Logicool(ロジクール)は同社ゲーミングブランド「ASTRO」から新たなハイエンドワイヤレスヘッドセット「A50 X」を5月16日より国内で販売開始する。
この製品は2019年に発売された「A50 Wireless」の次世代モデルで、「PRO X 2」で初登場した最新技術「グラフェンドライバー」を搭載し、卓上マイク級の高音質マイク性能を備えている。
まさに業界トップクラスな「A50 X(White)」を3週間試用したので、使い勝手に焦点を当てたレビューをお届けしよう。
ロジクールG ASTRO A50 X レビュー
- どんな機種?:2019年発売のASTROハイエンド無線ヘッドセットが最新技術で進化
- 向いてる人は?:聴覚情報の重要さを理解しているゲーマー / 無線ヘッドセットにマイク音質を求める人
- 向いていない人は?:安さ求めるゲーマー / ライトゲーマー
- 競合製品は?:Logicool G PRO X2 / Razer BlackShark V2 Pro / HyperX Cloud Alpha Wireless など
- 立ち位置は?:ガチゲーマー向けの超高価格帯ワイヤレスヘッドセット
- カラーは?:ブラック / ホワイト
- 良いとこは?:ワイヤレスヘッドセットで業界トップクラスの性能
- いまいちなとこは?:お値段 / 密閉型に変換できるMOD KITは製造終了(現在庫のみ)
- 同梱物は?:製品本体、A50 X HDMI ベースステーション、USB-A - USB-C ケーブル、コンボケーブル、AC アダプター+ソケットプラグヘッド、Dolby Atmos アクティベーションカード、保証書、保証規定
- 発売日は?:2024/5/16
- 価格は?:59,950円(税込)
- 購入先:Amazon.co.jp / ロジクールストア
- 公式サイト:ロジクールG 公式サイト
- ワイヤレスヘッドセットとは?
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ゲーム機とケーブルなしで接続できるマイク付きヘッドホン。ケーブルの煩わしさがなく、バッテリーが続く限り通信範囲内ならどこでも音を楽しめるので非常に快適。ただし、有線よりもデータの送受信に限度があり、音質はメーカーの技術や最適化に依存する。
ロジクールG ASTRO A50 X 正直レビュー 結論
- 低音重視の次世代ゲームオーディオ
- 無線とは思えないマイク
- 進化したベースステーション
- 所有感が満たされるデザイン
- MixAmp Pro超えのイコライザー機能
- バーチャルサラウンドDolby Atmosを無料で使える
- お安くはない
- 最初のセットアップが複雑
- A50用MOD KIT(合皮イヤーパッド)は製造終了
- イコライザーがVC用の出力デバイスにも反映される(修正待ち)
デバイスマニアの結論から言うと、ロジクールGの技術を結集した「俺の考えた最強のヘッドセット」。A50 Xのグラフェンドライバーと高品質な無線マイクの組み合わせは唯一無二で、他社には真似できない。さらに「PLAYSYNC」機能によりゲーム機の画面と音声をワンタッチで切り替えられる。プロゲーマーだけでなくストリーマーにもおすすめできる逸品に感じた。
今後革新的な技術が出ない限り、他のヘッドセットに乗り換える必要はない。ただし、不満点もあるので後で述べる。
A50 X ギャラリー
A50 X の良いところ
- PRO-G グラフェンドライバー搭載!音の分離感に優れていて情報を聞き逃さない
- ワイヤレスヘッドセット業界でもトップクラスのマイク音質
- マイクを跳ね上げるだけでミュートのフリップ式は直感的で便利
- 新型ベースステーションの新機能「PLAYSYNC」は、単体で各ゲーム画面と音声の同時切替可能
- PC / PS5 / Xbox のプラットフォーム3種に対応
- 通信規格が「LIGHTSPEEDワイヤレス」に変更。バッテリー持続時間が向上
- Bluetoothのオーディオミックス機能で、モバイル通話しながらゲーム可能
- 充電台の磁力が強化。ズレによる充電ミスを防ぐ
- 唯一無二のスタイリッシュなデザイン
- 丈夫なシャーシと回転式イヤーパッド
- 印字されるロゴは全てロジクールGに変更
- PC・モバイル専用アプリG HUBからサウンド管理可能
- イコライザー機能はMixAmp超え!10バンド対応&全バンドの帯域幅を設定できる
- マイクはノイズゲートとサイドトーンの他に、イコライザーが追加
- バーチャルサラウンド「Dolby Atomos」対応!PCとXboxにて無償で利用可能
PRO-G グラフェンドライバー
最新技術のドライバーがA50 Xに搭載!低音重視の設計で、騒音の中でも足音を明確に聴ける音の分離感は情報戦で有利。まさに合法的なハードウェアチートと言える。
ドライバーサイズはPRO X2の50mmから40mmに縮小したが、ロジクールGによると「A50 Xではハウジング構造上40mmが最適」とのこと。現行A50と同じサイズであり、PRO X2レビュー時と音の聞き取りやすさに違いはない。
業界トップクラスの無線マイク
A50 Xのマイクは卓上マイク並みの高音質で、「本当に無線マイク?」と驚かされるほど。フリップ式でマイクを跳ね上げると直感的にミュートできるので使いやすく、視覚的にもわかりやすい。
2023年に登場した無線ヘッドセットの中でもマイク音質に優れた製品はいくつかあるが、A50 Xはその中でも突出している。リアルタイムで自分の声を聞けるサイドトーンも十分な音量を備えている。
ゲーム機の切替が楽
新型ベースステーションには、PS5やXbox、モニターなどをHDMI2.1ケーブルで接続した際に、ヘッドセットのボタン1つで音声と映像を同時に切り替えるパススルー機能が搭載されている。PCとゲーム機を頻繁に使うゲーマーにとって非常に便利な機能だ。
Bluetooth(ベースステーションと接続)にも対応しており、PLAYSYNCで選択中の音声とミックス可能。モバイル通話をしながらCS機のゲームをプレイできる。通信規格はLIGHTSPEEDワイヤレスに変更され、バッテリー持続時間は16時間から24時間に向上。
ヘッドセットを置く充電台の磁力も強化され、ズレによる充電ミスを防ぐ。ロジクールGによれば「磁力が強すぎると本体内部のパーツが破損する恐れがあり、再設計に苦労した」とのこと。まさに万能なヘッドフォンスタンドと言える。
所有感を満たすデザイン
宇宙服のようなスタイリッシュで未来的なデザインのA50 Xは、イヤーパッドが余裕のある大きさで快適。メガネをかけていても使用でき、イヤーパッドの回転機能で移動中も使いやすい。
A50の白モデルは初登場で、デバイスの色を白で統一したいゲーマーには魅力的な選択肢。ASTROシリーズだが、ロゴはロジクールGに変更されている。現行A50のイヤーパッドやヘッドバンド、A50用MOD KITを持っている場合、これらのパーツは互換性がある。
ゲーム音とVC音は単体で分離機能あり
PLAYSYNC対応のプラットフォームでは、ヘッドセット本体のボタンでゲームとボイスチャットの音量バランスを調整できる。ソロプレイ時とパーティプレイ時でゲーム音の調整をするゲーマーには便利な機能だ。
また、グラフェンドライバーの優れた音の分離感により、通話中でもゲーム音を聞き逃すことはほとんどない。
PC&モバイル専用アプリ
これまでのASTROシリーズと異なり、設定ソフトがロジクールGの「G HUB」に統一された。モバイル上でもBluetooth接続で専用アプリから設定変更が可能なため、PCを持っていないCSゲーマーでもA50 Xの性能をフルに活かせる。
モバイル専用アプリの「G HUB」はPLAYSYNCがPCモードの場合に限り、設定変更ができない。PC版の設定変更と競合しないよう対策がとられている。
MixAmp Pro超えのイコライザー設定
イコライザーの設定可能な最大バンド数が5から10に増加し、全バンドの帯域幅調整が可能になったことで、ASTROシリーズ史上最高のイコライザー機能を搭載している。使いこなせば、重要な音をよりピンポイントで強調できる。
ロジクールG公式サイトのアカウントを作成すれば、世界中のゲーマーとイコライザー設定を共有可能。様々なプリセットを試して、自分だけの設定を作ろう。
Dolby Atomos
PCとXboxでは有料のバーチャルサラウンド技術を無料で利用でき、中でも音量を一定レベルに自動調整する「ボリュームレベラー」の効果は絶大。『Escape From Tarkov』のような僅かな音が重要なゲームで有利に立ち回れる。
Dolby Atmosにもイコライザー機能があるが、G HUBの方がより高性能に感じられた。
A50 Xのいまいちなところ
- 価格が高め
- 最初のセットアップが複雑
- イヤーパッド素材を変更できるA50用MOD KITは別売で、製造終了している
- イコライザーがボイスチャット用再生デバイスにも影響を与える(バグかも)
ASTRO A50 Xは、ロジクールGの技術の結晶で最強のゲーミングヘッドセットと言える。しかし、価格が約6万円と高額なのが懸念点。これほど高価なヘッドセットはあまり見ない。
セットアップが複雑なのも難点。PLAYSYNC機能を使うためにはゲーム機とベースステーションを近くに置く必要があり、周囲がケーブルまみれになる。新型ベースステーションは専用ACアダプターで電力供給する仕様のため、コンセント数にも注意が必要。デバイス慣れしていないライトゲーマーにはハードルが高い。
最後に細かい点。MOD KITを使ってヘッドセットのイヤーパッドやヘッドバンド素材をメッシュから合成皮革に変更できるが、製造が終了しているため純正品の入手が難しい。PRO X2には異なる素材のイヤーパッドが同梱されていたので、A50 Xにも同様の配慮が欲しかった。
さらに、イコライザー設定がゲーム用再生デバイスだけでなくボイスチャット用再生デバイスにも影響してしまうバグがある。詳細は次ページのG HUB設定で後述する。
ワイヤレスヘッドセットの比較
同系列のワイヤレスヘッドセット「G PRO X2」「Razer BlackShark V2 Pro」「HyperX Cloud 3 Wireless」「ASTRO A50 X」の発売日、重量、専用ソフトの有無、価格などを比較してみよう。
- | G PRO X2 | Razer BlackShark V2 Pro 2023モデル | HyperX Cloud 3 Wireless | ASTRO A50 X |
---|---|---|---|---|
発売日 | 2023/10/13 | 2023/6/16 | 2023/9/11 | 2024/5/16 |
重量 | 330g | 320g | 330g | 363g |
専用ソフト | Logicool G HUB | Razer synapse | HyperX NGENUITY | Logicool G HUB & Dolby Access |
一言 | 初グラフェン!マイク性能は平均的 | 無線マイクの水準を高めた革命家 | コスパ優秀 | 業界トップクラス |
定価(税込) | ¥34,650 | ¥29,800 | ¥21,980 | ¥59,950 |
Amazon価格 | ¥32,500 | ¥29,980 | ¥19,780 | ¥54,950 |
他のワイヤレスヘッドセットと比べて、A50 Xは圧倒的に高額。ヘッドセットとベースステーションのセット販売に加えて、PLAYSYNCなどの新技術とライセンスにコストがかかっていると考えられる。
A50 Xの重量は他と比べて約30g増しだが、装着感は良好。筆者としてはそれほど気にならないが、軽いヘッドセットを求めるなら候補から外れるかもしれない。
それでもA50 Xのグラフェン&配信級マイクの革新的技術の組み合わせは他にない。ワイヤレスヘッドセットとしての性能はトップクラスであり、その価値を見出せるかが購入の決め手になるだろう。
コメント
コメント一覧 (4件)
めんどくせー連中がコメントしまくってて萎えた。
ロジクールはサポートが駄目なんだよなぁ。
6万は高過ぎる
こんなゴミみたいなヘッドセットは買っちゃだめだ
某プロゲーマーが推しているメーカーのものだからか知らんが・・・
『beyerdynamic DT 770 PRO X Limited Edition』を使いなさい
https://beyerdynamic.co.jp/product/dt-770-pro-x-limited-edition/
価格は3万5千円ほど
マイクは無いが、私のようにほぼソロやVC用のマイクを別で持っているユーザーには超おススメだ
まぁ普通はそうするだろう
またこのメーカーの物はグラミー賞を12回受賞の『テイラー・スウィフト』もレコーディングで使用している
https://youtu.be/glx_kpo3wAI
これの素晴らしいと思う点は、多くの世界的なプロも認める空間性能と音場性能
音が良いとかもうそんな次元ではない、音が何処から聴こえてそれはどの場所にあるのか
そしてbeyerdynamicは今日のダイナミックヘッドホンの生みの親だ(1937年)
マイクと配信用の物を視野に入れてるからあれだけど。
この価格は純正のイヤーパッドと、あとやっぱワイヤレスはバッテリーの交換がネックになる
流石に6万をバッテリーやイヤーパッドの劣化だけで寿命尽きさせるのはもったいないわ
2.1セレクターの代金が乗っかってるにしてもそれでも1万ぐらいだから5万
オーディオ用途ではなくPC周辺機器メーカーに5万の音を託すかどうかが問題
プロとかは会場で使うんだろうけど一般ユーザーが自室で
遊ぶんなら開放型の方が定位が良いから重低を重視しているのもなんかなぁになる
もっと言うとPS5も含めてゲーム機のオーディオはどう頑張ってもCD音源あたりが限度だから
セレクターとか付属機器、アトモス目的で買うなら良いかもだけど音目的で買うとあまり意味がない
音だけならMDR-MV1、hd 560sとかあたりで十分だと思うわ