『Warzone Mobile』の次は任天堂とスクエニ。マリカー・FF7ECサ終で見える「モバイル移植の限界」

大型IPのモバイル展開から、大手が次々と手を引いている。任天堂『マリオカート ツアー』が2026年9月30日、スクウェア・エニックス『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS(ファイナルファンタジーVII エバークライシス)』が10月7日にサービスを終了する。基本無料FPS『Call of Duty: Warzone Mobile(コール オブ デューティ: ウォーゾーン モバイル)』も今年4月にサーバーを停止したばかりの流れに、また大型IPが2本加わった形だ。
- 3行まとめ
- 任天堂『マリオカート ツアー』は2026年9月30日15時、スクエニ『FF7エバークライシス』は10月7日15時(いずれも日本時間)にサービス終了する
- 『CoD: Warzone Mobile』に続く大型IPのモバイル撤退で、SonyやIO Interactiveもモバイル事業を縮小・撤退していると海外メディアは伝える
- 人気IPを載せれば当たるという発想が通用しなくなり、制作コストと収益が釣り合わない構造がFPSを含む全ジャンルで表面化?
『マリオカートツアー』と『FF7エバークライシス』が相次ぎサービス終了
2026年7月8日、任天堂とスクウェア・エニックスがそれぞれ、スマートフォン向けタイトルのサービス終了を発表した。終了日はおよそ1週間差で並ぶ。
まず任天堂『マリオカート ツアー』は、2026年9月30日(水)15時(日本時間)でサービスを終える。2019年9月25日の配信開始から約7年、スマホで手軽に遊べる「マリカー」として親しまれてきたタイトルだ。任天堂・DeNA・バンダイナムコスタジオの共同開発だった。
すでに有償通貨「ルビー」の販売と、月額サービス「ゴールドパス」の新規加入・自動更新は7月8日15時で停止済み。オフライン版の提供予定はなく、任天堂は終了理由そのものは公表していない。
スクウェア・エニックス『FF7エバークライシス』は、2026年10月7日(水)15時(日本時間、PDTでは10月6日23時)で終了する。2023年9月7日のスマホ版配信開始から約3年での幕引きだ。
プロデューサーの市川翔一氏はレターの中で、このままでは『FINAL FANTASY VII』を冠するタイトルとして満足してもらえる品質での提供が困難になった、と説明している。運営を続けるなかで、制作工数とキャラクターの武器・ウェアの需要とのバランスを取ることが難しくなった、とも語る。数を削って延命するのではなく、品質を保ったまま畳む判断だ。
その上で、終了までのロードマップも同時に示された。これまで未展開だった『ビフォア クライシス FF7』編を7月から8月にかけて全3章で完結させ、3周年の節目となる9月7日には『FF7』本編ストーリーの最終章を配信する。ガラケー時代の名作を最後に届けきる、区切りを意識した幕引きになっている。なおSteam版は7月8日11時以降、新規インストールが停止されている。
FPSゲーマーにとっても他人事ではない。『Warzone Mobile』という前例
マリカーもFF7も、うちの読者からすれば「隣のジャンル」の話に見えるかもしれない。だが、この撤退の流れはFPS側がひと足先に通ってきた道だ。
『Call of Duty: Warzone Mobile』は、事前登録5,000万人という数字を引っさげて2024年3月21日にローンチした。ところが2025年5月には新シーズンやアップデートの提供と課金を止め、ストアからも削除。最終的に2026年4月18日にサーバーが停止し、正式にサービス終了した。稼働はおよそ2年1ヶ月にとどまった。
公式が終了時に述べた理由が象徴的だ。モバイル第一のプレイヤーの期待に、PCやコンソール同様には応えられなかった。今回の任天堂・スクエニの説明と、根っこは同じところを指している。当時の詳しい経緯は事前登録5,000万人の『Call of Duty: Warzone Mobile』が約1年で実質サービス終了にまとめているので、あわせて読んでほしい。
MicrosoftによるActivision買収の大きな狙いの一つがモバイル領域だったことを思えば、そのWarzone Mobileがこう畳まれたインパクトは小さくない。大型IP × モバイルという掛け算が、看板の強さだけでは回らないことを最初に見せたのがFPSだった。

なぜ大型IPのモバイル展開は続かないのか
ジャンルも運営会社も違う3タイトルだが、畳まれ方の共通点ははっきりしている。どれも「制作コスト」と「収益」の綱引きに負けている。
ここで効いてくるのがFF7ECの数字だ。Eurogamerが伝える市場推計によれば、FF7ECは2024年後半までに累計1億ドル(1ドル150円換算で約150億円)超のプレイヤー消費を積み上げ、その71%が日本からだったという。数字だけ見れば健全そうに映る。それでも運営チームは、コミュニティが伸び続けず品質を保った運営を維持できない、と判断した。稼げていないから畳むのではなく、稼げても割に合わないから畳む。ここが今回の本質だ。
そしてこの動きは2社に限らない。Eurogamerによれば、Sonyはモバイル部門を大きく縮小し、『ヒットマン』シリーズや『007 First Light』を手がけるIO Interactiveもモバイルから距離を置く。『The Elder Scrolls: Blades』のようにストアから姿を消したタイトルもある。大手が足並みをそろえて引いている。
構図はシンプルだ。2019年前後の「人気IPをそのままモバイルに載せれば当たる」というゴールドラッシュ的な発想が、もう通用しない。モバイルは課金設計もLTV(顧客生涯価値)も別のゲームで、看板を移植しただけでは高い制作コストを回収できる収益構造にならない。マリカーやFF7という強力すぎる看板ですら、である。
ここは日本のゲーマーとして少し引っかかるポイントでもある。FF7ECは売上の柱が国内だった。国内ファンがしっかり支えても本社判断としてはペイしない、という畳み方は、B2Bのサブスク事業で言えば「特定市場に依存した高コストサービスの撤退」とよく似た構造だ。愛されているかどうかと、事業として続けられるかどうかは、残念ながら別のレイヤーの話になる。
各タイトルのサービス終了スケジュール
- マリオカート ツアー(任天堂):2026年9月30日15時終了/2019年9月25日開始/ルビー販売・ゴールドパスは7月8日で停止済み/オフライン版なし
- FF7エバークライシス(スクウェア・エニックス):2026年10月7日15時終了/2023年9月7日開始/終了前に『ビフォア クライシス FF7』編と本編最終章を配信/Steam新規インストールは7月8日で停止
- Call of Duty: Warzone Mobile(参考・Activision):2026年4月18日にサーバー停止で終了済み/2024年3月21日開始/事前登録5,000万人
撤退の裏返しは「選択と集中」。本命はどこに向かうのか
寂しいニュースが続くが、前を向ける材料もある。FF7ECは終了までに未完だった物語を完結させ、本編最終章まで届ける「見届けられる撤退」を選んだ。Warzone Mobileも、残ったCODポイントを『CoD: Mobile』へ移せる受け皿を用意していた。畳み方には各社の姿勢がそのまま出る。
そして撤退の裏側は、たいてい選択と集中だ。任天堂はSwitch 2の『マリオカート ワールド』へ、スクエニは『FF7』リメイクシリーズの完結編『FINAL FANTASY VII REVELATION(ファイナルファンタジーVII リベレーション)』へと、それぞれ本命にリソースを寄せている。モバイルで薄く広げるより、勝てる場所に厚く張る。そう読める動きだ。
大型IPのモバイル冒険は、ひとつの時代が終わりつつある。次に「畳む」と噂されるIPが出てきても、もう驚けないかもしれない。あなたがサービス終了前に一度は触っておきたいモバイルタイトルは何だろうか。そして、次に撤退のニュースが飛び込んでくるのはどのタイトルだと思う?
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Source: Eurogamer
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コメント
コメント一覧 (2件)
エペモバも一年持たなかったからなー。
客層がそもそも違う
競技性は大小あれどPCやコンソールのユーザーはゲームをゲームとして楽しむ傾向があるけど
スマホは所謂ドパガキ属性ばかりでゲームを刺激でしか楽しめない
だからガチャゲーしか流行らない