本田技研工業の米国子会社であるアメリカン・ホンダ・モーターは5月19日、オランダに本部を置くeスポーツ団体「Team Liquid」とのパートナー契約解除を発表した。
原因は、米ホンダとLiquidとの「企業価値観の相違」にあるとホンダ側は説明している。Team Liquidに所属する選手が、日本・広島への原爆投下を軽視するような行為をしたことが、一連の出来事の背景にある。
米ホンダがTeam Liquidとの契約解除、『R6S』世界大会の裏で...
ブラジル・リオデジャネイロでは日本時間5月19日まで、タクティカルシューター『レインボーシックス シージ』の世界大会「RE:L0:AD 2025」が開催されていた。日本チームCAG Osakaが、日本チームとして初めて世界大会のグランドファイナルに進出し、現地のブラジルチームFURIAとBO5で対戦した。

大会はFURIAの優勝で幕を閉じたものの、日本のシージ界の歴史が動いた、記念すべきトーナメントとなった。
一方、この大会の裏側では、炎上騒動が起きていた。
渦中のチームは、参加20チームの一つであるTeam Liquid。きっかけは、日本チームCAGとの対戦だ。大会のグループステージで、CAGはブラジルチームとして出場していたこのTeam Liquidと対戦。激闘の末に勝利をおさめ、Team Liquidの大会敗退がここで決定した。

ところが、この試合ではゲーム側の技術的な不具合が原因で、試合を1からやり直すという一幕もあった。これが試合後に物議を醸した。
あくまで結果論ではあるものの、トラブルによってLiquidの優位が奪われたとして、試合後にLiquidのファンらが不満をあらわに。大会の運営サイドのみならず、CAGまで目の敵にするようなメッセージが、シージの海外公式XやReddiのプロリーグサブレなどで散見された。
「原爆GIF」を投稿、炎上へ

そんな中で、LiquidのメンバーであるLucas Dias選手が、自身のXアカウントで物議を醸す投稿を行った。
「強力なCAGに負けましたが、次のキャンプでお会いしましょう」。一見すると自分たちの敗北を認める文章だが、「Team Liquidの大会敗退」を表現するために、日本・広島への原爆投下を描いたGIF画像が添付されていたのだ(元の投稿は既に削除されている)。
このGIFには、英国BBCが作成した原爆投下の再現映像が一部使われていたという。
「原爆GIF」は日本のeスポーツ界を飛び越え、Dias選手には多数の非難が寄せられた。これに対してDias選手は、政治的な含みはなかったことを釈明。「文脈と選択が不適切であったことは認識しております」と自身のXで謝罪を行った。
スポンサー・ホンダが契約解除

しかし、Team Liquidのグローバルパートナーには、日本企業であるホンダもその名を連ねていた。2019年に契約を結び、さらに2022年には『リーグ・オブ・レジェンド』部門とネーミングライツ契約を締結。LoL部門のチームは「Team Liquid Honda」の名で公式戦に出場している。
シージ部門のDias選手の投稿に対して、ホンダは厳重抗議を発した。その後、ブラジルのシージ公式アカウントも声明を発表。同選手について、調査を進めている旨を共有した。
そして5月19日、米ホンダの公式サイトにて、Liquidとの契約解除が発表された。

アメリカン・ホンダ・モーター(AHM、本田技研工業の米国子会社)は、スポンサー契約を結んでいるeスポーツチーム「Team Liquid」のメンバーが、不適切なSNS投稿を行ったことを確認しました。
ホンダはこの事態を極めて深刻に受け止め、スポンサー企業として、当該チームおよび選手に対して厳重に抗議しました。それを受けて、チーム側は謝罪し、問題の投稿を削除し、再発防止策を講じました。
慎重に検討した結果、AHMはこの行為がホンダの企業価値観と相容れないと判断し、当該チームとのスポンサー契約を解除することを決定しました。
この件によりeスポーツコミュニティだけでなく、日本や世界中の多くの方々にご不快な思いをおかけしたことを深くお詫び申し上げます。ホンダは今後も、企業理念に基づき社会に前向きな価値を提供する活動を支援してまいります。
ホンダは他にも複数のゲーミング分野でのパートナーシップを有しており、引き続きゲーミングコミュニティの支援に取り組んでまいります。(機械翻訳)
ハフポストによると、ホンダはDias選手の投稿について、「ホンダの『人間尊重』というフィロソフィーと相容れない」と返答した。
あわせてTeam Liquidも声明を発表。CAG側がLiquidによる謝罪を受け止めていることを踏まえ、Dias選手のロースター登録を抹消しない代わりに、彼には「必要なトレーニングを提供」して更正させるとした。CAGには重ねて謝罪を述べている。
eスポーツ世界大会といえば大きなドラマが期待されるが、あまり望ましくない方のドラマも起きてしまった。とりわけ、知らぬ間に大口スポンサーとの契約を失ったLoL部門の選手やファンたちには残念な話だろう。

- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
Source: X, Honda and others
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コメント
コメント一覧 (3件)
海外の人間は原爆をちょっとした爆弾としか思ってないからね
cotedはしくじらなくて良かったね
よくやったホンダ
普通にライン越えだから仕方ないね