ドイツの老舗音響メーカーSennheiserの日本法人ゼンハイザージャパンが2月6日、ゲーミングヘッドセット「GSP500」「GSP600」の予約販売を開始し、製品の発表会を開催しました。本記事では発表会の内容をお伝えします。
ゼンハイザー「GSP500」「GSP600」発表会まとめ
ゼンハイザーのターゲットと日本のeスポーツ市場について
日本のゲーミング市場はAPAC地域で第2位
発表会では主に世界のゲーミング市場・製品・スペシャルゲストの順でスライドと共にプレゼンされました。はじめに登壇したのがゲーム部門セールス&マーケティングディレクター、ティム・ボルカー氏。ゼンハイザーがゲーミングヘッドセットを日本向けに展開する理由として国内のゲーミング市場の成長が挙げられるとのこと。
アジア地域のゲーミング市場の成長は顕著で、9.2%と他地域を上回る成長率です。アジア地域の中で日本は中国に次ぐゲーミング大国といえます。
GfKの調べによるとアジア地域では、ゲーミングPCとヘッドセットの需要が拡大し、売上が伸びているとのこと。その中でもヘッドセットは29%と成長率が著しいです。
ではなぜゼンハイザー社がPCゲーマー向けに製品を展開するかというと、Steamでゲームをプレイするユーザーが非常に多く、PCゲーマーは周辺機器への投資に積極的であり、オンラインプレイでヘッドセットの需要が高いことがひとつの理由。また、データにはありませんがコンソールユーザーのヘッドセット需要の喚起も考え、新製品「GSP500」「GSP600」はマルチプラットフォー対応となっています。
競合他社との差別化要因
新製品「GSP500」「GSP600」では、「サウンドクオリティ」「通信機能」「快適な装着感」「信頼性&耐久性」の4つの柱を軸に競合他社と差別化を図っています。
エンドユーザーに「ヘッドセットを買う時どんな点に注目するか?」というアンケートでは、「サウンドクオリティ」「快適性」「通信機能」がトップを占め、LEDのイルミネーションやヘッドセットのカラーについてはあまり重要視されていないことがわかります。上の4つが軸とされた理由として、このアンケートの結果が挙げられます。
ターゲット層
こちらはゼンハイザーが把握しているゲーム市場のピラミッド層。一番上のプロとストリーマー(インフルエンサー)はゲーム市場に大きな影響を与えています。重要視しているのは赤い四角の中のハードコア・コア層であり、ゼンハイザーは上層のプロシーンとスポンサーを提携、またコンテンツを作成してもらいより下層のターゲットへの認知度を高めています。
日本のeスポーツ事情
こちらは日本のeスポーツ事情について。ユーザーの多くは25~34歳の年齢層で、全体の37%を占めいています。そのうちの7割が男性で、これはゼンハイザーの顧客ターゲットと合致しているという。eスポーツを楽しむ主な理由として、30%が「エンターテイメント性を楽しみたい」と答え29%は「すごいゲーマーのプレイを見たい」と答えました。ユーザーの58%がPCゲームを楽しんでいることからも、よりゼンハイザーのPCゲーミング市場でゼンハイザーの存在感を強める重要性があるわけです。
eスポーツチーム「SK GAMING」とスポンサー契約
このながれで、eスポーツチーム「SK GAMING」とスポンサーを締結したとことを発表。製品がプロユースでも通用することを強調し、この契約によってeスポーツを楽しむ日本ユーザーのニーズも満たすことができ、彼らの影響力で会社の存在感も高まり、ブランド力をより高めることができるということです。
ソーシャルメディアのファン数
上記のようなアプローチを踏まえ、ゼンハイザー社のソーシャルメディアのフォロワー数は今でも格段に伸びており、前年比では54%増となった。2018年末までに900.000まで伸ばすのが目標。また、合わせてゲーミング部門の公式ツイッターと公式LINEも立ち上げたことを発表しました。
- Twitter:https://twitter.com/SennheiserG_JP
- LINE:http://line.me/R/ti/p/%40rrm9
ゲーム開発会社との関与
またeスポーツ市場だけでなく、ゲームの開発会社との連携の重要性も唱えており、昨年からはスクウェア・エニックスと連携を開始。音の製作現場でゼンハイザー社の製品を使われているので、エンドユーザーのゲーマーがゼンハイザー製品を使用するということは、録音時に使われた環境で聞けるということになります。また、Final Fantasy XV Windows Edition オーディオ制作シーンについてまとめたビデオを公開しました。
ゼンハイザー ゲームを創造するサウンド Final Fantasy XV Windows Edition オーディオ制作シーン
https://www.youtube.com/watch?v=PuR3LRfFQdU新製品「GSP500」「GSP600」について
次に登壇したのがゲーミング部門ビジネスマネージャのミハエル・テンプチェック氏。今回の主役「GSP500」と「GSP600」の概要について説明がありました。
ゼンハイザー ゲーミングヘッドセット GSP 600
https://www.youtube.com/watch?v=GvTBBgtZZOA
GSP500/600は前項でも説明したように、「サウンドクオリティ」「通信機能」「快適な装着感」「信頼性&耐久性」を柱に開発。
GSPラインナップ
「GSP500」は開放型「GSP600」は密閉型
「GSP500」と「GSP600」は根本的な性能は同じですが、前者が開放型、後者が密閉型となっています。「GSP600」が数10グラム重くなっていますが、気づかない程度でした。実際に手にとってみたレビューは別記事で行うので、興味のある方はご覧ください。
【関連記事】ゼンハイザー製ゲーミングヘッドセット「GSP500」「GSP600」簡易レビュー
スペシャルゲスト伊藤一朗氏も登壇
また、スペシャルゲストとしてEvery Little Thingのギター・作曲・編曲を担当している伊藤一朗氏が登壇。あまり表立ってはいないがゲーム好きのようで、普段空き時間にゲームをプレイしているという。今回は『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』をテストプレイ。プロの音楽制作の現場にはゼンハイザー製のオーディオ機器が必ずあり信頼している製品とのことで、今回使用した「GSP600」について、プロのミュージシャンでも太鼓判の音質で、装着感もずっとつけてても大丈夫そうと感想を述べていました。
ティム・ボルカー氏とミハエル・テンプチェック氏にインタビュー
また、発表会の後、両氏に立ち話に近い体で、ゲーミング市場について短い間ですが質問をしてきました。
EAA:先日、国内で一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立されましたが、今後御社の戦略にもなにか影響を与えるでしょうか?
ミハエル氏:私どもが把握しているところでは、日本のeスポーツの市場というものは、欧州とはまだ異なっていると把握しています。ですのでこの先どのようなやり方であれ日本でのeスポーツがよりさかんになるということについては、私どもも大歓迎でぜひその一躍を担いたいと考えています。
ティム氏:グローバルで見てもeスポーツの市場はだんだん成熟していきています。たとえば、去年であればeスポーツをご覧になられた方は4億人と言われていますし、そのeスポーツの中でのブランド投資はユーロで5億ユーロ使われたとも言われています。ですので今回このような公的な機関が日本でのeスポーツ活動を啓蒙されるということは非常にうれしいニュースです。
EAA:SK Gamingとの提携が発表の方でありましたが、日本国内においてもそのようなサポートは今後ありえますか?
ティム氏:もちろん、日本のチームをスポンサーすることにも興味がございます。私共は世界中でそのようなスポンサーの機会やお話をいただくことがありますけれども、社内で特別なチームがありまして、その方々の実績などを評価してスポンサーするかどうか決めている部署がございます。私共にとりましては、日本の市場というものは今年2018年から先、戦略的に重要な市場でありますので、ぜひ日本のeスポーツのチームの方からもお声がけいただけば、前向きに検討したいと思います。
ミハエル氏:それにeスポーツというものは、非常にグローバルで、全員にわかるプラットフォームだと思っているんです。まさにテニスのマッチが言葉がわからずとも全員でできるのと同じですよね。『CS:GO』であれば全員が言葉を離さずともコミュニケーションできますよね。
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