未来のSF世界を描いた『Destiny 2(デスティニー 2)』と中世ヨーロッパ風の世界を描いた『ウィッチャー3 ワイルドハント(The Witcher 3: Wild Hunt)』がコラボを実施。『ウィッチャー3』テーマのスキンや乗り物などが『Destiny 2』に実装された。
この異色のコラボは、一体どのような目的や挑戦がありどういった経緯で生み出されたのか。開発スタジオのBungieとCD PROJEKT REDに、コラボの意図や苦労、世界観がより近い『サイバーパンク 2077』ではない理由などのインタビューをお届けする。
『Destiny 2』×『ウィッチャー3』コラボインタビュー
今回ご対応いただいたのは、BungieのJosh Deeb氏(Art Lead)、CD PROJEKT REDのPrzemek Juszczyk氏(Head of Franchise Art)とJan Rosner氏(VP of Business Development)の3名だ(以下敬称略)。
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 1 『Destiny 2』と『ウィッチャー3』の異色コラボの裏側に迫った開発者インタビュー、目指したのは未来世界にいる中世ヨーロッパのゲラルト](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/Josh-Deeb.jpg?resize=557%2C508&quality=89&ssl=1)
Josh Deeb氏
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 2 『Destiny 2』と『ウィッチャー3』の異色コラボの裏側に迫った開発者インタビュー、目指したのは未来世界にいる中世ヨーロッパのゲラルト](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/Przemyslaw-Juszczyk.jpg?resize=800%2C800&quality=89&ssl=1)
Przemek Juszczyk氏
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 3 『Destiny 2』と『ウィッチャー3』の異色コラボの裏側に迫った開発者インタビュー、目指したのは未来世界にいる中世ヨーロッパのゲラルト](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/Jan-Rosner.jpg?resize=800%2C800&quality=89&ssl=1)
CD PROJEKT RED
Jan Rosner氏
コラボが始まった理由と注意点
EAA Ethan:今回のコラボ企画はどのように始まったのでしょうか?
Przemek: 私にとっては、最初のミーティングからスタートを切ることがコラボを行う際に欠かせないステップです。チームの一人ひとりが、長年に渡って携わってきた作品への深い理解をシェアする場を持てるためです。それぞれの熱意がダイレクトに見える場で、Bungieとのコラボもそのように始まりました。互いの期待の高まりが伝わってきました。
これだけスタイルの違うゲーム同士を融合させる、めったにない機会です。皆そのことを理解していました。お互いへのプロとしての信頼に支えられ、両スタジオの間には素晴らしい一体感が生まれました。こういったコラボ全般に言えることですが、注意すべきことや作業が必要な分野は非常に多岐に渡ります。今回の成功は、本当に多くの人に支えられているのです。
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 4 目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 7c98cbea76f2f7775b476466d882b30c](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/7c98cbea76f2f7775b476466d882b30c.jpg?resize=1200%2C675&quality=89&ssl=1)
Jan:これまでも、『ウィッチャー3』は色々な作品とのコラボ企画を行ってきました。コラボがうまくいくと、単に両作品のファンに喜んでもらえるだけでなく、今までシリーズに縁のなかったゲーマーにも興味を持ってもらえます。これまで様々なコラボを実現させてきましたが、今では(コラボは)『ウィッチャー』シリーズの重要な戦略の一部になっています。
もちろん、毎回それぞれに満たすべき条件があります。コラボレーションを行う際には、双方の作品内で違和感なく楽しめるよう、いつも何かしらの工夫をする必要があります。ただロゴを貼り付けておしまい、というわけにはいきません。『Destiny 2』は条件を完璧に満たしてくれました。
Bungieの開発チームは非常に優秀で、『ウィッチャー』の作風を最初から理解してくれており、『ウィッチャー』をモチーフとしたアイテムも素晴らしいものに仕上がるとすぐに確信しました。
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 5 『Destiny 2』と『ウィッチャー3』の異色コラボの裏側に迫った開発者インタビュー、目指したのは未来世界にいる中世ヨーロッパのゲラルト](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/53347768703_65d5ea3ce5_b.jpg?resize=1024%2C576&quality=89&ssl=1)
Josh:私たちの会社(Bungie)にはパートナーシップ部門があり、外部との共同企画を専門に担当しています。このチームがいつも頑張って、『Destiny 2』の世界にうまくマッチして還元できるようなパートナー関係を作り上げてくれています。
アートチームでは今回のコラボ用の色々な要素の制作に、リリースまでの数か月を費やしました。デザインにこだわり、ゲーム内で問題なく機能するように仕上げました。
『ウィッチャー』世界に存在しない宇宙船、スパロー、ゴーストの創造
EAA Ethan:『ウィッチャー3』の作風を、『Destiny 2』の世界観に落とし込む際に困難だった点はどこでしょうか?
Josh:デザインのうえで一番大きかったのは、「ファンタジー」と「サイエンス・フィクション」のバランスですね。最終的には「中世ファンタジー」に大きく寄せるようにしました。その方が『ウィッチャー』に相応しいと思ったからです。
それから、船とスパローのデザインも非常に面白く、取り組みがいのある作業でした。ガレオン船や馬をいかにも未来的なマシンに生まれ変わらせるのは本当に楽しいチャレンジでしたよ!
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 6 目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 8e30fff06b3e28a7296797430034fda2](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/8e30fff06b3e28a7296797430034fda2.jpg?resize=1100%2C619&quality=89&ssl=1)
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 7 『Destiny 2』と『ウィッチャー3』の異色コラボの裏側に迫った開発者インタビュー、目指したのは未来世界にいる中世ヨーロッパのゲラルト](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/Destiny-2-Season-of-the-Wish-Geralt-of-Rivia-x-Destiny-00-00-32.jpg?resize=1200%2C675&quality=89&ssl=1)
Przemek:両方の作品世界を組み合わせること自体が、すでにひとつの挑戦でした。分かりづらい部分へのチャレンジに意欲をかき立てられるタイプなのでやりがいがありました。
個人的に一番楽しかったのは、スパローやゴースト、宇宙船のアイデアを出したときです(宇宙船のことはぜひ宇宙ボートと呼びたいですね😉)。こういった要素、というか概念自体が、『ウィッチャー』の世界には存在しませんからね。感覚を掴むのには少しかかりましたが、仕上がりにはとても満足しています。
それに比べればハンター、タイタン、ウォーロックそれぞれのアーマーはもう少し簡単でした。こちらの世界観にも存在するものなので。
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 8 目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 3ca84b4d0fea7762020d1f221a120070](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/3ca84b4d0fea7762020d1f221a120070.jpg?resize=1100%2C619&quality=89&ssl=1)
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 9 『Destiny 2』と『ウィッチャー3』の異色コラボの裏側に迫った開発者インタビュー、目指したのは未来世界にいる中世ヨーロッパのゲラルト](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/Destiny-2-Season-of-the-Wish-Geralt-of-Rivia-x-Destiny-00-00-25.jpg?resize=1200%2C675&quality=89&ssl=1)
アーマーで気を配ったのは、中世風の原始的なファンタジー世界の鎧を、『Destiny』の未来世界に合ったデザインへとアレンジすることでした。そこはBungieの優秀なアートチームが参戦し、たちまち解決してしまいました。彼らはどうすれば狙った場所に着地できるか、最初から熟知していました。
『ウィッチャー』らしさを出す方法
EAA Ethan:『Destiny 2』の世界観で『ウィッチャー』らしさを出す上での取り決めなどはありましたか?
Jan:『Destiny 2』で何をするにしても、その世界観の中に自然にフィットしなければならないということは早くから決めていました。第一印象として、もちろん『ウィッチャー』とは全く違った世界観なわけですが、一方ではそれだけ挑戦しがいのある企画だとも言えます。
『Destiny 2』を象徴するガーディアンの3つのクラス――タイタン・ウォーロック・ハンター――の存在により、アーマーセットの設計に大きな自由度が生まれました。私自身はタイタンがメインなのですが、今回の装飾は初期段階からとても気に入っています。
一見全く違ったスタイルのゲーム同士でも、やり方次第では素晴らしいコラボを実現できると学べました。
Josh:今回のコラボでの重要な指針は、『Destiny 2』のデザインコンセプトにしっかりと根ざしていながらも、『ウィッチャー』のファンにもひと目で「これだ!」と思ってもらえるようなビジュアルの制作でした。
『Destiny 2』では中世ファンタジーと現代のSFのビジュアルがどちらも登場するため、『ウィッチャー』で使用されているデザインの多くをそのまま残しても、私たちの世界観に違和感なく持ち込むことができました。
今回はデザインの土台作りとして、ゲラルトが『Destiny』の3つのクラスのガーディアンとして登場していたらどんな姿になるだろうかとイメージを重ねていきました。この作業で大きなポイントだったのは、タイタン・ハンター・ウォーロックの特徴的なシルエットを活かして表現できるような装備品のデザインを『ウィッチャー』の中から選んでくることです。
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 10 目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 57588201a55a2e0feadc82a1b7f4b5eb](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/57588201a55a2e0feadc82a1b7f4b5eb.jpg?resize=1100%2C619&quality=89&ssl=1)
![目指したのは「未来世界のウィッチャー」:異色コラボ『Destiny 2』×『ウィッチャー3』の裏側に迫る開発者インタビュー 11 『Destiny 2』と『ウィッチャー3』の異色コラボの裏側に迫った開発者インタビュー、目指したのは未来世界にいる中世ヨーロッパのゲラルト](https://i0.wp.com/fpsjp.net/wp-content/uploads/2023/12/Destiny-2-Season-of-the-Wish-Geralt-of-Rivia-x-Destiny-00-00-01.jpg?resize=1200%2C675&quality=89&ssl=1)
『Destiny』世界に相応しいデザインが見えたところで、さらに『ウィッチャー』のアイデンティティとなっているビジュアル要素を取り入れ、両作品のファンに喜んでもらえるような完成形を目指しました。たとえば鋼の剣と銀の剣、狼のメダリオン、ヘルメットの傷などです。
Przemek:初期案をもらった時点で、あとはビジュアル面で少し手を入れるだけで充分だと思える出来栄えでした。たとえば、この時点で各クラスのヘルメットにはそれぞれのデザインに合わせたひび割れが描き込まれていました。ゲラルトのあの傷跡です。
私が目指していたのは、『ウィッチャー』を『Destiny』の世界に合わせて表現することで、そのままコピーすることではありません。おかげで、私からの指示がBungieのデザイナーと化学反応を起こす様子や、CD PROJEKT REDに勤めてすでに14年近く見てきた作品に、彼らが新しいエネルギーを吹き込んでくれる様子を非常に楽しく拝見できました。
コメント
コメント一覧 (3件)
apexのインタビューの記事読もうとしたらこれに飛ばされるんだけどどういう事????
記事を間違えましたごめんなさい
ランクで使えるしスキンもあるってことは、最初からアンロックされていてカスタマイズ性が高いだけの普通のオペレーターみたいな存在になるのかな