APEXのマッチが改善

レビュー: 最新最高モデル「HyperX Cloud Revolver S」を旧モデルユーザーが徹底レビュー、その音質はシリーズ最高峰

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Kingston社が2016年に発売したゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Revolver」と、同時に発表されていた「HyperX Cloud Revolver S」が、発表から1年の時を経てついに3月20日に国内発売となりました。

アメリカでは今月の頭から発売されており、アメリカ在住の筆者はこのヘッドセットの前身にあたる「HyperX Cloud II」を愛用していることから、Sの発売と同時に早速購入。約2週間使ってみた上で詳細なレビューをしていきます。

Hyper X Cloudの歴史

ゲーム向けにマイクとヘッドホンが一体化したゲーミングヘッドセットというマーケットには、老舗音響ブランドから振興ブランドまで数多くのメーカーが参入し鎬を削っています。

そんな中、Kingstonは近年盛り上がるeスポーツ界隈でのマーケットを広げるため、2014年にQPad社のQH-90をベースにCloudシリーズ初代となる「HyperX Cloud」を発売。翌年にはマイクのノイズキャンセリングと7.1chに対応した名機「HyperX Cloud II」を発売し、1万円前後の価格ながら高級機に迫る高性能により多くの高評価を集め、幾つもの派生型をリリースすることになります。

2016年には、Cloud IIまではとは別のカテゴリとしてKingstonが独自開発した「HyperX Cloud Revolver」を発売。それから1年の今月になり最上位モデルである「HyperX Cloud Revolver S」を発売したという流れです。

当サイトでも度々取り扱う『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』を開発したUBIともタイアップしており、2015年に私がE3でプレイした時も「HyperX Cloud II」が設置されていました。その後はPC版『レインボーシックス: シージ』が同梱されたパッケージの販売や、数多くのeスポーツチームとも提携。プロチームには有名過ぎるEnVyUSやCloud 9なども含まれています。

eスポーツ界隈でのマーケットを広げるという目標は日本国内でも実践されており、日本だけでなく米Amazonの商品ページでも、恐らく日本一有名なプロゲーマー・梅原大吾氏が広告塔に起用されています。

「HyperX Cloud」は『レインボーシックス シージ』の大会でも採用され、最近だと『フォーオナー』の部門も設立したプロゲーミングチーム「野良連合」ともパートナー契約を結んでいます。 記事の最後に「野良連合」のぷらいまり氏による、「HyperX Cloud Revolver S」のレビュー動画も載せてあるのでそちらもご参照ください。 なおこの記事は残念ながら趣味です。

HyperX Cloud Revolver Sの梱包

「HyperX Cloud」シリーズはヘッドセットだけでなく梱包にも力を入れています。カバーパッケージの中のボックスにはシンプルにHyperXというブランド名だけ記載されており、開封時にはまるでiPhoneやMacBookの箱を初めて開く時と同じような吸い付きが感じられ、上蓋が外れるまでの間に、購入者の所有欲と興奮を刺激する作りとなっています。

いよいよボックスを開封すると、上蓋裏にはCloudシリーズ恒例となるHyperXブランドのジェネラルマネージャーAnders “GR8V1K1ng” Willumsen氏からのウェルカムメッセージがお目見え。Cloud IIのボックスよりコンパクトになっているため、Cloud IIのボックス上蓋にあった開発チームの名前は省略されています。

ヘッドセットが梱包されているボックス本体は、カバーとなるスポンジとマニュアルをめくると、ヘッドセット本体と各パーツがしっかりとスポンジで保護されています。配送時にヘッドセットに傷が付かないための嬉しい配慮です。

HyperX Cloud Revolver Sには、ヘッドセット、4極端子の着脱式マイク、USB DAC(デジタル-アナログ コンバーター)、3.5mm端子のヘッドホン/マイク用の延長ケーブルが同梱されています。Cloud IIにあったヘッドセットを収納できるメッシュのバッグ、それとメッシュのイヤーパッドは付属していません。

なおメーカー保証は2年間となっています。

HyperX Cloud Revolver Sのヘッドセット本体

細かい差異はありますが、ヘッドセットそのものは前モデルである「HyperX Cloud Revolver」がベースとなっています。上部はサスペンション形式のヘッドバンドの上に、左右のイヤーカップをつなぐメタルフレームの二段構成となっており、左右のイヤーカップは前後左右へ稼働が可能。イヤーカップ外部にはマット加工されたプラスチックが採用されています。

ヘッドセット本体とリモコン

ヘッドセット本体とリモコン

イヤーカップの位置調整は、Cloudシリーズではヘッドバンドに収納されたメタルフレームをずらして合わせる方式でしたが、Revolverシリーズはヘッドセット装着時にサスペンション形式のヘッドバンドが頭の位置に合わせて動きます。

重量はマイク装着時は376g、着脱時は360gとなり、Cloud IIより約30g増量となりました。

HyperX Cloud Revolver Sのマイク本体

着脱式のマイクは左側のイヤーカップ下部にあります。マイクのノイズキャンセリングについてですが、Cloud IIはマイクの周りにスポンジの風防を付けるパッシブタイプのノイズキャンセリングでしたが、RevolverからはAstro製のマイクと同じ単一指向性となりノイズキャンセリング方式も変更されたと推測されます。

なおマイクジャック周りのパーツの構造はCloud IIとRevolverシリーズは規格が異なるため、マイクの入れ替えは出来ません。マイクは柔らかな形状記憶タイプとなっていますが、似たデザインのAstro A40の様なしなやかさはありません。

私はCloud IIを利用時にマイクをミュートにしたい時は直接マイクを抜いていましたが、Revolver Sはマイクの接続がガッチリしており、中々引き抜くことが出来ません。しかし、それは次項で説明する便利になったUSB DACのおかげでまったく問題ではありません。Cloud IIはマイクを外した後の穴を塞ぐカバーがありましたが、Revolver Sには付属しておらず、そもそも外すことを前提としていない設計思想のようです。

HyperX Cloud Revolver SのUSB DAC

Cloud IIで採用された7.1ch対応USB DAC(デジタル-アナログ コンバーター)が、2年ぶりに進化して登場しました。DACを通すことでただのヘッドホンが、マイクの調整、ステレオ-サラウンド切り替え、3種のプリセットイコライザの設定などデジタルに対応したヘッドセットとなります。

DACの正面上部には7.1chサラウンドモード切り替えボタン、下部にはマイクのミュートボタンがあり、どちらも選択時はLEDが赤く点灯します。ボタン右側のダイヤルはそれぞれの音量調整を、上部右側のイコライザ切り替え用のスイッチとなっています。イコライザは事前に設定されており、調整や7.1chサラウンドとの併用は出来ません。

DACの背部にはクリップがあり、ヘッドセット装着時に服に固定出来るようになっています。

Cloud IIのDACと比較すると一回り大きくなっていますが、操作性はより直感的になり快適さは向上しています。

HyperX Cloud Revolver Sの音質

Cloud IIと比較すると、Revolver Sはドライバのサイズが3mm小さくなっています。しかし、周波数は15hz~25,000hzから12hz~28,000hzに、音圧は98±3dBSPL/mwから104.5dBSPL/mw(どちらも1kHz)とスペック上では性能が向上。

ドライバをダウンサイジングを行いつつの性能向上という、ガジェット好きやロボットものによくあるお約束が好きな男子にはそそられる変化があります。一方でイヤーカップそのものはCloud IIよりも巨大化し、耳の収まりが向上しています。

Cloud IIとRevolver S比較

HyperX Cloud Revolver Sのマイク音質テスト

テスト内容:

  1. 「HyperX Cloud Revolver S」をUSB経由でMacBook Pro Retina 2014に接続し、当サイトの記事冒頭文を読み上げ。
  2. 膝上に置いたMacからYouTubeを再生し、音を拾わせながら朗読
  3. Macのイヤホンジャックに直接ヘッドセットの3.5mm端子を差し込む
  4. 「HyperX Cloud II」も同様のテストを行う
  5. 「HyperX Cloud Revolver S」「HyperX Cloud II」のUSB DACをそれぞれ入れ替えて朗読テスト

公正を期すためにMac側のマイク音量は全て同じ設定。そのため直挿し時は人によっては音が大きすぎるかもしれないのでご了承ください。

HyperX Cloud Revolver Sを使用した感想・気に入った点

まずは音質についてですが、これは明らかにRevolver Sの進化を実感できます。もともとHyperX Cloudシリーズは、ゲーミングヘッドセットによくある高音や低音が強調されたいわゆるドンシャリ系とは違い、強調がなく全体のバランスを重視するスタジオモニター系の音作りでした。Revolver Sはそれを押し進め、高音から低音までさらにハッキリとしたクリアな音質となっています。足音や細かい環境音もCloud IIより聴き取れます。

定位についてですが、これも音質がクリアになったことで以前よりも前後左右がしっかりと聴き分けられます。もうこれだけでRevolverやRevolver Sに買い換える価値があるかもしれません。

悲しいことに、Sを使い始めて以降はCloud IIを使うと音が曇っていると感じてしまうようになりました。一度上がった生活水準を落とすのは難しいとはまさにこの事です。

次に、主にPS4で遊ぶ私は、USB DACがとても手軽に使えるようになった点も気に入りました。 もともとCloud IIにもDACがありましたが、コンソール機でDACを使うには独特なステップを踏む必要があるのが最大の欠点。多くのレビューで「PS4に繋げるとUSB DACリモコンが動かない」、「ミュートや7.1chモードが使えない」と書かれてしまい、公式すらもPS4、Xbox Oneでは非対応であるかのような記載をしてしまっています。

実際のところコンソール機で使う場合は、起動時に即座に7.1chサラウンドボタンを押すことでDACが動作するようになり、ミュートや7.1chなどが使えるようになります。ただしまた7.1chサラウンドボタンを押してしまうと、7.1chサラウンドはコンソール機を再起動しないと使えなくなり、DACが無反応となる困った仕様。 このように折角のDACがスムーズに使えない欠点を抱えていましたが、Revolver SのDACは接続しただけですぐに使えるように改善されました。本来ならCloud IIでこうすべきだったのですが、2年の歳月を経てようやく完成した形です。

Revolver SのUSB DACにCloud IIのヘッドセットを付けてもちゃんと7.1chを含め、すべての機能が問題なく使えます。 Cloud IIユーザーのフレンドが「USB DACを単品で売って欲しい」と嘆いたくらいです。

Dolby 7.1chをPS4でもお手軽に体験出来るようになった点も、ゲームだけでなく映画を観る方にとって便利な機能だと思います。誰でもボタン一発でお手軽に体験できる「Plug N Play」という点は、十分に価値があるものだと思います。

装着感も素晴らしい出来です。Cloud IIは主に左右のイヤーカップが締め付けるタイプだったのに対し、Revolver Sはサスペンション型のヘッドバンドが全体の重量を分散させ、イヤーカップからの圧力は小さいのに安定しているという、オーディオ用の高級ヘッドホンの様な作りとなっています。

HyperX Cloud Revolver Sを使用した感想・不満点

ここからは不満点を並べるので辛口な評価となります。予防線を張らせて頂きますが、私のヘッドセットへの優先度は、音質よりも「マイクの音声」の品質という点をご理解ください。

マイクの音声ですが、私が主に遊ぶPS4では、Revolverのマイクは声が篭ってしまう傾向にあります。PC/Macでは篭もらないのですが、PS4では誰に聞いても篭っていると返事をされ、疑問と反論の余地がありません。ただしデュアルショック4にヘッドセットを挿すとマイクの声はクリアになります。

改善されたUSB DACにも若干の問題があり、よく聞くとホワイトノイズが発生しています。私自身はあまり気にならないレベルでしたが、これは没入感が優先されるホラーゲームや、足音への注意が重要なFPSゲームでは人によっては致命的と感じてしまうかもしれません。

実はアレだけUSB DACを褒めておきながら、実際にプレイする際は付属のDACは使わずにAstroのMixamp Proにヘッドセットのアナログプラグを挿入して使っています。というのも、普段はスマートフォンもMixamp Proに繋げて、好きな曲を流しながらゲームをプレイしているという、若干特殊な環境でプレイしている為です。 面白いことにDACはそれぞれに個性があるので、Mixamp Proを使用すると付属品よりマイクの声は若干クリアになり、ホワイトノイズは発生しません。 なお、Astro Mixamp ProにAstro社製以外のヘッドセットを付けてもサラウンド機能は使えません。

訂正: Astro製以外のヘッドセットでもサラウンドに対応しているとのコメントを頂き、調べたところ同様の報告がありましたので、謹んで訂正いたします。

イヤーカップにも不満があります。密閉型のフェイクレザーがついているのですが、これは長時間の利用時には蒸れてしまいます。特に夏場は考えてみるまでもないでしょう。 Cloud IIにはメッシュのイヤーカップが付属しており、私は主にそちらを使っているのですが、何故かRevolver以降はフェイクレザーのイヤーカップのみとなっています。せめて、メッシュ版を別売りしてもらいたいのですが、Revolver発売から1年経った今も音沙汰がないということは望みは無いのかもしれません。イヤーカップそのものはCloud IIと同じように取り外しが簡単なのに、交換用イヤーカップが販売されていないので意味のない機構となっています。

HyperX Cloud Revolver Sの総評

音質は素晴らしいの一言です。Cloud IIではゼンハイザーなどと比べると音質は下をいってしまいましたが、Revolver Sは高級ヘッドセットの音質の世界に足を踏み入れたと言っても過言ではありません。しかも高級ヘッドセットよりは万人が手の届きやすい価格です。

装着感には主にイヤーカップに問題を感じてしまいましたが、これは1年以上メッシュタイプのイヤーカップを使っていたという個人的な体験によるところが大きいとも思います。

1万円前後でヘッドセットを探しているという人には私は常々「Kingston HyperX Cloud II」を勧めていましたが、これからは、ゼンハイザーを買えるほどの予算はないがそれでも音質を優先するのであれば、「HyperX Cloud Revolver S」も選択の一つに提示しようと思います。

HyperX Cloud Revolver S プロゲーミングヘッドセット レビュー
https://www.youtube.com/watch?v=lgWEMi1Qrp8

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コメント

コメント一覧 (13件)

  • 当記事にはメーカーからの供与は一切ありません。 Amazonから$149.99 + Sales Tax $13.12、送料無料で合わせて$163.11を支払って購入した、完全自腹レビューです。

  • Astro Mixamp proにAstro社以外のヘッドセットを付けてもサラウンド機能は使えないとありますが、Astro社以外のヘッドセットでも問題なくサラウンド機能を使えますよ。
    現在、RevolverをMixamp proに繋いで使用してますが、快適です。

    訂正した方が良いと思います。

    • 同じ環境で遊んでいます。記事見てリボルバー売ろうかと思った…

    • 当記事を執筆したいーさんです。ご指摘頂いた通り、記事を訂正しましたので、お礼申し上げます。

      当方の環境(PS4 Pro + Mixamp Pro TR/ MacBook Pro + Mixamp Pro)ではAstro公式のガイドに従っても再現が出来なかったのですが、やはり、せっかく使える機能でしたら使わないともったいないので、どうにか使えないかと試行錯誤しております。あかささんの環境をご教示頂けるでしょうか?

      • 光デジタルで繋ぎ、出力設定を光デジタル、ドルビー5.1に設定しましたが、Mixamp Proのサラウンドボタンを押すとノイズが走るだけで何も変わりません。 ただ、以前の自分の環境ですとサラウンドボタンを押しても反応がなかったので、何かしらの変化があったのは確かなので、サラウンドを使えるのが楽しみです。

  • Cloud IIってものすごいクソゴミサラウンドだったけどどこが名器なんだよ
    クソゴミCloud IIを名器とか言ってる時点で提灯レビュー

    • サラウンド以外は良いやんけ
      一つでも欠点あったらクソゴミとか笑えてくる

    • 確かにcloud無印のほうが汎用性高かったけどサラウンド以外は名器だろ なんで一つだめなら全部駄目なんだよ

  • Astro Mixamp ProにAstro社製以外のヘッドセットを付けてもサラウンド機能は使えません。て書いてありますが本当ですか?

  • Astro Mixamp ProにAstro社製以外のヘッドセットを付けてもサラウンド機能は使えません。って書かれているけどこれ合ってるのかな?

  • 記者さんのMixamp Proに親近感を覚えたw 私はTurtle Beachだけど同じ考えの人がいてなんかうれしいわwww

    • 同じタートルビーチ使ってる人が居て親近感湧きます:D

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