「今のゲーム業界は過酷」 約44億円の資金調達から始まったFPS『Spectre Divide』わずか半年でサービス終了へ

Mountaintop Studiosは3月13日、基本プレイ無料FPS『Spectre Divide（スペクターディバイド）』のサービス終了を発表した。

シーズン1をリリースし、「体を切り替えて戦う」ユニークなFPS体験がシューターファンの興味を引き寄せていた本作だが、CEOのNate Mitchell氏は、スタジオの経営に必要な収益が得られていない現状を明かしている。

『Spectre Divide』わずか半年でサービス終了

9月4日に正式リリースを開始した『Spectre Divide』。年が開けた2月26日にはシーズン1「FLASHPOINT」をスタートし、新マップや新スポンサーなど、さまざまな新要素を導入。メニューなど既存システムの改善も行ってきた。

初週では40万人のプレイヤーを獲得し、全プラットフォーム合算で同接プレイヤー数は1万人を記録したという。しかし、シーズン1開始から2週間が過ぎたところで、残念ながらサービス終了が発表された。

A message from our CEO about the future of Spectre Divide and Mountaintop Studios. pic.twitter.com/sk18NIgman

— Spectre Divide (@SpectreDivide) March 12, 2025

Mountaintop Studiosは現時点で既に、『Spectre Divide』の継続に必要な水準の成功、つまりスタジオ運営に必要な分の収益を得られていない状況にあるという。Mountaintopは今週末をもって事業を停止し、『Spectre Divide』も30日以内にサービスを終了。コンテンツの販売も停止し、シーズン1開始以降に購入したコンテンツには返金対応が行われる。

「今のゲーム業界は過酷」

『Spectre Divide』のベースは3v3のタクティカルシューター。「2つの体を使い分けて戦う」という特徴を有している。

全プレイヤーが、もう1つの体である「スペクター」を所持しており、対戦中に切り替えることが可能。実質的な6v6として機能し、創造力を発揮できるという作品だ。

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日本アニメにインスパイアされたアートデザインはもちろん、2100年の世界の地下スポーツ「サンタイ」を舞台にしたストーリーなど、世界設定にも目をひかれる。Steamでも、他作品にはない切り替え型ガンプレイの楽しさが高く評価されていた。

CEOのNate Mitchell氏は、共同創設者として2020年にMountaintopを設立。3,000万ドル（約44億円）の資金調達を通じて『Spectre Divide』のプロジェクトをスタートさせた。『エーペックスレジェンズ』の開発に携わったLee Horn氏や、70人ほどのスタッフ、さらにインフルエンサーのShroudとも提携し、革新的なFPS体験の開拓を目指していた。

Mitchell氏は、サービスを継続させるべく、新たな出資者を募るなど可能な限り力を尽くしたという。しかし「この（ゲーム）業界は今、過酷な状況下にあります」と悔しさをにじませる。同氏の視点では、『Spectre Divide』の開発が始まった2020年から、「ゲーム業界は劇的に変わってしまった」という。

あらゆる新作に共通する話だが、対戦型ゲームは特に、ライバル作品とのプレイヤー争奪が重要になる。一定の人口を維持できなければマッチングが成立しないため、『Spectre Divide』のレビューでも「マッチング品質の悪さ」を不評の根拠に挙げる声が目立った。

Mountaintopは、コミュニティの人々に「この旅で得たものは、何物にも代えがたいものです」と感謝を述べている。革新的なゲームであったことは間違いない。もし機会があるなら、開発に携わった人々の今後の活躍に期待したい。

• 『Spectre Divide』Steamストアページ

Source: Mountaintop Studios