2022年1月、Microsoftがゲーミング業界の巨塔Activision Blizzardを約9兆円(当時の為替相場)で買収予定であることを発表し、買収が完了すればMicrosoftは世界第3位のゲーム企業となることが見込まれています。 しかし、イギリスをはじめ各国の機関からゲーム業界の独占につながるのではと厳しく調査されており、買収計画が難航しているのが実情です。
そこでMicrosoftは、今年11月11日にソニー・インタラクティブエンタテインメントに今後10年間『Call of Duty』シリーズを提供する契約を提案したと明かしました。
進まないActivision買収計画
海外メディアNewYork Timesとのインタビューで、Microsoftは現在16カ国の機関からActivision Blizzard買収が独占禁止法に抵触しないか調査されており、サウジアラビアとブラジルの2カ国からしかまだ承認されていないそうで、14カ国から反対されていることになります。
かねてからMicrosoftは、今後3年は『Call of Duty』シリーズをPlayStation向けにリリースし続けると発言。 しかし、今年9月にソニー・インタラクティブエンタテインメントのCEOのジム・ライアン氏がMicrosoftの提案について「様々なレベルで不十分だ」と公に発言するなど、不満を隠していませんでした。
この発言がきっかけとなり、各国の独占禁止法を管理する反トラスト法執行機関、とくにアメリカ、イギリスとヨーロッパからの調査が厳しくなりました。
「この世にPlayStationがある限りCoDを提供」
この事態をうけ、MicrosoftのXbox部門代表のフィル・スペンサー氏は10月末に「この世にPlayStationが存在し続ける限り『Call of Duty』シリーズを提供し続けます。『マインクラフト』も独占はしておらず各プラットフォームに提供し続けています。」と発言。
さらに、MicrosoftはイギリスのCompetition and Markets Authority(反トラスト法執行機関)に提出した資料を公開。 「公平性を保つために今後数年はGame Passに『Call of Duty』を登録しない」という旨をジム・ライアン氏に伝えてあることも明らかになっています。
3年から10年へ
先週、海外メディアThe Vergeのポッドキャストに出演したフィル・スペンサー氏は次のように語り、現在提案している契約年数よりも長い期間『Call of Duty』を提供し続ける姿勢を示しています。
「(仮に)PlayStation 7があるとして、突然『Call of Duty』シリーズの提供を取りやめるというわけではなく、永久に提供し続けるという契約書を作成できないだけです。Sonyと反トラスト法執行機関が納得する契約を結ぶことに何も問題はありません」
それから1週間が経過した11月22日の本日、NewYork Timesとのインタビューにおいて、11月11日にXbox側はSonyに10年間の契約を提案したと明かしました。 これは当初の「3年」よりも7年も長い契約提案となり、抽象的な「PlayStationが存在し続けるかぎり」という言葉ではなく、明確に期間を示したものとなります。 New York Timesがインタビューの公開前にSonyにコメントを求めたところ、得られなかったとのことです。
10年という月日がソニー・インタラクティブエンタテインメントの視点からはまだまだ短いのは分かりませんが、『Call of Duty』という一大シリーズがライバルの手の内にあるというのは決して喜ばしいものではなく、ジム・ライアン氏がEUの反トラスト法執行機関に足を運び訴えかけるなど、なんとしてもより良い条件、もしくは買収阻止に力を注ぐという点も理解できます。
ゲーム業界を揺るがし続けるMicrosoftのActivision Blizzard買収案件は、果たしてどのような結末に着地するのでしょうか。
Gaming Device Power Tune for FPS
Source: NewYork Times, PCGamer, The Verge, Same Brain
コメント
コメント一覧 (5件)
うちソニ案件
ブロック権
Game passにしばらく出さないならユーザー目線のメリットは薄そう
そんなに買収嫌ならアクティ救ってやればいいのになんでソニーは救わないの?
多分1カ国でも駄目なら買収断念するだろうね
まあここまで進まないのなら無理だと思うけど。
PS5で出す予定だったスターフィールドを独占してきたくらいだし10年過ぎたら独占するつもりだろw