Blizzard Entertainmentは2025年6月7日、『オーバーウォッチ 2』公式ブログの「ディレクターの視点」シリーズにて、アソシエート・ヒーロー・デザイナーのスコット・ケネディ氏による開発者コラムを公開した。今回は「バランス調整の考え方とその背景」に加えて、シーズン17に導入される具体的な調整内容についても触れられている。
数値だけに頼らず「なぜそう感じるか」を重視する調整方針
記事の冒頭では、調整の方針として「勝率45~55%を維持する」という基準に触れつつも、それだけでは見えてこないプレイヤー体験を重視していると説明している。たとえば、ピック率が高くても勝率が低いヒーローには強化が、逆に勝率は高くてもプレイヤー間でストレスの声が強い場合には調整を検討するというスタンスがとられている。
このスタンスについては、約1年前の「ディレクターの視点」でも語られている。

ヒーローBANから読み解くヒーローの“嫌われ方”

また、導入されたばかりのシステムでありながら、バランス調整の指標の1つとして活用されている「ヒーローBAN」についても言及されている。
BAN率は単なる不快感のバロメーターではなく、特定のヒーローに対する明確な“回避行動”として読み取れるデータだという。例として、スナイパーヒーローが強力なマップでウィドウメイカーがBANされるのは理解できる範囲だが、複数マップ・複数地域・複数ランク帯で極端に高いBAN率を記録したフレイヤのような存在は、構造的にストレスを与えている可能性が高いと判断される。
フレイヤの強化と反動、それに続いた制限調整

新ヒーロー「フレイヤ」は、デビュー当初の勝率が低かったため、一定の強化が実施されたが、その後の急激なBAN率の上昇を受けて、今度はダメージ安定性や飛行能力に対して制限をかける形で再調整が行われた。
コミュニティからは「空中で展開している間のダメージ出力が安定しすぎていて、彼女の脅威度が大きい」との声が多数寄せられており、そのプロセスは、勝率とBAN率、そしてコミュニティのフィードバックという3つの軸を通じて調整の方向性を決定する好例として紹介されている。
ソンブラは「数値以上に難しい存在」、調整は現在も検討中

高BAN率が続くソンブラに関しては、依然として明確な答えが出せていないとのこと。ゲーム設計上の複雑さや、“ステルス”など特殊なプレイスタイルのため、短期的な調整が難航しているとしつつ、チーム内では優先的に議論が続いているという。
シーズン17で予定されているバランス調整
ダメージのロールパッシブ強化と自動回復の弱体化

次期シーズンでは、ダメージロールのパッシブである「回復阻害」が25%から30%へと強化される。これには戦闘中におけるサポートヒーローの回復への依存度を低下させる狙いがあるという。
また、同時に被弾後のパッシブ回復の開始時間が5秒から6秒に延長されるため、受けたダメージの重みが増し、より慎重な立ち回りが求められることになるだろう。
バスティオンのサイズ縮小など、ヒーロー個別の調整

開発ブログでは、シーズン17で注目してほしい調整点として、バスティオンのモデルサイズ10%縮小が挙げられている。ダメージロールトップクラスの火力と耐久力を持ちながら、大きな当たり判定によって損をしていたバスティオンにとって、この変更は大きな強化となるだろう。
この調整は、ヒーロー・デザイン・チームが長期間かけて検討してきたものであり、規模感はともかく「シリーズ史上でも珍しい変更」として紹介されている。
そのほか、シーズン17でバランス調整が予告されたヒーローは以下のとおり。
- ジャンカー・クイーン“コマンディング・シャウト”
- 味方に与える追加ライフを重視した調整(オフェンス系のタンクとしての実用性向上に期待)
- ファラのパーク「ヘリックス・シールド」
- ゲームプレイ面の快適性向上を目的とした調整
- ライフウィーバーのパーク「浄化の手」
- ゲームプレイ面の快適性向上を目的とした調整
シーズン17は2025年6月25日より開幕予定。1週間前にあたる6月18日午前1時には、シーズン・トレーラーの公開が予定されている。
- タイトル:Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )
- 発売日:2022年10月5日
- 対象機種:PC / Xbox Series X|S, Xbox One / PS5, PS4 / Nintendo Switch

Source: Overwatch
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