃないかと思った。
- ショベルウェア(大量生産の粗雑なアプリ)のモバイルゲームみたい
- なんで中世? CoDは未来的では? 一周して核戦争後の世界に戻ったの?
- 自社モデルをトレーニングする気力もなかったのか。MidjourneyとDallEの粗雑品だ。
- みんなブラックオプス6が去年すでにこれをやったことを忘れてるよ笑
- 仮で入れたのを実装し忘れたんじゃ
- 一体何が起こっているんだ…なぜジブリの絵に似ているんだ
- LOL 有料製品にこれを追加するのは違法にするべき
- 小さなインディー会社なのさ
- スタイルのミスマッチがすごい笑
- 「リールド・イン」の衛兵の手の指が6本(笑)。拡大して見てみて。(6枚のコーリングカードの左上)
- お前ら細かいことにこだわりすぎ
- 顔がウケる
Activisionは「デジタルツールの一つ」と使用を認める
開発・販売元のActivisionは、今回の疑惑を真っ向から否定してはいない。まず、『Call of Duty: Black Ops 7』のSteamストアページでは生成AIコンテンツの使用有無を開示する必要があるが、以下のように明記されている。
「弊社では一部のゲームアセット開発に生成AIツールを使用しています。」
さらに、海外メディアInsider GamingやXboxEraの取材に対し、Activisionは以下の公式声明を発表。AIツールの使用は認めつつも、それはあくまでアーティストを補助するものであり、クリエイティブなプロセスは人間が主導していると強調した。
「私たちは世界中の多くの人々と同様に、AIツールを含むさまざまなデジタルツールを活用して、プレイヤーに最高のゲーム体験を提供するためにチームを支援・強化しています。私たちのクリエイティブプロセスは、スタジオに所属する才能あるスタッフによって引き続き主導されています。」
繰り返される論争と「70ドル」への不満
Activisionが『Call of Duty』シリーズでAIアートの使用疑惑を指摘されるのは、今回が初めてではない。2023年の『Call of Duty: Modern Warfare III』や、昨年の『Call of Duty: Black Ops 6』においても、AI生成が疑われるコーリングカード(『BO6』では指が6本あるゾンビサンタの画像などが確認されている)が問題視されてきた経緯がある。

今回、コミュニティの反発がより強まっている背景には、ゲームの価格と品質のバランスに対する根強い不満がある。
- 70ドルのプレミアム価格:
- 『Call of Duty』は毎年数十億ドルを稼ぎ出す巨大フランチャイズであり、BO7も70ドル(🇯🇵では¥ 9,800から)のプレミアム価格で販売されている。にもかかわらず、人間のアーティストを雇用する代わりにAIアートでコストを削減しているのではないか、という批判だ。あるRedditユーザーは「AIを使用することで、彼らは人間のアーティストに支払うことを避け、多額のお金を節約している。それにもかかわらず、ゲームは依然として同じプレミアム価格だ」と厳しく指摘している。
- AIアートの「価値」:
- 一部のプレイヤーからは、AIアートは本質的に「価値がない」ものであり、プレイヤーは人間のクリエイティブな作業に対して対価を支払っている、とする意見も出ている。AIが人間に取って代わることは、アーティストだけでなく「プレイヤー自身も騙している」ことになると主張している。
AI利用の今後
『Call of Duty: Black Ops 7』は、批評家からはMetacriticで84点と、まずまずの滑り出しを見せている。しかし、記事執筆時点でのSteamレビューでは、45%が肯定的(ポジティブ)という「賛否両論」のステータスに留まっているが、もうこれはシリーズ恒例だ。
ActivisionがAIを「様々なデジタルツールの一つ」として今後も利用を続けると見られ、もちろんあらゆる企業や個人も活用しその利便性を享受していくことになるだろう。
膨大な開発費と開発期間を抑えるために「効率化」するのは良いことだが、それを「手抜き」ととらえられてしまってはマイナス感情を抱かれてしまう。AAAタイトルにおけるAIアートの利用と、その品質や価格設定を巡る議論は、今後もゲーミング業界だけにとどまらず、あらゆる方面で増加していくことになりそうだ。皆さんの意見は?
FPS POWER TUNE
Source: Insider Gaming, XboxEra, Reddit, Steam







コメント
コメント一覧 (12件)
問題なのは9800円もしてるのに中身がスカスカかつAIを使っているところだよな。そろそろまともなゲームを作ってくれ