MicrosoftのActivision Blizzard買収に最も反対をしていたSONYに続いて、Googleが2番手の反対派だったと公開された資料から判明しました。
GoogleもActivision買収に反対していた
4月26日、イギリスの公正取引委員会である競争・市場庁(CMA/Competition and Markets Authority)がMicrosoftによるActivision Blizzard買収を否認しました。
当初、CMAは独占禁止法の抵触を懸念し、買収行為に否定的な動きをしていたものの、3月24日には「競合他社のサービスによりイノベーションをもたらす」として態度を軟化させたことにより、CMAも買収を承認するだろうという大方の予想を裏切りまさかの買収却下という結論は、業界全体に大きな震撼をもたらしました。
CMAが418ページにも及ぶ決定を下した経緯を説明するドキュメントを公開。このドキュメントにはSONYの他にもMicrosoftによる買収は競争を著しく傷つけるとして多数のゲーム会社から報告があったとしており、その中でもGoogleがSONYに続いて反対していたと明らかになりました。
CoD独占はコンソールでは悪手?
買収否認の経緯において、CMAはイギリスだけでなくEUとアメリカのFTCとも連絡を取り合い、買収の影響、とくにSONYが当初から声を上げていた『Call of Duty』がXbox独占になる可能性がもたらす影響を多角的に調査したと報告。
コンソール競争においては、Microsoftが『Call of Duty』をPlayStationから撤収させたとしたら影響は大きいものの、それ以上に「PlayStation版から得られていたはずであろう収益の損失が大きい」ことから、そのシナリオは考えにくいとしています。 そのため、コンソール競争では『Call of Duty』は決定打にはならないという結論でした。
それよりもクラウドの独占がNG
ところが、CMAはクラウドゲームに関しては話が違うとしています。もし『Call of Duty』だけでなく『オーバーウォッチ』、『World of Warcraft』といったBlizzardの有名タイトルがMicrosoftのクラウドゲームサービスだけで独占配信された場合、競合他社のクラウドゲームサービスの価値を傷つけることになります。
Activision Blizzardタイトルを独占させず全てのクラウドゲームサービスに配信されることが(ゲーム業界の)将来の発展に繋がるとして、MicorosoftのActivision Blizzard買収を否認しています。
なお、Microsoftはイギリスのクラウドゲームサービスですでに60〜70%のシェアを確保しています。
各社のクラウドゲームサービス
CMAが公開したドキュメントによると、Micorosoftの買収に反対していた最大手はSONYとGoogleであるとしていますが、日本ではあまりGoogleとゲーム事業はモバイルゲーム事業を除くと結びつきづらい印象があるかもしれません。 海外のGoogleではGoogle Stadiaというクラウドゲームサービスを2019年から開始しまし、今年2023年1月にサービスを終了しています。
現在、有名なクラウドゲームサービスは、Xbox GamepassやNVIDIAのGeForce Now、PlayStation Plus、海外Amazonが展開しているLunaなどがあります。 これらのサービスは配信プラットフォームで提供されているゲームを定額でプレイするサブスクリプション形式か、Steamなどのプラットフォームで販売されているゲームを購入することでクラウドでもプレイできるマルチプラットフォーム形式のどちらかです。
ところがGoogle Stadiaは、独自プラットフォームでゲームを購入することでGoogle Stadia上で遊べるというクローズドな買い切り式のビジネスモデルを採用。 この方式は議論を呼び、サービス終了という結末が示すように市場には受け入れられませんでした。
Google Stadia失敗はCall of Dutyがなかったから?
しかし、CMAのドキュメントによると、とある競合他社(名前は秘匿)が「Google Stadiaの失敗は『Call of Duty』が提供されていなかったからであり、それほどまでに『CoD』ブランドの影響力は大きい」とCMAに伝えたと記されています。
筆者は2019年からGoogle Stadiaに様々な欠陥が見えて否定的であったため、『CoD』の有無に関わらずサービス終了していたように思います。 しかし、CMAがこの報告を重く受け止めていたとしたら、Micorosoftにとっては非常に都合の悪い話になってしまいます。
逆転の可能性も
なお、Micorosoftは7月18日までにCMAに上訴、もしくは納得させるだけの提案を提出できた場合はCMAの結論がひっくり返る可能性があります。 もちろん、もし達成できなかった場合は、EUならびにアメリカのFTCも買収否認を下して買収計画が潰れる可能性もあります。 はたしてゲーム業界の歴史で最大の買収劇の結末はどこに向かうのでしょうか。 続報をお待ち下さい。
Gaming Device Power Tune for FPS
コメント
コメント一覧 (10件)
未だに買収反対してるのなんてSONYとGoogleとAppleとCMAとFTCとEUくらいしか残ってないんだから買収は成功するよ
>最も反対はソニー
どこの世界線の話だよ
最初から反対声明出しテタのはGoogleとAppleで
ソニーは参戦すらしてないぞ?
クラウドがどれだけ発展しても、回線が光という物質を使ってファイバー内を屈折させながら情報伝達する以上、物理的に遅延は絶対発生するからなぁ
対人ゲーのローカル環境正義はそこまで変わらなさそう
それ以外のシングルゲーとかならどんどん発展していきそうだけど
クラウドでFPSやPVPは〜って意見はその通りだけど、あくまで今はまだってだけで今後発展していく有力な分野の一つと思うし
今見逃し続けていざストリーミングやクラウドの時代が追いついたとして、そのときにMSがシェア9割占めました。なんてこともあり得なくはないからね
企業間の優劣が出ることは構わないけど一強過ぎるとサービスが劣悪にはなりやすくなるしね
正直、クラウドゲームでFPSが快適に遊べるかどうかは疑問。
ただ、でかすぎるゲームメーカーを買収しちゃうと、
ユーザーにとっては不利益を被るな。
10年しか供給しないって言ってるし、結局独占するみたいだしね。
>現状MS一強だから市場の競争性という意味ではこれ以上強くならないで欲しいというのは分かるけど、一ユーザ的には一強でもちゃんとしたサービスを提供してくれる方がいいよ
最終報告書に買収後にゲーパス値上げする可能性が高いって書いてあるけど君はどう思う?
因みにゲーパスは最近初回100円が廃止になってるからな
CMAはFTC、EUと話し合った上で決めたと言ってるからEUが承認するとは思えないが
現状MS一強だから市場の競争性という意味ではこれ以上強くならないで欲しいというのは分かるけど、一ユーザ的には一強でもちゃんとしたサービスを提供してくれる方がいいよ
流石にこの意見はこじつけ過ぎるわ
そもそもGoogle自体、事業の見切りが早い企業だし
例えばサブスクで言えばnetflixとかは、収益を事業拡大や投資に回しまくってずっと赤字でやってたが、Googleはそんなやり方絶対しないし
結局CoDはみたいな課金系は独占にすると徴収金額に響くから無いだろと判断されたんか
(MSの怖いところはそれでもやりかねない所だけど)
ただ流石にクラウドでPvP FPSの話をするのは先走り過ぎない? ラグ酷いのよあれ
個人的にはラグってIPを使ってる時点でもうどうにもならないと思ってるから
やるんならポケモンみたいなゲームでするのが理想的なんだと思ってるわ