ゲームのNPCと言えば、一定のセリフを出力したらそれで終わりというイメージですが、PCゲーマーにはおなじみのNVIDIAが、AI技術を駆使した「ACE For Games」を新たに発表しました。
この「ACE For Games」により、ゲームに登場するNPCたちが、本当にその世界で生きているかのように、プレイヤーと自然なコミュニケーションをすることが可能になるそうです。
「ACE For Games」でゲームのNPCがよりリアルに
「GeForce」シリーズなどを手がけるNVIDIAが、AI技術を駆使した「Avatar Cloud Engine(アバタークラウドエンジン、ACE)」のゲーム開発用ソリューション「ACE For Games」を発表しました。
これはAIを活用した自然言語による対話を通じて、非プレイアブルキャラクター(NPC)に知性をもたらし、ゲームを変革させるカスタムAIモデルファウンドリーサービスです。
どんなジャンルのゲームでも、NPCの挙動やセリフは開発スタッフが逐一考え、プログラミングしていく、というのが一般的な認識と思われます。しかしこの「ACE For Games」を導入することで、そのゲーム世界のNPCたちが、まるで自分の意志で考え、生きているかのように振る舞うようになります。
ラーメン店員を使ったデモ映像
NVIDIAから公開されたデモ動画は、サイバーパンク風のラーメン店を舞台に、主人公(プレイヤー)のカイと、NPCのジンが会話をするというもの。この映像は、Unreal Engine 5と最新のRTXレンダリング技術をベースに、会話型AI・Convaiとコラボして作られたものです。
ラーメン店員のジンは市内で悪化する犯罪に悩ませられているらしく、主人公に元凶と目されるクライムロード・アオキに関する噂を提供します。イーストサイド地下のファイトクラブに行けばアオキが見つかるかも…といったところからサイドクエストが始まるという、いかにもオープンワールドゲームにありそうな会話をしています。
しかしここでのジンのセリフやは、組み込まれたデータを元にAIが自動的に出力したものだそうです。「ACE For Games」はこのように、NPCのセリフだけでなく、喋り方や細かな仕草まで制御し、主人公(プレイヤー)と自然なコミュニケーションができるという、ゲームプレイの革新となりそうな新技術です。
開発者視点では、一定のデータを与えればAIが自分でセリフや仕草を編み出してくれるなら、効率が上がりコスト削減にもつながるでしょう。
ゲーム体験が次のステージへ?
NPC用ということで、オンライン対戦FPSには縁が無いと感じるかもしれませんが、たとえば『Escape from Tarkov(エスケープフロムタルコフ)』や、『ウォーゾーン2.0』の「DMZモード」のように、プレイヤーとNPCが入り乱れるゲームでは使いどころがあるはずです。
NVIDIAの最新ゲーム用AIテクノロジーについては、たとえば2023年内リリースを予定している『S.T.A.L.K.E.R. 2 Heart of Chornobyl』に、Audio2Faceが用いられていることが知られています。これは、キャラクターのセリフに合わせて、AIがその豊かな表情を自動的に描出してくれるという技術です。
「ACE For Games」を導入予定の具体的な企業やゲームタイトルについての情報はまだありませんが、NVIDIA RTX がレイトレーシングとAI制御の合わせ技でゲーム体験に革新をもたらしたように、「ACE For Games」も、ゲームを次のステージへと押し上げてくれるでしょう。未来のゲーミング体験は果たしてどのようなものになっているのか、想像するだけでも今から楽しみです。
Gaming Device Power Tune for FPS
Source: NVIDIA
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