Ubisoftの『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』国内eスポーツ競技シーンでは、7月30日と31日にかけて今季のチャンピオンを決めるトーナメント「Season2 Playoff Stage2」が、新宿住友ビル三角広場を舞台に有観客オフライン開催。激闘の結果、KAWASAKI SCARZが2シーズン連続でチャンピオンに輝きました。
有観客オフライン「Season2 Playoff Stage2」が完結
シージの国内eスポーツ競技シーンでは、7月30日と31日にかけて、今季シーズン2のチャンピオンチームを決定する「Season2 Playoff Stage2」が開催されました。
出場8チームによる激闘を通して、グランドファイナルのマッチアップはSCARZ vs NORTHEPTIONとなり、BO3の試合の結果、KAWASAKI SCARZがシーズン2チャンピオンとなりました。SCARZはこれでシーズン1からの連続シーズン制覇を達成したことになります。
- DAY2結果(準決勝・グランドファイナル)
- 準決勝1 / CYCLOPS athlete gaming vs KAWASAKI SCARZ:0-2
- 準々決勝4 / FNATIC vs NORTHEPTION:0-2
- (DAY1から引き継ぎ)
- 準決勝2 / NORTHEPTION vs REJECT :2-0
- グランドファイナル / SCARZ vs NORTHEPTION:2-0
SCARZがCAG敗り連続優勝に王手
準決勝第1試合はCAG vs SCARZ。シーズン1におけるグランドファイナルと同じマッチアップとなりました。
第1マップは「山荘」。SCARZの遊撃部隊はエントリータイミングを狙った動きでCAGの足止めに成功し、拠点に近づかせる前にラウンド結果をほぼ決定づけていきます。1-3となったところでCAGもタイムアウトを実施しますが、結局2-4で攻防交代となります。
攻撃に回ってからも、SCARZはRec選手が躍動します。撃ち合いの技術だけでなくタイミングを読む巧さも披露しつつ2-5。さらにRec選手は1階制圧のきっかけを作る大胆な踏み込みを見せ、2-6とSCARZに先にマッチポイントをもたらします。そのままCAGに良さを出させないまま、SCARZは2-7で「山荘」を制しました。
第2マップ「オレゴン」で防衛からスタートしたSCARZは、CAGのBlackRay選手の個人技や、乱戦になっても崩れない相手の手堅さに苦しめられつつも、3-3で攻防交代します。
タイムアウト後のCAGは第9ラウンドでAnitun選手がClash(クラッシュ)を投入しますが、このマップでもSCARZはRec選手がチャンスメーカーとなり、上下で他のプレイヤーが争っている間に正面から突入して壊滅に成功。その後は5-6と、先にマッチポイントを獲得することに成功します。
第12ラウンドでは、SCARZはCAGの2階守りに対し、フラググレネードの突き上げで一方的に人数差を作ることに成功し、最終スコアを5-7としました。昨シーズンでは第3マップまでもつれる激闘となった2チームの戦いでしたが、今回は0-2のストレートで終了。勝利したSCARZは、チームとしての成長をファンにアピールしつつ、先にグランドファイナルへの進出を決めました。
今回も試合後にSCARZの皆さんにインタビューの機会をいただきました。DAY1では序盤のコミュニケーションの不具合を問題視していた彼らですが、DAY2の試合の入り方について、改めてリーダーのPyon選手にうかがいました。
「山荘というマップ自体が攻撃(有利)マップで、(防衛から入ったSCARZとしては)防衛では取れないので、『前に前に行こう』ということをあらかじめ決めていました。チーム内でのコミュニケーションについても、DAY1の終盤から問題なくやれていたので、同じ調子を保ったまま戦ったことが第1マップの結果につながりました」
CAGの攻撃ペースをことごとく乱していたRec選手に、「山荘」での戦いについてうかがうと、「(CAGは)ライブドローンと一緒に入って来るのですが、カバーがあまりないというイメージだったので、エントリーで撃ち合いにいったんです」と話してくれました。攻撃でも大活躍だったRec選手の動きについては、隣のLua選手も「自分で確認して詰めるところは詰めると話していたので、自分たちもその意図を理解して動いていきました」と付け加えてくれました。
RJOチームNORTHEPTIONがリーグ首位FNATICに大勝
スケジュールの都合でDAY1の途中で終わったFNATIC vs NORTHEPTIONは、第2マップ「ヴィラ」から再開。果敢に仕掛けようとするNORTHEPTIONでしたが、FNATICはチームとしての堅実な攻めと、咄嗟の撃ち合いの強さを駆使して崩させず、たちまち3-0でリードします。その後は1ラウンド返されるも、第5ラウンドはパーフェクトで制圧。
4-2で折り返した後半戦で、攻撃に回ったNORTHEPTIONはその真価を発揮します。Amaru(アマル)を加えたスピーディな攻めを見せつつ一気に4-5と逆転し、FNATICにタイムアウトを取らせると、その後もnina選手の対面での撃ち合いの強さが光ってFNATIC相手に優位性を示し、4-6と先にマッチポイントに到達。1ラウンド返したFNATICでしたが、NORTHEPTIONの独特の攻撃を攻略するには時間が足らず、スコアは5-7。これによりマップポイント0-2となり、首位FNATIC相手にNORTHEPTIONが衝撃的なストレート勝ちを決めました。
NORTHEPTIONが連続の番狂わせでREJECT撃破
リーグ首位のFNATICがRJOチームに敗北したことで会場がどよめく中、試合は引き続き準決勝第2試合、REJECT vs NORTHEPTIONへと進みました。
第1マップとして「山荘」をピックしたNORTHEPTIONは、ShuReap選手やCoPaHiPo選手らが推進力となり、序盤を1-3でリード。その後もガンスキルを主体に活路を見出し、2-4でリードして折り返します。
NORTHEPTIONは防衛に回ってからも積極的な姿勢を緩めず、3-6で先にマッチポイントを獲得。REJECTにタイムアウトを取らせますが、修正を許さずにNORTHEPTIONが3-7で「山荘」のマップポイントを取得しました。
第2マップ「ヴィラ」はREJECTのピック。個人技と作戦のユニークさの両面で優れたREJECTの防衛に対し、攻撃側NORTHEPTIONは開き直ったかのようにマップを走ります。第5ラウンドではAmaru(アマル)を使って1階リビングを攻略するという好手を見せて2-3でリードすると、その後はnina選手が予想不可能なキッチン拠点への直接攻撃をしかけてクワッドキルの活躍を見せ、2-4で攻防を折り返します。
攻撃に回ってからは、REJECTもWindow選手の活躍も挟んで5-4と逆転に成功します。しかしNORTHEPTIONに作戦を考え直すよう強いるには至らず、Tyopi選手がTake選手とのぎりぎりの1v1を制し、5-6で先にマッチポイントを獲得すると、最後はやはりnina選手が意外性の高い場所での窓外ピークでキルを取ったことをきっかけに、REJECTの撃破に成功。こうして最終スコア5-7。マップポイント0-2で試合をしめくくり、NORTHEPTIONはRJOからの出場チームながら、2戦連続の大番狂わせに成功しグランドファイナルに進出しました。
FNATICやREJECTを下したユニークなガンファイトについては、チームとしての方針なのか、それとも選手の得意分野に寄せた形なのかを尋ねると、CoPaHiPo選手は「チームはみんな撃ち合いが強いので、攻撃も防衛もそれに寄せた作戦にしてるんです」と答えてくれました。構成については「febar選手がサポーターで、他の4人でアタッカーと中間寄りの仕事をこなしています」。febar選手も、「個々でいけるところは行ってもらって、苦しい場面だと自分がサポートに向かうという形ですね」と説明してくれました。
TRiDENTのスペシャルライブ開催
グランドファイナルの前には、東京を拠点に活動中のガールズロックバンドTRiDENTのライブがステージ上で開催され、RJLシーズン2のテーマソングとなった『DISTINATION』などをシージファンの大観衆の前で熱唱しました。
オフライン会場ならではのサウンドに会場は大盛り上がり。グランドファイナルを前に、客席のテンションを最高潮にまで高めてくれました。
会場には来られなかったという方も、こちらの配信ログ(YouTube)でTRiDENTのライブをお楽しみください。
グランドファイナル
オフラインプレイオフは今シーズンも多くの波乱を生み、グランドファイナルはSCARZ vs NORTHEPTIONという、恐らくほとんど予想されていなかったであろう意外なマッチアップとなりました。
第1マップはSCARZピックの「銀行」。NORTHEPTIONは第4ラウンドで設置後ディフューザーの解除に成功し、シーズン1チャンピオンのSCARZ相手にも対等に戦えることを示しますが、SCARZも第6ラウンドでAmaru(アマル)によるユニークな拠点突入を成功させ、3-3と白熱した内容で攻防を交代します。
しかし後半戦からは様子が変わり、SCARZの防御力が冴える展開となります。第7ラウンドではPyon選手とRec選手が2人でチームを救う素晴らしい連携を見せNORTHEPTIONを抑えると、そのまま6-4で先にマッチポイントを獲得します。最後はやはりRec選手が1v1の場面を制して7-4。Rec選手1人で20キルを計上する大暴れを見せ、SCARZに勝利をもたらしました。
第2マップの「クラブハウス」はKaid(カイド)とBandit(バンディット)が共にBANされた形で、SCARZの攻撃からスタートしました。Pyon選手がMontagne(モンターニュ)を使って正面からの撃ち合いを避けつつ、着実にエリアを取って進行する作戦が奏功し、4-2で攻防を交代します。
1ラウンドは返したNORTHEPTIONでしたが、SCARZは1階防衛をパーフェクトラウンドで完遂し5-3。さらにLua選手が地下での1v1を制してマッチポイントを獲得します。
最終ラウンドでは一人ずつ着実に削り、ラウンドスコア7-3、マップスコア2-0のストレートでSCARZの勝利。グランドファイナルを制したSCARZは、シーズン1に引き続き、シーズン2でも大観衆の前で連続優勝を決め、黄金の「ル・ロック」シールドに再びその名を記しました。
グランドファイナルの準備や試合の運び方について優勝後インタビューの場で尋ねると、Pyon選手は「(グランドファイナルでNORTHEPTIONと)当たるとは思っていなかったのですが、2週間ほど前にスクリムをしていたんです。向こうの情報があったマップがクラブハウスで、そのときの自分たちのカバーラインや、攻撃、どんな形がいちばんラウンドを取れていたかを覚えていたことが役に立ったと思います」と解説してくれました。
攻撃では一貫してMontagneを投入していた背景についても、「相手はMontagneには対応できないだろうという読みと、個人で動きまわれるマップにおいてはMontagneでエリアを制圧しようという考えからでした。1v1でこちらがMontagneなら絶対にエリアは取れるので、エリアを取っていく意識で動いていきました」とのことです。
大量キルで大活躍したRec選手に、オフラインで素晴らしいパフォーマンスを発揮できたことについて尋ねると、「前回(シーズン1のプレイオフ)は全然キルが取れなくて味方に煽られたので(笑)、今回は自分がキャリーしました」と自信を持って語ってくれました。KAWASAKI SCARZの皆さん、優勝おめでとうございます! 今回もトーナメントの内容や結果だけでなく、三角広場に集まったファンと選手、タレント陣の交流が大いに盛り上がった貴重なイベントとなりました。
リーグは小休止、シーズン3は9月17日スタート
今回のトーナメント中、4人のキャスター陣から「Season2 Playoff Stage2」のチャンピオンチーム予想を聞かせていただききましたが、結果は唯一SCARZの優勝を予想していたCrazyPapiyoNさんの単独勝利となりました。おめでとうございます!
- Okayama予想:CAG
- 「スタッツ上では一番。(シーズン2を通して)連携のミスが少なくなってきたので、ミスに気を付ければいける」
- ともぞう予想:FNATIC
- 「競技シーンで長くやっていて経験値の高いチーム。やりたいことと結果がかみ合っている。あとはオフラインという環境次第か」
- ふり~だ予想:CAG
- 「今シーズンは攻撃の柔軟性が増しており、Anitun選手のポジションキープの技術をはじめ、日本チームでは他にないような押し込み時の安定感がある。SCARZとの再戦では今度はCAGが取るのではないか」
- CrazyPapiyoN予想:SCARZ
- 「(氏の所属チームではあるものの)レギュラーシーズンの試合を踏まえてみても、やはりSCARZ優勝がカタいのではないか」
「RJL 2022」シーズン2はSCARZの連続優勝で完結を見ましたが、ここから中断期間を挟んで、いよいよ今年最後のシーズン3が9月17日よりスタートします。
リーグ年間1位のチームには来季APAC Northリーグ入れ替え戦への出場権が付与されますが(※既に出場しているチームは除く)、ここから1ヵ月ほどの時間がある中で、各チームが日本の頂点、そしてアジアの舞台を目指してどのように強化を図っていくのかに注目です。
リーグに並行して、10月にはオープントーナメントであるRJOシーズン3も開催されます。そして11月には、年度のクライマックスであるR6 Japan Championshipの場で、2022年度のチャンピオンチームを決定します。果たして今から約4ヵ月後、「RJL 2022」はどのような結末を迎えるのでしょうか。引き続きX-MOMENTで最新情報をチェックしてみてください。
- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
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