2025年1月28日、Blizzard Entertainmentは『Overwatch 2(オーバーウォッチ 2 )』 の短編小説「ヒーローたちの夜明け:運のいい男」を公開した。
秘密結社イルミナティのような目のシンボルを持つ、謎の“巨悪”の存在にフォーカスする内容となっており、オーバーウォッチとタロンの共闘を妄想してしまうような内容になっている。
短編小説「ヒーローたちの夜明け」シリーズ
- 短編小説「ヒーローたちの夜明け」シリーズ
短編小説「ヒーローたちの夜明け:運のいい男」は、前作「ヒーローたちの夜明け:過去の亡霊」でアナと別れたソルジャー76の視点で進行。過去の亡霊で登場した「情報提供者」と接触したソルジャー76は、互いの目的のため本作の主な舞台となるチューリッヒの「国連の保管施設」に侵入する。
以下では、短編小説「ヒーローたちの夜明け:運のいい男」のあらすじと登場する用語の解説などを行う。
短編小説「ヒーローたちの夜明け:運のいい男」
過去の亡霊で登場した「情報提供者」は、大方の予想通り「ソンブラ」であった。情報提供の見返りとしてソンブラは、スイスのチューリッヒに存在する国連の保管施設への共同侵入を求める。この場所には爆発した「オーバーウォッチのスイス本部の残骸」が保管されているという。
タロンのエージェントとして活動する彼女と手を組むことを、最初は拒むソルジャー76。しかし目的のために強引な手段を取った過去や本件はタロンの指示ではない事、そして自身にはもう失うものなどない事から、この要求を受け入れる。
潜入を開始したソルジャー76はソンブラのアシストを受け、その優秀さに驚きながら施設内の警備員たちを鎮圧。無事、保管庫にたどり着く。ソンブラからこの場所に来た目的が、オーバーウォッチ本部を知り尽くした彼に押収された数多の物品の中から“あるはずのない”ものを見分けさせることだと真剣な表情で告げられる。
「瓦礫の中から正義を見つけだせるなら、何だってやる価値がある……」と保管庫の扉を開けるソルジャー76。充満した「焼けたコンクリートと金属のにおい」「爆発のようにまばゆい照明が点灯」これらの要素が、爆発したスイス本部での出来事をフラッシュバックさせる。
ソンブラの呼びかけによって現実に引き戻されたソルジャー76は、ふたたび「あるはずのないもの」を探し始める。しかし、別の現場から警備員が到着するまでがタイムリミットという状況で、出てくるのは懐かしい品々やオーバーウォッチの残骸ばかり。
「オーバーウォッチを壊滅させたのは誰だと思う?」
残り時間5分に差し迫った状況で、ソルジャー76は紙束と汚れた金属塊を発見する。爆発の影響で原形を留めてはいないものの、彼はそれが財務部門の責任者がゴルフ大会で景品としてもらったデスク用の置き時計だとわかった。そしてその下に平たい円盤を発見する。
円盤の大きさと形状は地雷によく似ているが、マットブラックでゴムのような手触り、大きさの割にずっしりと重く銀色で縁取られている。記号や継ぎ目のないその物体の用途を推測する手がかりはないが、ソルジャー76はそれを見たことがなく、ソンブラが言っていたものがこの円盤であると確信した。
警備員の増援到着まで残り3分という状況だったが、無事脱出した2人。ソルジャー76はソンブラに発見した円盤を渡す前に報酬の「情報」を要求する。するとソンブラはソルジャー76に「オーバーウォッチを壊滅させたのは誰だと思う?」と問いかける。
ソルジャー76はこれまでの状況を考慮するとタロンの仕業だと考えるのが妥当だが、その考えに「現在までずっと違和感を覚えてきた」と語る。ソンブラからの情報を踏まえれば、なおさらタロンが主犯であると考えるのは難しいのだ。
ソンブラの「あなたは最初からそう思ってたでしょ」という返答を受け、再び過去を想起するソルジャー76。スイス本部が爆発し、すべてが吹き飛ばされる直前、レイエス(リーパー)は目を見開いて驚いていた。タロンの仕業であればレイエスは、事前に爆発が起こる事を知っていたはずなのだ。それに対しソンブラは頷き、円盤のスキャンを要求する。
タロンよりも強大な敵?
円盤をスキャンすると「目の上下に3つの点が描かれたシンボル」が表れる。そのシンボルを見たことがあるというソンブラは、この情報はタロンに繋がるものだが、その先にタロンよりも強大な何か(あるいは誰か)が潜んでいるという。
ソンブラがソルジャー76に情報を渡す事にした目的は、このシンボルが指す存在のため。「自身が持たないピースをソルジャー76が持っている事」「見返りがない限り協力してくれない事」が分かっていたからであり、このシンボルマークを目印にすることで「奴ら」を見つけられると述べる。
ソンブラは手始めに“オアシス”から情報収集を開始し、何かが分かり次第ソルジャー76にも知らせてくれるという。ただし「公正な報酬を払ってくれるなら」という条件付きだ。
この円盤はソルジャー76が探し求めてきたチャンスであり、これまでのような単なる手がかりや噂、説などではない。確固として現実に存在する「追いかけられるチャンス」なのだ。今はただのチャンスだが、このチャンスを活かすことができれば1つのシンボルから寄り多くの情報を得ることができる。
ソルジャー76の決意
元オーバーウォッチのリーダーとして、生き残った者として、失った仲間のためにそれを成し遂げなければならないと決心したソルジャー76は、頷きながら「いいだろう」と、ソンブラに円盤を手渡す。断られると思っていたソンブラは驚きながらも礼を言い、何かを投げたかと思うとその姿を消した。
今のソルジャー76に円盤は不要。なぜならソンブラからは既に彼が必要とする「追いかけることのできる現実の手がかり」を受け取っていたからだ。
老いぼれの老体かもしれないが、往くべき道は必ず見つかる。ジャックはとにかく運のいい男なのだから。
「オーバーウォッチスイス本部の爆発事件」とは?
ソルジャー76による回想シーンとして、本作で何度も登場するのが「オーバーウォッチスイス本部の爆発事件」。
爆発事件が起こったのはオムニック・クライシス終結から20年後、オーバーウォッチが解体される約1年前。当時はオーバーウォッチに対する国連や民衆の不信感が高まっており、結果的にオーバーウォッチの解体を大きく後押しする事件となってしまう。
事故当時「ブラック・ウォッチのリーダー:リーパー」と「オーバーウォッチのリーダー:ソルジャー76」による武力衝突が起こっていたのは事実であるが、爆発の正確な原因は不明。オーバーウォッチ側の視点で見ると、タロンによるものであると考えるのが妥当だが、本作で語られたようにリーパーが爆発を把握していなかったなど不自然な点が複数浮かび上がる。
結果的に国連は、この爆発は2人が争った事によるものであると断定し、世間に発表。リーパーとソルジャー76は、この爆発事故で死亡したと報道される。
この事件について複数ヒーローの視点で物事を見られるプレイヤー目線では、2大組織のリーダーをまとめて始末できるタイミングを狙った、別組織(おそらく「瞳孔の上と下にそれぞれ三つの点が描かれた目のシンボル」関連)によるテロ行為の線が濃厚だろう。
天才科学者ヴィクトリア・ノートンとは?
ヴィクトリア・ノートンは本作で「強化兵計画」の天才として登場し、物語冒頭でリーパーやソルジャー76と会話を行っている人物。「強化兵計画」とは、ソルジャー76やリーパーが持つ超人的な回復能力など、人類に生物学的な強化を行う計画。なお、リーパーが持つ人間離れした身体構造は上記の爆発に巻き込まれ、ひん死の状態のリーパーに対しモイラが独自に行った施術であるため別物だ。
とはいえ「運がいいですって?あなたたちの“幸運”は、私に選ばれたということだけよ」といった発言から、かなりの自信家であることが伺える。「自らの成果を視察するため」と戦地に赴き「散乱する遺体をまたぎながら」移動する、モイラに負けず劣らず“純粋”な科学者であると察せられる。
ちなみに彼女が初めて登場したのは、書籍「Overwatch: Declassified」。こちらでは、オムニック・クライシスが勃発する以前に、ウィンストンの故郷であるホライゾン・ルナ・コロニーに在籍していたと記載されている。当時のホライゾン・ルナ・コロニーには、シグマことシーブレン・デ・カイパー博士も在籍。
8年越しに伏線回収された「目のシンボル」
今回、タロンを上回る強大な存在として明らかになったのが「目の上下に3つの点が描かれたシンボル」の組織(または個人)。ゲーム内外を問わずほぼ見かける事のないシンボルマークだが、実は2016年に公開された 「オーバーウォッチ: ソンブラ オリジン・ストーリー」に登場しており、約8年越しの伏線回収となる。
オリジン・ストーリーの動画内では、上画像のシーン以外にもハッキングを行うソンブラが「初めて存在を気付かれた」と語るシーンで登場している。ソンブラがこのシンボルマークを追う理由も、これに関したものなのだろうか?
いち早くこのシンボルの存在を知り、現在タロンと元OWリーダーの両方と手を組んだソンブラ。もともと独自の目的をもって行動していることは明らかだったが、今後のストーリー展開において目の離せないヒーローとなりそうだ。
- タイトル:Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )
- 発売日:2022年10月5日
- 対象機種:PC / Xbox Series X|S, Xbox One / PS5, PS4 / Nintendo Switch
Source: Overwatch
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